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私は置き物

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子ども会のちょっとした集まりがあった。私は役員ではないのだけれど、夏前の振り替え休日を使ってボーリング大会をするとのことで、その打ち合わせに召集されたのだ。
先日のように、団地の集会所を借り行った。時間より10分前に到着するとEちゃんママとDちゃんママがいた。


「こんにちは。」


「あぁ、こんにちはー」


まだ素敵ママは来ていないようだ。少々心細く思いながらも、部屋の隅っこに一旦座り他のメンバーを待つ。Eちゃんママは下の子をあやすDちゃんママと談笑しており、途中から入った私にはよく分からない話をしていたのでなんとも居た堪れない思いをしながら挙動不審にならないようバッグを開け閉めしたりする。毎度のことだがこの雑談タイムがもの凄く苦手だ。何も喋らないのもおかしく思われそうなので、勇気を出して二人に話し掛けた。


「あの・・今日R君ママは?」


「今日は妹ちゃんが熱出ちゃったみたいで来られないって。」


「あ、そうなんですか。」


彼女が来ないという事実に、今日をどう乗り切ろうかと落胆する。そして、目の前の二人は私などいないかのように再度話しの続きを始めてしまった。


予定時刻過ぎて、AちゃんママやC君ママもやって来た。下の子連れということもあり騒がしい。そして、皆が席に着いたところでEちゃんママが前回の役員会からの伝達事項、それから今度予定しているボーリング大会の詳細諸々を話出した。
彼女が話している間、皆はポンポン思いついたことや疑問に思ったことを口に出す。その度、Eちゃんママは手元にある資料を見ながら受け答え、また皆でまとめたことをノートにメモする。
子供達は近くでお菓子を食べたり遊んだりしており、騒がしいのだが、それをあやしながらも話し合いに参加する母親達。
一方、私はというと、あやす子供もいないというのにただただ置物のようにその場にじっと座っているだけだった。発言する機会を一旦失うと、緊張感が必要以上に増してしまい更に押し黙ったままになってしまう。
どのタイミングで声を出せば良いのか、それまで喋らない人間が急に声を上げたら皆を驚かせはしないか、例え頑張って言葉を発したとしても、的外れな事を発言してしまい場の空気を乱してはしまわないか、勝手に一人でドキドキし、そして周囲の目を気にするあまり失語症のようになってしまうのだ。しかし、黙ったままの時間が過ぎれば過ぎる程、妙なプレッシャーが私にのしかかる。

ー早く、何でもいい、何か話さなければ、奇妙な人だと思われてしまう、一言も話さないのに何故ここに来たのかと影で笑われてしまうー


そう思って、やっと見つけた少しの沈黙のチャンスを見つけると、即座にある種の提案をありったけの勇気を出して投げかけたー
が、なんと、私の声をかき消すかのように、C君ママが良く通る声で皆の注目を集める発言をしたのだ。私は自分の発言に精一杯だった為に、彼女が何を発言したのか内容さえ頭に入っては来なかった。
私の口から出た言葉達は、貰い手もないままどこへ行ったらよいのか分からず途方にくれているようで、切手を貼り忘れて出してしまった封筒のように、静かに私のポストに舞い戻るしかないのだった。

実際、誰も私のことなど気にしていないかもしれないー、しかし、喋りはしないが話し合いには参加しているのだといわんばかりに大げさに頷いたり、また話している人の口元をじっと見つめたりしてみる。何か言葉を発しないとーという焦る気持ちはどんどん膨らんでもう破裂寸前だ。きっとその時の私の表情は相当強張り切羽詰ったものであり、また情けないものだったに違いない。


「じゃあ、それで決まりだね。また詳細が分かったら連絡するわ。」


Eちゃんママの取り仕切りは素晴らしく、1時間もしないうちに話し合いは終わってしまった。そして、今回お茶や菓子などがテーブルに出ていないことに気が付く。エコバッグに入れて来たカルディで購入したお菓子を出すタイミングも失い、今出すべきかどうするか迷っているうちに、



「それじゃあ、お先ー。」


バタバタとEちゃんママが出て行ってしまった。どうやら仕事の時間をずらして今日の席を設けたらしく、だから無駄のない会だったのだと知る。残された母親達は、


「仕事してると大変だよねー。」


「私も下の子さえ幼稚園入ってくれたらすぐ働きたい。」


「早く手が離れないかなー。週2くらいのパートがいいよね。」


会話に花が咲き出し、いよいよ黙ったままその場にいるのはおかしいと思い、


「それじゃあ、私もこれで失礼します。」


勇気を出して、その日2度目の発言をした。彼女達は少し驚いたような表情をしながら、


「あ、あぁ、お疲れ様でしたー」


と声を掛けてくれた。素敵ママがいてくれたら、もう少し自分を出せたかもしれない。きっと今日のことで、ここにいたメンバーは皆、私のことをよく分からない無口な人間だと思ったに違いない。出来上がった輪の中に入るーそれは相当のエネルギーとコミュニケーションスキルを要する。私には難易度が高過ぎて、素敵ママの存在の大きさを改めて思い知る。子が入学して間もない頃に戻り、キャラ設定を変更させたい気分だ。彼女達と初対面の挨拶を交わした時、勇気を持って少し図々しいくらいにでも素敵ママの力を借りつつ快活明朗なキャラを演じれば良かったー今更、物静かで何を考えているのか分からないキャラからそちらへの変更は、「この人どうかしちゃったの?」という気持ち悪さを相手に与えるだけにしかならないだろう。
最近の若者は、「バメン」でキャラ変更をして複雑な人間関係を構築しているらしい。その時や状況によって自由自在に変化出来るカメレオンのようにー
しかし、私は不器用だ。七変化なんて到底無理。でもー、少しずつでもいいから変わって行かなくてはーそんな思いが常に頭にこびりついて離れない。

そそくさとその場を離れ、集会所から出て外の空気を吸うと、やっと自分を取り戻せたーそんな気がした。まるで夏日のような6月下旬並みの天気に気後れする。室内にいたせいか、外の光がやけに眩しく目に染みた。


自分から勇気を出さないとー
もういい大人なのだから、向こうからこちらの顔色を伺って話し掛けて来てくれるわけがないのだ。
それまで萎縮していた気持ち、まるで圧縮袋に入れられた布団のようだった私は、思い切り空気を吸い込み本来の自分を取り戻すかのように生き返る。そして、必要以上に今回のことを振り返り落ち込むのは止めにしようと決めると、再び集会所のドアを開け、中に入る。


「すみません、これー、今日持って来たんですが渡しそびれてしまって・・どうぞ、お子さんいらっしゃるのでおやつにでも。」


クッキーとチョコレートを出す。彼女達は一瞬戸惑いを見せたのだが、


「わー!食べたい!!」

子供達が群がったことで受け入れて貰えた。


「すみません、でも・・いいんですか?」


「ええ、家にたくさん同じのがあって食べきれないので、どうぞ。」


「ありがとうございます。」


子供達も食べれるようにーそう思って、キャラクターの菓子もその中に入れていたのが功を成した。一生懸命作った笑顔は多少引きつっていたのか、集会所を今度こそ出ると、頬の辺りが若干疲れて痛かった。
出来ればー、仲良しになれなくてもいい。ただあなた達のことを拒否しているわけではないのだということを伝えたかった。黙ったままだと誤解を与えかねない。それを解く為の勇気だった。
帰り道ー、ステップを踏むようにエレベーターではなく階段を駆け上がる。
次回はー、自分を少しでもいい、出してみよう。私は私に誓うのだった。

































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