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天使の審判

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何でもない一言さえ、喉が詰まって声にならない。さらりと言葉に出来る人が羨ましい。思ったことをすぐさま簡潔に、分かりやすく相手に伝える、それが個人であっても複数に向かってでも変わることなく。

私の脳みそはどうなっているのだろう?思考回路はぐちゃぐちゃ、こうして文章化すれば出て来る言葉の羅列も、いざ、生身の人間を目の前にすると途端に意味の成さないものになる。
酷いと、我が子にさえうまく自分の思いを伝えられない時がある。感情が高ぶり過ぎて、声が震えて、頭で思うことは曖昧な感情のみが占め、人に通じる文章にならないのだ。

スネオママがこの輪の中にいるー、それだけで私の困ったこの性質は悪目立ちするようになった。それまで良好に築き上げて来たFさんやGさんとの関係も、最近では雲行きが怪しくなっている。
素敵ママですら、最初こそ私に向かって色々話し掛けてくれていたのだが、いつものようにレスポンス出来ず、スネオママを意識してトンチンカンな受け答えをしてしまったり、またまたどう返したら良いのか頭が真っ白になり、曖昧な笑顔でただやり過ごすだけだったりするうちに、いつしか私に直接話し掛けることはめっきり少なくなっていた。
スネオママは、水を得た魚のように、この小さな輪の海をすいすい優雅に泳いでいる。時に勢い良く水しぶきを作りながら、自由自在に自分の存在を主張しているようかのように漂うのだ。
私といえば、すっかり生気を失った海藻のように、ただ海底でゆらゆら揺れているだけ。その存在も、皆忘れているだろうー、いや、むしろ邪魔でしかないのかも。
そう思うと、次回はこの輪に入るのをよそう、そう思うのに、なんとなく皆のいるソファーに足が向いてしまうのだ。いつでもそのソファーにはFさんとGさんがおり、笑顔で私を迎えてくれる。しかし、後にスネオママが来れば、さっきまで私と話していたことなど忘れたかのように、彼女らの視線はそちらの方に固定され動かなくなるのだ。
何かー発言しなくては・・焦りばかりが募る。


「もう妖怪ウォッチも終わりかもねー、集めたメダルとかリサイクルショップで売れるかな?ここら辺で近い店ってどこだろう?」


Gさんが切り出したその言葉に乗っかる形で、勇気を出して発言を試みたー我が家御用達だが、先日も断捨離に使った店があり、そこでもメダルの買取をしていることを思い出したからだ。


「O×スーパーの裏にあるリサイクル・・」


「けやき通り沿いの本屋の先を右に曲がったとこ、あそこがいい値で買い取ってくれるよ。お姉ちゃんのアイカツカードなんかもいい値で売れたし。」


私の発言にかぶせるように、スネオママが一際大きなはっきりした声でGさんに伝えた。隣に座っていたFさんに、私の中途半端な発言は聞こえていただろうが、彼女はこちらを振り向くこともせず、スネオママの方を見上げる。素敵ママとGさんにいたっては、私の声は一切届いていないようだった。
そしてー、恐らく一番私の声が届いていたのは、皮肉なことにスネオママだろう。彼女の方を見れなかったが、きっと勝ち誇った表情をしているに違いない。なんとなくFさんに聞こえてしまったことも、なんだか恥ずかしくいたたまれない思いだった。誰からも拾って貰えなかった言葉、行き場を無くしたそれを飲み込むのはもう何度目だろう?
飲み込んだ言葉達は、私の腹の中でくすぶり続け、石にでもなっているのかもしれない。最近腹痛を起こすのは、尿管結石前兆か?ストレスが石となっているのかもしれないー

そんなどうでもいい妄想をしながら、面白くもないスネオママの話を半笑いで聞き、心の中で悪態を付くことでしか反発出来ない度胸のない私は、誰とも目を合わせることなく、既にその輪の中で置物と化していた。




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すると突然、素敵ママの抱っこしている赤ちゃんが泣き喚き、抱っこひもからおろした途端、私の膝につかまり立ちをして来た。その時だけ、私はある種の発言を許されたような気がして、


「可愛いね。でも今は目が離せなくて大変だよね。」


と、面白みのない言葉を素敵ママに向かって掛けた。しかし、素敵ママは、


「そうなのー、でも今はまだ楽だよね。魔の二歳児になったら大変だろうな。私もアラフォーだし、ついていけないよ。」


いつものように私のどうってことのない言葉を拾い、笑顔で返してくれたことが嬉しかった。すぐに、スネオママが、


「ぷにぷに~!かわい~」


と、赤ちゃんの腕を突っつきながら話に入って来たのには嫌悪感が湧いたが、それに対しても当たり前だが素敵ママはにこにこ嬉しそうに答えていた。
スネオママが、更に赤ちゃんの頬を突っつこうとしたその時、赤ちゃんがスネオママの顔を見て泣き出した。怯えたような表情をしたかと思った途端、たちまち顔中しわくちゃにして号泣したのだった。
私は嫌味ではなく、咄嗟に膝にいた赤ちゃんの頭を撫でた。すると、私の顔を見上げて赤ちゃんは泣き止んだ。スネオママとの間に気まずい空気が流れたが、しかし反面いい気味でもあった。


「抱っこして欲しいのかもー。」


「え?いいの?じゃあおいで。」


素敵ママにそう言われて、私は膝にいる赤ちゃんを抱き上げた。赤ちゃんは、嬉しそうにキャッキャと声を上げて笑った。その瞬間のスネオママの顔を見たい気持ちもあったが、しかし恐ろしくそちらに顔を向けることは出来なかった。
スネオママはバツが悪かったのか、そのままトイレへと行ってしまった。会話は、自然と私の腕の中にいる赤ちゃん中心となり、私も自然と話の輪に入れるようになった。トイレから戻ったスネオママは、やはり居心地が悪そうにしながらも、今度は素敵ママやGさんがする赤ちゃんの話題に笑いながら相槌を打つ程度になった。

天使のような赤ちゃんー、彼女に助けられた。純真無垢な赤ん坊には、スネオママの意地悪な部分がダイレクトに伝わるのだ。正直、私も腹の中は真っ黒だが、それでも天使にある種の「合格」を貰えた気がして、純粋に嬉しかった。

ぎこちなかった私の笑顔も、天使のお陰で少しは自然なものになって行った。




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