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腑に落ちないこと

ピアノ講師から、メールが届いた。
来月から、レッスン時間を変更したいという願いだ。
だが、時間が夜の19時~。実は、これまでもあちらの都合により変更をして来たのだ。
当初、レッスンは16時~だった。それが、17時になり、今では18時~。
正直、夏場はまだいいものの、冬に近づくにつれてこの時間帯で了承したことを後悔していたのだ。
30分の為の送迎が面倒で、明るいうちは一人で行かせていたけれど、最近では18時なんて真っ暗だから、一緒に講師宅までついて行かなければならない。
コンビニだとかスーパーだとかの店が近くにあればいいけれど、そんなものは無い。なので、途中にある公園のベンチで時間を潰すのだ。
自宅からまだ近ければ、一旦、帰宅することも出来るけれどそれも微妙。とにかく、数十分、ベンチでぼーっとー携帯を触りながらも待つのは辛い。




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19時~になれば、夕飯の時間。私達の生活リズムも崩れる。夕飯を食べてからレッスンすればいいのか、レッスンから帰宅してからの夕飯にするのがいいのか。
とにかく中途半端。
ドリルやレッスン時間の短縮の件もあり、講師に対して不信感が募る。


「なんか、別の子がその時間に入りたいって言ってるらしいよ。」


NOと言えば済む話なのかもしれない。だが、断り切れない性格を見透かされているのか、恐らく私達はその要求を受け入れることになるだろう。
モヤモヤが止まらない。




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ワンコインの価値

子が習っているピアノ教室について、モヤモヤすることがある。
最近、子がピアノに対してのモチベーションが上がらないことや、実際、自宅での練習時間が減ったこともあり、原因がどこにあるのかを探っていた。
毎月の月謝は、決して安くはない。
週に1回30分という限られた時間の中、子が講師のレッスンに身が入っていないのでは?と心配になったのだ。


「最近、ピアノはどう?あんまり練習してないみたいだけど・・」


子は、大きくため息をつく。


「パパとおんなじこと言うね。だって、いつもドリルばっかやらされて、前の子のピアノ聞いてるだけなんだもん。」


耳を疑う言葉。




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「ドリル?」


「うん、いつも先生の家に着いたらまずドリルだよ。先生は、前の子のピアノに付きっ切りだから。」


「え!?何?どういうこと?前の子がいつも時間オーバーするの?」


「うん、10分くらいだけどね。」


モヤモヤする。ピアノ教室とはこういうものなのだろうか?しかも、子の前にレッスンしている子は3歳から習っているらしく、まだ低学年なのに色々なコンクールなどにも出ている子。
要するに、講師からしたら「お気に入りの生徒」なのだ。レッスンに熱が入る気持ちも分かるけれど、こちらだってしっかり月謝を払っているのだ。月に4回ー、月謝を割る。1500円を更に時間単位で割る。10分あたり500円だ。ワンコイン損しているのだ。そう思うとモヤモヤが止まらない。
ドリルなんて、家での宿題にして欲しい。
子のモチベーションが上がらないのも、これだけが原因だと一重に言えないが、講師が子に対して適当なレッスンをしているからなのでは?と思ってしまう。
子のやる気に問題もあるのだろうが、何とも言えない気持ちになる。夫に相談したら、即刻クレーム問題だ。波風立てず、しかしきっちり月謝の分だけのレッスンをして欲しいと伝えたい。
だが、夫の力を借りてこのモヤモヤを晴らしたいという気持ちもあり、二つの狭間で揺れている。




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スランプ

ピアノ講師宅へ、発表会のお礼の品を渡しに行くと、そこから長話。
子が学校に行っている間だったので、家の中に通され、お茶まで出された。
買い物ついでだったので、こちらが恐縮してしまう。そんな私の心中などお構いなしに、講師はすぐに本題に入った。


「最近、OOさん、何かありました?」


講師いわく、子がレッスンに集中出来ていないと言う。宿題も中途半端で、練習時間もどうなっているのか、一度尋ねたかったそうだ。
やんわりと、だが瞳の奥は笑っていない講師の前で、親の私が動揺してしまう。確かに、最近子がピアノを弾く姿を見ていない。




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「お子さんによっては、中だるみ時期というか、スランプってあると思うんですよね。なので、ご家庭のフォローが必要だと思います。」


「すみません!」


深々と頭を下げると、今度は微笑を湛えて、


「いえいえ。学校のお勉強も大変になっていると思いますし。ただ、思春期になり難しい年頃になっているでしょう?どこかに綻びが出来ると、やっぱりレッスンにも影響するんですよね。 それまで頑張っていた子が、急にやる気を無くして、どうしたのかと思ったら登校拒否してしまっていたりで。問題が大きくならないうちに、何か出来たらって。」


「はぁ。」


「私としましては、やる気のない生徒さんは、こちらからお断りすることもあるんですよ。ただ、そのやる気の無さが、根底に何か悩み事を抱えてのものでしたら、やはりまずはそこから解決していかないとならないんです。 OOさんが、今、どういう気持ちでレッスンに集中出来ていないのかー、すみませんが、お母様からご本人に問い掛けていただけませんか?」


学校生活で思い当たることー、それは、友人関係だ。S奈ちゃんらのグループに何となく入れて貰っている、そんなポジション。子が、必死で彼女らの後を付いて行く様子が目に浮かんだ。
そして、LINEをやりたいと騒いでいたこと。駄目だと言った時の反抗的な鋭い眼つき。
しかし、もうクラス替えだ。講師に言われたことを念頭に置きながら、6年生に向けて、注意深く見守るしかない。




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楽器も人を選ぶ

久しぶりに、鍵盤を叩くと、音が出ない箇所があった。
子に聞くと、だいぶ前から「ミ」の音が出なかったらしい。それもあり、練習する気になれなかったと今更ながら告白された。
それは恐らく言い訳だろうが、私自身も新たな趣味ーと、意気揚々としていた少し前の気持ちは薄れ、気分転換にピアノーという優雅な時間は皆無となっていた。 最近では、学校の役員仕事や子ども会の仕事のあれこれで、家にいる時はほぼPC画面に張り付いているか、または携帯漫画を見ているだけ。
最近では、単純な携帯ゲームにまではまりつつある。しかしこれらは無料で出来る環境。wifiさえ繋がっていれば、料金のことを気にせず、有益な情報を得られたり時間を潰せるのだから、今の世の中は恵まれていると思う。
デジタルデトックスを試みたこともあったけれど、私のようなコミュ障で人との関わりが家族以外ほぼ無い人間にとっては、無理な話なのだ。




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ピアノの話に戻るが、電子ピアノの保証書を見ると、無料で見てもらえる期限はとっくに切れていた。また金が掛かる。
虎の子から出すのはきついし、だからといって夫にお伺いを立てるのも、タイミングというものがある。
数少ない機嫌の良い時ー酔っぱらって自分の武勇伝を語っている時に、すかさず申し出るしか無いのだ。
それまでは、「ミ」の音無しで練習を頑張ってもらうしかない。


「もうすぐ発表会なのにな。」


不具合のせいにして、そうでなくても練習なんて進んでしなくなった子はそうこぼす。まるで、自分は練習したくて仕方が無いのに、修理をしてくれない親が悪いのだと言わんばかりに。
そして、私もますます鍵盤に触れる気がしなくなった。「喜びの歌」を「ミ」の音が出ない状態で弾こうとしたら、何となくリズムが狂い、瞬く間に弾く気が失せた。 まるで、楽器に弾くことを拒否されているような、そんな気にもなった。




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紹介料の罠

夕飯時に、家電が鳴る。珍しいことなので、身構えながら受話器を取る。
やけに、トーンの高い元気な女性の声。


「今日は、娘さんがこちらのスクールに見学に来て下さって!どうもありがとうございました!!」


その一言で、嫌な予感が走る。
私が言葉を挟もうとすると、畳み掛けるように、女性は一方的なトークを始める。
次第に、受話器を持つ手の力が抜けて行く。
S奈ちゃん達と遊びに行ったのだと思っていたが、チアの見学会に行っていたことが判明した。更に、紹介料として、子にもS奈ちゃんにも2000円分のクオカードを渡し済みだと言う。
すっかり入会前提で、正式な申込方法を話し出したので、慌てて遮る。


「ごめんなさい、一体、何の話だか・・」


「え?お母さま、OOちゃんから何も聞いていませんか?」


「えぇ、いやー・・チアはやりたいとは言ってましたけど、具体的には何も。今日も、遊びに行くとだけ言っていたので、見学会とか知らなかったんです。」




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相手も絶句しているようで、少ししてから口を開く。


「そう・・ですか。ご両親の承諾をいただいているとご本人から聞いていたので。紹介料も、渡してしまったんですよね・・」


「ごめんなさい、すぐに明日にでもお返しします!」


届ける時間帯を約束し、電話を切った。しかし、その後、なぜこちらが謝らなければならないのか?と疑問が湧き、続いて怒りが込み上げて来た。
今の電話の相手にも、スクールにも、そして、何も言わなかった子にも、紹介料欲しさに子を誘ったS奈ちゃんにも。
一緒にやりたい?それは表向きであって、ただクオカードが欲しかっただけなのでは?子の友達に対して疑心暗鬼になる。子供相手に紹介料?普通は親を通すものではないのか?金銭の絡む問題なのに、どういう経営方針なのかとスクールにも腹が立つ。
一先ず、風呂に入っている子が出たら、夕飯前に説教だ。
子供一人でも、なぜこうもあれこれ問題が起こるのか。頭が痛い。




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