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運動会

運動会、 無事に終わりホッとしているところ。

年長にとっては晴れ舞台、様々な競技が目白押しだ。
その中でも、秋の全国ダンスコンクールに向けてのリハーサルのようなものがプログラムに組まれており、子はセンター横で踊ることになっているのもあり楽しみにしていた。
購入したばかりの一眼レフを片手に、家族で賑わうグラウンドへ向かう。
昼は一旦自宅に戻ることにしたので、レジャーシートの場所取りをする必要もなくなり気楽だった。
私しか子の競技を見てやることが出来ないことが不憫で、いつも以上に凝ったキャラ弁を作ってみたら子は朝からテンションが高く喜んでくれた。

子を応援席に送ると、1人きりになったが思ったより寂しくはなかった。
結局皆子の演目に集中したいようで、早々に前列にレジャーシートを敷き、背中を向けている。
スネオママがボスママ達ファミリーと高笑いしているのが見えた。
セレブのような大きなサングラスが顔の殆どを覆っているのにも関わらず、その立ち振る舞いからすぐにスネオママだと分かる。
運動会だというのに何故かヒールのある靴を履き、胸にはコットンパールネックレス。まるで街にお出掛けでもするような格好だった。

また、祖父母と共にしている人々が多いこともあり、気が紛れた。
父親は1人が多いのか、母親が群れている所から少し離れて子の様子を見ていることが多く、それもありいつもよりも孤独感はなかった。


子が一生懸命練習していたダンス、想像以上に感動した。
先生はただ、側でじっと見ているだけ。手出しも声掛けもしない中でアクロバティックな踊りをする。
途中、チアリーダーのようなピラミッドからジャンプをするような危険な箇所があるのだが、それも難なくやり遂げた。
拍手喝采ー
真剣な子の表情は、家でいつも甘えているあの表情とは全く違う、ピリっとした緊張感のあるもの。
子の成長を改めて感じ、胸がいっぱいになった。
さなちゃんがバク転をしたところで歓声が沸く。
フィニッシュも完璧に決まった。


「カメラ、買ったのー?」


ふいに後ろから話し掛けられ驚いて振り向くと、アルバム委員のふわふわママがいた。
以前ランチ会で話して以来あまり会話していなかったので、緊張してどもってしまった。




「あ、ああ、こんにちは。あの、今年は最後だし、お、思い切って買ってしまいました。」

「同じ機種じゃない?使いやすいよね。女子にも軽くてコンパクトだしー。」

「は、はい。で、でも、まだうまく使いこなしぇなくて。」



ぷっとふわふわママが吹き出した。



「こなしぇない・・って。あはは!」

「あ、あ、変ですね。赤ちゃんみたい。」



緊張のあまり、どもりまくってうまく発語も出来ない始末。顔中真っ赤になりながらも彼女の顔を見たら、それは決して馬鹿にしているわけではない本当に面白がっている表情だった。



「OOさん、面白いねー。今日は1人?」

「え、ああ、はい。」


「実は私も1人なんだよね。旦那が仕事で。じいじやばあばも面倒で誘わなかったー。あのさ、良かったらOOさんもアルバム用の写真一緒に撮るの協力してくれない?」


「あ、はい。でもこれ今日おろし立てで、腕も悪いしちゃんと写るかどうか・・頑張ってみますが使えなかったらすみません。」


「そんな真面目にしなくていいって。OOさんって本当に真面目だね。適当でいいからー高田純次ばりでー。」

「分かりました。」



高田純次ばりというのがいまいちどの程度なのか分からなかったが、それを鵜呑みにしたらまともな写真など一枚も撮れないだろう。

それからは、彼女に指示される場所にポイントを置いてはシャッターを切り、丁度彼女が撮るアングルとは対角線になるような形で移動しながら、子供達や先生の様子を撮った。
勿論子の姿も撮り忘れないようにしながら。


昼休みになり、彼女は弁当を持って来ているようで一緒に食べるか聞かれたが、私は元々自宅に戻る予定だったのと気疲れもあり遠慮した。
社交辞令でも一応誘ってくれる彼女の人柄の良さが気持ち良く好感が持てた。
彼女はにっこり笑うと手を振り、また午後の部よろしくーと言いながらいつものふわふわママの群れに帰って行った。
その群れは、いつものメンバーに混じって父親や小学生の兄弟などたくさん混在しているようだったけれど、臆することなく混じることが出来るふわふわ加減が羨ましく、でも自分には決して真似出来る行為ではないなと思った。

私は弁当を食べる子に一声掛けてから、自宅に戻り、ふーっと一息入れた。
弁当の余ったおかずとおにぎりに麦茶、土曜正午過ぎの恒例バラエティ番組を観ながらのんびり休憩。
やはり落ち着くこの空間。


そして午後、またふわふわママの指令通り動き、たくさんの写真を撮った。
目玉プログラムのクラス対抗リレーでは、子が転ばないかとヒヤヒヤしたがうまく乗り切った。ボスママの子、N君が途中バトンを落としたことで1位を逃し、スネオママがボスママを大袈裟に慰める声が聞こえた。
ボスママは、しきりに他の群れのママ達に頭を下げて謝罪しているようだったが、なぜ謝る必要があるのかさっぱり理解出来なかった。子供達は頑張ったのだ。たとえバトンを落としても、全力を尽くしたのだから失敗したとして謝罪するのはなんだか子供が可哀想に思えた。



結局500枚以上の写真が撮れた。
正直、子の演目をじっくり観ることが出来ない部分もあったけれど、それでも嫌な気分ではなかった。
誰かに頼まれることー、必要とされることー
子にとって、自分の為にただ動いてくれるお母さんは嬉しいものかもしれないけれど、誰かの為に動くお母さんはまた違った意味で嬉しいものなのかもしれない。
その証拠に、カメラを持って動いていると、


「OOちゃんママはカメラ係りさんなの?」


とYちゃん達に聞かれ、


「今日だけ頼まれてね。」


そう応えると、子が嬉しそうに、


「ママー、頑張ってね!!OOのママ、カメラ係りさんなんだー、すごいでしょう。」


と言いながら、得意気な顔で周囲の子と一緒に応援席からピースサインで私のカメラに向かって笑顔になった。
側にいた先生もその輪に入り、ピースをするととても素敵な写真が撮れた。


クラス写真はいつでも、写真屋から購入するばかり。
業者が撮るものだからなのか、どこか無理やり整列させられ笑顔を作った子供達を撮ったようなものばかりだったけれど、こうして撮った皆の写真はとても自然体で可愛らしく、味のあるものだった。


シャッターを切り、ファインダーから顔を離すと、その視線の先にいたふわふわママと目が合った。
あれ程緊張してこわばっていた顔がその頃には和らいで、自然と彼女に向かって笑みがこぼれていた。



断捨離と服について

ここ最近、断捨離にはまっている。
元々我が家は物が少ないのだけれど、子がいるとそれなりに物が増えていたようだ。
いつかの為にーそう思い取っておいたベビー服、セレモニー服や思い出の物以外は思い切って捨てた。
夫の服はクローゼットにこれでもかというほど溢れており、しかし私はそれを管理することが出来ない。
こだわりのある夫で、下着や靴下も自分で購入したものしか着用しない。
新婚の頃、気を利かせたつもりで肌着やトランクスを数枚買って来たのだが、「CK(カルバンクライン)以外はありえない」とのことだった。スーパーで安売り3枚セットの下着は肌がチクチクしてアレルギーが出ると言っていた。
夫のトランクス1枚で、私のパンツはきっと5枚は買えるだろうと思う。
なので、夫の私物は断捨離することは出来ず、結局私と子の私物のみの断捨離だ。
それでも、午前中かかってごみ袋2つ分になったのだから、だいぶすっきりとした。

先日通販で購入したニット、気に入っている。
宅配で届き、それをきっかけに衣替えーそして断捨離という流れになったのだった。


断捨離後の秋服は、本当に必要なものばかりだ。しかし十分着まわし可能。


■グレーのパーカー

■デニムシャツ

■ボーダーのカットソー

■無地のドルマンカットソーブラック

■ネイビーとホワイトのドット柄シフォンチュニック

■ブラックとホワイトのギンガムチェックワンピース

■無地のドルマンニットワイン(titivateで購入)

■ブラックウォッチのシャツ

■ジーンズ

■レギパン2本(ブラック&グレー)



文字にすると、実際目で見るとガラガラに思うクローゼットでも十分足りているように思う。
シンプルで飽きの来ない、そして安っぽくない服を探すのは結構大変。
定番で長持ちしそうなもの、そして人の印象にあまり残らないデザインのものの方が着まわしが効くしなんとなくお洒落に見える。





園では皆、毎日がファッションショーのように素敵な服に身を包み、一度着たらもう着ないのか?と思うくらい毎日違う服装の人もいるけれど、私は定番を大事に、そして愛着を持って着ていきたいと思う。



そう思いながらも、結局また通販で服を1枚買ってしまった。
先日届いたワインのセーターが素敵で、コスパも十分高くお得な買い物に思えたので、更にランキングに入っているダブルポケットワンピースを購入。1000円代で買えてお得。
今回は会員登録した際についてくるポイント300円分を使い1600円で買えたので嬉しい。
ものすごい勢いでカラーの売り切れが続出しており、来月まで待とうかと思ったのだが欲望に負けてしまった。
本当はネイビーグリーンを狙っていたのだけれど、ぼやぼやしているうちに売り切れてしまって残念。
でも、2番目に欲しかった定番色のモカが買えて安心した。











お届けは10月中旬からだけれど今から楽しみ。
このtitivateというサイトの商品はプチプラだけれど、なんとなく高級感がある。
デザインも、ちょっとした所にポイントがあり素敵だし、生地もしっかりしていて安心感もある。
シンプルな服を選べば安っぽく見えない、自分ではそう思っている。
購入してから、自分が既に手に入れた商品が売り切れていると嬉しくなる。
さっきから自分が買った「モカ」が×印のSOLDOUTにならないかと、今か今かと待ち焦がれている。















秋雨とポップコーン

朝から雨。
午後、子と一緒に図書館へ行こうと思っていたがこの天気では無理。
しかし雨は嬉しい。子には悪いが送迎もさっと済ませられてスムーズだった。
昼は袋ラーメンに、もやしとキャベツ、少しの豚肉と焼き海苔を添えて食した。
肌寒いので、体も温まり美味しかった。

今は子に、以前ポストに届きそのままだった子供チャ〇ンジのお試しワークブックをやらせている。
私も子も楽しみにしているもの。
お試しなので、数ページしか楽しめないけれどいい時間つぶしにはなる。
子にやらせてる間、しばしブログ更新。


明日も雨、何をしようか。
今日は、送迎のついでにちょっとした買い物をした。
行きに、バス停でサカイさん親子とバス待ちの親子が賑わっており、挨拶をしそびれたが1時間ちょっと経ちまた戻ると、子供達はバスに乗って園に行ったようだが、母親連中は傘をさしながらまだ群れていた。
目の前を通らなければならないので、一応声を出して挨拶と会釈をしたが、サカイさんもその他の人達も私に気がつくわけでもなく盛り上がっており、なんだか気後れした。


こんな時、また孤独を感じる。
自分が空気になったような感じ。
勿論、園でもそうなのだから特段落ち込む必要もないのかもしれないけれど、気持ちが少し上向きになった途端にささいなこういう出来事に合うと、途端に気分が暗くなるのだ。


気を取り直し、ワークブックが終わったら子と一緒に工作でもしよう。
ネットで調べると、ストローで作る竹とんぼが楽しそうだ。
部屋の中で飛ばしあいっこをしても楽しいかもしれない。
おやつは業務スーパーで買ったポップコーンの種をフライパンで炒って食べよう。
塩味やカレー味など好きな味付けを何種類かにして。
ポップコーンの種は、とても安くて満足感のあるおやつが出来て重宝している。
1袋数十円なのに、3~4回フライパンで作れるうえにお皿いっぱいのポップコーンが出来上がる。
しかも出来立ては熱々で、買って来たものよりも数倍美味しい。
フライパンに蓋をしてから少しすると、パチパチ弾ける音が聞こえる。それを聞くとなんだか元気になる。
子もワクワクするようだ。


負のループに巻き込まれないように、まずは体を動かそう。
そうすることによって、心は後からついていく。







図書館と暮らしの手帖

いよいよ月末になり、財布もすっからかん。
今月からランドセル貯金を始めたので、子と遊ぶ為の金(マックやアイカツなど)も控えている。
運動会目前ということから園では前準備があるようで、明日から午前保育が続くので午後を持て余すだろう。
今日の午前中は家事を早々に済ませ、ネットで調べて以前から気になっていた隣区の図書館に保育中出掛けてみた。

さすがに図書館ー、群れる人種はいない。なんて落ち着くのだろう。
勿論近所に図書館はあるのだけれど、園の近くということと小さな子供中心という雰囲気の図書館なので、なんとなくガヤガヤしていて落ち着かなかったのだ。
しかし、この図書館はとても綺麗で全館硝子張りで風通しもよく日当たりも最高ー、ものすごく開放的なのだった。
近所の図書館にはなかった、DVD観賞が出来る個人ブースやパソコンルーム、そして外の空気を浴びながらカフェが併設されているテラス席など、さすが都内に出来たばかりの図書館。
最近はめっきり涼しくなって、プールに行くのも億劫だったので、気分が滅入る時にここを活用しようと思い、そんな場所を開拓出来たことが嬉しくなった。


私のお目当ては勿論、婦人雑誌コーナー。
最新号がタダで読める。好きな雑誌を持ってテラス席へ行く。自宅から持って来た熱々のコーヒーが入ったマグを片手に。
パラパラと秋風が頁を繰る。
穏やかで、園の事や子の事、実家の事や夫の事ー、自宅にこもっているとついつい考えてしまう悩める出来事が、風と共に去って行く。


周囲を見渡すと、老人や学生、私のような主婦やすっかりベビーカーで眠っている赤ちゃんを押しながら1人歩く母親、1人でいることを恐れない自信に満ち溢れたように見える個々が、目的の一冊を片手にそれぞれの落ち着ける場所を探す。


ー孤独なんかじゃないー

個々の中の1人きりはなんて落ち着くのだろう。
心地よく、解き放たれた気分。


普段、値段が高くて手が出ない「暮らしの手帖」をめくる時間は最高のひとときだった。
編集長の松浦弥太郎さんが好きだ。新聞に彼のコラムが毎週掲載されているのだが、いつも楽しみにしている。
彼は、日々繰り返される日常の中から素敵な事を発掘する天才だ。ささやかでくすっと笑えることやほっこりすること。時に、背筋がしゃんとするようなことや前向きにさせられること。
当たり前のようで出来ていなかったことを思い出したり、また見落としがちな幸福の足跡を辿る機会を与えられる。



今週の午前保育はお迎え後に子とここに来よう。
おにぎりを握って、水筒に暖かい麦茶を入れて。
一緒にDVDブースで何かを見てもよいかもしれない。
それぞれ好きな本を持って、テラス席で好きな飲み物を飲みながら読書をするのもきっと楽しい。
片道自転車で1時間弱掛かるけれど、サイクリングには気持ちの良い時期だ。


この空間にいる時だけは、週末の運動会のあれこれを思い悩む自分から離れられたのだ。
明るい母でいる為にも、子に寂しい思いをさせない為にも。
少しでも、自分が心地よい空間を見つけて行くことが大切で、そしてそれは自分から行動していかないと見つからないものなのだ。







******


以前の記事にいくつかコメントありがとうございました。
現在コメント欄を閉めているので、基本お返事が出来ない状態です。我侭をお許し下さい。
私と同じく日々をもがいてらっしゃる方々ー一緒に頑張りましょう。
私は決して素晴らしい母ではありません。
自分の勝手で子の付き合いを狭めてしまっているし、後ろ向きな時には子にDVDをずっと観せたりゲームをさせっぱなしで隣の部屋で寝たきりで1時間なんてこともしょっちゅうです。
ブログを書ける時は少なからず「力」がある時ですが、そうでない時は本当に母として最低です。
家事も夫が帰宅するまでにしていれば良いと思い、夕方まで掃除も食器洗いも出来ていないこともあります。
私のように駄目な母も存在するけれど、このままではいけないと思っている。
それをこうしてブログに書くことで、同じように悩んでいる方々と共に少しずつでも理想の自分へと変化していければとの思いで綴っています。


いつも読んで下さる方々に感謝です。












もやつく気持ち

夫が仕事中のこの週末、母がパソコンの調子が悪いとずっと電話でぐちっていたので、様子見がてら遊びに行った。
夏休み以来だけれど、ついこの間も来たような気がする実家にはまた物が増えていた。

生活に困っているという両親に、毎月少ないながらも送金している。
ちなみに先月はあまり稼げなかったので5000円だ。それでも私の少ない小遣い稼ぎの半分の額。
それを使って購入したのかは分からないけれど、母はまた新しい服を着ており、更に新たな健康グッズも増えていた。
母は昔から浪費家で見栄っ張りなところがあり、お金がないのに身の回りのものに金を掛ける。娘とただ会うだけでも、毎回のように新しい服やバッグ、また小物で身を包み、挙句私に向かって、


「あんたも随分所帯じみたわね、女はね、お洒落を忘れたらだめよー本当老けたわ。」

そう言いながら、手鏡を眺め化粧直しをしている風なのだ。



母が還暦を過ぎても、お洒落を忘れず小奇麗にいるのは悪いことだとは思っていない。普段人とあまり会わないからこそ、身なりを整えてしゃきっと日々を送る心がけだってボケ防止には大事なことだ。
でも、分相応というものがあるのではないかと思う。
娘があくせくしながら捻出した費用ー、それを娯楽の為に使うのもいいけれど将来は考えているのだろうか。
私の中で、実家への送金は「食費など足りない生活費を補う為、また障害のある弟の為の貯金」である。
姉として、弟の世話を今は直接出来ないからこそ、だからこそお金という形で将来の為に親ならば蓄えておいて欲しいのに。


「そうそう、これこの間テレビで観て美味しそうだったから取り寄せてみたのよ。食べてみなさい。」


食費が父と弟と母の3人で10万は越えると以前聞いたことを思い出し、こういう嗜好品に使っているのだなと思いもやもやとした気持ちが湧いた。
その取り寄せたという有名店のワッフルは、確かに美味しかったけれど1つ300円くらいするのだろう。
義実家のように、金がある家ならいいけれど両親は貯金すらしていないように思える。
年金はかろうじて入っているけれど、それだって微々たるものだ。


「俺のめがね、知らないか?」

父の問いかけに母は、


「あんたボケてきたんじゃないの?もう嫌になっちゃう。」

そう言いながら私に向かって、

「お父さんがボケたら私は知らないからあんたが看てよね。あんたは血の繋がった親子なんだから。私はお父さんとは所詮他人だからね。」

ワッフルを頬張りながら暢気に言うその言葉に、少しの怒りが芽生えた。
子供が老いた両親の面倒を看るのは当たり前のこと、そして私にその心積りはあるのだけれど、それを「当たり前のこと」だといわんばかりにされると何か違うような気がしてしまう私は親不孝ものなのか。


「ばあばのおやつ美味しいね!」

子がそう言いながらにっこりすると、


「あんた、いつもちゃんとOOにおやつあげてる?まさか百均のお菓子なんてあげてないよね。子供なんだから体によくて安全なものじゃないと。百均のお菓子、この間お父さんが買って来たの食べたけど一口で捨てたわよ。まずいったら!あんなもんよく買ってくるわ。年寄りって嫌ね。」


父と母はだいぶ年が離れている。父は戦後生まれでもう70を越えている。その年齢のギャップをよく口にしては自分がいかに若々しいか、この間は外で人に親子だと間違われただとかの武勇伝を語りたがる。
父の老い先も短いー今は虚勢をはっている母だけれど、弟と2人残されたらどうなるのだろうか。

隣の和室に置かれた、真新しい健康枕。
押入れに、ああいった枕がいったい幾つあるのか分からないけれどまた次に目にする時はしれっと違う枕になっているのだろう。
とっかえひっかえ出来るものと出来ないものー、家族というものはそれが唯一出来ないものなのだと実感する。










セルフカット&パーマ

主婦のストレス発散には、買い物と同様に美容室も挙げられるのではないだろうか。
通常は3ヶ月に1回が標準的回数だろうけれど、我が家は私に小遣いもない。
1000円カットを試みたこともあるが、なんだかいつもしっくり来ないのだ。
カットしたてはなんというかズラっぽく、カラーは持込で頼んでいるから安っぽい仕上がり。
なので年に数回1万円越えする美容室に通っている。
しかし主婦だから、それでも贅沢だと思っている。最近はお気に入りだった美容室の担当が変わり、新しい若い男性担当と話すのも億劫だし快適な時間を過ごせず大して満足なヘアスタイルにもならない。
担当が変わればこうも変わるのかという仕上がりーそれなのにしっかり同じ料金は取られるのだ。
美容室を出ると、帰宅途中のスーパーのトイレに行って水をつけながらセットを修正する始末だ。

ライター内職をするようになってからというもの、逆に100円でも稼ぐのは時間と労力を要すると知った。勿論ツイている時は一つの記事で1000円という高単価なものにも巡りあうことが出来るが、それを当たり前に思っていると痛い目に合う。
将来的なことを最近よく考えていて、少しでも自分の口座の貯蓄を増やしたいと思っているし、そのペースをよりいっそう早めたいと思っているのだ。
外でパートでもすればもっとサクサク貯金出来るのだろうけれど、まだ子が幼稚園のうちは夫も反対するのは目に見えているし自分の持病の回復も待ちたいところ。



夫から唯一貰っている美容室代を貯蓄にあてたいーふつふつとそんな欲望が湧いた。
独身時代もお金に困っていた時期があり、セルフカットをしていた経験がある。
私は決して器用ではないけれど、夫はまだ交際中そのセルフカットを不審がるでもなく普通に私が美容室でカットして来たとだまされ続けてくれていた。
1000円カットや高い美容室代を払って気に入らない髪形をするのなら、自分でカットしてしまった方が納得がいく。リスクはあるけれど、金銭的にはノーリスクだ。

ずっと肩につくかどうかのボブとセミロングの間のパーマがかったヘアスタイルなのだが、髪が伸びたと同時にパーマもすっかり取れて来ていた。
急に思い立ったら何かがとりついたように私はドラッグストアでパーマ液を手にしていた。
そしてなんとセルフパーマをかけた。
市販のパーマ液と百均のカーラーを購入した。

自宅に戻ると、パーマ液を髪に馴染ませ、ゴム手袋をした手で不器用ながらもロットに髪を巻いていく。そうして出来たヘアスタイルは、「無造作風ヘア」だ。
というか、「貧乏ヘア」と言ってもいいかもしれない。
美容師免許も持っていないのに、セルフパーマを掛けている人なんて一体どれくらいいるのか。それでもスーパーのヘアケア用品売り場にはちゃんとパーマ液が陳列されているのだ。

なぜセルフカットだけではなくパーマもしようと考えたのかといえば、それはセルフカットの失敗をより目立たなくする為。
タレントのYOUがふわふわウェーブだけれど、あの誰もが憧れる無造作ヘアのカットは自分でハサミを使って定期的に行なっているのだそうだ。
テレビに出ている人間もセルフカットが出来て、尚皆から憧れのヘアスタイルとして賞賛されているのだから、それほどパーマは手入れが簡単なのかと思いしてみたのがきっかけだった。


その頃働いていた職場の同僚達も、セルフパーマとセルフカットをした翌日出社すると大して不思議がらずに、


「あ、髪切った?すっきりしたね。」



と決して褒められるわけでもないが自然に接してくれた。

パーマが終われば続いてはセルフカット。
セルフカットのコツは、パーマでふわふわになっているところをなんとなく自然に見せるようにすいていくこと。スキばさみとカミソリを使う。
表面はカミソリで薄くしボリュームを少し押さえて、内側はスキばさみを使う。
全体のバランスを鏡で見ながらやることがコツだ。


パーマをかければ夫から3000円ほどもらえるので、それも貯金にすることが出来る。
独身の頃に何度も行なっていたこともあり、思ったよりスムーズに作業は進んだ。
そして、鏡の中にはすっきりとしたヘアスタイルに包まれた私がおり、妙な達成感と満足感が湧いた。

私のヘアスタイルにあれこれ言うママ友なんていない。
現に、今週誰からも突っ込まれなかった。(とはいっても家族以外会話をしたのは先生と孤高の人くらいだけれど)夫から金も貰えるし、こんなに良いこと尽くめなことを何故今までして来なかったのかと自分を責めた。もっと早くから行なっていれば、貯金もそれだけ出来たというのに。
なぜか夫は美容室のレシートだけはチェックしないのだ。それにもっと早く気がつくべきだった。
あれほどスーパーや日用品のレシートはチェックするというのに。
どうやら美容室代は兼、私への小遣いという位置づけなのかもしれない。
髪が落ち着いた頃、今度はセルフカラーをしてみよう。



通りすがりのペットショップで、可愛らしいトイプードルがトリミングをされていた。
窓から見えるそれは、モコモコのふわふわでまるでぬいぐるみのようだった。
私の頭は、ペット以下だなーと思いながらもなんだか笑ってしまう自分がいた。


運動会の不安

今日の送りは誰とも会わず、嫌な思いをせずに済んだ。
ただ、ずっと引っかかっているまいこちゃんママとの関係ーあのランチは幻だったのだろう、そんな気さえしている。サプリの件も引っかかっており、こちらから彼女に近づこうという気持ちも勇気もないまま日々はどんどん過ぎていく。





今月末は運動会だ。
行事の中でも運動会は夫がいてくれて心強い。
なので、昨夜夫から運動会に行けなくなったことを聞いてたちまち動揺した。
出張が入ったのだ。
絶望的で眠れなくなりそうだったので、安眠サプリを飲んでとりあえず眠りについた。
しかし、目覚めてからも月末の運動会のシュミレーションをしてはため息ばかり。
まずは場所取り、1人でレジャーシートを敷くことの憂鬱。
基本子供達は園児席、お昼も園児席。去年は夫と2人きりだったが、それでも話し相手がいたことで気も紛れていた。
それが今年は1人きり。周囲は祖父母連れだったり、また父兄だったり、我が家のように父親不参加の家庭もきっとあるだろうが、そういう家庭は同じような状況の母同士で昼食を食べていたようだった。
不安感が大きくなり過ぎ、朝から実家に来てはもらえないかとお伺いを立てた。
しかし、返って来た答えは、

「暑いし外でしょう?やだよ。体調も悪いし。ちょっとまた歯が痛いのよ、歯医者行きたいんだけど我慢してるのよね。」


拒否されたうえ、遠まわしに金の催促までされた。
とりあえず、月末までには初診料くらいは振り込むからと伝えて電話を切り、続いて義実家に頼んでみようかと思い受話器を取ったのだが、なんとなく気が進まず今に至る。

今日の降園後、子が来て欲しいという体裁で子から電話をさせてみようと思う。孫から直接頼んだ方が良い返事が貰えそうな気がする。




しかし、駄目だった時のことばかり頭によぎる。
ぽつんとレジャーシートに1人座り黙々と1人分の弁当を食べる姿。昼休みは競技も休憩だからグラウンドの中はからっぽ。一体どこをみつめて食事をすればよいのか悩む。

いっその事、昼は自宅に戻ろうかとも思う。
まだ家で昼を食べた方がましだし気楽だ。そうだ、そうしよう。義実家が無理であればそれで乗り切ろう。

園から配布されたプログラムを見ながら、子の晴れ舞台を楽しみにする以上に自分の不安ばかりが心を占めていることが情けなく、母としてなんて未熟者なのだろうと自己嫌悪に陥った。


打開策が浮びその案に納得したことで、初めてプログラムを開き子の演目の順番確認やカメラワークを考えたりすることが出来たのだった。











プライベート

結婚し子を産んでから、私のプライベートは極端に減った。
それでも引越し前は近所にママ友はいたし、それなりにママライフを満喫していたように思う。
勿論、色々と気を遣うこともあったし、深入りしたりされすぎて疲れることもあったけれど、全般的に充実した毎日だった。
だからママ付き合い以外のプライベートがなくても、特に苦痛に思わなかったし時間もないのだからと納得も出来ていた。

気軽に「今日暇?」と聞けて会える関係。約束していなくても固定された関係性のあることが、窮屈でも私には合っていた。
タメ口で、所詮ママ友といえばそれまでだけれど、それでも昔からの友人だと錯覚するくらいにくだけた会話も出来て、勿論初めての子育てでの不安を分かち合う仲間がいることは、心強く頼もしかった。


それが今ではー

もう敬語を使うことも慣れてしまった。たまに会うご近所の素敵ママとは唯一タメ口で話すけれど深入りはしない。
小学校は一緒だけれど、向こうはきっと同じ園の仲間とがっちりな関係だし、なにせパパも巻き込んでの家族ぐるみの付き合いだ。私の入る余地もない。

園のママー、唯一まいこちゃんママとはランチまで漕ぎつけたけれど、夏休み後には距離が開いたように思う。
いつでもボスママの輪にいるし、こちらから話し掛けるタイミングすら与えられない。
あの日、目を逸らされてからというもののすっかり自信喪失だ。

そういうこともあって、せめてプライベートが充実していたならと思ったのだ。
独身時代の友人に連絡を取ってみようかー
久しぶりにあの頃の自分に戻って、色々忘れてくだらないことをしゃべって笑って、少しは発散出来るかもしれない。
その一方で、そんな金があったらへそくりに回すべきなのではとも思う。
子の笑顔と天秤にかけたら、答えは決まっているじゃないか。


ふと、自分の葬式には何人の人が集まるのだろうかと思った。
芸能人が死去すると、物凄い数の人々が集まる。そうでなくとも、自分の親戚や祖父母達の葬式は決して派手ではなかったけれど、それなりに友人や知人が集まった。
定年退職してもう何年も経っていたり、生涯専業主婦だった祖母でさえ多くの友人が集まって泣いてくれていた。
人付き合いは「数」ではないけれど、人徳とそれとはそれなりに比例するものなのではないだろうか。
我が家は、もし私が一番先に死去した場合、夫と子が私を送ることになる。
その時、親戚以外のプライベートに一体誰を呼ぶべきか困ることになるだろう。今私が思い浮かべても、呼んだら来てくれそうな友人は片手で余るくらいだ。




今朝の送りでちょっと挫けることがあり、朝から暗い記事になってしまった。
ボスママやまいこちゃんママ達の集団がお洒落してどこかに行くようだった。ホテルバイキングがどうのこうの騒いでいた。
子供達も預かり保育にするらしく、子供同士で盛り上がっておりそれを聞いた子が私の方に来て、

「OOも預かりにしたい!」

と言い出したのだ。
今日は何も予定がないし、また今度ねと説得すると、なんでママはいつも予定がないの?と泣きながら聞かれてショックだった。
周囲の視線が痛かった。


子に自慢出来るようなプライベートすらなく、あったとしても通院している病院くらいだ。
引越し前のママ友とは夏休みに会ってしまったし、宗教の友人は今海外だ。
従兄弟は新婚で、どうやら妊娠したらしくつわりがきついらしい。
何か急に寂しくなって、もう何年も連絡していない独身時代の職場の同僚に気がつくとメールをしていた。


「元気にしてる?うちの子はもうすぐ小学生。子育ても落ち着いて来たよ。仕事の方は順調かな?もしよかったら今度ランチしない?職場近くまで駆けつけるよーん。」


絵文字も入れて、気軽な感じのメールを作成した。これでも何度か書いて消してを繰り返した力作だ。そしてドキドキしながらも勢いで送信ボタンを押してみた。

すぐに返信の着信が鳴り、胸を高鳴らせてメールを開くと、エラーメッセージ。
宛先不明で返ってきた。


そりゃあそうだろう、もう5~6年音信不通で今更何を、という相手の返事の代わりに無言のエラーメッセージ。
携帯だってガラケーからスマホに変化している時代、番号だって変わっていてもおかしくない。
しかし、宛先が届き返信がないよりも、宛先不明というどうしようもない事実の方が納得出来て、なんだかんだのところほっとしている自分もいた。

結局自分は寂しいのか、1人が心地よいのかよく分からないといういつもの結末に陥るのだった。






















台風の芽

暴風雨ー、私の住む街も朝から警報が出ており、今日は1日引きこもらなければならない。

夫はこんな日に限って休日出勤、ぶつくさ文句を言いながら出て行った。
玄関を開けると、隣の奥さんが大きなお腹を抱えてご主人を車で送迎するところだったようで、それをチラッと見てから一言、

「あー、バス面倒くせえ。」


と大きなため息で、なんだか責められているような気になった。
しかし、子がにこにこしながら夫の首にまとわりつき、いってらっしゃいのキスをすると目尻を下げて、


「じゃあ、行って来るわ。」


そう言って、激しい風と雨の中、カッパを着用し出て行った。
普段から夫の言動には苛々させられたり、色々と思うところはあるけれど、今日のような天候の悪い日でも黙々と出勤する背中を見送ると感謝の気持ちで一杯になる。
子と2人になり、午前中の家事を済ませてからは、ブロックやマックの景品の人形でごっこ遊びをし、今は録画しておいたおかあさんといっしょのファミリーコンサートを観せている。
私もしばし、コーヒータイムだ。


今日は敬老の日だが、天候も悪いし夫も仕事なので電話で済ませた。
一応事前に夫に言われていたお花と抹茶ロール、それから子が描いたじいじとばあばの似顔絵を送っておいたのでそれで事足りた。
実家の両親には電話1本で済ませた。後日お祝いを持って遊びに行くつもりだ。


今月もそろそろ財布の中が乏しくなって来た。昼ご飯は代わり映えしないけれど焼きそばにするつもり。
鳥胸肉とキャベツともやしと人参を使って作る。ハムやウインナーやベーコンなどは滅多に買えない。加工品は我が家にとって高級品、しかし夫と買い物に行くと、買い物かごに容赦なくポンポン入れるから困る。
焼きそばは、1袋80円で手に入れた広告の品だ。
我が家の冷蔵庫の中には、広告の品シールが貼られた食品ばかり。いつもシールはすぐに剥がす。正確に言うと、ラップを張り替える。なぜなら夫が煩いから。
夫は時々前触れもなく、冷蔵庫チェックをする時がある。
以前「広告の品」シールのついた肉を見た時に、「広告の品は大抵売れ残りの腐りかけている商品なんだから、やめておけ。」と言い、即刻ごみ箱に捨てられた。消費期限前でまだ十分食べれる新鮮な肉だったのにだ。
消費期限にもうるさく、期限日の24時を過ぎれば一切口にしない。また国産でないと口にしたがらない。だから、内緒でブラジル産の鶏肉を買った日にはすぐにパッケージから取り出し、ジップロックに移し変えて冷凍をする。勿論マーカーで消費期限を記載することも忘れない。
夫の目は台風の芽のようで、たとえ穏やかな時であってもいつ何時事態が急変するか予測がつかない。
備えあれば憂いなしだ。
昨日は台風前ということもあり、スーパーでは広告の品がたくさん陳列されており、目を皿のようにして色々と買い漁った。
これで当面の食事は大丈夫。
さて、そろそろ子がテレビを観終わる頃、一緒に遊ぼう。











自治会の新聞作り

自治会の新聞作り、面倒な作業だけれどやり始めると結構のめり込んでしまう。
夏が終わり、夏祭りを題材に既存の枠組みの中に記事を埋め込む。
会長が撮影した写真を数枚もらい、それを掲載する。
夏祭りで得た収入は、自治会の運営に当てられる。
一面には夏祭りー2面には防災関連。今回はそれなりにネタもありサクサク進んだ。


週末定例の自治会集会では、1人1人夏祭りの反省をまとめて発言させられ四苦八苦した。
集まりに慣れた人々はすらすらと、面白い話の1つ2つ盛り込んでスピーチするのだけれど、私は何を言ってよいのか分からず順番が来るまで頭の中で文章の組み立てをするうちに結局はいつも真っ白になってしまうパターン。
何も考えず、口からスラスラと言葉が出るような話術に長けた人間になれたらどんなにいいかと思う。
そうであれば、ママ友付き合いで悩むこともなかっただろうけれど。

発言する時、場が一瞬静まるあの空気が苦手だ。
一同の視線がこちらに向かい、せかされるような空気。
声が小さくなり過ぎないように、早口になり過ぎないように、どもらないように、気をつけながらの発言だったけれど結局声は小さく早口で、どもりながらの何をこの人は言いたかったのか?と思われかねないスピーチに終わった。
生え際にうっすら冷や汗をかき、それをタオルハンカチでぬぐっていると隣に座っているおばあさんが声を掛けてきた。

「オタクは緊張されやすいの?」

再びおさまり掛けていた心臓が張り裂けそうになる。
周囲は役員の幹部メンバーの面白スピーチを手を叩き笑いながら聞いているところだった。

おばあさんはどこの棟の人だか分からないけれど、真っ直ぐ私を見つめるその瞳には曇りがなく、それでいて全てを見透かしたかのようで、私は丸裸になってしまったような気持ちになった。


「あ、は、はい。こういう場は苦手で。」

「そうなの。でもえらいわね、きちんと毎回出席されて新聞も作られて。お若いのに真面目なのね。私の棟のオタクくらいの世代の方達は、お仕事されていたりお子さんがいて忙しいのかもしれないけれど、こういう集まりには無関心だし、階段のお掃除も全くしてくれないの。役員のお仕事も断られてしまうばかり。まあ、私のような暇な老人が忙しい方達の代わりにお役に立ててるのならそれはそれでいいんですけどね。」


そう言っておばあさんはにっこりした。
私達世代に対しての苦言を代表して私が受けているような気持ちになり、なんてコメントを返したらよいのか分からず曖昧な笑顔で頷いた。


「オタクが以前作った新聞の、あれ、なんだっけ。そうそう動物のコラムーすごく面白かったわ。あれ連載にして欲しいくらい。毎回楽しみにしているのよ。」


「え?本当ですか?すごく嬉しいです、ありがとうございます。正直新聞を出していても出しっぱなしで皆さん読んでくれているのかなって思っていましたから。」





本当に嬉しかった。
一方的に記事を書き、封入してポストに入れたらもうお終いの広報の仕事は、果たして本当に団地中の人が読んでくれているのか疑問だったし、即刻チラシと共にゴミ箱行きだと思っていた。
むしろ安売りのチラシの方が住人にとっては有益な情報だとも。

1人でも目を通してくれてそれに意見をくれ、楽しみにしてくれている。
それだけで胸が弾んだ。

動物のコラムを、編集後記の上に連載とすることにした。
あのおばあさんが、日常に私のコラムを組み込んでくれたらこんなに嬉しいことはないーそう思いながら。







役員会と戸惑い

卒対の役員会、園の会議室を貸し切り午前中行なわれた。
2学期は行事も盛りだくさん、それに押されて卒対の準備も滞りそうだからこそきちんと役割や進行などの決め事をしなくてはならないとのことだった。

しかし、結局最初の1時間は雑談だ。
私としては、さっさと業務だけ遂行して用事が済めば一刻も早く立ち去りたいのだが、それが許されるような雰囲気でもない。
セレブママやハデママの夏のバカンスの思い出話を聞いたり、内輪のバーベキューの話だったりその時の写真を私以外のそれぞれに配布したりの作業だったり、とにかくアウェーな私にとっては苦痛な時間だった。
そんな中、ボスママが言い出したのがおそらくまいこちゃんママのことだと思う。


「同じクラスの新入りママにさ、これ貰って今飲んでるの。」



そう言って取り出したのはあの酵素サプリだった。
正直、変な汗と震えが出てドギマギした。


「えー、なんか痩せたじゃんって思ってたんだよね。」



バレーママがオーバーアクションでそれに答えた。
私以外のそこにいるメンバー全員が口々に痩せたと驚きを言葉にする。
満更でもない様子でボスママは、



「まだ始めてから2週間ちょっとなんだけどね、驚かないでよーなんと3キロ痩せました!」

「えー、本当に?飲むだけでいいの?」

「うん、毎食後飲むだけ。後は食事制限も運動もなしでいいのよ。」




2週間ーまいこちゃんママとランチした後だろうか。まさか私が渡したあれをそのままボスママに渡したなんてことないよね。
心の中に彼女に対しての疑わしい気持ちとそれに反する否定したい気持ちが渦巻いて気分が悪くなった。
そうでないにしても、私と彼女との間を取り持ったそのサプリが違う所でも働いていたのかと思うと面白くない気持ちも働いた。
それは妙な感情だった。


「安いし定期購入しちゃった。酵素って普通臭いしドリンクとか苦手なんだけどサプリだからするっと飲めていいよ。青汁もずっと飲んでたんだけどね、こっちに変えたの。マイボトルに青汁携帯してたのもやめたーこのサプリで青汁効果もあるからね。」


「こないだ新聞広告で見て気になってたんだよね、これ。」



ボスママが持っているヴィトンのポーチから取り出したサプリを、皆が回して興味深そうにしている。





すると、華奢ママが突然私に向かって、


「OOさんってスリムですよね、何かやられてるんですか?」

なんて聞いて来た。
というよりも華奢ママの方が断然細いのにー

「あ、私もそれ飲んでるんですよね。」

勝手に口からぽろりと出た言葉に、皆がざわついた。
ボスママは、ちらっと私を見たような感じだったがそれについて何かを発言することはなかった。
ただ会長が話を繋げてくれたので場もなんとかうまくおさまった。


「OOさん、1学期からだいぶ体重落としたでしょう?なんか痩せたなーって思ってたんだよね。酵素ってやっぱりすごいんだ。最近テレビでもよく聞くから気になってたんだけどサプリなら飲みやすそうだね。」

「はい、まだ始めて数ヶ月ですけれど夏バテとかもありませんでした。体重も5キロ近く減ってキープ出来てます。特にお腹回りがすっきりして。体調も良くなって体の中がすっきりしたような感じなんですよね。野菜嫌いな子供達にも飲ませるといいかもしれません。うちの子たまに飲んでますよ。良かったらパンフレット持って来ましょうか?」



「あ、うん。ありがとう、でも大丈夫ーネットで調べてみるわ。」


一気に私がしゃべった事で、なんとなく引かれたような気になった。


「そうそう、お腹回りの肉が落ちると一気に雰囲気変わるよねー、どんな服でも決まるし。妊娠中って思われたくないから最近ワンピも着てないー。」


「ワンピの方がごまかせない?逆に短いトップス格好良く着られたらって思うよ。」


口々にメンバーが発言する。
私も痩せたお陰で独身時代に着ていた流行廃りのないトップスやパンツが着れるようになって嬉しい。
母親になってからいつもシルエットの分からないような服ばかり選んでいたから。
















ボスママは、急に話題を持っていかれたのが面白くなかったのか半沢直樹の話を始めた。
メンバーもそれに食いついて、結局役員会の本題に入ったのはお昼間近という有様だった。


私はまいこちゃんママに裏切られたような、でも誤解かもしれないという戸惑いの中で空気のようにその場に佇んでいた。






これから・・

朝から雨。
今朝は昨日よりも早く園へ子を送りに行った。
門を開ける用務員のおじさんと出会うくらいの早さだったこともあり、教室にはまだ先生がいなかった。
昨日のようなダメージを連日受けるのは心が持たないと思ったので、雨の中早起きして来たのだ。
しばらく教室前で待つと、先生達がファイルを片手にこちらに向かって歩いて来た。


「あ、おはようございまーす。早いですね!お待たせしてしまってすみません。」

「あ、いえ、大丈夫です。今来たばかりなので。」


「先生、おはよう!」

「おはよう!一番乗りだね~」


あんなに挨拶について悶々としていたのに、肝心の先生に挨拶を返すのを忘れる私。
早々に園から引き上げ、自宅に戻る。
しかし、今日は役員会ー昨日ボスママに無視されたこともあり憂鬱さは半端ない。
出来れば欠席したい。
でも、結局子のお迎えに行かなくてはならないからさぼれない。
あの仲良しの輪の中でひきつった笑いをし続けるのも、皆が楽しそうに話している中で無口でいるのも辛い。
時間だけが刻々と過ぎていく。
開始は中途半端にまたお昼前。
お昼過ぎになればそのまま皆はランチに行くのだろう、その足でお迎え。
私は一旦自宅に戻る。そしてまた一息つく間もなくお迎えだ。
お昼を食べる時間は皆無だろうけれど、一応すぐに食べれるようおにぎりを1つ作っておいた。
雨も午前中いっぱいだといいけれど、園と自宅との往復が今日1日で3回もあるのは億劫だ。



いつもは美味しい朝のコーヒーもなんだかまずい。
もう一杯飲んだら支度をしよう。

頑張って来ます。
















もしもアルバムが増えたなら

朝から気分は憂鬱。


いつものように早めに園に到着、先生に挨拶と少しの会話。


「OOちゃん、ダンスとっても頑張ってます。皆の先生役までしてくれるんですよー助かります。」


「ありがとうございます。本人も園から帰るといつもダンスの話してるんです。よほど楽しいんでしょうね。」


そんな会話をしていると、遠くからボスママとその取り巻きの1人がしゃべりながら歩いて来た。
先生は子を連れて教室内に入ってしまって、私は子が着替えをするのを見届けつつ教室を後にしようとしたのだけれど勇気を出してボスママ達に挨拶をした。



「おはようございます。」




しかし、返事は返って来なかった。
きちんと相手の顔を見て挨拶したのに、こちらを見ることもなくスルー。
そして教室内の先生に向かって、



「おはようございまーす。」



と挨拶する2人。
ポキリと心が折れた。


たかが挨拶、されど挨拶。
好き嫌い関係なく挨拶したらし返すーそれが大人、いや子供の中でもマナーというものなのではないか。
そして、そんなマナーを守れないような人間にされた「無視」に心打ちのめされて落ち込む自分の小ささにも情けなくなる。

私だって彼女達のことを好きではない、むしろ大嫌いだ。だから無視されてもいい。

そう思えたらいいのだけれど、やっぱり複数対1人では立場も弱くただの負け惜しみ。
挨拶すらする価値のない人間ー彼女達から見たらそういう位置づけに自分があるのだと思うと辛かった。
役員でも一緒のボスママー、明日は役員会があるのだ。
それも憂鬱さに拍車を掛けた。


何か気晴らしー
そう思うけれど何も浮ばない。こうしてブログに思いを綴るだけが私の心の支えだ。
コメント欄を自ら閉じてしまったから、ますます人との関わりがなくなった。
関わりを求めると、自分をどう見せようかと格好つける部分がブログ上でも出てしまいがちになり、それが理由でコメント欄を閉じたというのに。


まいこちゃんママからのメールもなく、新学期が始まってからというもの一言も会話をしていない。
挨拶すらしていない。
それも憂鬱な原因の一つ。

しん・・と静まり返った部屋に、自分が叩くキーボードのカチャカチャする音が響く。
なんだか悲しくなって、昔のアルバムを広げて見た。
子が誕生したばかりの、1冊目のアルバムだ。
病院で写してもらった家族写真、夫も私も子を囲み世界一幸せそうな表情をしている。
確かにあれは幸せの絶頂だった。
夫とも本当の家族になれたと思ったし、生まれて初めて自分を認めてくれる存在に出会えたのだ。
子は、こんな駄目で暗い母親でも慕ってくれている。
「ママ、ママー」と可愛らしい声で私を呼んでくれる。


オリンピック開催が決定し、7年後の家族を思う。
子はその頃13歳、中学生で思春期のまっさかり。
家庭より楽しい居場所を見付けているはずだ、そして私はまた取り残される。
この、しん・・と静まり返った部屋に1人きり1日の大半を過ごすことになるのだと思うとぞっとした。
そして、もう1人子供がいたらーそんな事を思った。
アルバムをめくると、その1枚1枚に思い出が詰まっておりそしてその時期はもう2度と戻って来ないのだという切なさに胸がぎゅっとなる。
そしてそんなアルバムが複数子の家庭には何冊もあるはずだ。幸福の象徴がいくつも。


外からは、小さな子供達と母親の笑い声が聞こえる。楽しそうな和気藹々とした声をたった1人部屋で聞いていると心が逸る。
外に出なくてはならないような気になる。こうして部屋に引きこもっていることが悪いことのように思える。
もう1人子供を産むことはもう1度この言いようも無い不安感を味わうことになるのだ。
独特な母親だけの世界は自分にとって苦行のようなもの、それをまた1から歩むという覚悟がなければ子供は望めない。










足るを知る

お隣さんも本格的にお腹が大きくなったようだ。
今朝、子を送り届けてから買い物をし自宅に戻ると、丁度お隣さんと数人の女性陣と遭遇した。
皆お腹が大きくて、おそらくマタママだろう。
それまでも、専業主婦であろうお隣さんは友達などを招いていたようだったけれど、見る限りの装いで働いている女性のようだったし勤めていた時や独身時代の友人のように見えた。
私とは環境は違うけれど、近所に馴染みの深い知人はいないように思えてそこだけは勝手に親近感を抱いていた。
しかし、今朝会った数人のマタママはきっとこの近所で出来た友達なのだろう。
検診だったり区役所の母親教室で知り合ったのかもしれない。
途端に置いてきぼりを食ったような気になった。



「おはようございますー。」

「おはようございます。」


軽く挨拶し、私は玄関の鍵を開けてから扉を閉め、覗き穴からお隣を見ると楽しそうに笑い合う私よりきっと年下だろう小奇麗で可愛らしいお隣さんのお友達が、

「お邪魔しまーす。」

「なんかいい匂いー」

「ごめんねー、掃除してないけど。」


なんて言い合いながら入って行った。
きゃぴきゃぴはしてないけれど、綺麗な模様のワンピースに身を包む彼女達はとても華やかで幸せの象徴のように思えた。
それに対して、覗き穴から彼女達を見ている暗い玄関にいる自分が気味の悪い不幸な象徴に思えた。
彼女らは、マタママ友からママ友になり、そして本当の友達になっていくのかもしれない。
この先公園デビューや幼稚園入園、そして小学校でもがっちり出来た友達の輪は続き、孤独感とは無縁の世界を歩んで行くのだろう。
勿論いくつかのトラブルはあるかもしれないけれど、細心の注意を払い見極めの目を保てさえすれば、出だしは好調なのだから物事はとんとん拍子にうまく運ぶのだろう。
引越し前には私にもそんな風になれそうな友達が数人いたけれど、今ではすっかり連絡が途絶えて唯一続いているのが夏休み中にも会ったハンドメイドショップを立ち上げているママだ。
なので彼女は貴重な存在だ。
この地に引越して来なければ、今の私はいなかっただろうしこうしてブログを書く時間はママ友同士のLINEに費やしていたに違いない。また、Webライターという内職があることすら知らなかっただろう。
孤独の代わりに得たものがあるという事実も認めたい。

あれからふと気になって彼女のショップを覗いてみるとやはりSOLDOUT、しかも価格が以前より少し上がっていた。
月収10万かーそれだけ自宅で稼げたらどんなにいいか。


と、また羨む気持ちがむくむく湧き出て来そうな頭を振って今日もライター作業を頑張れた。
地道にコツコツと続けていればきっと結果はついてくる。
高望みし過ぎず、「足るを知る」心を持つことにしよう。






気まずい思い

先日のこと。
子がいきなり大きな声で、

「あ!ママと同じ服だ~」

と前から歩いて来た娘を指さした。
ふんわりとした今風の可愛らしい彼女は、私達をちらっと見てものすごく気まずそうな顔をした。
勿論、その数十倍こちらは赤面だった。

まだ20代前半の頃、電車のホームでとても太った40そこそこのおばさんが私とまるきり同じ服を着ていたのを目にしたことがある。
子供を3人連れて、ふうふう言いながら歩く同じ服を着た彼女にとても恥ずかしい思いをした。
あちらは私のことなど眼中にないようだったけれど、当時付き合っていた彼氏とのデート中だったので彼氏にばれないよう違う車両に乗り込んだ記憶がある。
今思えば失礼な話だけれど、精一杯のお洒落をして臨んだデートが途端に憂鬱なものになった。

そして、今自分がアラフォーになり同じような経験でも全く違う種類の恥ずかしさだ。

(おばさんと同じ服なんて、あの娘すごい嫌だっただろうな・・)

と勝手に思って落ち込んだ。
ユニクロもよくかぶるけれど、世代もバラバラユーザーだしかぶったとしてもそれほどダメージは少ない。
しかし、通販だとお洒落の方向性が無理していたのか・・と思う。
秋物を今回は違う通販で購入した。














広告モデルが若いので少しの抵抗があったけれど、憧れのお洒落ブロガーさんが頻繁に紹介しているのも頷けるほどリーズナブルでシンプルな、そして決して若作りしていないアイテムがtitivateというサイトには揃っている。
早速、この秋物を吟味して購入。

しばし妄想タイム。
値段を考えずにあれこれ欲しいものを買い物かごに入れるのだ。
かごに入れたり出したり、このアイテムをかごに入れるのならこちらは外そうーだとか。
アイスコーヒーを飲みながら、今日の保育中はPCを前にのんびり自宅で至福の時間を過ごした。

ゆるっとしたニットはランキング1位のアイテムで、今年来ていると言われているネイビーかグレーで悩んでいたけれど思い切ってワインを選んだ。いつも選んでしまうのはネイビーとグレーで代わり映えのないクローゼットに新しい空気を入れたかったのだ。
普段1000円前後のトップスを購入する私だけれど、秋物は素材や暖かさを考えるとその価格はきつい。
2980円はかなり贅沢品、お洒落ブロガーさん達は色違いで何枚も購入しているようで羨ましい。
今回はこれだけ。
しかしものすごくストレス解消になった。
後は夫に服を買ったことがばれないよう、何度か夫不在の時に着て新品に見えないようにしなくては。



子の秋物も購入しないと。
今年はまだ幼稚園だから私服を着る機会も少ないけれど、これから小学校になれば何枚も揃えてやらないとならない。
H&Mやg.u、forever21などが点在している都内住みで良かったと思うのはこういう時。
ワンコインでとびきり可愛いデザインの女の子服が買えるのはとても助かる。


さて、お金を使った分はまた内職。
頑張ろう。

























孤高と孤独の引取り訓練

日本各地が台風や洪水のパニックの中、防災訓練の引き取りがあった。
いつものお迎えとは変わらないのだけれど、バス組もその日は徒歩だったので園庭はものすごい人の数。
引き取り時間丁度に到着しても、30分くらい子供と先生は何か話しをしていて母親達はその間教室の前で引き取りを待つ。
この「間」がとても嫌だ。
お迎えならば、すぐに子供を引き取りそれから園庭で遊ぶにしても子供を見る風を装えば手持ち無沙汰でもなんとなく間が持つのだけれど、親だけの空間に放り込まれると、途端に息が苦しくなる。
それが今回は酷かった。


理由は、おそらくまいこちゃんママなのだと思う。
園に到着した時、教室前に行くとボスママの輪の中で楽しそうにしているまいこちゃんママを認めた。
視線が合ったような気がしたのだー、しかし、すっと逸らされた。
その瞬間からずっと彼女の方を見ることが出来ずにいた。


会長ら役員の群れー
ボスママの群れー
Yちゃんママ達の群れー
ふわふわママの群れー
その他、小さくても2~3人くらいの小さな群れー


私はどこにも属していない。
暗い気持ちになっていると突然私の肩を叩く人がいた。


「ダンス、いい感じだねOOちゃん。」


さなちゃんのママー孤高の人だった。
驚きのあまり声を出せずにいると、彼女は続けて、


「さながね、OOちゃん夏休み明けからすごいダンスが上手になってて凄かったって言ってたよ。」

「あ、ありがとうございます。」


それから少し沈黙が続いて、何か話題を話題をと頭で思う先からうまく考えがまとまらず真っ白になり焦る。
孤高の人をちらっと見ると、教室の中で先生の話を聞く子供達を真っ直ぐな目で見ていた。
ボスママの群れ達が、彼女の噂話をしていたことをふと思い出す。
私もそれに便乗し、心の中で彼女の事をあれこれマイナスに思っていたことも。


「子供ってさ、親が思うより先にどんどん成長していくよね。この間までオムツ替えてたと思ったらもうランドセルだよ。心がついていかないっていうか。特に一人っ子だからかな。最近ではさなの成長を一時停止出来たらなって思ったり。なんて、本当に成長が遅かったらそれはそれで心配なんだけどね。勝手だよね。」


「ランドセル!・・・・・もう買いましたか?」


せっかく彼女が良いことを言っているのに、的外れな質問をしてしまう私。
しかし言葉を繋げようとしたら出て来たのがこれだったのだ。

一瞬、え?っというような表情をしながらも孤高の人は答えてくれた。


「うん、色々見たよ。子供はさなが最初で最後だからランドセルも最初で最後。うちは土屋にしたよ。色はキャメル。」



土屋って?多分そんな名前の店があるのだろうけれど、私はニトリやイトーヨーカドーやイオンくらいしか分からない。
分からないけれど、会話を更に続けなければという思いで、

「キャメルってお洒落でさなちゃんにお似合いですね。うちは茶色にピンクのステッチのものがいいって言ってます。」


「ふーん、たくさんカラー出てるもんね。ステッチのも可愛いよね。さなも最初は水色にピンクの縁取りがいいとか言ってたけどさ、正直汚れも目立ちそうだし高学年になったらなんか幼いし、それにすぐ飽きそうだし嫌だなって思って。親が誘導しちゃったんだけど、好きなの選ばせれば良かったかな。あの子、私の顔色見る所あるから、結局ママはどれがいいと思う?って聞かれてキャメルって言ったらそれがいいって言ったんだよね。ちょっと後悔。」


「・・・あ、でも、さなちゃんきっと満足していると思いますよ。私も子供の頃そうだったけれど、母親がいいねって思ってくれることがすごく嬉しかったし、母親のセンスというか選択権は子供心に絶対的でしたから。お姉さんっぽいカラーで素敵ですよ。」


ぎくしゃくしながらも、ちょっと持ち上げた感が出てるなと思いながらも、思った事を正直に伝えた。
孤高の人はにっこり笑うと、

「あ、終わったみたい。」


教室の中からさよならの挨拶が聞こえると、防災頭巾を頭にかぶった子供達がドアの手前で一列に並び始めた。
孤高の人は、特に私に向かって言葉を発するでもなくさーっとドア近くの方へ去って行き、側にいたYちゃんママ達の群れとそれまでも一緒だったようにすんなり会話をしつつ我が子に手招きをしていた。



やっぱり、すごい人だなって思った。
彼女のようになれたらとも。


次は、チャンスがあればこちらから話し掛けてみようと思った。
ぎこちない会話だったし多少の気疲れはあったけれど、清清しい気持ちが後に残った。
そういう気持ちを残してくれた彼女の性質に憧れを抱き、また話してみたいと思った。

気が付けば先程まで灰色だった空が、すっきりとした晴れ間を見せていた。





丁度よい人間

久しぶりのお迎えは、本当に憂鬱だった。
まいこちゃんママはすっかりボスママの群れの中で楽しそうに歓談していて、目すら合わない状態だった。
本当に夏休み中ランチしたんだっけ?と思うくらいに遠い存在のようだった。


久しぶりの園だったこともあり、子はとても楽しかったようだ。
そして、予想通りさよならの後も園庭で遊びたがった。
YちゃんとMちゃんと木陰で何かのごっこ遊びをしているようだった。
まいこちゃんはさなちゃんとピッタリついて遊んでいて、なんだかなぁという気持ちになった。
正直、Yちゃん達とではなくまいこちゃん達と仲良く遊んでくれたらという思いは親の勝手だろうけれど。


久しぶりに会った担任の先生は真っ黒に日焼けして、ギャルかと思う程に茶髪になっていた。
幼稚園の先生ー先生といってもまだ20そこそこだから遊びたい盛りなのだろう。
この1ヶ月間、普通の若者と同じ様に羽を伸ばしていたのかもしれない。


夏休みですっかり忘れ掛けていた孤独感がまた押し寄せる。
集団の中で誰からも相手にされない寂しさ。
顔見知りの中での一人ぼっち。
都会を歩いていた雑踏の中の一人きりとも、また自宅の静寂の中の一人きりとも種類が違う孤独感。
いたたまれなくなるといつもこの詩が頭に浮ぶ、そして心に沁みこむ。
私には信仰心のかけらもないけれど、良寛さんのこの詩がいつも助けてくれる。





 「丁度よい」

 

 お前はお前で丁度よい

 顔も身体も名前も姓も

 お前にそれは丁度よい

 貧も富も親も子も

 息子の嫁もその孫も

 それはお前に丁度よい

 幸も不幸も喜びも

 悲しみさえも丁度よい




 歩いたお前の人生は

 悪くもなければ良くもない

 お前にとって丁度よい

 地獄へ行こうと極楽へ行こうと

 行ったところが丁度よい




 うぬぼれる要もなく 卑下する要もない

 上もなければ下もない

 死ぬ月日さえも丁度よい




 仏様と二人連れの人生 丁度よくないはずがない

 丁度よいのだと聞こえた時 憶念の信が生まれます




 南無阿弥陀仏






隣の芝生を羨み過ぎて自分を見失いそうになると、この詩に励まされる。
それでもやっぱり人間だから、行ったり来たりを繰り返す。

出来た人間になれるともなろうとも思わないー、ただ、丁度よい人間になりたいのだ。





ダウン

子が夏風邪をひき、ここ数日ダウン。ブログ更新も出来なかった。



熱で熱いと言うし、冷たいうどんが食べたいと言うが冷凍うどんを切らしていた。どうしようか悩み、震災用のダンボールに一袋だけ残っていた釜揚げうどんを茹でて氷水でしめて、ちょっとの肉と葱とだしでスープを作りひやあつにした。
卵を落としてやったらしっかり食べた。


昨日はまだ病み上がりということもあり休養中。
夫は子が具合が悪いと知り、早々に携帯で誰かと連絡を取り合い出掛けて行った。


発熱初日、夫は代休をとっており丸一日自宅にいた。
子は朝から目が痛い痛いと泣き喚き、熱をはかると40℃を超えていたのですぐに病院に連れて行く支度をした。
車での送迎を頼もうとすると、仕事で疲れているから眠りたいー自転車で行ってくれと言われた。
しかし、子はふらふらで自転車の荷台に乗せるのも一苦労、私も一睡もせずに看病をしていたからふらふら。その上猛暑で目の前がチカチカした。
そして、自宅前の下り坂を降りようとペダルを漕いだところ何かに躓いて転倒した。

幸い子はヘルメットをかぶっていたし私が自転車の下敷きになっていたこともあり、そのクッション効果でかすり傷ひとつなかった。
ただ私は、左足の膝からふくらはぎにかけてずるっと皮がむけて血だらけの状態、打ち所が悪かったのかそれを見た瞬間意識が遠のいた。
通りすがりの女性が、駆け寄り救急車を呼ぼうとしてくれたけれど断った。次から次へと人が来て私の体を起こしてくれて、自宅に夫がいることを話すとすぐに電話をした方がいいと代わりに私の携帯から連絡してくれた。
しかし、何度コールしても出ないのだ。

そうなのだー昔から。
まだ新婚の頃、私は持病を起こし職場のトイレで倒れたことがある。
便器は血まみれ、痛みも今思えば陣痛の比ではない程で頭の奥で鐘がキンキン音を立てているような感覚。
いつまで経ってもデスクに戻らない私を心配した先輩が、私を発見し救急車を呼んでくれた。
緊急手術となり、気がつくと真っ白な天井ーそこは病院だった。


麻酔の影響なのか頭のてっぺんが何かに引っ張られる感じがしたのと、平衡感覚を失いまるで逆立ちをしているような不思議な上下の感覚と共に、猛烈な吐き気が襲い激しい嘔吐を繰り返した。
病室には、実母と義母が揃っていたがそこに夫の姿はなかった。
義母が何度も電話をし、メールをしても返信はなく、さすがに義母は、

「この緊急事態なのに、あの子は何をしているのかしら。」と頭を抱えていた。

幸い命に別状は無かったが、夫が現れたのは翌日の午前中だった。
その時のへらへらした顔は今も鮮明に残っている。

「なんだ、元気そうじゃん。」

悪びれもしないあの第一声も。





結局周囲の人々に助けられて、自宅に戻った。
すると、書斎でごそごそ何かをしている夫が部屋から顔を出し、何事かと言わんばかり。
助けてくれた女性が事情を説明すると、途端にお礼と謝罪の営業フェイス。

子は熱で号泣だし、私も急遽整形外科に行かなくてはならなくなった。
夫は助けてくれた人々にもう一度頭を下げてから、玄関を閉めた後に振り返ると大きなため息。


「どんくさいな、相変わらず。」


上がった口角の端の意地悪さに情けない気持ちになった。






今日から新学期。
初日なので午前保育だからそろそろお迎えの時間。
またあの苦痛な時間が始まるー頑張ろう。







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