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3つの線香花火

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夏休み最後の土曜。夫も休みだったので、日中は例の如くショッピングモールへ。
そこで、まるで叩き売りかのように花火がどっさり安売りされており、それを目にした子が私達にせがんだ。


「花火、やりたい!」


すっかり体付きも女性へと変化しつつある子。最近ではクールだったり情緒不安定だったり、また斜に構えていたりと扱いが難しいのだけれど、久しぶりの無邪気なお願いに、私も夫もNOと言えるはずもなかった。
しかし、一体どこでやるのだ?団地のエントランス横の小さな空き地くらいしか思い付かない。正直、誰かと鉢合わせしたら気まずいし、やるのなら自宅から遠くがいいのに・・
しかし、


「そうだな。夏休みも終わるし。ビールでも飲みながら、花火ってのもいいな。」


すっかり乗り気の夫にたじろぎつつ、流れに乗ることとなった。
家族3人ー、それも子供が1人の我が家が買うのは、せいぜい小ぶりなファミリーパック1袋。レジに並ぶと、前の客がファミリーパック数袋と打ち上げ花火などの代わり花火を買い物かご一杯にしているのが見えた。
幼い子供4人連れた両親は、大はしゃぎする子供達を窘めがらも、楽しそうにしている。若い父親が、しきりに男の子に買った荷物を持つよう促していたが、ふざけてばかりで親の言うことなど聞く気もないようだ。
賑やかな家族連れに出会うと、なんとなく尻込みしてしまうのは以前から。私達の持つ買い物かごの中に放り込まれた花火にさえ、何となく不憫に思ってしまう。おかしな感情。



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夜は、ビールに合うつまみを何品も作った。
焼きそばや刺身の盛り合わせ、マカロニサラダやゴーヤチャンプル、それに冬瓜の煮物にチャーシュー。子の為にフライドポテトや唐揚げ、ウインナーもテーブルに並べると、かなり豪勢な食卓になった。
夫は余程腹が空いていたのか、ガツガツ食事に手を付けると、ハイペースでビールも空け、気付けばソファーでうたた寝してしまった。


「ねえ、花火、いつやるの?」


その様を見て、子が心配そうに私に尋ねる。一度寝てしまったら、30分は起きないだろう。もしかしたら、朝まで起きないかも・・だからといって起こすタイミングを間違えれば、途端に不機嫌になる夫を思うと手も足も出なかった。 物凄い鼾を立て、寝てる夫に向かい子が近づく。私が止める間もなく、彼が頭にしているクッションを抜き取った。それでも足りず、


「パパ!!約束!花火!!」


耳元で大声を出す。そうだった、子にとって夫は優しい父親で、私のように顔色を窺うことなど皆無なのだった。
ビクっと体を動かすと、夫は寝ぼけ眼で子の方を見て、あぁそうだったと起き上がる。泥酔気味だというのに、花火だけではなく冷蔵庫からビール缶を3本取り出し、バケツの中にそれを入れた。
3人でエントランスに出ると、人の気配など無く、完全に私達3人だけだった。バケツに水を入れ、小さな鉢の中にある蝋燭に火を付けて、細々とだが私達の花火大会が始まった。


「夏も、終わるな。」


勢いよく花火が閃光を放つ。夫が私に缶ビールをひとつ差し出す。有難く頂戴し、夜風と煙に当たりながらそれを飲むと、初秋の味がした。
普段、期待していない人間からふいに優しくされると、そうされた原因をつい探しがちだが、眩い光に当たる子の横顔を見ていたら、素直にそれを受け取ろうと思い直した。
最後は3人で線香花火をした。子の玉が一際大きく、一番長く光り輝いていた。




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