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団地セレブ

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子供会の役員決めと称し、集会所で素敵ママらと会議があった。
しかし、会議とは名ばかりで、下の兄弟達を連れての話し合いだったこともあり騒がしく、また落ち着かない中での取り決めはなんだかんだ昼前から始まって正午を過ぎるだろうから、ピザでも取ろうという話で招集がかかった。

最初は憂鬱だったこの集まりー、しかし、素敵ママが取り仕切っていたのと、集まりは各学年ごとで代表を決めるというので、人数も数人と聞き、重い腰を上げての参加となった。
実際、集会所に出向くと、素敵ママが満面の笑みで出迎えてくれたことから他のママ達の私に対する風当たりも良く、すんなりとその輪に入ることが出来た。
失敗したのが、何も言われてなかったので手ぶらで行ってしまったこと。参加人数はDちゃんママら顔見知りの5人程度だったのだが、皆それぞれお茶請けを持って来ていたので、何も手にしていない私は非常識だったことを悟り、皆に向かって頭を下げた。


「いいのよいいのよ~、自分が食べたいから持って来ただけだし(笑)」


素敵ママはそう言いながら、集会所に常備されているポットに自前のお茶を淹れる。去年役員だった彼女は、この集会所も使い慣れているらしい。

持参するお茶請けで、その家庭の暮らしぶりが垣間見える。
Aちゃんママは、いちごやカットメロンなどのフルーツに、下の子用のスナック菓子や煎餅を用意していた。Dちゃんママは手作りのロールケーキを持参。3人姉妹を持ちながらも、器用に時間のやりくりが出来る人はいるものなのだな、と思う。
Eちゃんママは、私と同様一人っ子娘のママなのだが、最近仕事を週3で始めたらしく、手作りケーキを見ると大げさにEちゃんママを称賛する。ーそして、もうしばらくおやつに手を掛けてやっていないのだと。そんな彼女は、デパ地下で買ったようなえびせんとチョコミルクが掛かった有名店のラスクを持参していた。
素敵ママはそんな中、さりげなく自分のエコバックからお茶菓子を差し出す。ひと目でそれはホールケーキだと分かる真四角の箱。中身はミルクレープだった。それはワンホール5千円くらいする、お取り寄せでも有名な物らしい。C君ママがやたらと大騒ぎしていたので知ったことだが。
彼女が淹れてくれた紅茶が美味しかったのでどこの紅茶なのかを聞いたら、それも有名店の茶葉らしく、パッケージをC君ママが取り上げて教えてくれた。その様子を素敵ママはかすかに笑みを浮かべながらも少し困ったようなー、でも満更でもないような表情で眺めていた。


「普段からこんなお茶飲めない~!だってこれ50gで何千円もする紅茶だよね!?さすがセレブ!!」


「貰い物だって。」


「ケーキだってさ、これ並んでもなかなか買えないやつだよ!どうやって手に入れたの~?」


「パパが買って来てくれたんだけどね、R、あんまミルクレープ好きじゃなくって。だから持って来ちゃった。」



夫婦関係も良好な素敵ママは、とにかく隙がない。まだ赤ちゃんを抱えているのに、その日もブラックのふわふわチュールスカートにパールの大ぶりなピアス、デコルテ部分が繊細なレースとビーズをあしらったチャコールグレーのトップスで、全体的にシックだが素材は春仕様のコーディネートでばっちり決めていた。手先はこの春流行のパステルカラーのネイル。勿論メイクも抜かりない。
私は、団地内の集会所ということもあり、軽くメイクをしただけでいつものボーダーカットソーにジーンズと、いまだに足元はムートンブーツという冴えない恰好だったというのに。


「えー!!もう一時保育出来るんだ。」

「うん、でもまだ数時間だけだけどね。」

「いくらくらい?まだ赤ちゃんだし安いの?」


「一応4時間までで3000円、それからは1時間延長で1000円加算されてく感じ。毎週1回は預けないと体が持たなくって~」


同じ団地暮らしなのに、この格差は何なのか?他の皆も不思議に思っているようだった。しかし、誰も彼女が何故団地暮らしなのか聞かなかったし、それ以上聞いてはいけないような空気が一体をまとっている、そんな感じを受けた。ー暗黙のルール。
誰かが、もう要らない赤ちゃん用品を素敵ママの赤ちゃんに譲ろうかと申し出たが、R君の物はもう全て処分しており、ベビーカーを始めとして、チャイルドシートやおむつ入れ、おもちゃやベビー布団、ハイローチェアなど全て新しく購入したと言う。お下がりなどという辞書は彼女の中にないらしい。


「R産んでから、もう何年も経ってるでしょ~何もかもが昔と違っててね。だからもう面倒だし全部新しく買い直しちゃったんだ。新品だと育児のモチベーションも上がるでしょう?」


彼女のミルクレープとDちゃんママが作ってくれたロールケーキが、仲良くカラフルな紙皿に並ぶ。それぞれ一口ずつ食べると、正直言ってミルクレープが美味しすぎて手作りロールケーキが微妙にさえ思える。きっとロールケーキだけだったのなら、素朴な美味しさというか、手作りであっても満足感があったのだろうけれど・・
ちょっとの気まずい沈黙を破るかのように、素敵ママがDちゃんママのロールケーキを褒める。


「こんなに上手に作れるなんて!Dちゃん達もきっと自慢のママだよね!私なんてお菓子作りとは無縁だから~」


「え~!そんなことないって。ミルクレープが美味しすぎだし。あ、ロールケーキ、無理して食べなくていいから!美味しくなかったら残してね!」


そう言われて本当に残す人などいるわけがないのに、居た堪れなくなったのかDちゃんママが皆に向かって何が可笑しいのかケラケラ笑いながら言う。その姿が痛々しいくらいに明るく、そしてぎこちなかった。
結局、ケーキやお菓子でお腹が一杯になり、正午過ぎたらピザでも取ろうという提案はたち消えになった。


役員は、今年はEちゃんママがすることになった。私も一人っ子親だし、手を挙げたのだが、なんとなく裏で全ては決められていたような感じを受けた。
どうやら体裁だけの集まりだったようだ。
相変わらず優雅なー、少しだけ謎を残したセレブな彼女を称賛する集まりだった、そんな気がする。素敵ママに好意を持ちながらも、今くらいの付かず離れずの関係性である方が、彼女のことを好きなままでいられるのかもーそんな風に思った出来事だった。































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