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羨ましさと疎ましさ

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敬語ママとランチをするー、それが今の楽しみなのだが、なかなか互いの予定が合わずにようやく6月になって実現しそうだ。
場所は、私が決めることになり、その下見に以前より気になっていた店に寄ることにした。
自宅の最寄り駅より二駅程、自転車を飛ばせば30分程の距離。勿論、電車代が勿体無いし、時間は有り余っているので暑い中、自転車で向かった。
朝食は、軽いものしか食べておらず、しかし1時間程すればランチタイムだ。先月、夜なべして頑張った内職代の端数で自分の小遣い。その中で予算を決めて何か注文することにしようと心に決めていた。 家を出る前は、熱いコーヒーと店自慢のパンケーキと思っていたが、思ったよりもっと暑く、更に自転車を漕いだこともあり汗びっしょり。冷たい飲み物を体は欲していた。
店に入ると、迷わずフルーツの炭酸水と、卵サンドを注文していた。

周囲を見渡せば、どこもかしこも女性グループばかり。私と同世代はそんな感じ。勿論、一人客もいるが、男性だったり割と若い女性だったり。 年が上がるに連れて、人は群れたくなるものなのか?

丁度、私の席から入口が見えるのだが、炭酸水が運ばれて来た頃、数人の女性グループが入店して来た。驚くことに、素敵ママがその中にいた。そして、彼女らは素敵ママと同じように垢抜けた装いをしていた。 私は、もう頼みもしないのにメニュー表に目を落とし、気付かないふりをする。


ーどうか、近くの席に案内されませんように・・・


こういう時、私は引き寄せてしまう。勿論、願ってもいない方向に。内心、ハラハラしながらその時を待つ。そして、少ししてから安堵する。気付かなくても不自然ではない、そんな距離感のある席に彼女らは案内されていた。
雑誌でも取って来ようと、店の本棚へ向かった。普段読まないファッション誌に手を伸ばした時、


「OOさん!」


背後から声、振り返ると素敵ママだった。




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「やだ!来てたの~?」


「うん。さっき。」


「お友達と?」


何故、いちいちそんな質問をするのだろう?彼女の無神経さに腹が立つ。


「ううん、ひとり。」


「へぇ、ひとりなんだ。よく来るの?私は友達とよく来るよ。じゃあまたね~」


悪気の無い笑顔。彼女は何冊かの雑誌を手に、友達3~4人が待つ席へと帰って行った。やはり、近い席じゃなくて良かった。
それでも、敬語ママと一緒の時だったらもっと良かったのにと思う。素敵ママに、思われたかったのだ。


ーOOさんも、ランチ出来るお友達がいるんだー


そう思われたかった。
ついつい、素敵ママらの席を意識してしまう自分。折角の下見なのに、集中出来ずにいた。そそくさと運ばれてきたパンケーキを平らげると、結局持ってきた雑誌もよく読まずに返却し、店を後にした。 素敵ママの眩しさが、疎ましく思えた。




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お菓子交換

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綱引きや徒競走。子の出場する競技は、すべてこの目とカメラにしっかりと焼き付けた。集中し過ぎて、瞬きを忘れるくらいに。気が付けば、目が乾いて痛かった。
昼になり、子の好物ばかりを詰めた弁当箱を広げる。子と合流し、家族水入らずのランチタイムだ。この時ばかりは、夫もスマホから目を離し、和気あいあいとした空気になる。


「顔、随分焼けたな。」


「あっつい!午後は、表現だけだよ。」


家族団らんー、周囲が気になりつつも、しばし幸福感で満たされていた。しかし、それも束の間。ものの10分足らずでおにぎりや唐揚げを詰め込むと、まだすべて食べ終わらないうちに子が席を立つ。 あらかじめ頼まれていたファミリーパックの菓子を要求された。


「じゃあ、行ってくる!」


子は、個包装された大袋菓子を手に、どこかへ行ってしまった。友達とお菓子交換らしい。


「落ち着かないな。」


見渡せば、子だけではない。あちこちで子供達がわいわいとお菓子交換をしていた。子の方を見ると、キョロキョロと辺りを見渡しながら挙動不審な動きを見せていた。


「何やってんだ?」


夫も妙な動きをしている子を見つけ、怪訝な表情をしている。どうやら子は、意気揚々と交換しに出たものの、それをする友達と会えず右往左往しているようだった。
しかし、私も子もよく知るまいこちゃんやAちゃんDちゃん、それに以前ダンス教室で一緒だった子達も周囲にいるのだが、子は彼女らに気付いても、自ら声を掛けるわけでもなくただウロウロとしている。 向こうから気付いて声を掛けてくれるのを待つみたいに。
こういう時に限り、親しい放課後メンバーが見付からない。それに、いまだクラスメイトで仲良しの名前が挙がって来ないのも再び気になりだした。




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やっと、まいこちゃんが子に気付いたようで、なんとか交換をしているのが見えた。まいこちゃんの取り巻きも共に子に何かを渡し、子もようやく嬉しそうに自分のものを渡している。 まいこちゃんは、私の見知らぬ友達数人と連れ立っている。同じクラスメイトなのだろう。
少しして、子は私達の視界から消えた。しばらくして戻ると、やはり思うより交換は出来ていないようだった。それでも、ゼロでは無いのだから良しとしよう。

午後は、子の学年種目と大玉転がし、それに組体操や玉入れなど。そして、目玉のリレー戦だ。スネ夫ママの子が出ると聞いて、正直見る気が失せる。


「俺、先帰るわ。」


夫は、子の出場する最後の競技が終わるやいなや、自分の荷物だけまとめて自宅に戻ってしまった。
私も、なんだか最後のリレーを見る気が起きなかった。スネ夫ママが取り巻き達に「ヨイショ」され、望遠カメラを手にキャピキャピしている様子を想像するだけでも反吐が出た。
夫の背中が見えなくなったことを確認し、私も学校を後にした。あまりに早い帰宅だと、夫にまた何か言われると思ったのでスーパーで時間つぶしをした。
疲れているだろう子にと、冷たいアイスを買って。一応、夫にもビールを買って。
運動会は、やはり疲れる。勿論、一番疲れているのは子供達や先生だが。それでも、ただ観戦するだけで色々と普段使わなくても良い気や体力を使い、心身ともにぐったりなのだ。




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特等席

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学校に着くと、既に良い場所はレジャーシートで埋まっていた。私にとっての特等席は、子の競技が良く観える席ーなんて、当たり前の親らしい気持ちになれない自分が恥ずかしい。
スネ夫ママやボスママなど、嫌な人間が居ない席ーそれが第一条件だ。
昔から、苦手なものはすぐに見つけてしまう。ハンバーグに練り込まれたピーマンも、茶色いソースで誤魔化したってすぐに分かるのだ。この日も、校庭に入るなりにすぐにスネ夫ママらが目に入った。大きなつば広帽にサングラスという姿なのに、どうしてこう分かりやすいのだろう。 きっと、私が過剰に意識し過ぎているからなのだけれど・・


「おい、あそこはどうだ?」


空気の読めない夫が、スネ夫ママらの方面を指して言う。確かに、普通に考えれば子のクラスのダンスや綱引きなどが良く観れる特等席だ。父親が来るのが嬉しくて、子は事前にグラウンドの見やすい位置を指定した用紙を見せていたのだ。 それを、夫は覚えていた。


「OOが、飼育小屋側が一番良く見えるって言ってただろ、あの辺行くか。」


スネ夫ママやボスママが、新たに出来たのか同じクラスのママ友複数人を手招きしている姿が見えた。彼女らの父親連中は居心地悪くないのだろうか?しかし、そうでもなくにこやかに男親同士で挨拶し合っている。


「あれ、同じ幼稚園だったお母さんじゃないの?」


妙に覚えていて欲しくないことはしっかり記憶している夫に焦る。子がその場にいないだけまだマシで、咄嗟に、


「そう?サングラス掛けていたり帽子かぶっているお母さんばかりだから・・ちょっと分からないけど。あの場所は、昼になると日陰じゃなくなるし、OOがお弁当食べる時はあまり移動したくないから、あっちにしない?」


「そうか。分かった。」


珍しく、すんなり私の意見を飲んでくれた。
子の競技は、正直その位置からだと観にくいこともあり、出番が来れば撮影席へ移動してシャッターを夢中で押した。夫はというと、なんとなく子の出番になればふらっと観にこちらに来るが、しかし殆どレジャーシートから動かず、スマホばかり触っていた。
確かに、他の知らない子供の競技を観てもつまらないかもしれないけれど、それでもスマホをずっと手にしている夫がなんだか子にとって「理想のお父さん」と掛け離れている気がして、不憫になる。
その思いを搔き消すかのように、私はずっと撮影席や子の応援席から近いところで子供達の様子を窺っていた。





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運動会の朝

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子の運動会、朝から弁当作りでバタバタしつつ、実際競技に出る子よりも何故か緊張している私。
子が出た後、時間差で夫と学校に向かう。前方に、酒井さん家族、それに素敵ママ家族が見えた。わざとゆっくり歩く。


「あれ、ご近所さんだな。」


夫が素敵ママらを目にして言う。挨拶はしなくていいのかと言わんばかりにーそして、何故か早歩きになる夫。これではどんどん彼女らと距離が縮まってしまう。
夫婦で縦に並ぶのもおかしいので、小走りに追いつくようすると更に近づく。夫はまるで私の心を見透かしているかのように、困らせるかのようにぐんぐん先に進む。
素敵ママらの会話が聞こえる程の距離に来たところで、夫の歩みが緩む。丁度、5メートル程の距離感。一番微妙な距離感だ。逆に、早々に追い越してしまいたい。さっと挨拶だけして通り過ぎたい。
私が今度は歩みを速める。夫はしかし、私の後ろでのんびり歩く。背後から声を掛けたら驚かれるだろうか?しかし、このままこの距離感でいるのにひたすら沈黙のまま彼女らの背を見つめて歩き続けるのはやっぱりおかしい。
すると、ふっと酒井さんが私の方を見たーそんな気がしたので笑顔で会釈した。ほぼ条件反射的に。なのに、彼女はスルーした。そのまま視線をすぐに素敵ママに戻して話し込む。
顔が耳まで赤くなる。その様子を夫も見ていたはずだー、それもあり、必要以上に挙動不審な動きをしてしまう。気が付くと私は走り出していた。


「おはようございます。」


彼女らの横を通り際、素敵ママだけに精一杯の視線を向けて。驚いた表情の素敵ママは、すぐに笑顔に戻して、


「おはよう!」


挨拶を返してくれた。それだけで十分だった。


「おい!どうしたんだよ!?」


夫が背後から呼ぶが、それに構う余裕など無かった。そのまま走り去る。走った言い訳を夫にどう伝えるか考えながら。




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To negotiate on his

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夫にピアノのことを相談した。
最初こそ、無意味だと反対していた夫だったが、子が直接おねだり交渉をした途端、ころりとOKを出したのだった。
こんなことなら、家計のことも子から夫に交渉して欲しいくらいだ。


「ピアノは、それなりの物を用意した方がいいって先生が。」


「マージン取るんだろ。うちは団地だし、電子ピアノの安いやつで十分だ、続くかどうかも分からないんだ。」


夫の言い分も最もだった。しかし、直接先生から聞いた「電子ピアノ」と「生ピアノ」の違いー鍵盤の重さだったり、タッチしてから音になるまでのレスポンス加減の違いは、分かる人は分かるのだそうだ。
ピアノをある程度続けていけば、いずれぶち当たる壁だとも聞いた。
アコースティックに近い性能を持つ電子なら、それがいくらか軽減されるのだそうだ。




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「10万くらいの予算だな。」


私は、先生の話からしても、最低20万だと思っていた。そもそも渡されたカタログに、10万円代のそれは載っていなかった。夫にタッチの違いだとか色々話しても、聞く耳を持ってくれなかった。
それからは、色々私も下調べをした。
リサイクルショップの中古品や、区で色々な物を譲ってくれるという掲示板を隈なくチェックしたりー中古でもいいから、先生が勧めるピアノを手に入れたかった。予算は、夫から言われている10万だ。
それで元値30万くらいの物が欲しかった。
何も取り柄が無かった自分。子には、何か身に着けて自信を持って欲しいのだ。だからこそ、納得の行く道具を揃えてやりたい。中途半端なおもちゃではないー、納得の行く物を。




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ピンキリ

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先生が勧めて来たピアノは、生ピアノ。一番は、グランドピアノだが、そうでなくてもアップライト。
正直、続くかどうかも分からないので、数万円のキーボードでも良いかと思っていたのだが、考えが甘かったようだ。
先生の感触からして、おもちゃ扱いーつまり、導入用の買い替え前提であったとしても、電子ピアノー価格帯は10万超え。
金の掛かる習い事とは覚悟していたが、100万以上するピアノのパンフレットを差し出されて、たじろいでしまった。そんな私の様子に気付いたのか、


「中古もありますから大丈夫ですよ。」


言われてしまった。


「主人に相談して、予算等は決めます。決めましたらまたご連絡します。」


そう答えるのが精一杯だった。


ーやはり、分不相応なのか?しかし・・それは、夫が低所得だった場合だ。夫の職種ーというより企業名で給与サイトを検索すれば、おおよその年齢と給料が出て来るのだ。
それを見れば、子供ーしかも一人っ子に習い事をいくつかさせることは不可能ではない。
ただ、夫の権限の元でだけれど。

子の可能性は、私自身の可能性でもある。勿論、子は子、親は親であり別人格だということは認識しているがー、それでも自らが命がけで産んだ我が子に、「光」を見てしまうのは親の性だろうと思う。




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体験レッスン

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早速、ピアノ体験レッスンへ行ってきた。ネットで近場にある教室の口コミをざっと調べ、子に合いそうな先生をピックアップ。子と先生の相性は一か八かなので、とにかく体験での感触で決めることにしたのだった。
子が一人でも通えそうなところを探せば、2~3件の個人教室に、駅前にある大手ピアノ教室しかなかった。取り合えず、近所にある個人宅の教室の体験に行くことにした。

日程が決定し、電話で聞いた住所を辿る。自宅から徒歩10分程度のところに邸宅があった。邸宅ーというのが相応しい、金持ちが住んでいるような立派な家だった。


「はじめまして、お世話になります、OOです。」


「こんにちは。宜しくお願いしますね。」


「・・・・・」


子に挨拶を促すが、もじもじするだけで声を発しない。先生が声を掛けても、目線を反らし、ぎこちない笑顔。
玄関に入り、ピアノが置いてある部屋に誘導される。先生が優しく子に椅子に座るよう促し、子はそろそろと腰を掛けた。


「ピアノ、触ったことはある?」


「・・・・」




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首をかしげるだけで、答えない。そんな子の態度に私ははらはらし通しだ。まるで、しつけの行き届かない子ではないか。親である私が悪いような気がし、穴があったら入りたくなった。
答えない子を前に、しかし先生はそういうシーンに慣れているようで、まるで動じず子に声を掛け続けている。数分経って、やっとのことで子も声を発するようにはなったが、しかし、私の心もとなさは変わらなかった。


「学校でピアニカとかやったことがあるかな?」


「うん・・」


そして、ようやく先生と子はコミュニケーションを取れるようになった。子は、学校で弾いたことのある曲を片手で弾き、先生はその横で連弾?のように伴奏を付ける。
子は、少し口元が綻び、嬉しそうな表情をしていた。それを目にし、私の方は安堵した。
学校の先生とは違い、口調も穏やか、そして優し気だった。しかし、幼稚園の先生とは違うーどこかメリハリのある雰囲気だった。
それからは、使う教本の説明。驚くことに5冊もあった。何がどう違うのか分からないが、3冊は楽譜ーそして2冊は楽譜の読み方のテキストだったりドリルだった。これを平行して使うというのだから、自宅での練習の負担は予想以上のものだと考えられた。
そして、私が一番気にするところの月謝の話ー、またピアノ購入の話だ。
月謝は月7000円。ネットで調べた相場平均だったのでほっとした。そして、ピアノ購入についてー
先生経由で購入するのが、個人教室では当たり前の話なのか?パンフレットを目の前に出され、正直最初は数万円のキーボードで良いと思っていた浅はかな考えを恥ずかしく思う。
私が考えていた金額を遙かに超えるー一ケタ数字を間違えた、そんな金額がずらりとどのピアノ写真の下にも掲載されていた。
そして、「アップライト」が何かすら知らない私が、そもそも子にピアノを習わせても良いのか?というくらい、先生は次々に専門的な話をし出したのだった。




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やりたいこと、ダイヤの原石

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子がピアノを習い始めたいと言い出した。
音楽の時間、音符が良く分からず苦戦したことと、クラスメイトが何かの出し物で伴奏を担当したのを見て、「格好いい」と思ったのが発端らしかった。
習い事でも、ピアノは幼稚園からという印象がある。今更習ったところで、どこまで上達するのかも分からないし、また発表会で、子よりもうんと小さな子が子以上のレベル曲を弾くことを想像すると、果たして大丈夫なのかと危惧する思いもあった。


「パパに相談してからね。」


取り合えず、夫に相談してみることにした。
夫に何かしら相談する時には、いつでも早帰り&機嫌の良い時と決めている。


「OOがね、ピアノを習いたいらしいの。」


「え?ピアノ?あんなの何の役にも立たない、やめとけ。」




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夫の言い分としては、義姉がやはり、子供時代にピアノを習っていたらしいが、練習は正直他人からしたら騒音でしかないし、初期費用やら月謝やらが高価な割りに身にならないしで、良い印象は無いらしかった。


「ピアノする時間、塾とか行った方がいいんじゃない?そっちの方がよほど役に立つだろう。」


夫としては、ピアノは金持ちが余暇にやる習い事という位置付けだった。しかしー、私は子に感情移入していた。
やりたいと本人が言ったことーそれを見過ごすことは出来なかった。
何故ならー、私自身、やりたいことすら浮かばない、詰まらない子供だったからだ。「やりたいこと」が明確な友達が羨ましかった。子供時代から無気力で、何かに熱中することが無かったのだ。 勉強だけではない、スポーツや音楽、絵画など、何でも良い、夢中になれることー
それが無いことがコンプレックスだったのだ。そして、それは今も尚持ち続けている。
やりたいことー時間と金があるのなら、親として子に出来るだけさせてやりたい。それは、我が子に未知なる「可能性」を見ているからだ。とうの昔に捨てた、自らの「可能性」を子に託したいーそんな気持ちが少なからずともあることは否定出来ない。


「役立つとかじゃなくてー、OOがしたいって言ってるの。取り合えずでもいいからさせてあげたい。今させなかったら、大人になってから「たられば」で私達のことを悪く思うことだってあると思う・・・」


夫は、少しの無言の後で首を縦に振った。夫にしては珍しいことだった。テーブルを見ると、既にワインの瓶が1本と半分空いていた。
こうして、取り合えずの「体験レッスン」をさせてくれる教室探しが始まった。




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愛想の良い探り方

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ボランティア活動に行って来た。前回一緒の席に座った人達とのグループワーク。
私は彼女らよりも年上、ここは仕切らなければと気持ちばかり焦る。しかし、先走れば空回るのが私という人間。
ベリーショートの女性は、相良さん。編み込みヘアの女性は平井さん。先日の自己紹介で知ったのだが、下の名前は忘れてしまった。
スタッフがあるところまで下準備してくれているので、私達の作業はほぼ単純作業。慣れてくれば、片手間に出来そうな仕事。それを証拠に、他のグループは和気あいあいと雑談をし始めている。 出だしが肝心ー、そう思い、思い切って口火を切った。


「この辺りにお住まいですか?」


ありきたりな質問だが、それでも頭の中で何度も反芻した後で出した言葉だ。


「あ、はい。」


二つの声がかぶる。ということは、二人ともこの近くに住んでいるらしい。年齢の近い二人は顔を見合わせ、互いの住所を言い合い、そして私の知らない酒屋の名前を出して少し盛り上がる。 たちまち会話に入るタイミングを見失う。私から話題を持ち掛けたというのに・・


奇数は苦手ー、特に3人は難しいという話をよく聞くが、そもそも根本的に人と関係を築くのが難しいと感じている私にとって、奇数であろうが偶数であろうが、3人であろうが何人であろうが難しいものは難しいのだ。
それでも、それを顔に出さず微笑をたたえながら手を動かし、視線を二人に向けたままでいると、気を遣ってなのか今度は相良さんが私に住まいを尋ねてくれた。


「あ、知ってます。従姉妹がその近くに住んでるんです。」


思わず笑顔になる。もう、それだけで打ち解けた気分だ。社交辞令であってもなんでも、スルーされないことの清々しさ。
会話は、ぽつりぽつりと続く。互いに探る段階の会話。踏み込み過ぎず、しかし無愛想にならないように。




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「終わりましたね。」


「あ、もうこんな時間。」


スタッフが終了の声掛けをした。皆、ざわざわしながら片づけ始める。私はいつもの癖で、テキパキと帰る準備をしてしまい、することが無くなってしまう。相良さんと篠崎さんが歩いて来たのかどうか尋ね合っているところで、なんとなく手持無沙汰な私はその場に居辛くなり、


「じゃあ、お先に失礼します。」


「あ、お疲れさまでした。」


「お疲れさまでした。」


笑顔の二人に見送られる形で、部屋を後にした。


もう少しのろのろ片付けをしていたのなら、なんとなく二人と会話をしながら途中まで帰ることが出来たかもー
今頃二人は、ライン交換でもしてるかもー
いや、家も近いし年齢も近い二人は、早速ランチでも食べているかもー


また心にも体にも悪い妄想に取り付かれそうになり、慌てて首を振る。そうだ、私にはもうすぐ敬語ママとのランチの約束があるではないか。それに、今日は子が4時間の日。どちらにしてもランチなんて無理。子は鍵を持っていないのだから。
約束があり、やるべきことがある。それは幸せなことだ。何故なら、マイナスの妄想を和らげてくれるから。 本来のボランティア活動に集中しよう。人間関係は後から付いてくる。




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憧れのライフスタイル

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テレビで見た、ハンドメイド作家の生活に憧れる。
好きなことを仕事にする彼女らは、毎日がキラキラしている。引っ越し前のママ友も、ハンドメイドで開業し、バリバリ稼いでいたというのに、3人目を妊娠したことで今はお休み。
この春、無事出産して今は日々慌ただしく過ごしていることをメールで知った。一応、出産祝いを送ったが、まだ内祝いは届いていない。それくらい、忙しいのだろう。
私が彼女なら、折角つかんだチャンスを逃したりしないのにー、勿体無いと思ってしまう。

ショッピングモールのアクセサリーパーツ専門店に寄った。キラキラしたいくつもの繊細なパーツを見ていると、むくむくと創作意欲が湧いてくる。
イヤリングも、安いパーツを選べば数百円で出来てしまう。完成品を買うより断然安い。そして、作る楽しみもある。


ー新たな趣味でも見つけようか・・


レジンという樹脂を固めたアクセサリー作りにも惹かれたが、これは特別な機械が必要らしく費用も掛かるので手が出ない。まずは、簡単なものから挑戦しよう。
取り敢えず、手始めにとすべて揃っているキットを購入することにした。

ボランティアに新たな趣味ー、子とは無関係の世界に身を置くことで、少しだけ憧れの生活に近付けている、そんな気がしているのだ。




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憂鬱の中の楽しみ

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もうすぐ運動会。スネ夫ママやボスママらと同じクラスなので、いつも以上に学校行事は憂鬱だ。また、子から聞いた話によると、スネ夫ママの子K君は、今年応援団に選ばれたらしい。
運動神経も抜群なので、リレー戦にも出場するとのこと。
素敵ママの子R君がそうならば、素直に心から良かったねと思えるのだが、嫌いな母親の子供だからかそんな風に思えない。
どうしても、ずる賢く調子の良い子に見えてしまうのだ。

子は、運動神経は可もなく不可もないと思っていたのだが、最近ではやや劣るようになって来た。ダンスや水泳の習い事をしていた頃はまだ良かったが、何もしていない今となっては運動不足もありやや肉が付いて来てしまった。
体が重くなったことで、元々そこまで速いわけでもなかった足だから遅くなり、徒競走に出るのを嫌がっている。
幼稚園の頃、子は運動会を楽しみにしていたのに・・低学年の頃もまあ楽しみにしていた。しかし、ここに来て運動会というイベントに楽しみを見いだせないでいるようだった。


「運動会、雨になっても延期なんだって。中止でいいのに。」




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子からそんな台詞を聞いた時、何とも言えない気持ちになった。常日頃、親である私が内心思っていたことだが、いざそれを子の口から聞くと悲しい気持ちにさえなるのだから、私という人間は本当に勝手だなと思う。
運動嫌いになるかどうか、子にとってこの4年生という学年は過渡期になるのかもしれない。そして、今後の高学年から中高生になるにつれて、運動好きかどうかは学校での子の立ち位置を決める重要な材料になるだろう。


「そんなこと言わないでよ。ママ、OOが出るの楽しみにしてるよ。」


「だって、走るの遅いし。」


「別に遅くたっていいよ、他の種目で楽しみなものはないの?」


「うーん、特にない。」


「じゃあさ、せめてお弁当はOOが楽しみになるように何でも好きなもの作ってあげる!いいじゃない、運動会はパパとママと学校でお弁当を食べる日ってことにすれば。水筒には、冷たいスポーツドリンク一杯入れてあげるから。」


学校内で、家族揃って弁当を食べることが出来るのは、唯一この運動会というイベントだけだと思う。それに、お茶以外の飲み物を持って行っていい日も。
そんな小さいけれど、特別な楽しみを子はすっかり忘れていたようだ。


「パパも来れるの!?」


「うん、休みはもう取ったって。」


素直に子は喜ぶ。


「なんか、少しだけ楽しみになって来たかも。」


4年生という微妙な学年。まだ幼いところがある子は、私達と一緒に弁当を食べることが「楽しみ」だと言ってくれる。これもあと何年か。そう思えば、やはり貴重なイベントなのだ。
正直、気が重かった運動会。しかし、私も子の競技を見てその成長を見届けること、家族で共有出来る楽しみにスポットを当て、来る日を待とうと切り替えることが出来た。




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今日の写真

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母の日のカタチ

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母の日だった日曜、夫と子は義実家へプレゼントを渡しに出掛けてしまった。
夫にとっては、いつまでも大事な母なのだろう。義姉らに催促されたのかもしれないけれど。
夕飯は要るという二人の為に、買い物に行くと、日曜ということもあってファミリーだらけ。しかし、父&子で買い出しに来ている家族が多いように見えた。
何気なく目に入った、小学1年生くらいの男の子とその父親が手にしている買い物かご。カレールーとじゃがいもなどの野菜、明らかに「お母さん」の代わりに夕飯を作るのだなと分かる。母の日くらい手抜きしても良いかなーと私も彼らに続きカレーの材料をかごに入れた。
スーパーに併設された花屋は、鉢植えからフラワーアレンジメントされたカーネーションで一杯だ。「お母さんありがとう」の文字入りリボン、うさぎやクマなどの可愛らしいマスコットと共に可愛くアレンジされた花々は華やかで温かい。
店の前には、幼稚園~小学生くらいの子供達とその父親、また中学生くらいの割と大きな男の子が恥ずかし気に店の前をウロウロしているのが微笑ましい。

幼稚園の頃は、母の日には行事ごとの一環として、必ず何かプレゼントを作ってくれた子。小学生になり、そういった機会は無くなり、お祝いして貰うことが無くなった今、少し寂しく思えた。
私が子供の頃、母を喜ばせたい一心で、貯めたお小遣いから花を買ったり手紙を書いたり工作したり、色々としていたことを思い出す。子は、女の子の割にそういったことに無頓着なのか、行事ごとに疎い。自分の誕生日やクリスマス、お年玉を貰える正月は忘れないけれど。多少、もやもやする気持ちが無いと言えば噓になるが、プラス思考になれば、子は私に対して顔色を窺うような、必要以上に気を遣うような子ではないということ。ある意味、「子供」なのだということだ。
父親である夫が気を利かせて子に一言あれば、きっと母の日を祝ってくれるのだろうなと思う。しかし、夫は子を連れて義実家でお祝いをする。子にとって母の日は「敬老の日」と混合し始めているのではないか。


「ママ、母の日おめでとう!!」


自宅に戻ると、実は夫も子も家にいて、飾り付けした部屋で私を迎えてくれる。子は、お小遣いで買った一輪のカーネーションを私に渡す。そして、額に入れられた家族の絵。
不器用ながら、夫と共同作業で作ったというデコレーションケーキ。
私は、胸一杯になり、幸福を噛み締める。

そんな妄想を繰り広げながら、誰もいない自宅の玄関ドアを開ける。気を取り直し、お気に入りの音楽を掛けながら一杯だけワインを飲み、カレーを作りながら二人の帰りを待つ。
これだって十分幸福ではないかー、そう言い聞かせながら。




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トップバッター

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「では、そちらの女性からどうぞ。」


心の準備も出来ていない状態で名指しされたのは、驚くべきことに私だった。司会者は微笑をたたえてこちらを見ている。しかし、不思議なことに私の心臓は意外と落ち着いていた。


「OOと申します。知人の紹介でこちらのボランティアに参加させていただくことにしました。この活動をきっかけに、人間関係を広げていきたいと思います。いたらない点も多いかと思いますが、よろしくお願いします。」


すんなり言葉が出た。しかも、いつものような挙動不審な感じも無い。普通の自己紹介ー人からしたら、記憶に残らない程に、普通過ぎる台詞。
全ての人が初対面だからか?どうにでもなれという気持ちと、嫌ならやめてしまえばいいという気楽さ。条件さえ揃えば、こういった緊張を強いられる場において普通に振る舞えるのだ。
私が必要以上に身構えてしまうのは、親しくはない顔見知りー、挨拶をしても相手は私のことを覚えているのかどうなのか不明慮な関係性。そういった人々が集まる場所。
また、苦手な人がいる場は勿論のこと、好意を抱く相手であっても私のことなど眼中無しに私以外の知人と群れているような場も落ち着かない。そして、向こう何年もしがらみが続いていくであろう人々が集う場においては、出る杭にも打たれる杭にもならないようついつい身を潜めてしまう。結果、「何を考えているのか分からない不気味な人」になってしまうのかもしれない。

トップバッターの自己紹介が終わると、後は気楽に他の人達の自己紹介に耳を傾けるだけだった。しかし、こういった場に進んで参加する人々だからか、皆が堂々としておりむしろ楽しんでいるように見える。
私はまだ楽しむまでの余裕は無いけれど、それでも少しだけ未来に明るい兆しを感じられた、そんな始まりだった。




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アラフォーおばさんの下心

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ボランティアの顔合わせに行って来た。
初日なので、早目に到着すると、既にスタッフらしき人が数人会場のセッティングをしており、私と目が合うと感じの良い笑顔を向けて来た。
60代前後の男性がどうやら一番乗りらしく、勇気を出して挨拶をしてみた。


「おはようございます。」


男性は、こちらを一瞥すると軽く会釈を返してくれた。しかし、その先はどうして良いか分からず、戸惑いながらも空いている席に座った。
わらわらと人が増えて来て、なんだか皆が顔馴染み同士に見えてしまう。私の悪い癖で、そう見えると自分だけが一人ぼっちのようで必要以上に気後れしてしまい、内心オロオロしてしまう。 席は、前回とは異なり小グループ席がいくつかある。私が座っている席に誰が座るかで今後が決まると思うと、気が気では無かった。
入口付近に目をやると、あの女性がいた。スタッフと話しているのが聞こえたのだが、ため口なのだ。先日、この人と仲良くなりたいーと願っていた気持ちが一気に萎えてしまった。
私には、遠過ぎる人だ。そして、それを裏付けるように彼女は既に数人の女性が座っている席に駆け寄り、


「おはよー!」


親しげに挨拶をしていたのだ。仲間がいたのだと分かり、更に気持ちは沈んで暗くなった。その席の仲間達は、見覚えが無い。彼女の紹介で今日初参加なのだろうか?私と同世代ー、アラフォー女性軍団だ。
あわよくばあの席に交じれたら・・と思うけれど、しかし、既に出来上がっている輪に飛び込むエネルギーとハードルの高さは、子を産み育て10年近くなるまでに何度も経験し失敗する中で嫌でも知ってしまった事実だ。
横目でそのグループを気にしながら、諦めの境地に陥っていると、


「おはようございます、ここ、いいですか?」


顔を上げると、一人の女性が声を掛けて来た。私よりもだいぶ若い。20代といってもいいし、若作りだとしても30代そこそこという感じ。ゆるく編み込みをした可愛らしい人だ。そして、私とは全く正反対の気さくで明るい笑顔の似合う女性で、こちらもついつられて笑顔になる。


「ええ、勿論。どうぞ。」




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少しして、今度はまた一人の女性。こちらはまだ少し年齢が高い気がするけれど、明らかに私よりは先の女性に近い若さがあった。先程の女性とはまた違ったタイプで、ベリーショートのマニッシュ系だ。
3人共初対面ーしかもそれぞれがピンで参加しているらしい。これ程の好条件が揃ったというのに言葉がなかなか浮かばない。話し掛けていいものか、様子を見るべきか、迷ううちに時間だけが過ぎて行く。
この中では一番年配だというのに、気の利いた台詞すら出せない自分が情けなかった。そもそもこの会に参加した理由に年の功とは言えない下心があるからだ。それを彼女達に見透かされるのが怖かった。


「・・・・・」


「・・・・・」


「・・・・・」


気まずい沈黙。気まずいと思っているのは私だけかもしれない。彼女達は、この沈黙を何とも思っていないかもしれない。こんなことをいちいち気にしているアラフォーおばさんだと分かれば、たちまち軽蔑されるだろう。
どんよりとそんなことを考えていると、準備の出来たスタッフが前に出て話し始めた。


「それでは、まず初日なので自己紹介をしていただきたいと思います。」


自己紹介など頭からすっぽり抜けていた。
学校の保護者会のように、事前に準備して来なかった自分を強く悔いた。




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不信感

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4年生になり、勉強内容が難しくなったのか、子が頭を抱えることが増えた。
宿題はまだしも、授業の内容がいまいち分からないというので、放課後になると教科書とノートを開いて親子で復習だ。子も危機感を覚えたのか、放課後遊びを自重している。
算数では、割り算の筆算や桁の多い掛け算が始まり、暗算が出来ず指を使って足し算をしている子にとっては、難易度が高いようだ。
また、理科ではグラフの見方、気温の測り方がうまく理解出来ていない。低学年のうちは気にならなかったが、内容が複雑化するにつれて、単元の始まりの飲み込みが悪くなっているような気がする。 一度理解してしまえば人並みに問題を解くことは出来るのだけれど・・

これが、4年生の壁というやつか? それとも、担任の教え方に問題があるのでは?


「先生、早口過ぎて何言ってるのか分からない。」


子が、前にちらっとこぼしていたことを思い出す。それに、字が汚いとも言っていた。黒板の文字が良く分からないとー
教え方に問題があるとしたら?
こういう時、気軽に話せるママ友がいないことに不便を感じる。ちょっとした疑問を共有出来たら不安感も薄らぐのに。


ー今度の先生、子供が授業分かりにくいって言うのよね。


ーやっぱり!?うちの子も言ってた!ノートもちゃんと取ってないから聞いてみたらさ、先生の字が汚いって言うのよ。


スネ夫ママらは、ママ友らとこんなラインを送り合っているに違いない。そんな妄想をしてしまう。


勿論、子に担任への変な先入観を与えてはならないから、心の内でだけの不信感。しかし、人のせいにすることは簡単だ。我が子のことを疑いたくはないけれど、きちんと授業を聞いているかどうかは実際この目で見ていないので分からない。 やはり、地道に復習をするしか方法はないのだ。




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始動

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連休が明け、静かな日常が戻った。
夫と子を見送ると、取り敢えずの洗濯を終えたらひと段落。つい、ワイドショーを付けながらソファーに横になっていたら、寝てしまう。
新聞も、読もうと思い一旦ローテーブルに置くのだけれど、なかなか開くまでに至らない。一応、夫が帰宅するまでにあたかも読んだかのように開いて閉じてをしてみるが。
梅雨入り前の5月、花粉も落ち着いて気候の良いこの時期が苦手だ。家にこもることに罪悪感を度々感じるから。
そんな私も、今日は外出の予定が入っている。例の、ボランティア関連の集まりだ。出席に〇を付けた以上、今更キャンセルに出来るわけもない。それでも、何故今日に限って雨なのか?
例のー、私と同世代の女性も恐らく来るだろう集まり。どうにか接触出来たらと思う。


自分を変えたいー


そんな思いもあり、引き受けたボランティア活動。挫折するかもしれない、また一人ぼっちを味わうかもしれない、そもそも活動自体が水に合わないかもしれないー
どこかで読んだ「引き寄せの法則」を思い出す。
新しいことを始める時に、不安や心配などネガティブ要素ばかり頭に描くと、望んでもいないのにそういったものを引き寄せてしまうらしい。
浮かんで来たそれらの雑念を追い払う。
とにかく、動かなければ何も始まらないのだ。




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バブルSNS

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同窓会の話があってから、出席しそうなメンバーのSNSを盗み見するようになった。
事前準備ーではないが、もう何十年も会っていないクラスメイトとどう接したら良いのか分からず、やはり欠席すると電話で伝えようかと思い悩む。
クラスの中心的存在だった女子らのSNSは、セレブのような暮らしだったり、私と同じような生活水準だと思われる暮らしだったりと様々。
人生の逆転は、女であれば最後の砦は結婚相手ーそんな時代はとうに過ぎたと思っていたが、それでもそういった名残を感じるのは私だけだろうか?
かおりは、唯一の私の友人。彼女がいなければ、同窓会にすらお呼びは掛からなかっただろう。今となっては、友人でなければこんな煩わしい思いをせずに済んだのにとまで思う私は、やはり非情な人間だ。

セレブ生活をしているクラスメイトMとは、学生時代1度も話したことは無い。あの頃から始まっていた、スクールカースト。上位グループの中でも中心人物の彼女は、派手な仲間らしかクラスメイトと認めていないーそんな雰囲気があった。 下駄箱で会っても、私のことなど眼中に無いようでスルーした。目が合っても、だ。あの頃から、私はそうやって自尊心を傷付けられて来たのだ。
彼女のSNSを、見たくはないのにスクロールしながらだいぶ過去まで遡ってしまう。随分派手な生活をしているが、子供はいないようだった。毎日のように、外食しており、そのどれもが高級料理。カウンターのすし屋だったり、お洒落なフレンチだったり。仕事も勿論しているが、アフター5を楽しむような投稿がいくつもあり、仕事よりも日々の生活や趣味に重きを置いているようだった。 どの投稿を見ても、彼女は笑顔だ。自撮りが殆どだけれど、それでも誰かに撮ってもらっているのか全身写真もちらほら。
そして、常に多くの人に囲まれて楽しそうな彼女の笑顔。つい最近だったと思われる誕生日には、お洒落なデザートプレートの盛り合わせ。プレートにはチョコレートで名前も入れてある。ミニケーキにはろうそくも。 夫から、数多い友人から、そして職場から。誕生日当日だけでは間に合わず。ほぼ1週間、彼女の誕生日パーティーのようなイベントが開催されていた。
下駄箱で私を見下すような、あの冷たい視線の彼女はどこにもなかった。 私は、自分を保つ為に、携帯写真の待ち受け画像をじっと見つめた。そこには、子の笑顔。数年前のものだ。それを、つい最近撮った写真とすり替えた。それをお守りのように両手で包み込む。


ーこの10年間には、勝てないでしょう?




泡のように消えて行く、忙しくも充実した日々は、果たして何を残してくれるのだと画面の向こう側の笑顔に問う。学生時代、くすぶり続けて来た彼女への黒い気持ちが、どうしてもそうさせるのだ。





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最後の一日

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連休も今日で終わり。
夫も数日は休みをとったこともあり、なんだかんだ慌ただしく過ごしていた気がする。
団地内の駐車場は、いまだガラガラ。皆、遊びに出掛けたり帰省したりしているのだろう。

GWは、どこもかしこも混んでいるし、料金だって高額。それに、渋滞だったり行列だったりで良いことなんてない。
分かってはいるが、テレビでの空港のインタビューや満員の新幹線を目にすると、無理してでも子を連れて遠出すれば良かったのではと後悔する。
夫に提案すらしなかったのは、恐らく私と同じ気持ちだろうと思っていたからだ。しかし、実際はそうでもなかったと分かったのだ。


「もうOOも10歳だもんな。中学にでもなれば、部活なんかで家族旅行も厳しくなるな。今回もどこか温泉にでも行けば良かったな。」


義姉らが、大阪に遊びに行ったと聞いたことで触発されたのか、そんなことを言う。受験生を抱えていても、思い出は思い出。遊ぶ時は遊んで勉強する時は勉強をするというメリハリが大事なのだと言われたらしい。
本音かどうか夫の心は分からないけれど、本音だったなら私から一押しすれば違ったGWを過ごすことが出来たかと思うとやはり残念だ。
もう最終日ーしかし、あと一日ある。派手に過ごす必要はないけれど、何か家族で出来ること。
天気も良いし、皆でサイクリングでもしようと提案してみることにした。




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二人目催促

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昨日は義実家へ。珍しく、皆で持ち寄りをしようということ。一番上の義姉提案なので逆らえない。
テーマは中華。持っていく間に冷めてしまうし中華は出来立てが美味しいとは、思っていても口に出せるわけもない。
夫にせかされ作ったもの。

〇酢豚ではなく、酢鰤。
〇春雨サラダ
〇茄子の中華風煮びたし

3品が限界だった。夫は既に、ビール2ケースとワインや焼酎を買い込み大張り切り。車で行って、子と共に一日泊まり、翌日自宅に戻るとのこと。
タッパーに詰めたおかずを丁寧に紙袋に入れ、義実家へと向かった。
到着すると、既に他の家族は出来上がっている、いつもの状態。義姉達のマシンガントークに高笑い。


「いらっしゃーい。」


「お邪魔します。」


早速、持参して来た料理を義母に差し出す。


「あら、美味しそう。」


取り敢えず、曇りのなり彼女の顔を見てほっとする。テーブルには既に色々な料理が並んでおり、どれもこれも手が込んでいそうだった。


「OOさん、全部作ったの?すごい!」


三女が声を上げる。続いて次女が、


「私、GWだってのに、昨日もパートで疲れちゃってさ。ごめん、1品しか作れなかったー」


次女が作ったらしいのは、酢豚だった。丸被りではないものの、なんとなく申し訳ない気持ちになる。私は3品だけれど、彼女は1品。その唯一のおかずが被ってしまったのだ。


「あれ?OOさんのも酢豚じゃない?」


長女がすぐに気付き、三女が笑う。


「食べ比べしようよ!絶対、OOさんの酢豚の方が美味しいって!」


盛り上げているつもりなのだろうが、正直、料理に自信が無い私にその言葉は迷惑でしかなかった。三女は相変わらず義母に甘えて、一緒に作ったと言う餃子や春巻き、旬のタケノコを使ったチンジャオロースやデザートには杏仁豆腐を並べる。 驚いたのが、言い出しっぺの長女。
持ち寄りをしようと声を掛けておいて、明らかにその料理の殆どはお取り寄せのレトルトばかり。1パウチ1000円程するらしいふかひれスープやエビチリ。ただ温めて盛り付けるだけ。 なんだか、私の料理の査定をしたかっただけなのではないかと疑う。


「カンパーイ!」


夫らは、既にビールを何本も空けていた。私達も席に着くと、それぞれ取り皿を持ち料理を口に運び始めた。


「ねえ、どっちの酢豚が美味しい!?」


2枚の小さな取り皿に、私の酢鰤と自分の酢豚を乗っけて夫に差し出す次女。


「ん!?これって肉じゃなくね?」




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「じゃあこっちは?」


そう言って、自分が作った方を今度は差し出す。


「うまい。こっちは本当の酢豚だな。」


「これって、酢豚じゃないよね?」


「はい、豚が無くて、急遽冷蔵庫にあった鰤を使ってみたんです。」


そう言った後、しまったと思った。まるで冷蔵庫の残飯処理をしたように聞こえる。しかし、既に酔いが回り始めた彼らは何も気にしていないようだった。


「美味しいわよ、後でレシピ教えてね。お父さん、すごい気に入ったみたい。」


義母が私に微笑みかける。義母は、この家族の中でとびきり気遣いが出来る人だ。だから、年老いた現在も常に娘らはべったりだし、かといって自立していないわけではなく、自分の趣味や生き甲斐、それに友達も多く日々を充実させられるのかもしれなかった。 ぎこちないながらも、義姉らにワインを注がれ、恐らくボトルで言えば三分の二程飲んだところでまた例の話。


「二人目、まだ行けるよ!」


何故か、励まされる。40代でも出産してピンピンしている身近な友人や芸能人の話を出してくる。気分は塞ぎ始めたが、それを紛らわすようにぐいぐい酒を体に流し込む。へらへら彼女らの話に耳を傾けながらも涙をこらえるのに必死だった。
いつもは考えないようにしている、二人目のこと。日常から追いやっているその問題とここに来ると直面する。ダイレクトにそれについて言及する彼女らをいまだ受け流すことが出来ずにいるのは、万が一の可能性をまだ夢見ている私がいるからか?
いっそのこと、出産に現実的ではない年齢に達してしまいたい。そうなれば、外野からあれこれうるさく言われることもなくなるのにと思う。




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今日の料理

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今日の料理




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行動力の対価

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敬語ママからメールが来た。
ボランティアの説明会に参加したことに対するお礼と、再びランチのお誘い。嬉しい気持ちーそれと同じくらいの虚しい気持ちが少しだけ湧く。
来年には越してしまう、それを知ったうえでのお付き合いは何だか切なく、これ以上仲良くすれば別れが辛くなるに違いないと、ついマイナス思考に陥る。 それでも、折角出来たこの縁を大事にしたく、快くOKした。

思えばー、ママ友が出来ない、孤独、引きこもりだと自信喪失に陥りつつも、勇気を出して一歩踏み出したところでこういったご褒美がそれまでもあった。Yさんとも知り合えた。
まいこちゃんママとは疎遠になってしまったーというか、そもそもあちらにとってもこちらにとっても「ハズレ」の出会いだったけれど、あれだって今思えば一つの「縁」だった。
不器用なりに、頑張っていればー免疫を付けて行けば、いずれこの地で本当に心の通い合う友人が出来るのでは、と珍しくポジティブな妄想に浸る。

期間限定でも、会って話したい人がいるということ。相手からもそう思われているということ。なんて貴重で有難いものなのだろう。
誘うことのエネルギーは計り知れない。彼女は、私を選び誘ってくれた。私という人間とサシで食事をしたいと言ってくれた。
私という人間が誰かに認められることが、こんなにも嬉しいものなのだと思うと、待っているだけでなく自分からアクションを起こす大事さを、改めて敬語ママから学んだ気がした。




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くれ騙し

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「連休だし、たまにはいい店行くか。」


夫からの珍しい提案。遠出をしない分、少し良い店で外食をすることになったのだ。これには子も大喜び。普段、家族で外食とくれば安いファミレスやファーストフード、またフードコートがお決まりの我が家。
そもそも外食をする頻度さえ少ない。平日休みが多い夫は、ただでさえ子と休みが合わない。なのでたまに休みが合えば義実家訪問もお決まりのパターン。
GWは、何日か休暇を取ることが出来た夫。今回は珍しくツーリングの予定も入っていない。1日は義実家、他は久々の家族サービスに充てる気になったのだろう。


「この店、どうだ?」


夫が私と子にスマホから見せてくれた店は、高級焼肉店。価格帯もチェーンの焼肉店よりも倍高い。次に見せてくれたのが、海の近くにある回転ずしでこちらも普通のチェーンのすし屋より割高だ。
そして、一人5千円程するホテルビュッフェ。これには子も食い付いた。いちごフェアのようなものがやっており、美味しそうなスイーツも盛りだくさん。チョコレートファウンテンが子は気になったようだ。
私はホテル自慢の焼きたてパンの数々が気になった。その場で焼いてくれるローストビーフも美味しそう。


「ここがいい!」


子も私も同意見。夫は満足そうに頷くと、ネットで予約を取ろうとした。しかし、少ししてから何か考える素振りを始めた。


「2時間で5000円か。時間制限あるのがちょっとな・・」


正直、2時間もあれば十分だと思う。子だって、もう4年生とはいってもそう何時間も同じ店に居続けるのは苦痛だろう。腹一杯食べてそれくらいの時間は割と丁度いい。店だってそのように計算したうえでの2時間だろう。


「3人で、1万3000円か・・・これ、どう思う?」


私に尋ねる。夫の表情でどのように答えるのが正解なのか、10年以上も妻をしている私には、悲しいことに分かってしまう。




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「高いね。もっと、他のところでもいいかも。」


夫はその答えを聞いて、満足そうに頷く。子は、明らかに不満そうな顔をするけれど、表向きには「パパではなくママが最終決定した」風になっていることもあり、私を見上げてため息をついた。


「チョコレートファウンテン、やりたかったよ。」


「我儘言わないの。他の店、探そう。」


「連休は、いい店はどこも予約で一杯だな。やっぱり、今度にしておこう。」


本当なのかどうか分からないけれど、どこかの店のネット予約画面が満杯だったらしく、その他の候補の店もきっとそうに違いないということですべてがおじゃんになった。
急に金が惜しくなるーいつもの夫の癖だ。最近は仕事が忙しく、そんな機会も無かったけれど、昔はよくあった「くれ騙し」。
あげる素振りを見せておいて、こちらが喜んだ途端取り上げる。何度やられても気分が悪い。期待をさせるだけさせておいて、ぬか喜びで終わるのだ。
連休前に入っている色々な店のクーポン付広告を品定めし、数枚私達の元に持って来た。


「これなんか、いいじゃないか。あと、これも。」


「うん、いいね。」


結局は、毎度お馴染みの店。デザート199円程度の店。それでも、家で作らなくて良いのならよしとしよう。そう気を取り直し、本音を腹に隠して笑顔を二人に向けるのだった。




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父、母、そして私への連鎖

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実母から電話があった。一瞬、父に何かあったのかと思い不安になったが、受話器から聞こえる妙に調子の良い声でそうではないと確信し安堵する。
なんてことはない、叔父が入院したことを伝える電話。
とはいっても、その叔父とは普段親交があるわけでもない、どちらかと言えば目の上のたん瘤のような存在で、母は特に彼を嫌っている。勿論、父方の親戚だ。


「お見舞いとか・・行った方がいいかな?」


行かなくてもいいと言われることを前提で、一応形だけ尋ねる。予想通りの答えが返って来る。そして、結局それは電話を掛ける為の口実だったのだと気付く。
父の病気は快方に向かっているが、しかしずっと寝たり起きたりの生活だったこともありますます覇気が無くなって来たとのこと。一緒にいると滅入るのだと言う。


「私はね、行動的だから。あの人みたいにじっと家に引きこもってるなんて無理。体がいうこときくなら日本中あちこち飛び回っていたいわよ。」


口だけー私からしたら、父も母も変わらない。母の言う行動力とは、近くのスーパーに徒歩30分掛けて行くことくらいなのだ。しかし、父が体調を崩してからは車の運転も出来なくなってしまい、いよいよ宅配に頼るようになってしまった。割高の宅配ー、そこでまた国産だとかこだわりの食材をあれこれ買い過ぎては冷蔵庫に入れっぱなしで腐らせ捨てる。 勿体無いーと思っても口には出さない。


「あんたに援助して貰ってるわけでもないから。」




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そう突っぱねられる。たまに渡す5000円~1万程度の金は、「援助」ではない、娘として親に渡す当たり前の「小遣い」なのだ。
父と母に気の置けない友人がいたらと思う。自治会にも入っていない。面倒の一辺倒だ。なので、地域のサークルにも入っていなければご近所との交流も無い。
そして、愕然とする。私を産んだ親なのだ、そりゃあそうだろうと。
連鎖する生き様にどんよりする。そしてそれは我が子にも伝染して行くものなのかと思うと、それは違うと思い直す。夫側の義両親は楽しそうじゃないか。金もそれなりにあるし、義母にいたっては娘らと仲も良く友達も多い。毎日のように出歩いており、そんな義母を前に私は劣等感に駆られるが、それでもこちらが心配する隙が無いくらい日々を充実させていることはある意味有難い。 親孝行が、幸せになることならば、子孝行だって同じ。両親が幸せならばこちらも安泰なのだ。
日々を仏頂面で生きているのかと思うと、その原因が自分にないにしても欝々としてしまう。そして、血の濃さを思う。


「何食べても美味しくないし、もう死ぬだけよ。いつ死んでもいいわよ。はぁー、全くね、詰まらない人。孤独が好きなんでしょ。」


父に向けられているその台詞は、娘に対してもーそして母自身にも向けられている台詞だ。そして普段は信心でも無い私は神に願う。


ーどうか、父と母に生き甲斐を与えて下さい。家庭だけではない「居場所」を与えて下さい。ささやかでも日々笑い合えるような、そんな仲間を与えて下さい。


もう、金の問題では無いのだ。残りの人生笑って過ごすには、他人の力が必要だ。人との関わりが必要なのだ。それは、子供でも大人でも老人でも、人間ならば皆ー。




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