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タイムカプセルの行方

同窓会があったことを伝えるラインが入った。かおりからだ。
結局、私は気乗りもしないので参加しなかった。あの輪の中で馴れ合いになっていく自分をまったく想像出来なかったから。
何十年も経てば、あの頃とは状況も違うし、皆大人になっているしーそう思ったけれど、実際はそうでもなかった。
根本的なところは変わっていないし、ああいう会に参加する人達は、「現状に満足」しているのだ。「今」を聞かれて、堂々と答えられるだけの肩書を持っていたり、そうでなければ物事を深く考えることの出来ない、能天気なお気楽人間なのだ。
私が前回参加したのは、夫が勝手に「〇」を付けたから。意地悪な夫は、私が困窮する姿を見ることに快感を得ている。家庭内でさえ、圧倒的に自分より下の人間を見ることで、彼なりに心の安定をはかれるのだろう。




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かおりから写真が送られて来た。だが、どれも心に響かなかった。初恋の人がいる訳でもなければ、親友がいる訳でもない。
私が参加したところで場が白けるだけだ。会費をがっぽり取られ、愛想笑いをし、マウントされ続ける。ただそれだけのことなのだ。
ただ、ひとつだけ気になることがあった。タイムカプセルだ。確か、あの代の時、学校で周年行事の一環で校庭にタイムカプセルを埋めた記憶がある。
大人になったっ自分への手紙ー、それともう一つ食べ物以外の宝物。その宝物が何だったのか思い出せない。思い出せないことが引っ掛かる。
喉の奥に魚の小骨が引っ掛かったような、そんな感覚をおぼえた。




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あの頃

青春時代に戻りたくなったら
その頃に出会った人と会えばいい
その頃、よく行ってた場所に行けばいい

しばし

今を忘れて懐かしんで
思う存分後ろを振り返ろう

また、前を向いて歩く為のエネルギーに変わるのなら






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同じ制服だっただけ

旧友とのランチは、不完全燃焼。
私は何時間でも大丈夫だったのだけれど、彼女の方は仕事の合間だったことで、限られた時間内での会食だった。
店は、彼女指定。キャリア女子と専業主婦とでは、金銭感覚も違う。一応、多めに用意していたのが正解だった。
都内の一角にある、お洒落なバルの店。ランチメニューも豊富。てっきり昼からワインでもと思って楽しみにしていたけれど、


ーあぁ、仕事か。


と、思い直した。
水で乾杯。飲んでもいいよと言われたけれど、


「子どもの習い事送迎もあるし。」


あたかも運転するかのように、見栄を張った。送迎というのは本当。共に、ピアノ講師宅まで自転車でついて行っている。自転車だって、立派な二輪だ。
最初、旧友に気付かなかった。見たことのない髪型だったからだ。ベリーショートといっていいのだろうか、元々目鼻立ちがはっきりしている彼女に良く似合っていた。
大振りの揺れるゴールドのピアスがキラキラ耳元で揺れていた。
食事が来るまでの間、近況報告をーと思っていたが、先手を打たれた。
即、目の前に出されたパンフ。布教活動の始まりだ。


「ごめんね!取り敢えずこれ。お子さん、まだ小学生だったっけ?でも高校になるまであっという間だよね。これ見て。高校の授業料無償化と大学では返済無しの奨学金の構築を公約に挙げているの。」


パンフに目をやると、だが条件付きだ。世帯収入さえ知らされていない私には、我が家がこれに該当するのかどうかさえ分からない。恐らく、夫の金遣いからいったら、該当しないだろうと思う。
上の空で、彼女の声だけが右から左に流されていく。
そして、他党の政策を非難し始める。彼女の声はどんどん大きくなってきて、隣のテーブルの女性が眉を潜める。なんだか恥ずかしくなる。


「分かった、読んでおくね。」


そう言って、パンフを受け取り、バッグに仕舞う。私は、こんな話をしにここに来た訳じゃない。




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「娘も、最近反抗期で。会話も弾まないしねー」


「あ、ごめん!」


彼女のスマホが鳴り響き、私の会話は宙に途切れた。電話の最中に食事が運ばれ、先に食べててというジェスチャーを残して彼女は外に出てしまった。
運ばれて来たサラダやパエリア、ステーキなどを皿に取り分ける。ぞんざいな扱いに腹が立ち、彼女を待たずしてサラダや肉を口に放り込む。美味しいはずの料理の味は、なんだか半減された気分。
旧友が席を立ったのは20分程度だったが、物凄く長く感じた。まるで一人で店に食事をしに来たようだ。いや、最初から一人で来た方が純粋に食事を楽しめたに違いない。
彼女が席に戻ってからは、なんだか話す気力も失せてしまった。彼女の方から聞かれて答える当たりさわりのない近況と、彼女自身の仕事の動向。正直、まるで興味の持てない内容だった。 それは、お互い様だろう。

私達は、長らく違う時間を生きている。遠い昔、同じ制服を着て同じ学校に通っていたという共通点。ただそれだけなのだ。
たまに会ったところで、気持ちが交差することはないのかもしれない。
都合のいい自分を作って、都合のいい理想を言い合うだけのー、それが、私達の関係性なのかもしれない。




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ドタキャンキャンセル

票集めの道具にすぎないーそう思いつつ、旧友とランチの約束を取り付けた。
当日の朝は、子と夫を送り出すと、バタバタと家事を済ませる。服やアクセサリーを選び、髪をセット。
いつもの10倍以上の速度でこなし、さあ出ようと思った時に、携帯メール。


ーごめん!ちょっと仕事が入ってしまって。また今度でも大丈夫?


目にした瞬間、へなへなと床に座り込んでしまった。いつも以上に念入りにメイクをした。服も、旧友からしたら野暮ったいだろうけれど、私の中ではいっとうのお気に入りだ。
ドタキャンにこうもショックを受けるとは、私の中で、余程楽しみな予定だったのだと改めて知る。

朝食も、昼にがっつり食べるのだからと抜きにしたのだ。こんな時に限って、余分に余ってもいない。急にぽっかり空いた時間、腹はすく。
冷凍庫に、いつのものだか分からない、冷凍の焼きおにぎりが一つだけ残っていた。それを温めがっついたら、口の中を火傷しかけた。


「あっつ!」




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ゴロゴロしていたら、30分程そのまま眠ってしまったらしい。電話の音で目が覚めた。


「ごめんごめん!仕事が思ったより早く終わって。ランチ出来そうなんだけどどう?」


快活な声。しょんぼりとしていた気持ちが再び盛り上がる。


「うんうん!大丈夫!じゃあ私も今から向かうね!」


二つ返事で外に出た。ウキウキしている私。若干、振り回されている感じもあるけれど、それでも楽しみの方が上回っていたのだ。




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1票という武器

この時期、恒例ともなっている名前からの着信。
選挙前になると、必ずといってもよいほど、掛かってくる電話。
メールでもなければ、ラインでもない。直電話だ。

私も、気分の上がり下がりがあるので、人恋しかったり、何となく暇だったり、また誰かに悩みを聞いて欲しい時にはつい受話器を取るのだ。
今回は、最後の理由で。


「もしもし!久しぶり!」


相変わらず、快活な声。
こちらが隙を与えれば、すぐに選挙の話へ向かう。彼女にとって、旧友とは票集めの道具に過ぎない。


「久しぶりだね、元気?」


彼女と電話をするのは、本当に久々だった。
用事があって手が離せない時に限って掛かって来るその電話は、私の近況を知りたいわけでもない、ただ1票でも獲得したいという彼女の熱意から来るもの。
それでもつい手に取ったのは、かおりとのラインが後味の悪いものだったことと、最近の子ども絡みで生じる母親達との見えない壁のモヤモヤを晴らす場所が欲しかったからだ。
彼女は、私の近況を聞いて来てくれた。貿易会社でバリバリ働く彼女にとって、詰まらない主婦の日常など興味も湧かないだろうけれど、それも全て政党の為なのだ。
私は、思う存分愚痴を吐いた。


「もう、子ども会の副会長やらPTAやらで大変で!毎日のように学校行ったり、今だと夏祭りの準備で、地域住民とのすり合わせで大変なの。息抜きしたくって!」


「へえ!OO、すごいね!PTAも、大変なところは大変ってよく聞くし。」


「そうなの!まるで、普通に仕事している感覚だよ。給料は出ないけどね。」


「それって、キツイね~私には、無理だわ。」




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彼女は、今も独身だ。なので、結婚と出産育児は未知の世界。私が大変なのだと主張すれば、すんなりそれを受け入れる。
だが実際、彼女がもし母親ならー学校の会長でもなんでも屁の河童だろう。 むしろ、進んで地域行事に参加するだろうし、そのコミュニティを広げる術を心得ている。


「ねえ、ランチとかしない?久しぶりに。」


彼女の方から、誘いが入った。


「平日でも全然大丈夫。部署が移動になったから、割と自由が利くの。なんだかんだ用事付けて、NR出来るから~」


「うん!会いたい!」


咄嗟にOKしてしまったが、受話器を置いた後、微妙な気持ちになった。
どうせまたー最終的には、彼女が支持する政党のパンフを渡され、子育て支援がなんたらかんたら説明されて、「清き1票よろしくね!」の流れだろう。
そうなることが分かっているのに、見えない1票を武器に、彼女を息抜きの道具にする私も、同じ穴の狢だ。




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