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お呼びでない

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子ども会のイベント、一年生を迎える会にお手伝い要員として参加する心積もりでいたのだが、やんわり素敵ママに断られてしまった。
既に役員と参加希望の母親ら5~6人もいれば十分で、その定員を達したとのこと。


「ありがとう。でももう大丈夫、人数も有り余ってるから。また人手が足りない時よろしくね~」


なんだか、取り残された気分だ。私のバイオリズムと周囲のそれは必ずしも一致しない。折角芽生えた私のやる気ー、積極性は行き場を無くしどこへ行ったらいいのだろうか。子の様子も見ておきたかったのだけれど・・・
子が出掛けてからの3時間、結局一人自宅で待つことになった。何もすることが無く、いつもの平日のように寝っ転がって携帯漫画を読む。時間があるのだから、普段出来ない掃除など隅々まですれば良いのだが、すっかりお手伝いをするようインプットされていた予定をそれにすり替えるのは切り替えが下手な私にとって容易なことではなかった。
バルコニーから、何となく集会所が見えるので洗濯物を干すついでに見下ろすと、入り口付近で子と数人が走り回っている。DちゃんママやEちゃんママ、それに名前は分からないがよく見掛ける女性が、未就学児を遊ばせながら立ち話をしている。
ワサワサと子供達と役員らが集会所から出て来て、団地内の公園に向かったようだった。酒井さんや素敵ママらの姿も見えた。この間、準備に来ていたメンバーも数人いた。


ーなんで、素敵ママは私を入れてくれなかったの?


子ども染みた疑問が湧く。勿論、私のように断られた母親は何人かいるのかもしれないが、それでも先日集まったメンバーがあの場にいるのに私だけお呼びでないのは何か理由があるのかもーとついネガティブ思考に捉われる。 しかし、DちゃんママやEちゃんママら仲良しグループの輪を目に留めれば、やはり参加しなくて良かったと安堵する自分もいる。


ー深く、考えるのはよそう。


次回、またお呼びが掛かり、頼まれれば参加すればいい。出しゃばらず、かといって引っ込み過ぎず。与えられた役割をきっちりこなすことだけ考えよう。
友達作りはもう諦めて、しかし、子にとってマイナスにならないような親になることを目標に。子供会は、子供の為の会であって母親の友達作りの場所ではないのだから。




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悪意あるお節介

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去年、同窓会を欠席した私。実家から転送で届いた往復はがきにある「欠席」欄に〇を付けて出したのは、昨日のことのようだがあれからもう1年も過ぎた。
そして再び、今度は自宅に届いた、級友かおりからの同窓会通知。
一言欄に、


「久しぶり。去年は皆本当に久しぶりだったけど、盛り上がったよ。先生もOOに会いたがってた。それで今年もしようってことになって。今度は来てくれるよね!?」


右肩上がりの調子の良い字。彼女の高くて少し早口な声が聞こえてくるかのようだった。
勿論、出席するつもりなんてない。あの頃から人付き合いは苦手だったが、それに拍車を掛けた今ー、時間と金を掛けてまで面倒なことはご免だ。
同窓会に出席するメンバーなんて、そもそもそういう場が好きな連中か、今の自分に余程自信があるか、遅過ぎる婚活目的かのいずれかだ。
前回のような、恩師の還暦を祝うパーティーではないので、会費は5000円と安価だった。場所も洋風居酒屋で、ラフな格好で行けるだろう。
日時も決定しており、平日の夜だ。子のことも見なくてはならないし、欠席する正当な理由がちゃんとある。そうやって、いちいち自らを納得させた。
しかし、同窓会通知を引き出しにしまわず、ダイニングテーブルの隅に置きっぱなしにしていた私は馬鹿だった。代休で日中のそのそ起きて来た夫がたまたまそれを目にしたのだ。


「ん?なんだこれ。同窓会?」


悪いことなどしていないのに、ビクっとしてしまう。言い訳がましく、


「それね。平日だし、行きたいけどOOが一人になっちゃうから今回は欠席にしようと思って。」


「行けば?この近辺、仕事も暇だから休めるし。たまには羽伸ばして昔の友達と会って来いよ。」




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好意的に捉えてもよいこの台詞ーだが、夫はこう提案したら何が何でも引かない。最悪だ。たまにの好意が拒否されて踏みにじられることを異常なまでに嫌う。それでも、私は行きたくなかったので、言葉を選びながら夫の申し出を断った。


「ありがとう。でも・・夜だし、何だか気が進まなくて。」


「あなた、去年行かなかったの!?先生も来てたのに?薄情だな。」


人間性を疑うような目で私を見る。メッセージまで読まれてしまい、去年も欠席という事態がばれて、私が本音では出席したくないということもどうやら見透かされたようだった。
となると、是が非でも私を同窓会に送り込もうと躍起になるのが夫だ。ある種の感情が彼をそうさせるのだ。


「遠慮するなって。毎回欠席だと、まるで俺があなたを縛り付けてるみたいに思われるだろう?そう思われる俺の立場に立ってみろよ。」


夫はそう言いながら、勝手にボールペンを取り出して「出席」に〇を付けるとはがきごと持って行ってしまった。


「出しておくから。楽しんで。」


最悪だ。ただでさえ、かおりとしか接点も無い同窓会。他のクラスメイトとは卒業以来会っていない。今更どう話をしたら良いのか分からない。
同じ環境かどうかも分からないーそもそも既婚なのか独身なのか、子持ちなのかいないのかーそういったデリケートな部分を意識しながら会話をするのかと思うと、今から気が重い。 夫の余計なお節介で、またひとつ悩みが増えた。





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家庭訪問

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家庭訪問当日ー、昨夜からうまく寝付けず、何度もトイレに起きては水を飲みを繰り返し、ほぼ睡眠不足のまま6時起床。
予定通り、例の和菓子屋で練り切りを調達し、担任がやって来るまでの時間の殆どを掃除に費やした。
普段から綺麗にしておけば、こんなに慌てることもないのだけれど。来客が無い我が家にとって他人が家に入るのは一大事。どこをいつ見られているか分からない。
水回りー、キッチンなど見ることもないだろうけれど、そこまで念入りに。勿論トイレや洗面所、そして玄関はいつも以上に細かいところまで掃除した。
予定時間の直前に、お茶を淹れてチャイムが鳴るのを待つ。到着してからだと熱すぎて口を付けられない、そう思ったからだ。
しかし、待てど暮らせど担任はやって来ない。湯呑も既に冷めきってしまった。もう一度淹れなおそうーそう思い流しに捨てようと手に取った時、チャイムが鳴った。 慌てて玄関に走り、スリッパを再度確認する。


「こんにちは。」


「いらっしゃいませ。」


教室で見るより小柄ーそれが彼の第一印象だった。こんがり焼けた肌にがっしり肩幅のある体格は、恐らく何かスポーツをやっていたのではないかという雰囲気。 やけに、歯が真っ白なのが目に焼き付いた。
リビングに通してから、お茶がぬるいことに気付いて慌てて淹れ直す。その間、担任は鞄から手帳だとかペンだとかを出していたようだ。
お茶と和菓子を差し出し、私が着席すると場が一気に畏まった。再度、担任が挨拶をしてから家庭訪問が始まった。


「OOさんは、学校ではとても大人しいですね。発言も苦手なようです。もう少し、意欲的になって欲しいという思いがあります。」


出だしからダメ出しをされ、親ながら傷付いた。少しくらい良い点を挙げてからでも良くはないか?自分の意見をハキハキ言えて、積極的に何でもこなし、頭脳明晰スポーツ万能、それが彼らの求める生徒なのかもしれないけれど、それに当てはまらない子をひとつの個性としてはくれないのか? 内心、頭に来たのが本音だが、それでも顔ではへらへら愛想笑いをしつつ彼の言うことに同感と言わんばかりに頷いた。こういう自分が嫌だと改めて思う。
その他にも学校での様子、勉強面や友達関係など、担任からの視点で気になる部分をあれこれ告げられ、その中に一つとして褒められるところが無いことに失望した。
体育会系?を感じさせる彼にとって、がむしゃらに頑張らず意欲の無い子は切り捨て対象なのか?


「何か、一つでも自分に自信を持てるものが出来ると良いのですが。」


曖昧な笑みを浮かべながら、担任にアドバイスを求めたつもりだったのだが、彼は私の言葉を遮るように、


「私はね、やる気の無い生徒は厳しく接します。」




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そう言い放った。頭をガツンと殴られたような衝撃。まるで、初めて運動部に入り先輩達から洗礼を受けたかのような、そんな衝撃だった。
そして、子を守りたい思いがじわじわ湧いたが、しかし威圧的な彼を前にもう何も言えなくなってしまった。


「これ、いただきます。」


驚いたことに、彼は出された和菓子をむしゃむしゃ食べた。今までに無いタイプの担任だ。お茶もガブリと飲み干してから更に驚くべきことを口にした。


「子供部屋は、あったら見せていただきたいのですが。」


絶句しつつも、断り切れずに子供部屋兼寝室に案内する。掃除をしておいて良かったと、心底安堵した。 担任は、ぐるりと部屋を見回すと、飾られた絵や写真に見入る。


「片付いてますね、お母さんがやられました?」


「えぇ、まあ。」


正直に答えると、


「もう高学年ですからね、本人にやらせてもいいかと思いますよ。実際、学校では皆自分のことは自分でやっているんですから。」


そう言うと、初めてガハハと真っ白な歯を見せて笑った。何だか、怖いのか気さくなのか読めないー、初めてのタイプでどう接するのが正解なのかいまいち分からなかった。 時間になり、担任は次の家へと向かって行った。どっと疲れてソファーに身を投げると、あの一言が蘇る。


ーやる気のない生徒は厳しく接しますー


子は、大丈夫だろうか?厳しくってどれくらい?まさか、体罰などは無いとしても怒鳴ったりするのだろうか?そんな目にあったら打たれ弱い子はたちまち登校拒否になってしまう。またひとつ頭を抱える問題が増えていく。 春は、こんなに気候が良いのにあれこれ適応出来ないことが目白押しで、いつまで経っても苦手な季節だ。




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得意なことという難題

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最近、放課後メンバーと遊ばなくなったと思い聞いてみたら、どうやら皆それぞれ塾へ行き始めたとのことだった。


「私も、塾行こうかな。」


友達が行くから行くーなんて軽はずみにOK出来るはずもない。本当に勉強がしたくて一人でも行くという意思が無ければ意味が無いし、こちらが頼んで行って貰うものでも無い。


「みんな、お母さんに行けって言われたんだって。OOも、ママにどうせ行けって言われるならもう行こうかな。」


そんな言い方をしたものだから、子供相手だがカチンと来てしまった。


「ママ、別に行けなんて言わないけど。」


微妙な空気が流れた。
何でも好奇心を持って、意欲的に取り組む姿勢が見られるのなら、高い金を払っても惜しくはないのが教育費だ。こちらがお願いして通わせる程、我が家は大金持ちでもないだろう。


「Z会やってるでしょう?塾に行くならそれは辞めるの?」


「・・・」


タブレットを使った通信教育は、子に合っているようだ。毎日のように自ら欠かさず行っており、学校の成績は微妙だったがあれは内申点のようなものも含まれる。テストの点だけで見たらまた違うのではと思うのは、Z会の学年末成績表が殆どAだったからだ。 学校の教科書に沿ってというよりも底力をつけるような問題が多いZ会なので、学校の範囲が決まっているテストよりも長い目で見たら力が付きそうだと思うのは、親の欲目もあるかもしれないが。
子は、自分の願いが聞き入れられなかったことで不服そうな表情を少し見せた後、しかし思うところがあったのが、すぐにタブレットを取り出し黙々と学習を始めた。
その背中を見ていたら、塾でなくても何か皆でやるような習い事をさせた方が良いのかもーと思う。そしてまた、あの時ダンス教室を辞めさせたことを心底後悔した。




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「学校でね、自己紹介カードを書かないとならなかったんだけど、得意なことって何書いたらいいか分からなかったから、字を書くことって書いた。」


「え?ダンス、得意じゃないの?ずっとやってたじゃない。」


「だって・・もう辞めちゃったし、うまい子たくさんいるし。」


子が、字を書くことが得意だなんて聞いたことも無かった。習字を習っている訳でもないし、そもそも字を誰かに褒められたりしたことなんてあるのだろうか?


「字を書くの、得意なの?」


「別に。思い付かなかったから。」


とにかく空白にだけはするなーと、テストのアドバイスを以前したことがあったのだ。選択問題なら、分からなければどれかに〇を付けるー筆記なら、思い付いたことを書けば当たることもあるかもしれないー空白ならゼロ。何か書けばゼロでは無いと・・ 苦し紛れに得意なことの欄を埋めた子の気持ちを思うと、何だか胸が苦しくなった。
友達とやりたいからーという理由だけで始める習い事は、そんなにいけないことなのか?気持ちが揺らぐ。
オリンピック選手だったり一流大学に行くという目的があるのならまだしも、そうでないのなら最初のとっかかりなんてそこまでこだわることか?
親の私がすぐに曖昧になる、だから子もどうしたらいいのか分からない、そんな子供になってしまうのではないだろうか。




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ランクアップ

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子供会のお手伝い、重い腰を上げて参加して来た。
結果、行って良かった。たまたま来ていたメンバーが良かったのもある。お手伝いは、基本来られる時に来られる人というスタンス。後は役員が仕切るのだが、イベント当日ではない準備段階では、その役員も予定があれば他の役員に仕事を託す。 今回、あまり顔なじみではないけれど恐らくベテランママさんである6年生の役員ママと、素敵ママ、それに酒井さんにあまり私と接点が無い他学年の母親らが数人来ていた。
その数人が、「仲間」として参加していなかった、それが居心地の良い一つの理由。もう一つの理由は、時間前に集会所に行くと素敵ママと下の子だけ和室におり、まだ集まり特有の空気が出来上がっていなかったことにある。


「おはよう!来てくれてありがとう。」


爽やかな笑顔。しかし、珍しくメイクは薄くスウェット姿なのに驚いた。それでも、ピアスやネックレス、そして綺麗なネイルにと、女子力は相変わらず高い彼女。
彼女と二人きりなこともあり、割とリラックスして雑談出来た。何故だろう?こんなにキラキラしたママの前だと、普通なら萎縮してしまうのに、彼女には天性の人を安心させる素敵オーラがある。あのYさんとどこか似ている。 それでも一線は踏み込めないけれど・・
次第に人が集まり、全部で私を入れて7人。しかし、和やかに手伝いをすることが出来た。1年生を迎える為の名札作りや飾り作り。私の正面に素敵ママがいたことも大きかった。彼女の隣が役員ママで私の斜め前。色々と話題を振る時に、私にも話しやすい空気を作ってくれたのだ。 役員ママの子が6年生の女の子ということで、デリケートな話題になった。これから迎える「生理」について。それに、私を含む娘を持つ親、そして酒井さんが食い付く。
私も何とか質問を絞り出すことが出来た。それに快く答えてくれる役員ママ。
緊張しつつも、そこに私が居ることを許されている空気感は、これ程居心地の良いものなのだなとしんみりした。完全スルーされない、意識的に無視されない、温かな輪。
酒井さんと素敵ママは、一体どうしてこんなに仲良しになったのかと思うくらいの距離感だった。酒井さんもスウェット姿だったのだが、この会が終わり次第、二人で学校ママさん主催のピラティスに行くという。 酒井さんは、正直言って素敵ママやAちゃんママらのタイプとはほど違う。どちらかといえば肝っ玉母さん系だ。綺麗系ママでは無いこの彼女が、何故素敵ママコミュニティに入れたのか、その答えは明確だ。




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ー話が面白いのだ。


お手伝い中、素敵ママの合いの手として、酒井さんは言葉巧みに場を盛り上げていた。次から次へと、話題も豊富。サッカーや野球などのスポーツに関しても、テレビドラマや映画、それに漫画についても。 そして、子供関係の相談も。
時間が経つに連れ、酒井さんが実はすごい経歴の持ち主なのだと分かった。普通の子持ち専業主婦だと思っていた彼女だったが、実は元CAだったということ。それは、海外旅行の話になったことで自然に出た話題だった。 既に、素敵ママはそのことを知っているらしく、驚いていたのは私をはじめ、数人の母親だった。
元CAというだけで、一気に華やかで女子力の高いママに昇格だ。今はその原型をとどめていなくても、その栄光の過去があるだけで羨望の眼差しを受けることは間違い無かった。


「子供産んで、20キロも太っちゃったけどね。」


「だから、ピラティスでしょう~」


素敵ママが笑う。
そう言われて笑う彼女。人は誰でも、知ってみないと分からない。外見だけでは分からない。今更それを突き付けられた気分だった。




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ドカ食いと風水

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またやってしまった、ドカ食い。
今週にあれこれある憂鬱な予定を前に、ストレスが溜まっていたからだ。
子のおやつにと買い置きをしていたポテトチップス、しかもロングを1本すべて。それに、お徳用チョコクッキーを三分の一。
アーモンドチョコを5粒にサイダー500ml1本。コーヒーもミルクをたっぷり入れたものを3杯。当たり前だが、体重計のメモリを目にしため息をつく。
ようやく腹いっぱいになったのに、それでも口寂しく感じる。病気だろうか。

昨日は子と喫茶店でお茶をした。パフェとスムージーを半分ずつ。満たされたはずの心は、どこかに穴が空いていたのだろうか? たちまち流れ出て、すぐに足りないものを数えてしまう。
また、悪い癖。
マイナスの気を断ち切るように、今日はトイレ掃除を念入りに、そして窓拭きをすることに決めた。風水だとか、正直あまり信じていないけれど、体を動かせば少しは状況が変わる、そんな気がしたのだ。




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今日の写真

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終わらないハードル

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憂鬱な予定を控えていると、折角の休日も台無しだ。
素敵ママからの連絡で、子ども会のお手伝いの要請。正直、OKの返事をしたもののうまくその場に馴染めるか不安しかない。 気晴らしに、子と一緒に今日はショッピングに出掛けることにした。お茶くらい出来たらいい。 次から次へとハードルが続く。毎回それを飛び越えたり、躓き転んだりしながらも先に進まなくてはならない。
生きるということは、そういうことだ。分かってはいるが、楽しみながらそれを易々と飛び越え先を行く人々の背中を見ては、ため息が止まらない。





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家庭訪問の準備

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次から次へと嫌なことが目白押しの4月。GW前の来週は家庭訪問がある。そして、PTA総会もあり気が重い。
毎度のことだが、お茶菓子はどうしようか迷う。結局悩んだところで煎茶に和菓子と落ち着くのだけれど、それでもどうしようかあれこれ悩む。
今度の担任も、男性。年は私より下だと思う。子の情報では結婚していないらしいが名門大学出身らしく、それを聞いただけで憂鬱になる。そもそも教師は苦手だ。
向かい合って、さしで話すことー子のことについてだといっても、どこか親の私まで評価を受けているような気になってしまう。
子の欠点を、親がこうだからやっぱりーとどこか決めつけられるような、被害妄想かもしれないけれど、彼らの心中を察するだけで胃が痛む。

早い気もするが、隣町の小さいがいつ見ても人が入っている和菓子屋に足を運んだ。季節の和菓子を子とのおやつ用に2つ買った。
美味しければ、家庭訪問当日の午前中に同じものを買うことにしたのだ。
桜はもう終わりを迎えたが、この季節だからこその桜色の美しい練り切りを選んだ。早速、熱いお茶を淹れて共にいただいた。文句なく品の良いー、しかし存在感のある風味。
思わず頬が綻んだ。
結局、毎回茶菓子を出したところでそれには手を付けられないままなのだけれど、一応形だけ出すことで、少しでも担任に良い印象を与えたかった。
懇談会では、スネ夫ママやボスママにばかり気を取られ、担任をじっくり観察する余裕が無かった。なので、ある意味初対面と同様、緊張は高まるのだ。




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主君と家来

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昨日の外出で神経を使い果たし疲れ果ててしまった今日は、家の中に引きこもることにした。しかし、子が帰宅し遊びに行った後、卵が切れていたことで外出をしなくてはならなくなった。 夕飯がチキンカツだからだ。衣を付けようとしたところで気が付いたのだから、メニュー変更も考えられない。
顔見知りに会うのが嫌で、マスクをしてさっと買うべきものだけカゴに入れてレジに向かう。会計を済ませてそそくさと店を出ると、5時前だというのにまるで真昼間のような明るさに戸惑う。 日も、長くなったものだ。
ふと思い立ち、子が遊びに行くと言っていた公園に向かう。時間も時間だし、久しぶりに迎えに行こうと思ったのだ。最近また物騒な事件も多いことで気になっていた。4年生だからといって心配し過ぎるということは無い事件だった。
きゃあきゃあ騒ぐ声が聞こえる。この声の中に、子の声だと思われるものもありホッとする。自動販売機に隠れて子を探すと、滑り台のてっぺんで何やら大声をあげているのが子のようだった。 そして、その遊具の下でちょろちょろと走り回っているのは、どうみても我が子よりも小さな子供達ー1年生?くらいだろうか?明らかに同級生では無かった。




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「はい!次の鬼ー!!」


そう言って、女の子を指す。指名された子は、順応にそれに従う。他の子供達はまたきゃあきゃあ言いながら逃げ回る。子は、相変わらず滑り台の上から高見の見物だ。
ふと、不安がよぎる。子は、放課後メンバーと遊んでいないのか?誰も遊ぶ子がいないから、こうして下級生と遊んでる!?友達に相手にされないストレスを、こうして自分より小さな子供達にあれこれ指図することで発散させてる!? 正直、複雑な気分だった。指図されている子達の親からしたら、子の存在はきっとうざったいに違いない。ベンチには4~5人の談笑している母親らしき女性達がいた。
そして、それを見てしまったら、のこのこその場に出て子を呼ぶことなど意気地の無い私に出来るはずもなかった。そのまま見なかったことにして踵を返し自宅に戻る。
子が帰宅したら、それとなく聞いてみよう。私が見ても、感じが悪かった。先生のように面倒を見ているーという見方もしようと思えば出来ないことも無かったけれど、少し度を越えた感じがした。 見守るーではなく、自分の思うがままに家来を操るような主君にさえ見えた。
あのような遊び方を頻繁にしているのだとしたら、注意しなくてはならない。また、ひとつ頭を悩ます問題が起きてしまった。




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不純な動機

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敬語ママ紹介のボランティアの説明を聞きに、区役所へ。散々迷った挙句、再度勇気を出して電話を掛けたところ、タイミングが良かったのか電話主はとても感じが良かった。 先日とは大違い。本当に同一人物なのかと疑ってしまう。
指定された一室に出向くと、予想外の出来事に身がすくんだ。私以外に何人もこの説明を聞きに来た人々がいたのだ。入口付近に長テーブルが置かれており、受付のような女性二人が私に気が付くと、


「こんにちは。こちら、どうぞ。」


ホチキスで留められた小冊子を私に向かって差し出す。丁重にそれを受け取り、目についた席に座った。
辺りを見回すと、知り合い同士で来ている人もいれば、私のように一人で来ている人もいる。先ずは、それに安堵した。ついこのような場ではいつもの癖で、自分だけがポツンになってはいないかと意識してしまうのだ。 下らないが、もうこれはある種の習慣になっている。




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隣に私と同年代の女性が後から座り、これはチャンスかもーと話し掛けようか躊躇っていたが、会が始まってしまいタイミングを失ってしまった。
説明は、レジュメに沿って行われた。しかし、私は隣の女性のことばかり気に掛かり、ボランティア内容についての説明は殆ど耳に入っては来なかった。一体何をしに来ているのだ?
純粋にこの活動に興味がある参加者達にも説明をしている人にも後ろめたさを感じながらも、本能をどうすることも出来なかった。


ー不純な動機でもいいじゃないか。もう、一人は嫌なんだ。心の通い合う、そんな友人が欲しい。


子の学校や近所で無理ならば、新たな出会いを探してこうやって行動するしかないのだ。開き直り、この会が終わったタイミングで女性にどう話し掛けようか考えあぐねていたところで、質問タイムになる。 意欲的な参加者達ー、年老いた男性やお仲間で来ている女性組らが積極的に質問する。一応、私はメモを取る。しかし、意識は完全に隣の女性。ロックオンというやつだ。勿論、心の中でだけであり、彼女に気付かれないようにしているつもりだが。
会は、小一時間程度で終了した。ボランティア会員になるか否かの意思表示に〇を付け、最後に提出する。ちらっと隣を見ると、彼女は「参加」に〇を付けていた。私も勿論丸印を付け、席を立った彼女と目が合ったらこう話し掛ける心積もりでいた。


ーこちらのボランティアは、紹介で来られました?


そして、彼女が席を立つのと同時に私も離席し、追い掛けて行こうとしたのだが、話し掛ける隙など全く無かった。彼女はスマホで誰かと話し始めていたからだ。
完全に、ひとり相撲ーアホらしい。しかし、私は行動を起こした。どう転ぶかは未知の世界。ゆっくりでもいい、彼女とでなくても、人間関係をこの場で少しでも広げられたらーそう思う。 それでも、背後で楽しそうに連れ立っている知人同士の参加者達を感じると、やはり萎縮する私がいる。やはり、こういった場は苦手なのがデフォルトなのだ。




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鼓舞

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自分で決めたことなのに、いざ、その時を前にすると足がすくむ。
うまくいかないイメージに支配される。
あるがままの私を受け入れて、無理し過ぎない程度に、しかし多少頑張ろうと決めた。

運が悪いだけだって思っていたし、それで自分を肯定して来たけれど、最近になってそれは違うことに気付き出した。
人の倍、頑張らないとダメなんだって思う。受け身のまま都合良く目指す環境を手に入れることが出来る人なんて選ばれた一握り。
無表情なのに既に笑っているような顔立ちだったり、華やかなオーラをまとっていたり、社交性に長けていたり。
私はどのどれもがマイナスだから、やっぱりそれは努力で何とかするしか無い。

頑張ろう、頑張ろう。




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30万の出費

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歯科矯正の費用。歯科医いわく、なかなか子の矯正が思い通りにいかず、抜歯も検討するとのこと。
そしてまた新しい矯正器具を作ることになり、30万以上掛かると言われて度肝を抜かれた。夫が費用を出してくれることになったとはいえ、この金額は言い出しにくいものがある。
また、30という金額を提示された時の私の表情が余程深刻そうに見えたのだろう、歯科医の方から分割でもOKだと申し出てくれた。
子の歯並びは、確かに良くなっている。しかし、またレントゲンでも万取られ、毎月の調整料でも金は飛び、一体いつになったら治療が終わるのか先も見えない。歯のことは無知だから、専門家に任せるしかない。
意を決して夫に伝えた。直接は言いづらかったので、メールでだ。少ししてから休憩中にレスポンスが来た。


「どうしてそうなったのか、経緯を教えて欲しい。」


正直、歯科医の説明は良く分からなかった。何番の歯が何番と何番の本来出なくてはならない歯の邪魔をしているーだからもう少し幅を広げる・・とかなんとか。
専門用語も用いていたし、私は昔から少しでも話が難しくなると、それを追究することが出来ずぼーっとしてしまうところがある。それが大事な子のことであってもだ。毎回見せられているレントゲンも、正直どうなっているのか分からないままだが、今更歯科医にそれを聞くことも恥ずかしい。一体、今まで何を聞いていたのか?と思われるから。 しかし、夫に尋ねられたら曖昧になど出来ない。費用を出してくれるのだ。なのにきちんとした説明が出来ずに狼狽えていたら、きっと咎められるに違いない。
ダメ元で、子に聞いてみた。すると、驚くことに私以上に状況を把握しており、もう4年生なのだと実感させられた。


「OOのあごの骨が小さいから、それを広げてたけど、それでも全部の歯が大き過ぎてこの奥歯の大人の歯が出て来ないんだって。この横の歯とこれを・・・」


子が言うことを、メモしつつじっくり聞く。たどたどしくも、歯科医に聞いた時よりも余程分かりやすいのは身内の説明だから。他人からの説明だと何度も同じことを聞けないし、つい分かった風にしてしまう。 妙なところで恰好付けてしまうのだ。分からないまま曖昧にして後で困るのは自分なのにー


子の説明もあって、何とか夫を説得することが出来た。


「しかし、胡散臭いな。その歯医者、大丈夫なのか?」


夫は相変わらず全面的には歯科矯正に賛成していないようだった。しかし、治療は後戻り出来ない。それをしてしまったら、これまで支払った費用が泡になる。それだけはどうしても避けたいのだ。




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ぼっちママ宣言

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肝心の役員決めだが、今年も空振りに終わった。
立候補が驚く程いたのだ。公平にあみだくじ。そして、外れた。残すところは5年生、そして最高学年という重責だ。
早速、委員になった母親らは保護者会の後に別部屋で集まりがある。こうして選ばれた彼女等は顔見知りが増え、そしてママ友を作り、どこにも属さない私は取り残されて行く。
委員になった人達は、皆が皆知り合いだったわけでもなさそうで、はじめましての人もいそうだった。しかし、互いに軽く会釈をし合い、ぎこちない笑顔をうかべながらも次回の行事ごとではさも昔からの級友のような固い絆が出来上がっているに違いない。 それを思うと、また気分は塞がった。

出ることに意義があるー収穫は無かったが。
いや、担任に悪い印象は与えなかったと思いたい。色々とこの会の為に準備したはずだ。

全てが終わり、解放感に包まれたのも束の間ー、ざわざわとまた群れがあちこちに出来上がる。それはまるでアメーバーのよう。一人から二人ー四人・・
私はどこの群れと接続することもなく、そそくさと教室を後にした。冷たい廊下に出ると、まだ隣のクラスは保護者会の最中であり、シンとした空気に包まれる。しかし、教室内から聞き覚えのあるアイツらのはしゃいだ声が追い掛けてくる。 それを振り切るように、早歩きで下駄箱へ。




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「あ、終わったの?お疲れ様~」


春っぽいパステルカラーのワンピースを着せられた下の子を抱いた孤高の人。久しぶり過ぎて、一瞬誰から声を掛けられたのかも分からなかったが、しかし彼女だった。
少しくらい、雑談する隙はあったのだろうけれど、すぐ後にスネ夫ママらが来ることを思うとその場をすぐに離れたかった。


「はい、割とあっさり委員も決まって。それじゃあまた。」


なるべく感じ悪くならないよう話を切り上げ、その場を去った。これが、普通に買い物中にバッタリだったら、もっと近況報告など言い合えたかもしれない。タイミングが悪かった。


やっぱり、私は人を寄せ付けない星の元に生まれたのかもー


そう思い掛けて、しかしそれは違うと思い直す。ゆっくりでいい。自分の為にも子の為にも自らを変えていく努力をし続けなくては。いつも同じようなことを言っているし、何も変わってないと言われればそうかもしれないけれど、傍から見たらーではなく自分の中での変化を認められるような、そんな1年にして行きたいと心に誓った。




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お約束の自己紹介

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担任の自己紹介が終わると、お決まりの保護者自己紹介。事前に何を言うか決めてはいたものの、やはりとてつもなく緊張してしまう。
スネ夫ママやボスママの視線があるのもその一因だが、それでもこういう場は何度経験しても慣れないし、逃げ出してしまいたいのが本音。


「では、自己紹介を兼ねてお子様のことなど一言よろしくお願いいたします。」


何度も練習していた台詞を心の中で繰り返すあまり、他の母親の声など耳に届かなかったのだが、アイツらだけは例外だった。まずはボスママ。既に、このクラスの空気を左右させる、彼女には園時代からそういったある種のオーラがある。人はそれを「魅力」と言うのだろうけれど・・ スラスラと、息子の特徴ー気が弱くてなかなか自分の意見を言えず影に隠れているところがあるが、しかしとても優しい子だと。そして、笑いを取ることも忘れない。
彼女がうまい具合でオチを付けると、担任をはじめクラス中がどっと沸いた。それが私を妙に焦らせたのか、次第に頭の中が真っ白になる。
続いて何人かの母親が無難に自己紹介を終えて、遂にスネ夫ママ。彼女は私の隣なので、そちらを見るのが礼儀なのだろうが、ちっぽけな反抗心と余計な緊張を増やしたくはない思いから、黒板の文字や時計、そして担任を見つめる。しかし、しっかり彼女の話に耳を傾けている自分に嫌気が差した。 わざとらしくゆっくりとした口調、そして妙に高い声はまるで担任に媚を売っているかのよう。顔を見なくても分かる、彼女が「得」になると思える人間に対してのみ向けられる笑顔だ。私には一切向けられることの無かったーこれまでも、これからも。 私の思いに反して、ボスママと同じくアイツもクラス内の空気を既に自由に操り始めていた。笑わせたいところで皆を笑わせ、そして少し真面目な話も取り入れて。スポーツ万能、勉強も出来る自慢の息子。しかし彼女は知らない。我が子が虐めっ子の種を胸に秘めていることを。彼女自身がそうなのだから、もうそれは遺伝子の問題なのかもしれなかった。
流暢な彼女の話が終わった途端、緊張は更に高まり心臓もバクバク鳴り、その音が周囲に漏れているのではないかと思う程。じんわりと汗が滲み、しかしこれを乗り越えなくては委員決めに参加出来ない。今度こそ、立候補するのだ。 そして、私の前の父親がのんびり口調だけれど妙に肩の力が抜けたー仕事は何をしているのか?自営なのか?風貌だけ見るとアーティストのような不思議な雰囲気を持っていたが、彼の自己紹介が終わり、私の番になった。
担任に促される前に席を立ち、緊張のあまり物凄い早口になってしまった。不自然なくらい息継ぎの無い、テープの早送りのような自己紹介。客観的に見ても、事前に用意し暗記して来たことを口にしていることは明白だったし、緊張のあまり早口になり過ぎているのも滑稽だった。何一つ、笑いを取ることなど言ってはいないのに。
自慢の娘にもなれなかったけれど、自慢の母にもなれない自分。しかし、そのネガティブな思いを振り切って、出席したことに意義があるのだと自己暗示を掛けた。自分の番が終わると、失礼な話だが後に続く母らの言葉は何一つ入っては来なかった。




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「誰のママと話してたの?」

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「ねぇ、ママは誰のママと話してたの?」


保護者会から帰宅し、留守番していた子が放った第一声の言葉だ。
まさか、誰とも話していないなどと言えるはずもなく、


「うん。色々・・」


曖昧な答えを返してその場をやり過ごした。


昨日は丸一日寝込んで過ごした。子は給食も始まり、下校は午後だったこともありそれが出来た。神経を使い過ぎてどっと疲れ果てたのだ。
早過ぎも遅過ぎもしない時間を狙って教室に出向くと、既に半数以上の保護者が廊下で各々輪になっているのが目に入った。真っ先に視界に入ったのはスネ夫ママだ。ボスママともう一人、見たことの無い母親と会話に花を咲かしている。 他にも3~4人組の輪が既に廊下に出来上がっていた。私のようなぽつんは、恐らく母親が仕事で来られないのか父親だけ。
私の後に、一人また二人と教室前に到着する。私はじっと掲示物を眺める。ゆっくりとそれらを見ながら背中全体ではスネ夫ママらを意識していた。
Eちゃんママの姿がちらっと見えた瞬間ー、相変わらずクールビューティーな彼女らしい無表情な、しかし彫りの深さで化粧映えする垢抜けた雰囲気が一人でも全く頼りなさを感じない。 しかし、数人のママの群れに挨拶され、彼女の表情もぱぁっと華やぎ、そしてその輪にすぐに馴染む。
私は、誰からも挨拶されないし、また誰一人と視線すら合わないーいや、訂正。スネ夫ママとだけは一瞬目が合った。しかし、その瞳の奥にせせら笑うような感情を垣間見た時、弱い私はすぐに視線を反らしてしまった。




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担任が到着し、中に入るよう勧められた。そして、各自自分の子供が座っている席に着席するよう促された。そして、その席は最悪なことに、隣がスネ夫ママだった。隣といってもがっつり席が繋がっている隣ではない、同じ列ではない反対側の隣。本当の隣は保護者会欠席なのか空席だった。 スネ夫ママの隣はEちゃんママで、素敵ママ介してもう知った仲なので和やかな雰囲気。私の前方も後方もそれぞれ挨拶し合い雰囲気が良い。
スネ夫ママの斜め前はボスママ。その隣も知った顔ぶれなのだろう、担任が保護者に配布するプリントを自席で確認している間にも、ひそひそ何か言い合い笑っている。何が可笑しいのか。女子学生でもあるまいし・・
他の席も、というか私以外は皆誰かと雑談しているように見えた。父親を除いては。楽しそうな母親らを横目に、ひどく自分が惨めに思えて気分は落ち込んだ。もう何度も味わっているこの気持ちだが、いまだにそれと親密になれずにいる。しかし、気を強く持って、頑張ろうと思い直した。
引き合いに出すのもおこがましいし、笑ってしまうけれど、私が今回嫌で嫌で仕方が無かったこの会に出席した理由は、浅田真央ちゃんの記者会見を観たからだ。燃え尽きるまで戦った彼女。頂点の段階で引退する選択だって出来ただろうに、自分の限界まで頑張りぬいたその姿勢にとても感動した。 何度観ても、あのソチでのフリー演技は涙してしまう。そして、私も母として逃げてはならないと思ったのだ。
学校に行く1時間前から腹痛で、何度も何度もトイレに行き苦しんだ。まるで登校拒否児のように、学校の校門や教室を思い浮かべるだけで吐き気がした。それでも、絶対出席しようと心に決めていた。後は、子の母であるという気力だけが私の背中を押した。
担任がプリントを配布し自己紹介が始まると、途端に教室内は静まり返った。




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母、一人脳内会議

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小春日和。
こんなに清々しく爽やかな天気だというのに、私の頭の中は午後から始まる保護者会のことで一杯だ。
家の中が、マイナスオーラで充満している。スネ夫ママやボスママらの私に当てつけるかのような親密な空気。明らかにこちらを意識した彼女の冷たい視線は、私をどこまでも下に落とす。 対人スキルの高いボスママー、そして一人では恐らく何も出来ない癖に、たまたま彼女の一番のママ友だという理由で、学校でも着々と自分の人脈を広げて来たスネ夫ママ。ただの意地悪なコバンザメだっていうのに。
ただでさえ、新学年の保護者会は憂鬱なのだ。大嫌いな自己紹介も、面識の無い人々の前でならまだなんとかこなせる気がする。しかし、中途半端な知り合いーまして最も苦手な人間の前でするとなると、そのハードルはより高く飛び越えるのは至難の業だ。


昨夜もワインを就寝前に半分空けてしまった。酸化防止剤の入った安いワイン。ワンコインもしないものだからついつい飲んでしまう。ほろ酔いだと、何とかなるという気がしてくる。それなのに、ネットで私と同じようなポツンママの掲示板をチェックしては勝手に共感したり苦しくなったり・・
こんなに私と同じような思いをしている母親がいるのに、リアルでは見当たらない不思議。行事や参観、色々な場面で見渡す限り、皆和気あいあいと楽しく輪になっているのだ。一人寂しく時間を持て余している同志などいない。何故だろう?
本当は、それぞれの「輪」の住人達は、そこまで親密ではないのかもしれない。ただ、ぽつんとしている私からしたら、それはもう親しげで、その中に入って行く勇気など到底持てない。だからといって、一人でいる人に話し掛ける勇気も無い。たまに廊下で私と同じように持て余している人を見掛けてほっとするのも束の間、数分間限定のぽつんなのだ。
後から知り合いが来て、声を掛けられたりそのまた逆も然り。最初から最後までひとりぼっちなんて、もう子供が4年目の学校生活を迎える母親の中では皆無に等しい。
何かしらの役員やボランティア関係、また子供同士の繋がりで少しずつ関係を深めて行ったり広めて行ったり、普通にしていれば出来上がるコミュニティ。 それをいまだに築けていない私は、やはり欠陥人間なのだ。




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自信喪失。頭の中はぐるぐる。それでもこうして文章化することで、ある程度自分を客観的に見られるし落ち着く部分もある。


〇教室に入る前の廊下での待ち時間は、展示物を眺める。
〇入ってからは、座る位置の確保。半数の保護者が着席した頃を見計らって。(出来れば、廊下側の一番後ろがベスト、もうこうなったら全力で目立たないようにしたい。)
〇自己紹介は、長すぎず短すぎず、担任に向かって話すこと。
〇終わった後は、一番に教室を出ること。後方を気にしない。
〇スネ夫ママを視界に入れない。


むしろー、保護者会を欠席してしまおうか・・頭に過ぎるがそれもまた悔しい。私の中の「母」である部分が、その甘い誘惑にブレーキを掛けるのだ。




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オールB

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新学年になり、今更だが子の通知表。
期待し過ぎは良くないと常日頃自分に言い聞かせてはいたが、実際それを目の当たりにすると頭と心はちぐはぐだ。
綺麗に並んだオールB。それを見て、安心するよりがっかりしたのが正直な気持ちだ。
Z会をしていること、自宅で割と勉強を見てやっていること、返ってくるテストの点。周囲と比較した相対評価ではなく絶対評価だと知ってはいても、何ともすっきりしない結果だった。 ひとつくらい、Aがあっても・・と親の欲目。勿論、子には言わないけれど。


「良く頑張ったね。」


その一言が精一杯だった。
内心では、


ーえ・・?オールB!?ひとつくらいAがあってもいいのに。100点だってたくさんあったし、宿題だってきちんと忘れずに出してるし、目立つ方ではないけれど、、後期になって発言だって出来るようになったのに・・・!


心のざわつきは止められなかった。


夫には、子が就寝後に見せた。顔色を隠せない夫だからだ。一応、機嫌が良さそうな時を見計らったが、やはり明らかに失望したような表情を見せた。


「普通か・・Z会やっててこれか?ちゃんとやってるのか?あなた、ちゃんと見てやってるの!?」


意に沿わないことは、すべて私のせい。私がちゃんと見ていれば、Aが並んだはずだと言いたいのだ。


「家でゲームやテレビばっかで。何かに熱中していることもないし。大丈夫か?」


私だって、内心思うところはある。DSでゲームをするか、Z会をしていると見せ掛けてタブレットで漫画やドラマや芸能人を検索しては時間を潰していることなど、到底夫に言えるわけが無かった。


「もう、4年だぞ。」


夫は一言だけ言い捨てると、ため息をつきながらネクタイを緩めつつシャワーを浴びに風呂場へ向かった。ダイニングテーブルに置かれた通知表は、持ち主から見放されて所在無くそこに佇んでいるようだった。何か、ひとつでも好きなことや得意なことをこの1年で見付けられたらー、親心は押し付け過ぎてもいけないし、難しい。




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見ず知らずの男の子

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欝々な気分はやはり抜けないけれど、美しいものを美しいと思う心は捨てたくはない。
ひとり、お花見をして来た。
昨日は曇りがちだったものの、雨が降らないだけまし。本当は、午前授業で早帰りだった子と出掛けたかったのだが、子は子で久しぶりに放課後メンバーと遊ぶというのだからそれを遮るわけにもいかなかった。 新しいクラスにはまだ馴染めていないらしい。私と同じ。でも、私と違うのは、別の居場所を見つけているということ。
春休み中は放課後メンバーと遊べず、また私も彼女達の連絡先を知らないのだから仕方がないけれど、遊ぶ友達がいない子を不憫に感じていたのは事実だ。
なので、新学期が始まりこうして約束を取り付け、外に出掛ける子の様子は健全であり、母として寂しいよりも嬉しい気持ちの方が大きかった。

お花見スポットは色々あるが、普段から人が寄り付かないような寂れた公園に足が向かう。人恋しい癖に、人を避けてしまう自分の心理がいまだに理解不能だ。
しかし、桜が咲いていることもあってか、既に団体が公園内にいた。それは、障害を持った子供達と職員の団体だった。彼らは楽しそうに遊んでおり、しかし遊具が危険なこともあり職員が一人ひとり危ない目に合わないようにしっかりと付き添っている。 優雅にお花見ーという感じでも無かった。なんとなく場違いな気がして、公園内に入るのを躊躇ったが、しかしあまりにも桜が綺麗で、その美しさが私を引き寄せる。

一眼レフを取り出し、写真を何枚か撮った。
すると、私の太ももあたりを叩く誰かー小さな、でも4~5歳くらいの男の子が私を見上げて笑っていた。


「これ、どうぞ!」


満面の笑みで、拾ったのであろう桜の花を私に差し出す。




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「ありがとう!」


素直にそれを受け取った。何故だろう?この純粋なキラキラした瞳を前に、躊躇する理由など無かった。


「すみません・・」


職員らしき女性が、申し訳なさそうにその子の手を引っ張る。しかし、その子はその手を振り払う。


「ねえ。写真撮って~」


甘えた声で私にせがんだ。これには正直少しだけ戸惑った。障害がある子だからーではなく、見ず知らずの子を果たして勝手にカメラに収めてよいものなのかどうか分からなかったからだ。個人情報云々の厳しい時代、そのお願いだけは微妙なものだった。


「ねえ!ねえ!!」


なかなかカメラを持たない私にしびれを切らし、私のシャツを乱暴に引っ張りながら男の子はせがむ。段々と先程の穏やかだった表情から一転、怒りの交じったような顔つきになる。


「すみません!!」


職員が手を引っ張るが、更に強い力で振り払い叩く。もう個人情報がどうのこうの言っている場合でも無かった。


「じゃあ、そこのお花が綺麗だから・・先生と並んでね。」


割と、落ち着いて彼を誘導出来た自分に驚いた。素直に指示された場所に立ち、ポーズを決める男の子の写真を数枚撮った。すると、つきものが落ちたようにその子は満足し、途端に機嫌も直った。 付き添いの女性は、恐縮するように会釈をすると、そのままその子を連れて立ち去った。
残された私は、写したばかりの写真をプレビューで確認した。何となく、削除するのも悪いような、しかしそのままそこに残しておくのも違う気がしたので思い切って削除した。
ただ、削除してもあの男の子の曇りの無い満面の笑みは、今も脳裏に焼き付いて離れないでいる。桜の花に負けない美しさをその瞳の奥に見たからかもしれない。





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今日の写真

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4月行事の鬱ごと

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子供会のお手伝い。春休みに誘われたのだが、実はドタキャンしてしまった。あのー、集会所からぞろぞろ出てくる仲良さげなママ連中を思い出すと、あの輪の中にどうしても自分が入って行けるだけの度胸が無かった。 実際、生理になり腹も痛く、それを理由に断った。体調不良といえば、角が立たないーそう思ったからだ。
しかし、断った後はずっと悶々としていた。
馴染めなくても一人ぼっちでも、とにかく子の為、そして自分の為にも逃げるべきではなかったと思った。後悔しても、もう遅い。
それに、最近ではそんな親の動向が分かるようになった子への影響を考えても、このままでは良くないと思った。
何より、仕事もせずただ家に引きこもり、面倒な仕事を忙しい他の母親達に押し付けていながら、孤独だ寂しいだ、ひとり鬱になっている自分が、嫌で嫌で仕方が無かった。
不器用でも恰好悪くても、やるべきことをこなしていれば、いつか光が差すのではないかー、集団の中の孤独は酷く辛いけれど。そのチャンスを自ら逃しているのではないだろうか。
もうじき1年生を迎える為の会をするらしく、子を含む高学年とお手伝い可能な母親らで準備をすると回覧が回って来た。子は、それを見て迷っているようだった。


「ママは、行く?」




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本音では、気が進まない。しかし、私が行くなら子も行くと言われて欠席する訳にいかなくなった。参加に〇を付けて、回覧を回す。もう、後戻りは出来ない。しかし今から憂鬱で仕方が無い。今回は、子も関係するのでドタキャンだって出来ない。
お手伝いといえば、敬語ママ経由で誘われたボランティアもあれっきりだ。再度、電話を掛け直す勇気が無かった。しかし、新学期が始まり学校行事などで敬語ママにばったり会ったらー合わす顔が無い。 こちらの件も、何とか蹴りを付けなければ。
役員決めももうすぐ。
それに伴う懇談会が、今から憂鬱だ。何といっても、スネ夫ママらとがっつりあの狭い教室の中で顔を合わさなくてはならないことが何よりも辛い。同じ園出身で、それなのに顔を合わせても挨拶すらしない関係。傍から見たら、きっと異常。 でも、こういった時は顔の広さがモノを言う。どんなに互いが異常な関係性であっても、分が悪いのは私の方。どんなに理不尽でもおかしくても、この世界では社交性がものを言うのだ。
嫌なことが目白押しの4月。しかし、年間スケジュールを見ながら今月だけでは無くなったことを思い出し、気分は塞ぐ。 スネ夫ママ、引っ越してくれたらいいのに・・どうして好感を抱く人は次々に引っ越して行き、大嫌いな人間はずっとここにいるのだろう?もっと強い人間になりたい。誰に対してもフラットな。




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現代のプリンセス

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相変わらず、鬱状態から抜け出せないが、南国のアニメーションCMがテレビから流れてくると、少しだけ気分が晴れる。

子と春休みに観に行ったのは、「モアナと伝説の海」。
サプライズだったので、事前に券を購入していたのだが、子が観たかったのは違うもので、それを知った時は少々がっかりした。もうディズニーという年でもないのか?
この間までは、ドリーを観て喜んでいたのに・・
どうやら子が気になっていた映画は、「チア☆ダン」だったようだ。
しかし、実際館内に入り、ポップコーンとジュース片手に席に着くと、私も子も気分はすっかり高揚して来た。そして、瞬く間にその世界に飲み込まれた。
登場人物は少なかったものの、その風景描写は素晴らしく、実際に南の島にいるような異空間を味わえた。
いつからか、ディズニー映画のヒロインは逞しくなった。「守られる美しいプリンセス」から、「自ら運命を切り開くプリンセス」に。
今の時代に合わせて、彼女等の立ち位置も変化している。
力強く、自分を信じて突き進むモアナ。子は、一体どんな想いで観ていたのだろう?

強さはひとつの武器だ。その力は、大切なものがあって初めて発揮される。
子には、強い女性になって欲しい。そして、それと同じくらい優しい人間になって欲しいと思う。




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一日中、新クラスの名簿を眺めていた。
どうせなら、全く面識のない人々ー挨拶程度で害の無い人々と同じクラスだったら良かった。
寄りによって、あの大嫌いなスネ夫ママ、そしてボスママコンビと一緒になってしまった。
それから、苦手なEちゃんママ。そしてその取り巻き達。Eちゃんママとスネ夫ママらは、素敵ママを介してすっかりママ友だ。
確率の問題で、なぜ、なりたくない人間とくっつくのだろう。そして、スネ夫ママはいつでも強運の持ち主だ。一番の親友ー、パート仲間でもあるボスママとまた一緒。
いつまで経ってもポツンの私を、遠目でせせら笑うに違いない。
これで、授業参観や懇談会、運動会や何かしらの発表会、そして学校ボランティアなど様々な行事ごとが辛くなった。これまでも勿論辛かったけれど、その比じゃない。
幼稚園のような送迎はないけれど、毎日ではないけれど、あの時と同じくらい辛い。
すっかり、ストレス耐性も弱くなってしまったのだ。緩み切った生活ー、たまにの学校行事や嫌なこと。後は自宅に引きこもっていればそれで済んだ。
しかし、そうした自分に甘い生活を送っていたからこその今回の打撃は大き過ぎる。
いい加減、じめじめした日々から抜け出したい。もう、この場所にいたくない。どこか遠くに引っ越してしまいたいー




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前向きになんてなれない

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子の新クラス発表に、愕然。
落ち込み過ぎて、当分立ち直れそうもない・・・

心機一転、頑張ろうと思っていたのに、私は本当に人間関係運が悪いと思う。昔から。
いや、運を悪くしているのは自分だとも分かっている。
どうして普通に振る舞えないのだろう。必要以上に構えてしまう。そして、挙動不審になり周囲から距離を置かれるのだ。

新クラスの名簿を子に見せられつつ、子の声が遠くなって行く。
興奮気味に新しいクラスのこと、新担任のことを話す子を前に、頭の中は詰まらないことに追い詰められている自分で一杯になる。
この1年間、すべての行事が憂鬱になってしまった。




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カラーストーン

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私は、母の気に入りのアクセサリーにはなれなかった。肌身離さず身に付けておきたい、生涯の宝物にはなれなかった。
地味で安いカラーストーン。ダイヤモンドの原石かもしれないと磨かれ続けていたけれど、いつまで経っても輝かないただのちっぽけな石ころでしかなかったのだ。
そうして私も磨かれ続けているうちに、勘違いをしていたようだ。自分は何者なのかーと、無意味な疑問を自らに投げ掛け続けて来た。私は「わたし」でしかないと気付いたのは、大人になって随分経ってからのことだ・・

ただのカラーストーンであっても、パワーを持つ石になれたら。まだ、希望を捨てきれない「わたし」がいる。



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実家訪問

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実家へ行って来た。手土産は、いちごタルト。
子は、義実家とのスキー旅行もあちらの体調不良などでキャンセルになり詰まらない春休み。なので、久々に祖父母宅に行けることと、春休み中、家族以外接触が無かったこともあり新鮮なのか、ウキウキした様子。私はそれに反して気が重い。 電車とバスを乗り継いで、ようやく到着。
玄関脇にあるチャイムを押すと、父が出て来た。


「いらっしゃい。」


一回り小さくなった父。
どれくらいぶりだろうか、相変わらず物が多い玄関に続き、狭いリビングのあちらこちらに何かが置かれている。
母は、キッチンで私達の食事の用意をしていた。ちらっとこちらに気付くと、まず真っ先に子に向かって話し掛ける。全身で私の様子を気にしながらー
何も知らない子は、少し照れたような表情でそれに答える。子からケーキを渡すと、大袈裟に喜びそれを受け取る。父はいつの間に自分の部屋に引き上げたのか居なくなっていた。
久々過ぎる親子は、会話のきっかけをつかめないでいた。まるで、夫が実家に来た時のような扱い。子を介して、私に話し掛けるといった感じで何とも居心地が悪い。


「体調は?」


結局、こちらから切り出した。まるで、長らく腹を空かせていた魚が釣り竿の先にある餌に飛び付くように、それに対して何倍もの返しをする母。興奮して早口になるあまり途中で何度も噛んでしまう様は、まるで自分を見ているようだった。 私は話半分にそれを聞きつつ、出された食事に手を付ける。
そして、やはり親戚の話になる。薬剤師の娘ーすなわち私の従姉妹にあたるーを持つ叔母の話。叔母とは近況報告をし合う母にとったら唯一の数少ない話し相手だ。月1くらいの電話だが、それでも人付き合い皆無の母にとってはなくてはならない、外の空気を吸うような気分転換になる時間。 しかし、だいたい電話があった後は不安定になる母。叔母と自分の暮らしを比較するからだ。
しばらく連絡を取っていないが、従姉妹は薬剤師として復職し、バリバリ働いているらしい。マンションを買ったのだが、働くことが決まるとすぐに売却ー、叔母の近くに別のマンションを購入。スープの冷めない距離らしい。 子供は基本、保育園。しかし、送迎は叔母がしているらしく何かと面倒を見ているとのこと。従姉妹の平日は、実家に子供を迎えがてら叔母の作った夕飯を食べて帰宅したり、また土日になれば日頃のお礼も兼ねてなのか、ちょっと雰囲気の良い店に従姉妹夫婦が叔母達を連れて行くとのこと。 春休みは、ディズニーリゾートに泊まりで行ったらしく、併設されたホテル代も勿論従姉妹夫婦が持ったとのことだった。


「ディズニーランドなんてね。孫の世話だけでいいように使われているっていうのに。姉さんもお人好しだわ。わざわざ疲れるようなことを。」


皮肉たっぷりに言ったところで、羨ましい気持ちが透けて見えて痛々しかった。そして、やはり従姉妹が叔母宅近くにマンションを買い替えたことが一番ー、理想の生活を手に入れた叔母に嫉妬心を燃やしてるのだ。 娘は誰もが羨む手に職を持ち、親思い。義理の息子も優しく人当たりが良い。孫もいつでも手に届く距離におり好き勝手可愛がれる。毎日が賑やかで忙しく、そして一番は自分の存在価値を見出していること。 理想と現実ー、私もアラフォーになり、さすがに自分の力ではどうにもならない現実があることを目の当たりにするようになった。夢はいつまで経っても夢なのだ。大切なのは、今ある現実を直視し、いかにそれを有意義なものに変えるかだ。 しかし、どうしたって隣の芝生に目が行ってしまう。そして、手に入らない幸福に気を取られるばかりで足元を見れずにいる。

何十年後の自分の姿が母に重なった。 しかし、自分のなりたい「今」を他力本願に娘に求めるのはもう潮時ではないか?それにいい加減気付いて欲しい、そう思うことは親不孝だろうか?その他にも、色々話はあったがまともに聞けばどれも疲れるものばかりだった。何とか2時間半程滞在し、子はまだ名残惜しい感じだったが実家を後にした。取り敢えず、娘としての一仕事を終えた安堵感で一杯だった。



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パワハラモラハラ

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夫がべろべろになって帰宅。これまで以上に上機嫌。仕事がうまくいったのか?珍しく口数が多い。
シャワーを浴びたことで、少しだけ酔いも醒めたのだろう。もう一度飲み直すと言いだしたので、グラスとビールをリビングのローテーブルに置くと、もうひとつグラスを持って来いと言い出した。 私と一緒に飲むーということだろう。
素直に喜べない私は可愛げのない女だ。裏の裏を読むようになったのはいつからか。
夫はグラスに注いだ黄金の液体を、喉を鳴らしながら一気に体内に流し込む。クロールの息継ぎのように、大きくぷはーっと音を立て、更にもう1杯。5杯程飲む間、仕事の自慢話。
私はそれを、共に喜べない。強いて言えば、家計が安泰だという安堵感はある。彼がそこまで言うのだから、当分リストラなどはないだろうと。
しかし、話が続くにつれその安堵感は徐々に薄らいで行った。仕事が出来ないだとかパワハラを受けているだとかー、そういった被害者という認識での失業危機は頭にあったが、その逆パターン。
自分が加害者であるかもしれないということ。夫はそういった危機感が全く無いということが、今回の話で明らかにされたのだ。


「だいたい、俺がちょっと怒鳴っただけで病気とか。前にいた職場のネームバリューがここで通用すると思ったら大間違いなんだよ!」


夫の職場に、去年の秋から入社して来た男性社員がおり、その直属の先輩としてあれこれ指導をして来たのだが、今月に入ってから休職。今もまだ復帰の目途が立たず、退職する意向を示しているらしかった。
転職前は、誰もが知る一流企業に勤めていたらしいが、経営難もあり早期退職を求められたことで転職を決意、夫の職場で働くようになったのだ。


「怒鳴るって・・どんなことで?」


「いちいち聞いてくるから、子供じゃないんだから自分で考えろ!とかそんなとこだよ。大したこと言ってないし、社会人なら当たり前のことだろう。新卒だって普通にこなすさ。」


「それに、あいつ暗いんだよ。無表情で何考えてるんだか知らねぇけど。心の中では俺らのこと馬鹿にしてるんだろうって感じが腹立つんだよ。」


その言葉が、まるで自分の妻に対してもぶつけられているのだと夫は気付かない。



ー私は、あなたを軽蔑している。




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心の中でつぶやく。
いくら仕事が出来ても何でもー、誰かを傷付けるということ、その誰かには家族があり、その人生を背負っているということ。もしかしたら、子と同じくらいの年の子ーそれよりも小さな子供がいるのかもしれない。 その子供達の将来を、夫のちょっとした言動で左右しているのだということ。果たしてそれを踏まえたうえでの叱責だったのか?
夫が追加で持ってきたワインボトル。勧められたのでぐいぐい飲んだ。夫はそれを見て、


「いい飲みっぷりだな。どうした?」


更に上機嫌になる。その綻んだ表情に反し、私の心は冷たくなって行く。


「あなた、家と同じようなことを職場でもしているの?私に対してしていることを、他人にしているの?もし、その人が追い詰められて何かあったとしたら責任は取れるの?訴えられたらどうするの?今度はあなたが仕事を失うことになるかもしれないの、分かってる!?」


心の台詞と実際に夫に向かって吐いた台詞はニュアンスは同じでも、違うもの。


「パワハラ・・」


私が夫に向かってつぶやいた言葉だ。夫はそれを聞いて、ぎょっとした顔をした。そして、あからさまに不機嫌になる。


「は!?何言ってるの?パワハラの意味、分かってる!?だから家にばっかりいる主婦は・・」


おきまりの台詞。今度は私を落とす。


「それ、モラハラだから。」


それだけ言うと、子が眠っている寝室に逃げ込んだ。背後から、夫が語気を荒げて私を呼ぶ声が聞こえたが、無視した。夫は酒を多く飲み過ぎたこともあり、追い掛けるまでの気力は無いようだった。
1時間くらいして、歯磨きをする為に洗面所へ行くついでにリビングを通ると、煌々とした明かりの中、ソファーで大の字になり鼾をかいている夫の姿が目に入った。安っぽい気遣いーいや、下手に体調を崩されて家で寝込まれるのはごめんという打算、ただそれだけで、ブランケットをそっと掛ける。
そこに愛情だとかいう温かな感情など皆無だった。




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可愛げのない人

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実母から電話があった。子が春休みになったことを見計らってのタイミング。
携帯には何度も何度も着信があったのだが、出る気分になれずそのまま放置していたのだ。
そして、昨日。自宅に電話。私はトイレに入っている最中だったので、子が取った。子が楽し気に話していることから、義実家か実家からだとすぐに思い立ち、心臓がバクバクし始めた。


「ママー、ばあばから。」


手を洗い終え、子から受話器を渡される。イヤイヤながら出ると、向こうもそれに察知してか何なのか、今までにないような猫なで声で、


「久しぶり。調子はどう?」




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こちらの機嫌を取るような出だし。父が体調を崩し、弱気になっているのだ。結局、母は強がっていても根は私と同じ。気が小さく見栄っ張りでプライドだけが高い女なのだ。
そのプライドも、切羽詰まれば捨てるしかない。母の声を聞きながら、何十年後の自分を想像すると何とも言えない気持ちになった。


「お父さん、OOの顔見たがってるのよ。あの人、あんたには言えないだろうから私から言うしかないでしょう?」


本音では、父親が病気になったのだから娘から頻繁に連絡があっても良いだろうとー、そんな心の声が聞こえる。しかし、いくら待っても来ない連絡にしびれを切らしたのだろう。父をダシに使っているのは容易に想像が出来た。 私が距離を置いた理由を、知ってか知らずか、なあなあにして無かったことにするのだろう、そんな狡さが母にはある。
全てをぶちまけたいーぶちまけてしまうーそのギリギリの線で連絡を絶った。会わなければ、傷付くことも無い。自分を守る為、そうするしかなかった。
しかし、罪悪感はいつでも私を手招きしていて、油断すると、そのまま心の闇に引きずり込まれそうになる。
私が母に会いたくないのは、未来の自分を見ているから。なりたくない、自分。それでも、血の繋がりを断ち切ることは容易じゃない。


「じゃあ、来週にでも行く。」


私の言葉に、そわそわしたような、浮かれたような声で、


「そう。何も用意出来ないけど、お父さん喜ぶわ。」


ただ、あんた達に会いたいーそれが言えない人。可愛げのない人。


「あんたって子は、本当に可愛げがない!!」


子供の頃、何度も投げつけられた台詞を、今は彼女に心で返す。
素直じゃない、孤独な人。私はしばらくぶりに薄っぺらい親孝行をしようと、重い腰を上げることにした。




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