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せいくらべ

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「アイちゃんが、ピアノ弾いてくれるからテレビ消して。」


義母が、夫に声を掛けた。女三人もいると、ピアノを習わせるのは当たり前なのだろう。義実家には古いピアノが置いてある。
長女も次女も三女も、物心ついた頃から中高生まで習っていたらしく、しかし音大までには到達せずに趣味のままに終わったと以前聞いたことがあった。
アイちゃんとは、次女の子供で今年小学校に上がった。割と有名なマーチングバンドに入ったらしく、夏休みも日々練習しているらしい。ピアノは幼稚園の頃から習っており、発表会に何度か誘われたことがあったが、何だかんだ理由を付けて行ったことはない。
姪っ子が静かに鍵盤に手を置く。小さな後ろ姿に反し、大人びたクラシックの音色が辺りを優しく包む。姪のピアノを聴くのは、何年ぶりだろう。随分と上達しており、大人顔負けの指使いだ。


「マーチングとの両立だから、練習時間も限られるんだよね。夏も、朝から弁当持って夕方までずっと練習だし。小学校行けば、親は楽になるかと思えばそうでもないよね。上はサッカーのお茶当番とか合宿とかで忙しかったし。家族で遊びに行く暇なんてないよ。まあ、私も仕事で忙しいけど。」


姪っ子のピアノ演奏が終わり、義父が酔っ払いつつべた褒めした。


「すごいぞ。まだ小さいのに、ひとつのことに頑張れるのは。何もない大人になんか、なっちゃ駄目だぞ。」


何故か、耳が痛い。すると、子に向かって義母が、


「そうそう、OOも、ピアノ始めたんだってね。どう?ばあばに聴かせてよ。」


子は、あからさまに躊躇した顔を見せた。それはそうだ。もう何年も前から習っている姪っ子と比べられたらたまらない。


「じいじも、聴いてみたいぞ。」


「まだ、習い始めて数か月なんです。アイちゃんみたいには・・」


私の方が焦り、義父を遮ろうとするが、長女らが許してはくれなかった。


「そんなん、分かってるから。発表会とかいずれするんでしょう?三才くらいの上手な子がいたら、出るの辞めるわけ?」


「・・・」




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子は、そろそろとピアノの前に座ると、まだ完全に弾けてはいない今週の宿題をそろそろ弾き出した。お世辞にも、姪っ子の後ということもあり上手いとは言えず、しかも、姪っ子より年上ということもあり、肩身が狭そうだ。
たどたどしい手つきで、しかし何とか弾き終わると、姪っ子が子の隣に座り、手の位置だとか指の立て方などをアドバイスする。どちらがお姉さんだか分からないその様に、大人達はどっと笑っていたが、子の表情は硬かった。

「もう、いい。」


子は、そのままピアノを降りると、別部屋へ駆け込んでしまった。子は、プライドを傷付けられたのだ。それが手に取るように分かり、私が子の後を追い掛けようとすると、


「OOさん、放っておいた方がいいよ。一人っ子で心配なのは分かるけど、ちょっと構い過ぎ。OO、ほんと弱い子になっちゃうよ。」


長女は私を諭しているのだろうが、あの挨拶もロクに出来ない反抗的な姪っ子を娘に持つ女にあれこれ指図されたくは無かった。人の子供の前に、自分の子供を何とかしたら?と言いたい思いがぐっと湧いた。
いつの間に、義母が子を連れて隣部屋からやって来た。真っ赤な目をした子は、義母と共にキッチンへ入って行った。少ししてから、義母は子と一緒に作ったというフルーツポンチをデザートにテーブルに置く。


「OOはね、お料理上手なんだよね。ほら、これはOOが一人で包丁使って切ったのよ。」


義母の優しさに、私の涙腺は決壊寸前だった。


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パラサイト

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再び義実家へ訪れたのは、夏休みも終了間際。
長女は、ハワイ土産を配りつつも、免税店で購入したバッグやジュエリーなどを自慢した後、妹達にねだられていたらしい土産を渡す。


「これこれ!欲しかったやつ!!」


三女が、欲しがっていたらしいバッグを手に手放しで喜んだ後、ため息をついて言う。


「お姉ちゃんみたいに条件いい旦那、見つかりそうもないよー。」


長らくお付き合いしていた彼とはいつの間に別れていたらしく、絶賛恋人募集中らしい。


「こないだの、婚活パーティーは最悪だった。女の子は皆綺麗揃いなんだけどさ。マジ、男が最悪。」


「えー、今回のテーマは?」


「えっとね、週末釣りを楽しむ会。なんか、マニアックな話ばっかでよく分からないし、そもそも私、魚とか素手で触れないし、駄目だったわ。」


ここのところ、週末には婚活パーティーに通い詰めているらしい彼女。1回参加につきいくらか支払い、目についたテーマの会に顔を出しているらしい。


「あんた、もうちょっと的絞りなさいよ。」


「だって、元彼、仕事仕事だったし。それが原因で別れたから、今度は趣味とか自分の時間を持っている人がいいなって。」


「もう若くないんだから。割り切った方がいいよ。」


姉達がしきりにアドバイスをする中、ワインボトルは1本あっという間に空いた。私は、薄笑いを浮かべて彼女らの話に耳を傾ける。居心地が悪い。いつものことだけれど、針の進まない時計ばかりを眺めてしまう。


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三女も、今年42になった。仕事は順調らしいが、理想ばかり追い求めているうちに年ばかり取ってしまったのだ。
会話の殆どは、三女の婚活についてー。子供達は子供達用のテーブルで和気あいあいとご馳走を食べている。夫を含む男連中は、ビール缶片手に庭先で焼いた肉を突っついていた。


「OOちゃんは、別に無理して結婚することないわよ。この家にずっといていいんだからね。」


義母が、三女をフォローする。しかし、私はそれを聞いて悶々とする。この家の長男は、夫だ。この家にこのまま三女が居座ることになれば、一体私達の行く末はどうなるのか?賃貸暮らしも10年以上経ち、しかし夫は家を購入する気配も見せない。 いずれー、義両親と同居するのだろうと、ぼんやりだが覚悟を決めている私にとって、三女がどこかに嫁ぐ嫁がないは大問題だ。彼女と私は真逆ー水と油。そんな小姑と顔を突き合わせ、晩年過ごすことなど想像だに出来ない。


「え、この家、私が貰っていいの?」


三女がストレートに義母に尋ねた。ちらっと私に視線を向けながら。微妙な空気が、三女と私以外気付かないところで流れた。
義母は、曖昧な笑みを浮かべながら、多少は私に気遣ってか話題を変えた。


「あ、お酒が無くなってるわよ。次はどうする?」


長女に聞く。長女がハワイ土産に買って来たワインを出すことになったようだ。
全く酔えない私は、先のことを思うと、ますます醒めて行くのだった。


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夫に選ばれた理由

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お盆休みは、義実家へ。
気が進まないけれど、嫁としての義務だ。
義姉達は、好き勝手なことを言いながら酒を飲む。それを、愛想笑いを浮かべて聞き続けることは、正直荷が重い。

雨降りからスタートの休み。本当なら、子と二人でプールに行く約束をしていたらしいけれど、それが無くなりほっとする夫。
基本、自分の好きなことに対しての時間は惜しみなく使うけれど、そうでないことに対しては面倒を隠せないのだ。
なので、その日は家族だけで過ごす予定ー、本来なら、夫と子はプールで私は家で昼ご飯の準備ーだったのが、急遽、義実家訪問の流れになったのだ。
元々、夫が盆休み期間中に訪問する予定日はそのまま流れることはないらしく、なので、余分にもう一日増えただけ。何となく損したような気になってしまう。
しかし、子は姪っ子らと会えるのを楽しみにしている。兄弟が無く、友達と夏を過ごすことも無い子にとって、従姉妹と遊べる夏休みは貴重だ。それを思えば、我慢も出来る。
その日は、義実家に来ていたのは次女家族だけだった。長女は沖縄旅行らしく、三女は仕事。人数が少ないことにほっとしつつ、しかし夫と次女の仲の良さを思うとやはり居心地は悪かった。 甥っ子ー次女の一人息子は、どうやら期待の星らしい。スポーツも万能、それに地頭も良いらしく、親に言われなくても、図鑑や地図を一日中眺めていると言う。まだ、幼いのにだ。


「あと10年もしたらあの子に彼女が出来ると思うと、なんか鬱だわ。」


今から、毒親的発言をしている。




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それから、彼女の中の理想を語り始めた。それは、まるで「私」と正反対のタイプの女性だった。


「明るい子がいいな。裏表の無い、はっきりした性格。ギャルでもこの際いいわ。とにかく陰気なのは嫌。それと、自立した子。男に依存っての今の時代ちょっとね・・素直で愛嬌があれば何とかうまくやれる気がする。」


「嫁になると、また別だけどね。勿論、素直で明るいってのは当たり前の条件で、それに気が利くこととこっちから言わなくてもちょこちょこ孫を見せに来てくれるような子がいいな。」


彼女は息子の理想の彼女、嫁像を並べているだけなのに、私の回りの空気はどんどん薄くなって行くようだった。遠回しに、駄目出しをされている気分だった。


「あんたは、何でOOさんが良かったの?」


突然、次女が夫に尋ねた。話の流れからその質問をするなんて・・
ますます居心地が悪くなり、夫がそれに答える前に席を立ち、トイレへ逃げた。トイレで用を足している振りをしていると、義姉のけたたましい笑い声と、それに何かを言い返す夫のくぐもった声、そして、いつの間に話の輪に入ったのか、それまでキッチンで料理をしていた義母の笑い声まで聞こえて来た。
一体、夫は何と答えたのだろう?怖いけれど、聞きたい気持ちがある。しかし、あの笑い声は、どこか私を笑いものにしているーそんな色を感じるものだった。
その後も、夫の答えを気にしつつ、悶々としながら時が過ぎるのを待った。すっかり酔っぱらった夫を連れて、電車での帰り道。真っ赤な顔をしうたた寝で座席に腰を下ろしている夫に、心の中で尋ねる。


ー何故、あなたは私を選んだのですか?


当たり前だが、それに対しての返答は無かった。





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偽セレブ母

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実家へ行って来た。
久々ということもあり、また実母なりに思う部分があったのかもしれないけれど、子の為にご馳走ー寿司や鰻、スイーツが用意してあり、またプレゼントも。
子は、例年まともに鰻を食べたことがなく、あったとしてもちくわのかば焼き。


「鰻って美味しい!!」


実母の用意したそれを、一気にぺろりと平らげた。


「OOは、鰻をあんまり食べないの?」


「うん、初めて。」


「え?ママ、買ってくれないの?」


途端に空気が悪くなる。そして、私に向かって、


「子供のうちからちゃんとしたものを与えないと駄目よ。もう10歳になるっていうのに鰻も知らないなんて、驚いた。ケチケチして、貧乏臭い。」


「違うって、OOは鰻あんまり好きじゃなかったし、うちの人も嫌いなのよ。」


どうでもいい嘘。夫はやれ接待やランチで、この時期何千円もする高価なうな重を食べている。私は限られた予算ーと、実際スーパーなどで2000円前後のそれを見ると、どうしても買い物かごに入れる勇気が出ない。


「私はね、もう何か月前から注文してるわよ。この鰻だって、そこら辺のスーパーのもんじゃないからね。老舗の鰻だから安くは無いわ。でも、中国産とかありえないし、国産でも安い鰻はやっぱり美味しくないわよ。」


セレブ気取りの発言にげんなりする。本当に金があってそれなら納得出来るけれど、娘の微々たる仕送りもアテにしている分際でよくもそんな大きな口が叩けるものかと、我が母ながら情けない思いだ。


「この出前のお寿司も、回るお店のものじゃないからね。」




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暗に、金を掛けてることをアピールされ、箸をつける気が失せる。恩着せがましく言われれば言われる程、早々にこの場から引き上げたい気持ちになる。
しかし、子は美味しいを連発し、確かに我が家で食べる普通の食事の時よりも食べっぷりは良く、子供でもやはり旨いものは分かるのだ。そして、子の母としては、こんな時くらい高価なものを食べさせてやりたいと思う。
義両親宅に行けば、またそれなりに旨いものは食べられるけれど、従姉妹がわんさかいる中で子は、食べることよりも遊ぶことを優先しがちだ。なので、従姉妹がない実家の方が、食事に専念出来るのだった。


「ふー!お腹一杯!」


「アイスもあるのよ。31のアイスケーキ。」


これでもかというくらい贅沢な食事。しかし、ここで掛かったであろう費用を頭の中で算段する。1万は置いていかないとー多く持って来て良かったと胸を撫で下ろす。
手土産よりも、現金の方が喜ばれる。それを、親が年老いた最近ではより実感する。


帰り際、さり気無くポチ袋を差し出す。


「あら。いいのよ!」


そう言いながらも、もうひと押しすれば素直にそれを受け取ることを私は知っている。


「悪いわね。」


娘としての義務を果たしたー、夏休み前半に、やらなければならないことリストの一つを片付け、何となく肩の荷が降りた。




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様子伺い

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実母と必要以外は連絡を取らなくなり、肩の荷が降りた。それでも、夏休みに入れば、僅かながらのプレッシャーだ。孫を見せに行かねばーと。
子も、キャンプ以外は特に予定が無く、しかし、クラスメイトやご近所がどこかに行くという噂を小耳に挟む。


「OOさん、明日から北海道に行くんだって。ばあばに会いに。」


終業式の日、早速私に報告して来た。
程よい距離というのは、案外思い切って遠方なのかもしれない。年に1~2回程度、飛行機代も掛かるし休みも取れないから仕方が無いー双方が諦めのつく頻度。
近ければ、顔を見せない薄情な娘に成り下がる。また、ここぞという時に手伝いに来てくれない冷酷な母にも思う。互いに、息が詰まる距離感。


「うちは、いつ行くの?」


子にとっては、優しいじいじとばあば。他と比べようも無いし、夫の実家では孫が何人もいるうちの一人。私の実家では、唯一の孫。それを子は分かっているのだ。
実母は、子にというよりも、夫や夫の両親に対抗するかのように、子にあれこれプレゼントする。私の仕送りを使ってだが、そんなことつゆ知らずの子にとっては、何でも買ってくれる甘いばあばなのだ。 のらりくらり交わしていたら、


「もしもし、ばあば?」


子が、勝手に電話をしていて腰を抜かした。叱る前に、子が受話器を私に手渡して来た。気が重いけれど、仕方なくそれを手にした。


「あぁ、もしもし?元気!?」


まるで、何事も無かったかのような、妙に溌剌としたテンションに、こちらは戸惑う。もう、以前のことは「無かったこと」に彼女の中ではなっている。私にとっては、一生消えない傷だというのに・・ 親子だから、娘をサンドバックにすることは許されると思っているのだろうか。


「まあ。お父さんは?」


取り敢えず、体調が安定していない父の様子を探る。寝たり起きたりの繰り返し。聞いた私が馬鹿だけれど、それからは愚痴のオンパレードだ。
どれくらいぶりに、共に暮らす家族以外の人間と話していないのだろう?娘ーとはいっても、母にとっては外の人間だ。出だしは、少々早口で上滑りだった口調も、慣れて来るに従って流暢になる。 そして、流れで会いに行くことになってしまった。勿論、夫のいない平日に。




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