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張り紙と私

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スーパーへの行き帰りの途中にある、小さな古びた駄菓子屋ー、年老いたお婆さんが店先にいつも立っていたのだが、最近は彼女の息子なのだろうか?男性を良く見掛ける。
ふと、何気なく目に入った張り紙ー

「急募!平日3日以上~時給850円から(勤務時間は応相談)

赤いマジックで書かれた「急募!」の文字。胸がドキンと鳴った。
時給850円は安すぎるけれど、駄菓子屋なので子供相手の仕事ーそれに、平日3日以上ということは3日でも良いのかも・・家から近いし、時間は応相談とある。
もしも子が早く帰宅してしまったとしても、ここなら家から歩いて来れる距離だからそのまま店に寄ることだって出来るー客の殆どが子供なのだから、我が子がそこに混じっていたとしても違和感はないだろう。


ドキドキドキ・・・

心臓が高鳴る。何か、ピンと来るものがあった。お婆さんは体調を崩して入院中なのかも。その間、息子が店番をしているのだろう。彼も他の仕事をしているはずだから、いつまでもここにいるわけにいかないー急を要しているのだ。
小さな駄菓子屋だから、書類選考などなく、履歴書を持参してその場で面接ー採用の流れかもしれない・・胸の高鳴りを抑えながら、自転車を走らせ自宅に戻る。直ぐさま常備してある履歴書を取り出し、記入する。
そして、資格の欄は相変わらず空白のままー趣味と特技には無難に「料理・菓子作り」と書いた。主婦なのである意味嘘ではない。それが好きかと聞かれれば嘘になるのかもしれないがー
なんとか履歴書を書き終えると、さて、いつあの店に行こうかと考える。店先に立っていた、少々無愛想な男性の横顔がよぎるーその瞬間、途端にそれまでの前向きな気持ちがしゅん・・と萎んだ。


実は、その時から10日間も経過している。
明日行こう、明日行こう、そう思いながら足がすくむのだ。買い物に行く際は履歴書をバッグに入れて、いつでも店のドアを叩く準備は万端だ。
それでも実際のところ、横目であの張り紙をチラ見しながら自転車でさーっと通り過ぎる。そして胸を撫で下ろすのだ。


ー今日もまだ張り紙があった。まだ決まってない。


そして、買い物の用がないのに、あの張り紙がまだあるかのみ確認する為、外出するようになってしまった。雨上がりー、ヨレヨレになりつつも、まだあの張り紙があることに安心する。
しかし、バッグから履歴書を取り出して店に入ることは出来ない。不毛な時間ー私は何をやっているのだろう?
のろのろと自転車を漕ぎ、いつものように店前を通ると、一人の私と同じ世代の女性が店に入って行く様子が見えた。履歴書の入っているバッグをギュッとつかむ。
まさかー面接!?
心臓がまたドキドキし始める。まずいー、先を越される。
一旦自転車で前を通りすぎ、人目がないことを確認してUターン、また店前を通る。女性は中に入ったまま。どうしよう。どうしよう。決まってしまう。あの張り紙を一番に見つけたのは私なのに。取られてしまう。
頭の中はパニックで、酸素が薄く感じられる。もう一度Uターンし、店の前を通ると、女性が出て来た。


「ありがとうございましたー」


店主の声、そして女性の手には袋一杯の駄菓子。
ただの客だったのだ。
喉の奥から出掛かっていた心臓は、元のあるべき位置に戻り、緊張感でこわばっていた全身の力も一気に抜けてほっとする。


ー大丈夫、張り紙はまだ剥がされない。


ようやくその場から解放され、誰もいない静まり返った自宅に戻る。明日も明後日も、あの張り紙を確認するのだろう、進歩のない私。
これを逃すと、自分に合った求人は当分現れないと知りつつも、いざ店を前にすると体が硬直してしまうのだ。社会から離れたブランク8年余りの壁は、想像以上に厚く感じた。

































































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