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出し惜しみ

しばらくこちらから連絡をしていなかったので、久しぶりに実母に電話を掛けた。
よそ行きのワントーン高い声で応答する母は、私だと分かると2トーン程低い地声に戻り、しかし嬉々とした声を取り戻す。
母の日にプレゼントしたサプリが少しは効いていると言い、しかしそれでも病院に毎週のように通っているとのこと。
忙しいが口癖の理由の全てはほぼ病院絡み。人付き合いがあれ程あった彼女も今では寂しい老後を過ごしているのだ。
しかし、本人は寂しいなどとは口が避けても言うわけがなく、あくまでも自分の意思でひとりを貫いているのだと言う。

障害のある弟を溺愛しているが、私から見るとそれは支配しているにすぎなく、本当に弟の為を思っているのならば五体満足ではあるのだから、障害者対応の職業訓練などに積極的に参加させたらどうかと思う。
以前その思いを伝えた所返されたのは、

「嫁に出たあんたは呑気でいいわよ。可哀想に△△は一生独り。私とお父さんが死んだら孤独死かもしれない。だったら今甘やかして何が悪いの?あんたに何も迷惑掛けてないわよね。」

半ば憤りながら、私の意見など右から左だった。
弟は自分の意思がない。障害といっても重度ではないので、支援さえ受ければきっとある程度社会にだって出ることが出来る。その訓練は早ければ早い程効果的だというのに、今の今まで母は弟を外に出そうとも思わず、自分の手中で大切に豆腐を扱うかのように、そして今でもまだ片手で余る年の子を育てているかのように接している。


親孝行でもするかーそう思い、気が進まないながらもランチに誘ってみた。
いつでもそうなのだが、こちらから誘うと一旦は断るそぶりを見せる母。


「来週はね、私忙しいのよ。」

勿論その全ては病院だ。一体医療費に幾ら掛けているのか?

「薬ももらいに行かないとなんないし、検査もしたいし。こないだ歯医者で詰め物したところが違和感あるからそれも診てもらいたいし。だからちょっとね。でもなんとかなるかもしれないからまたスケジュール決まり次第連絡するよ。」


おそらく卓上カレンダーにはぎっしり月曜から金曜まで何かしら体のメンテナンスをする為の通院予定が入っているのだろう。
確かーまだ私が小学生だった頃の母は、無趣味な病院通いが生きがいの父方の祖母に対し、あからさまに嫌悪感を抱き、

「ああはなりたくない。私は老後には合唱サークルに入ったりボランティアしたりするつもり。料理教室なんかもいいわね。栄養士の資格を取ったりするのもいいかも。私は社交的だからね、ああいう生活は耐えられないし考えられない。」

と常日頃言い続けていた。
それが何十年後ー結局は祖母と同じような日々を過ごしているのだから人間先々どうなるかなんて自身にも分かるはずはないのだ。


生活が厳しかった頃、数年パートに出ていた母はその頃とてもイキイキとしていた。
子育ても落ち着いて、やっと自分の居場所を見つけ、そして仕事内容も人間関係も気に入っているように見えたその仕事は8年あまり続いていた。
しかし不況のあおりを受け、人員削減で真っ先にパートが切られ、その犠牲になった頃から母の偏屈ぶりに磨きが掛かった。


今でもその頃のパート仲間と年に1度程お茶をするらしいのだが、そのそれぞれは前向きにポジティブに新たな仕事を見つけたり、また習い事を始めたりして人生を謳歌しているそうだ。
しかし、母はその彼女達の新しい人生にケチをつける。


「OOさんは結局新しい仕事っていっても工場だし、私はああいう立ちっぱなしで脳の使わない仕事なんて無理!時間の無駄よ。そこまでしてお金欲しいと思わないわ。」


「OOさんはボランティアなんてしているらしいけど、その割にあっちが痛いこっちが痛いってよくやるわよ。この年になったらこっちがボランティアして欲しいくらい。人の面倒みて倒れてれば世話ないわ。」


「OOさんは文句言うわりに外面よくて、散々悪口言ってた婦人会のメンバーと今年も温泉旅行だってさ。あー、私はそういう煩わしい付き合いなくて良かった!」


「OOさんからこの間も電話あって、お茶しようって言われたけど気分乗らないから断った。一緒に話してても正直趣味も合わないしつまんないのよね。あの人スポーツジムの話ばっかりなんだもの。買い物もおばあさんが選ぶようなものばっかりで趣味が合わないしね。」


等々、自分以外の有意義な老後を過ごしている元パート仲間を見下しているつもりなのだろうが、私からすればよっぽど充実し、人生謳歌しているように思える彼女達をこき下ろす。
おそらく彼女達はー母のように、他人の生活に興味などなく、そうやった批評めいたようなこともせずにマイペースに自分の楽しいことを見つけているのだろう。自身の人生が充実していれば、他人の生活なんて視界に入るはずもない。
母もそうすればいいのにー、それが出来ずにしかしその現実を認めるのが嫌だから現状を満足していると自身に無理やり言い聞かせているのがこちらから見れば痛々しい。


結局のところ娘からの誘いも彼女にとっては、


「気分は乗らないけど、娘もストレスたまっているようだから誘いに乗ってやったわ。」

というところだろうか。それを唯一今の話し相手である父に満足気にしゃべっている様子が見て取れる。
そしてやはり予想通り、数日後メールが来た。
誘いに乗るのも出し惜しみなのだ。

「病院はなんとか都合つけて来週に延ばしてもらった、体調と天気が良ければO曜日空けておく。」

そんな親でも、私は妙に気を遣う。
気を遣って定期的にお茶やランチに誘い、そして遊びに行き、電話やメールをする。
その後はどっと疲労感だけが残り、なんだか生気を吸い取られたようになる。
言葉のひとつひとつを選びながら、何でも思ったことをポンポン口に出す母に傷付きながらー
同性の親子ー私も子とは同性だからこそ反面教師と思い、親子関係を今からきちんと構築していかなければと思う。








































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