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友人からの葉書

送迎で、誰ともしゃべらず目も合わず一日が終わる瞬間ー支えになるもの、それが自分宛の手紙。
ポストに届く殆どは、不動産のチラシやダイレクトメール、夫の仕事関係の書類。
これからはそれに喪中葉書が加わるだろう。




この週末、友人から葉書が届いた。
古くからの友人で、結婚し出産してからはめっきり会うこともなくなったがこうして年に数回連絡をくれる。
結婚したばかりの頃、それまでと同様彼女と仲良くしていたら夫が酷くヤキモチを焼いた。
彼女からの着信に舌打ちをし、彼女と出掛けた日は機嫌が悪く数日間口を利いてくれないという有様だった。
ママ友とは違う、夫と出会う前の私を知っている友人は、妙な独占欲が強い夫にとってけむたい存在であるようだった。
彼女と数年前に電話をしていたら、夫がどんどんリビングで機嫌が悪くなっていく様子が目に入り心ここにあらずの受け答えをしていた私に、彼女は何となく状況を察してかそれからメッキリ電話やメールを寄越さなくなった。


彼女は私よりも少し年上でお姉さん的存在でもある。結婚はしていない。
旅先からのその葉書を、夫に見られないようさっと隠した。
数少ない交友関係だというのにこそこそしなくてはならないこと、当初はそれに戸惑い落ち込んだりもしたが今ではそういった感覚さえ鈍くなっている。


夫が入浴中に、隠していた葉書を取り出しじっくり読んだ。
それはたった5行の彼女の近況さえもよく分からない旅先からの葉書で、しかしその字面から生き生きと過ごす彼女の様子が見て取れた。
そして、その小さな葉書いっぱいには彼女の見慣れたイラストが描かれており、横に添えられた5行の言葉に胸が詰まった。
心の奥の敏感でやわい部分を直接触れられたようなー


独身という人生を選択した彼女ー、子供を作らないという人生を選択せざる得なかった彼女ー
契約社員をしながら、お金を貯めてはこうして一人旅を計画し実行してる彼女。
正直、心の中で寂しい人生だなって彼女を哀れんだ時期もあった。
自分だけの為に働き、自分だけの為に金を貯め、自分だけの為に消費していく人生。
人様の人生にあれこれランクをつけるのはナンセンスだが、それでももう少し違う人生が彼女にはあるのではないかなんて思ったりしていた。
それくらい、彼女は私から見て才能のある人なのだ。


彼女の趣味はイラストで、それに簡単な言葉を書いて路上で販売する事。
美大を出て、就職がうまくいかず私が働いていたアルバイト先に取り敢えずツナギで入って来たのが出会い。
並行して就職活動をしていたようだったが、彼女の才能を認める企業に出会えず、気がつけば彼女と春夏秋冬3度を共に職場で過ごした。
ウマが合った。
何より、互いに沈黙でも自然だった。
歳の近い姉がもしいたら、こうだったのかなと思ったりもした。
仕事休みの時は、彼女の路上販売先まで冷やかし半分差し入れを持って行き、そこで店番を任されたこともあった。
今で言う副業だが、画材代や場所代、また色々な雑費で儲けは殆どないようだった。両親からはいい加減にちゃんとした仕事をーそう言われアルバイトが3年経った頃に小さな不動産屋の契約事務社員に転職した。


彼女とはもう何年も会っていない、どうしているだろう。
こちらから電話やメールをすれば良いことなのにそれが出来ない。
なんとなく、彼女の立場に立つと出来ないのだ。
彼女が以前私に放った言葉、


「あなたは何でも持っている、私からしたら完璧な人生ね。」


若い頃、子宮の病気で手術をし、子供を産めない体になった彼女。
それから男性と距離を置いて付き合うようになり、そのどの交際も長続きしない。
そして、一人が気楽だからと彼女は彼女の殻に閉じこもるようになった。
反対に、トントン拍子に結婚が決まり、子を出産して安定した生活を送っているように見える私は、彼女にとって「昔友人だった人」にすぎないのかもしれない。年に数回葉書を交わすだけの。それ以上でもそれ以下でもないー


女同士は難しい。
ライフスタイルが目まぐるしく変わる、それにうまく適応出来る人間が女であることに向いているタイプなのかもしれない。
私は結婚し、子供を産んだけれど、いつもどこか枠からはみ出たような心もとなさを抱えているような気がする。



今朝もまた、送りの母親達の群れの外でそんなことを思う。
まるで外国語のラジオを聴いているような、そんなけたたましくも全く馴染めない音に耳を塞ぎたい衝動に駆られる。

そして置かれた環境は全く違えど、同じようなリズムを奏でる彼女からの葉書が、心にすっと馴染み浸透していくのだ。
彼女の癖のある文字を指でなぞると、あの時ありのままでいられた空気を肌で感じる事が出来た。









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