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深夜2時の着信

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先日の朝、一通りの家事を終えて、ふとテーブルの上にある携帯を見ると、着信ランプが点滅していることに気が付いた。
普段、私への着信などたかが知れており、大体がどこかのショップのメルマガだったり子の通う学校からの「不審者お知らせ通知」ばかり。今度もきっとそうだろうーそう思いながら、液晶画面のお知らせ通知を消す為だけに携帯を開いたのだが、メールではなく電話の方の着信だと知り、妙な胸騒ぎがした。


ー実家からだろうか?


真っ先に思い付いたのがそれ。すぐに着信履歴を確認する。そして、それは電話帳からの名前ではなく、数字の羅列であること、そしてその羅列は、私が最も恋い焦がれていた羅列であることが分かり、途端に心臓がバクバクし出した。
着信時間は深夜2時。そんな時間帯に、自分宛の電話があるなんて、想像出来るはずもない。
朝、アラームを止める為に携帯に触れはするものの、液晶画面を確認することなどなかった。

心を落ち着ける為、家事をする。いつものルーティンワーク。家族が食い散らかした皿やコップを洗い、食べかすや醤油のシミがこぼれているテーブルを台ふきで拭く。1回目の洗濯物を干しながら、朝の情報番組を観る。しかし、ニュースはまるで頭に入って来なかった。私個人で、ここまでの大ニュースがここ数年あっただろうか?




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ー何かの間違いだろうか。自発的に掛けたのではない、ボタン操作の手違いで起こった出来事。


着信が1度切りという事実は、その可能性を色濃くする。それでも、手違いであったとしても、彼がこの番号に掛けて来たイコール、今もなお、彼の電話帳の中で私が生きているということが立証された。私がしたように、彼は番号を削除していなかったのだ。元恋人のー、かつて、何度も何度も受話器の向こうで愛を語り合う為の架け橋だった数字の羅列は、彼の方ではまだ「私」として残されていたのだ。結婚前の、旧姓で・・

胸が締め付けられる思いー、心の奥底でくすぶっていた炎が燃え上がる為の風が吹き込まれた、そんな気がした。しかし、リダイヤルするだけの勇気も単純さも、また思いの強さもなかった。
間違い電話に、本気で返す自分。そして、想定外ー勿論それはマイナス要素を多く含むー、そんなリアクションがあった場合、自分はもう二度と立ち直れない、そんな気がした。


「元気でやっていますか?」


もう会えない人に、心の中で語り掛けること。自己完結で終わらせること。帽子掛けに掛かっている、子の体操袋を眺めていたら、それでも罪悪感が湧く。行動を起こさずとも、それでも自分の心の内にある感情が、「家族を裏切る行為」なのだと気付く。

ドラマティックな展開など、私に起こるはずがない。所詮、ただの間違い電話。
そう何度も言い聞かせる。しかし、たらればの想像は私を捉えて離さないのだ。




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元彼からの電話

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元彼から電話があった。
正確に言えば、着信があった。
今、パニック状態で何をどうしたらよいのか分からない。




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虎の子隠し

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携帯料金の件、結果から言えば、取り越し苦労だった。
焦って色々調べた結果、通信料を超えたとしても通信速度が遅くなるだけで、追加料金は掛からないとのこと。
心底ほっとしたが、一難去ってまた一難というのが私らしいところ。


「そういえば、パート代って全額貯金した?」


今年も昇進の話がなかった夫は、ここのところ機嫌が悪い。そして、最近また金に小うるさくなり始めた。


「え?」


すぐにそうだと嘘が付けなかった。私のパート代は、子の歯科矯正に自分の少しの贅沢。子とのカフェ代や雑貨代で、10万弱あった口座の金は、既に半分消えていた。


「俺が増やしてやろうか?」


ーは?何言ってるの?


「そのまま口座に入れてても、このご時世、何の得にもならんよ。預かってやるからさ、ちょっと通帳見せてみ?」


多少の酒が入っていることもあり、顔を赤くしてにやつく夫に嫌悪感がわく。こうして油断していると、鋭く探りを入れるのが彼の得意技だ。何とかして逃げたいー、パート代を好きに使ったことに文句を言われるのも詮索されるのも嫌だったし、また一度見せたら最後ー、また仕事を始めた時にがんじがらめになってしまう。


リリーン


その時、夫のスマホにライン音。すぐに夫は私からスマホ画面に視線を移すと、もうそれまでの会話はなかったことのように、そちらに夢中になったまま自室へ去って行った。

今度、また通帳を見せろと言って来たらー、こっちにだって考えがある。あの、「損切り」の雄叫びは何だったのか問い詰めてやろうと思っている。




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恐ろしい請求書

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ここ数日ー、携帯でネットを見ている際、やけにページの切り替えが遅くて苛々としていた。そして、しばらくすると携帯会社からメールが届き、なんとデータ使用料が上限オーバーとのこと。いつもはWI-FI設定にしているので、自宅にいれば通信費は殆ど掛からないのだが、どういうわけか、その設定が解除されていた。よって、普通に外でネットを使用しているのと同等のデータ使用量となっていたのだ。

その事実を知り、冷や汗が湧き出る。一体今月の通信費はいくらになってしまっているのだろう?夫にばれたらややこしいことになる。どう説明しようか。仮に設定ミスを詫びたところで、彼からしたら異常な通信量に、驚き憤るに違いない。


ー俺が仕事をしている間、ずっとネットを見て遊んでいるんじゃないのか。


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そう思われることが怖い。そして、それが的外れではないことに、こちらはもう何も言い返せないのだ。幸い、夫はこれまで私の携帯のチェックまではして来なかった。彼の性格上、しても不思議ではないのだが、彼には彼なりの夫婦間の境界線があるのだろう。だが、金が絡むことになれば話は別だ。携帯で怪しい動画を見ていたり、またダウンロードしていないか、また、出会い系サイトで何かしているのではないかと怪しまれる可能性はゼロではない。それ程、使用データ量は多いのだ。

携帯会社が新たに上げたプランー、最低ラインの料金でのデータ上限は、私には到底足りそうもない。たった3日で上限越えしてしまうだろう。だから、夫がWI-FI設定をしてくれた時、心底有難く思ったのだ。ネットの世界が、唯一私が私でいられる自由な場所ー、だから、ここに夫を入れる訳にはいかないのだ。どうにかして、隠ぺい工作を企む。しかし、何も浮かばない。通信量の請求は夫がネット上で管理しているし、また引き落とし口座の管理も夫なのだ。
いつ、ばれるのか・・夫から指摘された時の言い訳を考えなければならない。





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雪解け

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「OOさん!」


駅前のスーパーで、特売の牛乳を「お一人様2本」の上限分かごに入れているところ、背後から声を掛けられた。振り向くと、Yさんだった。しかし、すぐにYさんと気づくまで数秒掛かったのは、私が知っているYさんではなかったから。
そう、彼女は眼鏡を掛け、マスクをしていたのだ。


「久しぶり!元気だった?」


溌剌としたー、曇りのない笑顔。この間、私を目の前でスル―した同一人物とは到底思えなかった。無理やりぎくしゃくとした笑顔を作る。マスクの下の口角は引きつって震えていた。信じ切っていただけに裏切られた代償は大きく、それをなかったことになど出来ないー、私はそれ程器用な人間ではないのだ。


「ええ、まあ。」


まともにYさんの顔を見ることが出来ず、つい視線を自らの買い物かごに移す。しかし、そんな私の様子に彼女は気が付くでもなく、話を続ける。


「今日も花粉すごいよねー。OOさんも花粉症?」


「えぇ、まあ。」


私の動揺に全く気付かないー、相変わらず愛想の良い笑顔を浮かべたまま喋り続ける彼女に、警戒心を抱く。


ー八方美人ー


彼女を前に、そんな言葉が浮かぶ。人当たりの良さ、誰にでも変わらない態度ー、しかし、それだって裏を返せば・・


「あまりにも花粉がきつくって、何年振りかの眼鏡だよ。でも度数が変わっちゃってね、オーダーしたのがやっと届いたんだけど、なんか違和感半端なくって。」


彼女がコンタクトを着用していたことを初めて知った。瞳が大きく、黙っていてもなんとなく笑顔な、やや垂れた目尻。それだけでも、既に第一印象の良さを手に入れている。そして、やたらと瞳がキラキラしていたのも、実はコンタクトによるものだったのだと納得した。




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「そうなんですね。でも、眼鏡は花粉対策にもなりますから。悪いことばかりじゃないですよ。」


なんだかんだで、彼女と話していると不思議に心が浮き立つ私がいた。まるで、春の陽気の中小さくジャンプしているようなー


「眼鏡が届くまではね、コンタクトもつけられないし、視界もぼんやりだしで、ママ友の腕を借りて買い物したりとかまるでおばあちゃんみたいだったの!自転車にも乗れないし、まいったまいった!!」


そういって、真っ白な歯並びの良い前歯を見せて笑う彼女を見ていたら、あぁそうか、と腑に落ちた。まるで、自分の頭上に見えない電球が光ったかのようだった。そう、あの私をスル―した日、彼女は本当に私だと気が付かなかったのだ。見えてなかったのだ。
凍り付いていた心に、熱い湯を掛けたかのように、次第に胸が温かくなる。泣きそうだった。勿論、それは嬉し泣き。


ーYさん、誤解していました。ごめんなさい、本当にごめんなさい。


それから私達は、他の客には迷惑だったかもしれないが、牛乳コーナーの前で15分程楽しくお喋りを続けた。Yさんの引っ越しまで10日を切ったと聞き、それまでになんとかもう一度会いたく思い、遠慮がちに誘ってみたらすんなりOKが貰えた。
先日入った、美味しいパンケーキの店でモーニングをする約束を取り付けた。
嬉しくて、でももう会えないのかと思うと切なくて、なんとも言えない複雑な、しかし興奮冷めやらない気持ちでモーニングの日を迎えることになりそうだった。




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カタログギフト

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カタログギフトが昔から好きだ。結婚式の引き出物や内祝いに送られることも多いギフトのひとつで、人によっては結局のところどれも欲しいものがなかったり、また欲しい物を選択し、自ら注文し、それが手元に届くまでのタイムラグのことを思うと、面倒だという声も聞くけれど・・

しかし、ここ数年間、カタログギフトを見る機会がぐっと減った。いや、正確に言えば「見る」機会はあっても「選ぶ」機会が減ったということだ。年に何冊か届くそれは、どれもが夫関係のものであって、私が勝手に選ぶことなど出来ないのだ。

夫は、酒のつまみにカタログを開くのが好きだ。あぁでもない、こうでもないと独り言をつぶやきながら、めぼしい物が掲載されているページに付箋を貼る。そして、我が家にはガラクタがまた増える。最近の断捨離も果たして意味があるのかどうか・・
詰まらない筋トレグッズだったり、趣味の悪いネクタイだったり、統一感のない物たち。そして、夫は選んだことに満足し、実際それを使うことなど皆無に等しい。
家族の為に、高級和牛だったり、また子の為に美味しい菓子の詰め合わせを頼もうとは思わない、それが私の選んだ夫なのだ。
そして、世の奥さん連中の殆どは、この手のカタログが自宅に届けば、商品を自らの意志で選択するかと思う。普段食べられないようなちょっと良い食材だったり、またキッチングッズだったり。そして、そんな当たり前の楽しみがある家庭を羨ましく思うのだ。




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先日、祝儀だけ渡したという夫の職場の後輩からカタログギフトが届いた。夫は休日にそれをめくり、やはり何ページかに付箋を付けていたが、しかしまだ注文はしていないようだった。
なので、夫のいない時に何気なくそれを開いてみたら、思いのほか楽しくて、時間の経つのを忘れてしまう程だった。
どれでも好きなものを頼んで良いーと妄想する。虚しい妄想だが、一人時間が長すぎると段々妄想と現実との境目がぼんやりして来る。


ーあ、この明太子、昔一度だけ食べたことがあったけど美味しかったな。子にも食べさせてやりたい。

ーイッタラの食器ー、いつも憧れている素敵ブロガーさんが持っているものと一緒だ。こんな器があれば、料理のモチベーションも上がるかも。

ーこのパンナイフ、可愛い。家にはパン専用のナイフなんてないし、いつも包丁でカットしていたけど、やっぱり専用のものがそろそろ欲しいな。


そして、そんな楽しい妄想を邪魔するかのように、夫の付箋ページがぱらりと開く。


ー万歩計ーそんなもの、今時スマホのアプリでことが足りるじゃないか・・

ービジネスバッグーどうせ届いたとしても、「ちゃっちい」と言ってバザー行き・・

ーランニングシューズーそもそもランニングしているところなんて見たことがないのに、一体どうして必要なのか・・

ー体脂肪計ー既に何個も家にある・・


そして、婦人用の香水ページに付箋が貼ってあることに気付く。ある有名ブランドのもの。一体これは誰用?ふと、ツーリング仲間の女性の影が見えた気がした。 疑惑を頭から振り払い、再び自分の世界に没頭しようとカタログに視線を戻す。
欲しいものー、もし貰えるのなら・・

しかし、一度途切れた集中力はもう二度と戻っては来なかった。
何にせよ、カタログギフトが好きだ。
どんなに制限があったとしても、小さな枠組みの中でだとしても、それでも自分で選択出来ることがあれば、それは生きる活力になるのだと思う。




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ドクロ

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最近、子の服装はモノトーンが多い。
幼稚園の頃は、ピンクやオレンジなどの暖色系が多く、小学校入学頃からは、ブルーやグリーン系。ここ1年間での成長が著しく、衣類もプチプラだがワンシーズンで手放すことが多くなっていた。

女の子だからか、物心ついた頃から自分好みの服をクローゼットから取り出し、あれこれ合わせて着たり脱いだり。まだ幼い頃は、赤い柄のトップスにボトムは黄色の柄という、目がチカチカしそうなコーデにしたりもしていたが、余程のことがない限り、本人の好きなようにさせていた。


「ママー、みこちゃんもこういうの着てるし、格好良いからOOも欲しいな。」


ふらっと入った子供向けの店で、子が指したマネキンを見ると、つい顔をしかめてしまった。それは、ドクロ柄が全面に施されているもので、お世辞にも可愛いとは言えない。モノトーンを基調としており、シルバーのドクロが迫力満点のカットソー。そしてチェーンが腰回りについたチェックのプリーツスカート。親としては、ナチュラル系の女の子らしい服を着て欲しいーそれまでは友達の影響というものがなかったこともあり、自然と私が入った店の中から子が着たい服を選ぶというスタイルだったし、子も店やブランドまで指定することはなかった。物の選択権があればそれで満足してくれていたのだ。


「もう、可愛いのとかってあんまり好きじゃない・・」


私が子供の頃、服は全て母が決めていた。自分のセンスは完璧だと信じて疑わない母に、意見をすることなどご法度だった。選ばれた服を、気に入った風に見せかける。本当は隣のスカートが欲しいのに・・それを言えば、馬鹿にされるのが目に見えていた。
社会人になってからも、さすがに自分で服やカバンなどを選ぶ機会はあったものの、毎回新しい物を持ち帰ればチェックされ、あれこれ意見された。勿論、全てがマイナス意見。




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「何?そのブラウス買ったの?相変わらず地味ね~どっかのおばさんの服みたい。作業着?本当、あんたってセンスないわね。」


母と買い物に行けば、


「これ、あんたにいいわよ!これにしなさい!絶対。」


「そうですよね~、さすがお母様。そのタイプは今人気の型でして・・」


ごますり店員の言葉を鵜呑みにして、私が手に取っていた服をこき下ろす。


「それは良くない!あんた、いっつも同じようなババ臭いの選ぶわね~本当、センスない!」


店員と笑う。私は顔から火が吹く思いで、持っていたそれを元の位置に戻すのだ。そして、いい大人だというのに、自分で何が欲しくて何が似合うのか分からないようになってしまっていた。
子にはそうなって欲しくないー だからこそ、いつでも子の意見を聞いてきたつもりだ。子が選ぶキャラクターの靴ー、ちぐはぐな色で他の服と明らかに合わせにくい・・しかしその思いをぐっと堪えて財布から札を出して来たのだ。

昔の母娘の関係性を思い出し、そしてその連鎖を断ち切らなければという思いが人一倍ある。大袈裟かもしれないが、このドクロの服をどうするかは、その連鎖をどうするかとイコールなのだ。


ードクロだなんて・・子供にドクロを着せるなんて縁起悪いし嫌だ。


本音を隠し、


「そうなんだ。いいよ。こういうの、流行ってるんだね。」


欲しいものを手に入れるにはー、受動的では駄目なのだ。これからの時代、欲しいものは欲しいと手を挙げることが出来なければ、それを手に入れるチャンスすら与えられない。私のような大人になって欲しくない。失敗することだってあるだろう。自分の選んだものが周囲に認められないことだって。しかし、その苦い経験を積んで、本当に自分に必要なものを正しく選択出来る力を身に着けて欲しい、親としてそう思うのだ。




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私の前世

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所詮、私は私なのだなと思う。
社会復帰し、少しは自信が持てたと思ったけれど、Yさんにスルーされてからというもの、あっという間に心も体も蓋を閉じてしまったようだ。
彼女が越す前に、もう一度コンタクトを取ってみようと思っていた気持ちはとうに萎んでいた。

いつもは行かない、駅前の文具店へ子から頼まれていた物を買いに行った。横断歩道が黄色になったので自転車を停めると、視線の先にYさんがいた。1人、彼女も信号待ちをしているのだが、流れる車を眺めていた。
咄嗟に、青信号である横断歩道に右折し、そのまま突っ走った。気が付かないふりでー、Yさんは私に気が付いただろうか?しかし、あの日にスルーされた現実を前にして、にっこり笑って挨拶をすることなど不器用な自分に出来る訳もなかった。




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結局、買う予定だった物は、足を延ばしてショッピングモールまで出向き、購入するに至った。その間、ずっと悶々としていた。そのまま家に帰る気力がわかず、思い付いて前から気になっていたパンケーキ屋に入る。その店は、外から見てもひとりで来ている客が多かったし何より静かで落ち着いた雰囲気だった。
店内に入り、食べたことのないリコッタチーズのパンケーキを頼む。ワンコインで美味しいモーニングを味わうことが出来る店。今日ここで使ってしまった金は、今日のうちにライター内職で取り返すことに決めていた。なので罪悪感は少々薄れた。今度は子と一緒に来よう。パンケーキを口に運びながら、携帯占いで前世を占う。
「囚われた画家」ー、牢獄で絵を描き続けていた、そんな前世。その結果に、なんとなく腑に落ちる自分がいた。




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親子の距離感

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懇談会の後、担任から話があると言われたことで気になっていたところ、夕方頃電話があった。


「お忙しいところ、すみません。OOさんのことでお話しがありまして・・」


受話器の向こうで、担任の咳払いが聞こえた。こちらも居住まいを正し、ワンオクターブ高いよそ行きの声を出す。


「いえ、こちらの方こそ途中で抜け出してしまって申し訳ありませんでした。」


社交辞令的挨拶を互いに終え、いざ本題に入る。


「実はですね、OOさんの作文を県のコンクールに出そうということで・・校内で決定された件、OOさんから聞いてますか?」


初耳だった。


「いえ、作文というのは?」


「家族についての作文なんですがね。とても素晴らしくて、私がコンクール提出作品に推したんです。それで、その事実をOOさんに伝えたらとても喜んでいて・・しかし、私のミスでもあるのですが、類似した文章が既に過去の賞でありまして、そうなると審査も厳しくなりますので校内で検討した結果、今回は見送ることになったんです。あくまでも「類似」であって、真似したとかではないのですが・・本当に、今回は私の勉強不足でして。
一応、OOさんには了解を得たんですが、恐らくショックも大きかったのではないかと思いまして。ご家庭でのフォローをお願いしたいと思い、今回お電話させていただいたのです。」


「そうですか。いえ、それは仕方ないです。OOからその件については聞いていませんが、それとなく聞いてみます。」


「本当に、申し訳ありません。OOさんにもよろしくお伝え下さい。」


静かに受話器を元の位置に戻し、目を閉じた。正直、誰かとのトラブルかと焦っていたので、そうでなかったことにほっとすると同時に、子の心の心配をする。遊んで帰って来た子に、それとなく聞いてみた。


「さっき、先生から電話があってね。なんか、作文すごい上手に書けたらしいじゃないの。」


「んー。」


子は、興味なさそうな素振りで、冷蔵庫からジュースを取り出しごくごく一気に飲み干すと、テレビ前のソファーにどかっと寝そべった。


「先生、謝ってたよ。コンクールに出せなくなったこと。ママも残念。で、どんな内容?」


努めて明るく聞くが、気のない返事。


「んー、忘れた。適当。」




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最近の子は、度々プチ反抗期とも思える口調を返すことがある。しかも、ソファーに寝そべっている姿は夫そのもの。こちらが子を気遣い、下手に出ているというのにお構いなしなその態度に、次第に腹が立ってきた。


「適当って?ママの話、ちゃんとこっち見て聞いて!」


急にヒステリックになった母に、驚きを見せながらも、何故だか子も負けじと意固地な態度を取り続ける。


「だーかーら!ほんとに忘れちゃったの!!うるさいな。」


しおらしく項垂れでもしたら、思い切り慰めて、ちょっとばかり担任の悪口でも言い合って、戸棚の奥にあるとっておきのクッキーでも出してやろうと思っていたのに・・テレビを観ながら、ゲラゲラ笑っている子に対し、言いようのない怒りが湧く。


「親に向かって、その言い方は何なの!?誰のお陰でこの家にいられるの?そんな口叩くなら、もう宿題も見ないし、食事も作らない。洗濯だって全部自分でやってよね!!」


さすがに子も、私の豹変ぶりに驚き、そろそろとこちらにやって来て小さく謝った。


「ごめんなさい・・・」


しばらく子に対しては安定していた情緒だったが、思わぬところで爆発ー日々の鬱憤を晴らすかのように、夫への不満をぶつけられない分まで吐いてしまった。


「ママ、そんな態度の子なんか要らない!もう出てく!パパと二人で暮らせばいい!パパは夜しかいないから、家のことは全部あなたがやりなさいよ。遊ぶ時間だってなくなるし、宿題だって間違いだらけ。洗濯してないきったない体操着にしわしわのハンカチ、それにぐちゃぐちゃの給食袋を学校に持ってって、友達に笑われればいいんじゃないの?」


子の表情が途端にぐしゃっと変わるのと同時に、瞳からは、みるみる涙があふれ出た。それなのに怒りは収まらず、トイレに閉じこもる。まるでー、子がまだ2歳くらいの頃、イヤイヤが酷くてストレスがピークになった、あの時と同じだった。


ードンドンドン!!!


トイレのドアを叩く音が聞こえる。


「ごめんなさぁーい、ごめんなさぁーい!!」


子が、先程までのスカしたような態度から一変して、感情を露わに号泣したことで、ようやく私の気持ちも治まった。


ーサイテイ・・・


自分自身に反吐が出る思い。トイレから出て、子を抱きしめてから仲直りした。


「ママ、悲しかったんだよ。OOがこっち見て話してくれないから、ママなんてもう要らないのかなって、そう思ったの。」


これは、本心だった。子に必要とされない自分ーこの家にいてもいなくても良い存在ー、夫だけでなく、子にまで疎まれたら、私は一体どこへ行けば良いのだろう?追い出される前に、自ら出て行くことの方が傷つかないで済む、そんな気がしたのだ。
些細なこと、しかし、現実に数年後に迫るそれが来た時にどうなるのか自分が怖かった。その恐怖心から子を怒鳴ってしまった。


「ごめんね。」


「ママも、怒鳴ったりしてごめん・・」


互いに泣きはらした真っ赤な目で、しかしもっときちんと仲直りがしたくなり、一緒に早めの風呂に入った。裸と裸で狭い湯舟に浸かる。子を赤ん坊の頃のように、膝に乗せて。
最近、一緒に風呂も入っていなかった。しばらくぶりに見た子の裸は、すらっとした長い手足と締まった尻、それはもうすっかり少女の域に入っていた。あのぽっこりお腹とムチムチの手足が懐かしかった。


「ママ、あっちむいてホイ、しよう。」


「いいよ。ママ、負けないから!」


風呂場でしんみりしてしまったその気持ちを、互いに隠すかのように、これまた久しぶりの遊びに没頭する私達がいた。





*************


前記事に、多くのコメントありがとうございました。
どれも参考になることばかりで、情報網に薄い私ですが、ブログをしていて良かったと心底思いました。
また、とても心に残った言葉があり、私のように悩まれている方々に共有して欲しく、勝手ながらそのほんの一部を掲載させて下さい。(コメントを承認にすれば良いのですが、いつの記事のコメントとして掲載されるのかが分からないので・・)


「子供時代って、満たされることだけが大事なのでしょうか?悔しかったり、悲しかったりもとても大切なはずです。でも今は、親が満たしてやることばかりに貪欲で、ネガティブな要素はとことん排除する・・・そんな風潮になっているのかもしれません。だから、自分以外の人の気持ちに対して鈍感な子供が多いのかもしれないですね。
ネガティブ上等!ってわけでもないけど、恐れるに足りず!くらいの気持ちで行けたらいいですね。これは私自身に対しての言葉でもあります(*^^*) 」


通りすがりさん、本当に救われました。
お気に障れば、すぐに削除しますのでお申し付け下さい。


seline




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こなれた1本結び

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素敵ママを一言で表すとしたら、正に「こなれ感」のある人だと思う。
例え、スウェットにパーカーで出歩いていたとしても、なんというか垢ぬけたものがあるのだ。
今朝、ゴミ出しで彼女を見掛けた。近所のママさんと井戸端をしている感じだったのもあり、エントランスに出るのを躊躇し、また自宅に戻った。
ぱっと見、恐らく部屋着だったのだろう、それでもやはりお洒落な感じ。
一方、私はというと本当に部屋着。よろよろの毛玉満載のグレーのトレーナーに、ボトムはいつ買ったのかさえ思い出せない程、昔のジャージー素材のパンツ。これも同じくよろよろ感が半端ない。なので、一旦着替えてからゴミを出すことにしようと思い直したのだった。

ボブだった髪の毛が伸びて来ており、そろそろセルフカットの時期なのだが、寒いこともありそのまま。家事をする時は1本結び。最近は外出の時も一つに結ぶことが多い。 しかし、私の1本結びはなんというかダサい。
最近の垢ぬけヘアスタイルとして、1本結びは後頭部にボリュームを持たせるのだと言う。雑誌のモデルの1本結びー無造作だが垢抜けたあのスタイルは、実は手間がかかっている。
まず、髪全体をコテで巻く。パーマがあればそのままでも良いのだろうが、基本、きちんとコテで巻くことによってあのこなれたニュアンスが出るのだ。
コテで巻いたら、髪全体に掌に薄く伸ばしたヘアワックスをもみ込み、手櫛でささっと一つにまとめる。この時、後頭部をふんわりさせることを意識するのが良いらしい。そして、いかにも櫛できちんとといた感じーつまり、ひっつめにならないよう注意する。
ゴムで縛ったら、後はところどころ毛束をつまんで引っ張ったりの微調整。これで大体こなれた1本結びの完成だ。




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YOUTUBEの動画で何度も見て、挑戦してみた。
しかし、どうにもこうにもつむじの位置が悪いのか、後頭部にボリュームを持たせようと頑張るも、ぱっくり地肌が見えてしまう。それに、毛束をところどころ引っ張ると、こなれ感どころかやつれ感が出てしまう。
汗だくで、後ろ手に鏡を持ち何度も試行錯誤、やっと出来たと思い鏡を見ると、私の地味な顔立ちも手伝って、野暮ったい生活に疲れたおばさんが目の前にいる。何度やってもうまく出来ない。
そして、目立ち始めた白髪がぽつぽつとあるのも気になる。このぽつぽつが、更に悲壮感まで漂わせるのだ。

外出もなく、あまりにも暇な平日。じたばた鏡の前で頑張るアラフォーおばさんに苦笑い。それでも、まだ「女」でいたいわずかな欲求が、そんな無駄にも思える行動を起こさせてしまうのだ。




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発表会に呼ぶ人数、ゼロ

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子がピアノをやりたいと言い出したので、ネットで情報収取をする日々。しかし、気になるお悩み相談を見つけ、薄暗い気持ちになった。
それは、バレエやピアノなどは「発表会」なるものが存在するということ。以前、まいこちゃんの発表会に出向いたことを思い出す。確か、数合わせでお呼ばれし、もやもやした気持ちで帰宅したあの日は今でも苦い思い出だ。
交友関係が広い親子は、勿論多くの友達を晴れの日に呼ぶだろう。そして、たくさんの花束を貰う。
まだ、習うともはっきりしていない子の発表会を妄想し、すっかり落ち込んでしまった。


ー誰も呼ぶ人がいないではないか・・・第一、貴重な休みを削ってまで子の為に来てくれる人などどこにいるのか?一体、それが叶うのは、どんな人種なのだろう?ママ友100人レベルか?




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まいこちゃんは、バレエの発表会でたくさんの友達を呼び、キラキラした表情で抱えきれない程の花束を抱え、そしてまいこちゃんママはそんな娘の晴れ姿を満足気に眺めていたのだー。娘が抱えきれなかった分のぬいぐるみや風船を手にー。
そんな親子の足元に到底及ぶはずもなく、そして、家族しか観に来ないであろう子がそれを惨めに思うのが怖かった。また、それをフォローするだけの社交性もない、気の小さな頼りない母を持つ子のことが心底不憫に思えた。

夫は、年度末ということもあり忙しく、子は新たな習い事の打診を父親に出来ずにいる。このまま時が子の気持ちを変えてくれれば良いのだがー、地味だが、親の送迎もなければ発表会もない、しかし将来役立ちそうな書道やそろばんに心変わりをしてくれたらというのが勝手だが親の本心。
こんなくだらない事に気を揉む自分に、相変わらずの情けなさを思いため息が出る。
子の未来ー、まだ人知れず可能性を持っている。その小さな芽を、そんなことで潰すのは気が咎めるし、いくら親だからといって許されるはずもない。






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フレンドリーな違和感

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ダンス教室で、この間会釈を無視してしまった彼女のこと。ずっと心に引っ掛かっていた。後味が悪く、今度会ったらこちらから会釈をしようと心に決めていた。
自分でも、何故あれ程に最低な行動を取ったのだろうと思い悩んでいた。されて嫌なことをするなー、我が子に正面切って言えなくなってしまった。

第一印象は大事だ。しかし、いくら表向き繕っていても、内側から滲み出るものはある。私に友達がいないのも、恐らくこうした腹黒さや暗さが周囲に伝わるからなのだろう。プライドばかりが高く、その癖小心者。時に善人ぶっておきながら平気で冷酷な態度を取る。こんな自分に心底嫌気が差していた。

子をスタジオに送り届け、辺りを見回す。まいこちゃんママらが見えたが、私のことなど眼中にないらしく、千葉ママや小太りママといつものように盛り上がっている。あぁ、そうか。今日は関西ママもいた。一際目立つ群れに気後れしてしまう。


「いつから習ってるんですかぁ~?」




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突然、背後から話し掛けられて体がビクっとした。振り返ると、先日無視してしまった女性だった。今度もまた毛玉がたっぷりついたからし色のセータに、色褪せた黒いパンツ。黒縁眼鏡の下からぎょろっとした目でこちらを見ている。
何だろうーこの嫌悪感は・・しかし、それを相手に伝えないよう細心の注意を払い、質問に答えた。


「もう1年半前くらいからです。本当はバレエをやりたがっていたんですが、年齢的にも厳しくて・・」


「へえ!バレエですか。お金掛かりません?うちはこれが精一杯。どうしてもやりたがって、やっとです。あ、申し遅れました、野田と言います。」


「あ、OOと申します。お子さんは、何歳ですか?」


「今年、1年生です。OOさんのお子さんは?」


「うちは今度の春で3年生です。」


「バレエってことは、女の子さんですよね?」


「はい。」


「うちも!小学校のこと色々教えて下さい~お住まいは?」


矢継ぎ早にあれこれ質問を受けた。そして、それを返すのに必死でどんな質問をされたのか全てを思い出せないでいる。確か年齢も聞かれた。聞かれた途端、彼女は急に私にため口で話すようになった。少しの違和感を感じつつも、フレンドリーな人なのだと気にしないよう努めた。


「そうそう、メールアドレス教えて。私、ガラケーなの。スマホはお金無いし、貧乏人には贅沢品だからね。あ、OOさんもガラケーじゃないの。気が合うね、私達!」


グイグイ来られて、違和感は確かなものになる。見た目は身なりだけでなく、なんとなく直観的にあったのだーこの人は近づいてはならないーと。

しかし、結局言われるがままにアドレス交換をしてしまった。
嫌悪感から罪悪感、そして違和感はやっぱり嫌悪感へと、私の気持ちは目まぐるしく変わって行った。




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今日は、朝から冷たい雨。
冷蔵庫の中身が空っぽだったので、黙とうの時間に間に合うよう、買い物へ行った。その時間は、家にいたかった。
なんとなく、食べたいものも浮かばなかったので、今夜は水炊きにしようと白菜にタラを買った。

昼食後、簡単な弁当の残りを食べ終わり、じっくり朝刊を読む。震災については大きく取り上げられてはいるものの、確実にそのコマ数は減っている。
日々、私達には目新しいニュースがあって。決して過去は上書きされるものではないけれど、それでも見出しは小さくなって行く現実を前に、私達が出来ることを探していかなければならないと思う。


「3.11」の検索で、10円の寄付がされる。たった1秒、黙とうの時間にもならないけれど、それでも多くそれが集まれば「力」になると信じて。




3.11、検索は応援になる。










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習い事の平均値

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ピアノにバレエ、スイミングにダンス、絵画やそろばん、習字に公文。小学校に上がると、習い事のひとつやふたつは当たり前の世界。特に、住んでいる場所にもよるのかもしれないが、子の学校に通う子供達の殆どは、習い事の数で言えば平均値は3つ辺り。よって、子もやりたいことが定まらず、ふらふらする始末。


「音楽の授業でね、OOだけだよ。音符の意味が良く分かってないの。テストの点も悪かったから恥ずかしかったよ。」


男の子でも、最近ピアノを習うのは珍しくないらしい。3年になれば、リコーダーもある。確かに音符は読めた方が良い。しかしー、現在通っているダンス教室、それにスイミング。タブレット通信教育も取り入れれば既にその時点で3つの習い事だ。平均値ど真ん中。これ以上増やすにしても、費用も掛かるしまた夫を説得するのもなんだし、何より私自身の考えとして、子の為になるのかどうか考え込んでしまう。


「バレエはお金が掛かるでしょう?だから諦めたの。ピアノの方が安いでしょう?」


ー・・・


子が急に費用のことを言い出す。我が家の経済事情は一切子に知らせていないというのにー、何故?


「OOの家は団地だからお金ないんでしょう?クラスの子が言ってた。だから、ピアノ習ってないんでしょって。」


顔も名も知らない、そのクラスの子とやらが憎らしかった。そして、それをそのまま鵜呑みにしてしまう子にも腹が立つ。


「団地だからって貧乏とは限らないよ!パパがしっかり毎月家賃払ってるんだよ。お家持っている子より実際の貯金はあるかもしれないし、どんなに大きな家に住んでいても小さな家に住んでいても、それでお金持ちか貧乏かだなんて分からないんだから。そんな考え持ったらダメ!」


多少きつく子に言い聞かせた。




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「習い事は3つまで。それ以上したら、学校の勉強が出来なくなるし、今までみたいに放課後友達と遊ぶことも出来なくなるんだよ。分かってる!?」

それを聞くと、子は初めてその事に気が付いたのだろうか、はっとした顔をした。



「そっか。遊べなくなるのは嫌だな・・あ!じゃあスイミング辞めてピアノにする!」


子どもは心変わりが早い。そして、子どもの教育上、言われるがままにそれを叶えるのは良くないことだと分かっている。分かっているのだがー、正直スイミングの待ち時間、一人ファミレスで時間を潰すのにも、スネ夫ママの気配におどおどするのにも疲れ果てていた。出来ることなら、このタイミングでそのストレスとおさらばしたいのが本音だ。


「じゃあ、自分からパパにお願いしてみて。」


「やったー!」


恐らく、子を溺愛している夫は直に頼まれれば嫌と言わないだろう。今、私から夫を説得するのは気が進まなかった。最近の夫は何かと神経をぴりつかせているし、苛々の矛先が私に向けられたら堪らない。いくら夫でも、さすがに子に八つ当たりなどするはずがない。


ーこれで、ひとつストレスが軽減される・・


子がやりたいことを、私の勝手で辞めさせるのは罪悪感があるが、そうでなければそういった気持ちに縛られることはない。むしろ解放感で一杯だ。今夜は夫が飲み会で午前様だし、祝い酒に98円のレモンサワーでも買うことにしよう。



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PMSと閉塞感

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今日も子と以外、誰とも会話をしなかった。


外に出れば、顔見知りにでも会うかと思い、億劫な気持ちを抑えて外出したというのにー


団地近くの公園前で、酒井さんらが近所のママ友や子供達と楽しそうにしているのを目にして、遠回り。マスクもしているし、彼女らの前を通ったところで気付かれないだろう。それでもUターンし、その道を避けてしまう自分が情けない。

気分転換にと思い、ショッピングモールへ行くけれどそこでも撃沈。
楽しそうな何組かの親子が、会話に花を咲かせて爽やかに横切っていく。ここでまた孤独感が増した。

ぐるぐる買いもしない洋服を見る。店員が近づくと、気になった服があってもさっとその場を離れる。自らが孤独を選んでいるのだと知りつつも、完全ばっちりメイクに女子力高めの美人が近づくだけで、気後れしてしまうのだ。そして、不釣り合いな服を選んでいるおばさんだと思われていると勝手な被害妄想。
昼時だったこともあり、小さなランチバッグや財布片手に定食屋前はOLらがメニューを選び、上司の悪口を叩いている。私よりも一回り以上年下の彼女らは、一見何の悩みもないように見える。
しかし、彼女らからしたら、私こそ何の悩みもないような女に見えるだろう。夫も子どももあり、仕事をしなくても食っていける気楽な人種に写っているに違いない。




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携帯の着信は相変わらず何もない。
あるのは、送信履歴に夫の名前。しかし、そのどのメールも文章などないただの写真。捨てたものたちが日々データとして蓄積されている不思議。
もう、存在しないもの・・・無意味なそのデータを削除する。しかし、心はちっとも晴れなかった。

雑貨屋で、勢い余って安いブレスレッドを購入した。1000円もしない、まるでおもちゃのブレスレッド。少しだけ、心がスカッとした。

パスタとトマト缶のみ買い、ブラックタイムに重ならないよう、自宅に戻る。エントランスは静まり返っており、この団地内に唯一訪れる静寂な時間。
エレベーターを降りると、廊下に素敵ママとお隣さん、それから見知らぬ親子2組の後ろ姿。これからお隣さんの家に行くのだろう。さっと反対側の塔の階段裏に身を隠す。1分程時間を置いて、自宅へと向かう。ゆっくりゆっくり。声が聞こえないことから、皆既に家の中に入ったのだろう。音が立たないよう、鍵を回し家の中に入った。

閉塞感。
気楽とは程遠い孤独感。
カレンダーには、子の学校行事以外何も予定はない空白。その空白は、私自身のからっぽのようでなんだか泣けた。

数字を眺めていると、あぁ、もう数日で生理なのだなと気付く。PMS症状が一番強く出る時期だ。
締め切った部屋の中、隣の様子を気にしながら、一人、コーヒーを啜る。赤ちゃんの泣き声が聞こえる。続いて大人の笑い声が複数。テレビの音量を上げる。それでもまだ、彼女らの声が耳について離れない。

このまま終わって行くのだろうか?勿論、まだまだ子育てでの課題は残っているけれど、しかし今平行して何かを築いていかなければという焦りが私を襲う。
早く、生理が来て欲しい。
この辛さから解放されたい。声にならない声ー、クッションに顔をうずめて静かに泣いた。




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「一言」の恐怖ー続き

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「ではー・・どうしましょう。」


「あ、じゃあ、目が合ったので私から!」


元気そうな、肝っ玉系の母親が身を乗り出し、同じグループのママ友達から笑いを買った。私の緊張などよそに、一気に場は和やかムード。そして、その母親を始点として、コの字型をぐるりと一周ー、つまり、私の位置は”とり”を務めることになると気付き、まな板の上のコイ状態に陥る。
ざっと見渡してみると、20名あまりの中には、ママ友はいるらしいが気の弱そうな人だったり、緊張からか顔がこわばっている人もいたので少しだけほっとする。
トップバッターに躍り出た母親は、始終笑顔でちょっとした冗談を交えつつ、子どもの失敗談からの成長エピソードや面白話、そしてきちんと担任を立てる発言も忘れない。最後に私達に向かってもお礼の言葉を述べた。


「皆さんのお子さんに直接一人ひとりお礼を言えるわけではないのですが、息子がこの1年楽しく学校に通えたのも、クラスのお友達の力によるところが大きいかと思います。本当にありがとうございました!」


彼女の言葉が終わり、しばしシーンと沈黙の時が流れたが、右隣の母親が続いて皆に向かって頭を下げ、担任に向かっても頭を下げると、当たり障りのない、しかし場当たり的ではない言葉を選んだ一言を述べた。


ー皆、あらかじめ言葉を用意しているのか?


今回、私はメモをして来なかった。なぜなら、欠席すると腹に決めていたから。それが、担任から呼び止められるというアクシデントによって、大きな失態を招いたのだ。


ーどうしよう、どうしよう。誰か・・・しどろもどろな発言をしてくれないか・・


しかし、私の意に反して、誰もが無難に一言を述べて行く。すらすらと流暢にーまたはぎこちなくても誠実に。そして、ついにあと2名で順番が回って来るという時だった。心臓が早鐘のように打ち、嘘のような本当の話だが、実際その音で彼女らの声が掻き消される程。


ードッキンドッキンドッキンドッキン!


そして、あと1名ー大人しそうな母親。しかし、どっしり落ち着いた様子で、緊張すら見せずに滑らかに言葉を繋げて行く。皆、一言と言われたというのに、実際には「一言」で終わらずに二言三言ー、いや、1分間スピーチ以上の尺を取っており、それを乱すことは許されないー、そんな空気に教室中包まれていた。


「-・・・本当に、1年間お世話になりました。ありがとうございました。」




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最後まで一定の落ち着いたテンションを保ちつつ、一言を終えた彼女に担任は頭を下げると、今度は私の方に顔を向けた。もう、この時は緊張の頂点。口から泡を吹きそうなー、そんな勢い。そこで、急に私の携帯電話が鳴り始めた。普段、携帯が鳴ることなどない為、バイブにするのすら忘れていた。

リリリーン!リリリーン!!

教室中、また違った緊張の空気が漂ったのと同時に、


「あ、出て下さって大丈夫ですよ。」


担任が笑顔を浮かべて言った。


ー天の助けだ・・


私は一礼だけすると、すぐに鳴り響く電話を手に、廊下へ出た。着信画面を見ると、それは夫からだった。


「もしもし、家に掛けたんだけど出ないから。今どこ!?」


「え、学校。今日はOOの参観日と懇談会だって朝言ったよ。」


「・・・それより、ちょっと急ぎで部屋の机の上に置いてあるクリアファイルの資料の何枚かを写真撮って送って欲しいんだけど!15分までに出来る!?」


出先で、自宅まで自転車を走らせたらなんとか10分。出来ないことはない。いつもなら頭に来る一方的な無理強いも、この時ばかりは神の思し召しかと思った。


「はい!分かりました!すぐに送ります!!」


頬を蒸気させ、教室のドアを開ける。担任を呼び、


「すみません!急な仕事が入ってしまって・・申し訳ありませんが、途中退席させていただきます。」


「あ、分かりました。では、ちょっとお話ししたい件につきましてはまた後日こちらからご連絡させていただきますね。」


「はい!すみません、お先に失礼します。」


結局、夫のお陰で恐怖の一言から逃れられた。
勿論、頼まれた写真は滞りなく送信することが出来たし、夫も助かったようだ。


ー嘘はついてない。仕事だ。夫のだけれどー、大事で急な仕事だったのだ。


少しの罪悪感で胸の奥がチリリと痛んだ。それを打ち消すように、買い置きの安い赤ワインをグラスに注ぎ、一気に体に流し込んだ。




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「一言」の恐怖

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ネットで「懇談会」という言葉を検索すると、思いのほか出て来るネガティブワード。
「一言」「緊張」「憂鬱」「欠席」「自己紹介」などだ。私だけではない、一般的に多くの親が何度経験しても、憂鬱になる「保護者からの一言」。

学期末の参観、そして懇談会。参観はいつものように壁の花となり子の様子を見守る。特に目立った様子もなかったのだが、今回は生徒が生徒を自由に指して発言させるーという試みを授業内で取り入れており、目立つ子の独壇場となったのだが、それでも子がいつ当てられてしどろもどろになるかハラハラさせられながらの1時間だった。

参観が終わり、廊下でぺちゃくちゃと次の懇談会まで待機する親達を後目に、今日もその場から逃げ出すつもりで廊下に出ると、担任に呼び止められた。


「OOさん!すみません。今日懇談会ご出席されますよね?終了後、少しお時間いただけますか?お話ししたいことがあるもので。」


ーギクリー


マスクの上の目だけではその表情は担任に伝わらなかったと思う。担任は、そんな私の心の動きなど気付くはずもなく、条件反射で頷く私を認めると、事務的な笑顔を残して教室に入って行った。

廊下には、同じクラスの保護者がざっと20名程度。これが多いのか少ないのか分からないが、学期末ということで担任にお世話になったお礼でも述べたいと思う親が多いのだろうー、クラスの三分の二程が出席だった。残る三分の一は、やはり未就園児の下の子を持つ親や、仕事で中抜けして参観だけの出席をした親だけのように思えた。

帰りの会が終わると、ぞろぞろと子ども達が教室から出て来た。


「ママ!懇談会出るの?じゃあ今日児童館に行ってもいい?」


子は、久しぶりにみこちゃんと約束を取り付けたようだった。頷くと、家の鍵だけ受け取り、そのまま私を振る返ることもなく昇降口へと去って行った。



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「では、保護者の方、中にお入り下さい~」


その声は、まるで死刑宣告さながら、ただただ流れに身を任せ、なるようにしかならないと覚悟を決めた。
順々に埋まっていく席ーそして、顔見知りやママ友同士、廊下での会話の続きをしながら隣り合わせに順々に着席して行く。最後に教室に入った私は、どこに腰を下ろしたら良いのか戸惑いながら、人気のない廊下側の一番後ろー、コの字型になった角っこを自分の場とした。

最初の30分は、担任が3年生に向けての必要な準備等、諸々事務的なお知らせの伝達ー、そしてもう30分は1年の総括ー、クラスの子供達の成長だったり思い出話、そしてこのクラスを受け持った感想や保護者に対してのお礼などを伝え、また質問タイムを設け、誰からもないだろうと思っていたのだがそれに反し、何人かの親が挙手し、積極的に担任にあれこれ質問し、それに担任が返し、また適度に笑いなども交えつつ所謂、「談笑」の時間が続いた。
殆どの親が、その「談笑」に入り込んでいる様だったのが、また疎外感。20人という大人数ながらも、それぞれがグループ単位だったりするので、そのグループの1人が発言すれば、その他メンバーもその会話に入れているという図式がそこにあった。 時計の針を見ると、予定終了時刻より10分も経っており、私は最後にあるであろう「保護者からの一言」タイムがなくなることばかり祈って、談笑に集中することなど出来ずにいた。

談笑が終わり、担任が「区切り」の表情を見せた後、口から出た言葉に私は絶望感を抱いた。


「それでは、もう時間なのですが・・・最後ですし、よろしければ皆様にぜひ一言ずつお言葉を頂きたいのですが、よろしいでしょうか。」


それに反論する親などいるわけもなくー、心の準備はしていたはずなのに、あわよくばという期待が少しあったことで、一気に崖から突き落とされた気分。
恐らく、マスクの下の私の顔色は真っ青に違いなかった。




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女の子のお祭り

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年に一度の女の子の節句、ひな祭り。
スーパーの店頭に並ぶ、色とりどりのひなあられやちらし寿司の材料、それに桃の花。
女の子の親というだけで、こうして華やいだ気分を味合わせてくれる我が子に感謝。

イベントをリアルタイムで行なえば、それなりの費用が掛かる。正月やクリスマスが良い例だ。
花屋の前を、行ったり来たり。桃はなんだか綺麗なピンクではなく、それでも800円近い金額。目を引くアレンジメントされたものー、菜の花やガーベラ、それにかすみ草などが入ったものだと、1500円~2000円はする。
花より団子ー子はケーキの方が喜ぶかも・・と思いながらも、しかしきちんとお祝いをしてあげたかった。桃の花とひな人形の前で写真を撮ってやりたいのだ。
しかし、どうにもその花屋の桃は気に入らず、近くにあるもう一軒の花屋へ向かった。すると、私が求めていた小ぶりだが色味の綺麗な桃の花ー二本入って400円しなかった。
ほくほくした気分で、それを手にちらし寿司の具を買う。いくらも高いがこれは外せない。しかし、どこかで妥協ーと、子もあまり好きではないはまぐりは中途半端に中国産の安い物を買うのはやめて、しじみで代用。はまぐりでなくても、貝が2枚合わさることー良縁にいつか恵まれますようにの思いは変わらない。
そして、スーパーのケーキコーナーで、ひなまつりらしいいちごのロールケーキも買った。

子が帰宅する前に、ちらし寿司は完成。それから唐揚げとサラダも作った。
帰宅した子は、テーブルの上にある寿司を見ると、


「えー、今日、給食もちらし寿司だったんだよね。」




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予想外に、渋い顔をした。そして、その表情が夫そっくりだと気付き、ショックを受けた。しかし、私の悲しい気持ちを汲んだのか、


「あ、でもママの作ったちらしの方が美味しそう!給食のはいくら入ってなかったんだよね。」


取り繕うように言う。今度は私の表情に似ているような気がした。

そして、昨夜は珍しく夫は定時の帰宅だった。何の連絡もないので、いつものように先に子と食べようととりわけ始めたところ玄関の開く音が聞こえて驚いた。
手にはケーキをぶらさげていた。


「ほら、お土産だぞ。」


「やった!!ショートケーキ?」


「ひなまつり仕様だよ。」


有名店のケーキだ。それを受け取り冷蔵庫へ。夫の機嫌を損ねないよう、買ってあったロールケーキはそっと奥の方に隠した。 家族皆でご馳走を食べ、食後にはケーキ。夫が買って来たものも同じくロールケーキだった。


「3000円もしたんだぞ。」


やけに上機嫌な夫に、わずかな不信感を抱く。あの、「損切り」はどうなったのだろう?しかし、その場の楽しい雰囲気を壊したくないので、それを頭の隅っこに追いやり、二人の皿に寿司を取り分けることに集中した。

穏やかな日常、普通の家族の食卓、幸福の象徴、しかし胸の奥がざわつくのは何故なのだろう?キラキラしたいくらの粒を顎に付けたまま、興奮した様子で学校の出来事を話す子に、うまく自分を重ねられずにいた。




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気分転換

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晴れた日に、家にこもっていても気分が優れない。かといって、近所のスーパーに出向いても、顔見知りが楽しそうに群れている現場を目にすれば余計に滅入るだけだろう。
なので、電車に乗って遠出することにした。子は1週間のうち2日間は6時間授業、朝7時過ぎに家を出れば、夕方4時まで帰って来ない。

今の自分を好きになれず、いや、これまでの人生において好きだった時期なんてわずかだが、唯一自分が好きだった頃の思い出の場所へーそれは横浜。大きな観覧車を見上げ、平日だというのに若いカップルが行き交うクイーンズスクエアの中を通る。ぼんやりー、それでも鮮明な記憶ー

元彼がこの通りの露店で買ってくれた、小さなアクセサリーを入れる小箱はもうとっくの昔に捨ててしまった。手のひらに収まる程の大きさの、真鍮で出来た花の模様の小物入れ。
あの小さな入れ物の中に、私の夢が詰まっていたのだ。あの夢は一体どこへ消えてしまったのだろうか?

ふらりと入った店、普段なら入らないような値段の張る雑貨や服が並んだセレクトショップ。春物を身にまとったマネキンが、あまりにも自分の好みにドンピシャだったのと、店員がなんとなくだが感じ良く見えたことで店内に入る勇気が湧いた。


「そちらの商品、他にブルーとイエローもありますよ。」


私が手に取っていた、エメラルドグリーンのニットソー。マネキンが着用していたものだ。店員は、派手でもなく地味でもないー、恐らく、1時間後にすれ違ったとしても思い出せないであろう特徴のない顔立ちで、しかしその平凡さが私の気を楽にした。また、アパレル店員特有のスタイルの良さだったり美しさが、私をいつでも気後れさせ、店内に入ることをためらわせるのだが、彼女の少々ぽっちゃりとした柔らかな雰囲気も、人に安心感を与えるのに十分な印象だった。


「最近温かくなって、なんだか春物が欲しいなって。」



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いつもなら、そのまま苦笑いして商品を戻し、その場を去るのだが、なんとなく人恋しい気持ちがそうさせたのか、気が付くと彼女の言葉に愛想良く返事を返す私がいた。
それからは、なんでそんなことになったのか分からないが、気分を明るくしたいから服を買いに来たーから始まり、今度の参観日に着て行く服を探している、そこから子どもの話、学校の話、気が付くと赤の他人にあれこれ自分の身の上話を打ち明けていたのだ。 彼女は、そこらのカウンセラーより余程、「聞き上手」に思えたし、何故私もこんなにペラペラ口が回っているのか分からなかった。しかし、彼女の合いの手ー、私が何かを言うとそれを更に掘り下げ質問をし返してくれるその話術の巧みさに、こちらが飲まれているのかもしれないと頭の隅で思いつつも、それが心地良く、許されるのであればいつまでもいつまでもその中に浸っていたかった。 気が付くと、7900円もするニットソーを購入していた。普段、1500円くらいで購入するであろうその類のトップスは、私にとってはあまりにも桁違いの代物だ。
しかし、まるで酒に酔ったかのように彼女との会話に酔っていた私は、気持ち良く財布から万札を出しそれを受け取ると、ほくほくした気持ちで店を出た。
ショップのDMを送りたいとの申し出は、夫に見つかるとまたやっかいなことになるので丁重にお断りし、その代わりにメールアドレスを彼女に伝えた。
嬉しかったことはもう一つ。こんなことは初めてだが、店員に「名前」を呼ばれたのだ。


「OOさんとお話し出来て、楽しかったです。またのお越しをお待ちしています。」


甘いものが食べたくなり、ランドマーク内のジェラート屋へ行った。そこで、少し奮発してピスタチオのそれを頼む。気分は少しだけれど上昇。そして、スワロフスキー社製のクリスタルエレメント約5,000個を飾り付けた「クリスタル桜」を眺める。きらきらと光りを反射させながら表情を変える桜は人工的だったけれど、甘いものとキラキラしたもの、そして春色の買い物に、日頃の憂鬱もこの日はだまされてくれたようだった。




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沈黙・・・

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実母に誕生日プレゼントを贈ってから、何日も経つ。
すぐに返って来ると思っていたレスポンスは、いまだ無い。計算外の出来事に、正直胸がざわついている。
宅配会社の追跡番号、フライングで何度も確認。無事、商品が届いたのを確認してもう1週間以上過ぎた。


ーさすがに、何かを感じ取ったのか?
ーメッセージカードがついていなかったこと、事務的で心のこもっていないプレゼント。それに気が付き、沈黙を守っているのか?


何もないことに、安堵するどころか鉛のように心が重くなる自分がいる。
このまま音信不通で良いのだろうか?あちらも意地になっている、ここはやはり大人の対応として娘の私から電話をするべきなのではないだろうか?
今、もしも実家に何かがあった場合、私は後悔しないか?




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あんなにも固く、決別を誓ったというのに私の心は脆い。そしてその脆さを母は知り尽くしているに違いない。そして、母も私同様孤独だ。その孤独感を想像すると、居ても立っても居られなくなる。


誰かに頼りたいー
相談したいー



しかし、私は1人思い悩むことを選択したのだ。母は、父に感情のあれこれをぶつけているに違いない。それは想像出来る。何せ、私がまだ子と同じくらいの年の頃から、悩みの全てを自分だけの腹に収められずに家中にぶちまけていたのだからー



「私は大人だった。あんたの頃は、何でも自分でやった。あんたのやることなすこと、全部幼稚。子どもが子どもを産んだようなもんよ。」


以前、母が私に向かって吐いた言葉がぐるぐる回る。
それを思い出すと、やはりこちらから連絡する気は失せるのだった。


ーうん、そうだね。私は幼稚。もうね、疲れたんだよ。あなたの顔色を窺うのもご機嫌取りするのも。私には私の生活があるの。それを大事にしたいの。それが幼稚だっていうのならそうかもしれないね。うん、そう思ってくれて構わない。



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