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匿名の誘惑

夏休みの課題でもあった読書感想文、まいこちゃん宅に担任から電話があり、今年のコンクールに提出してもよいかどうかの打診があったそうだ。勿論、打診というのは建前のものであり、二つ返事で彼女はOK、大喜びで週末は家族でお祝いディナーをしたそうだ。
賞を取ったわけではない、まだまだ選考過程ではあるが、やはり我が子がそれに選定されれば嬉しいのは親心。正直、羨む気持ちがムクムク湧いた。絵画や書道、その他諸々いまだそういったコンクールに声が掛かっていない我が子に、健康であればそれで良しーそう思う一方で少々残念な気持ちもなくはない。担任に見る目がないのではないかーなどと穿った見方までする始末。
ダンス教室では、まいこちゃんママは取り巻き達に声高らかに自慢をし、賞賛の声を浴びせられては喜んでいるように見えた。私は少し離れた場に一人、相変わらず携帯片手に突っ立っていたのだが、レッスンが終わり、子がまいこちゃんと共に出て来た時、まいこちゃんママはまいこちゃんに水筒を渡す為、一旦群れを抜けて私達の所に来た。


「ほら、まいこ。これ飲んで。」


そう声掛けしながら、私と目を合わせる。軽く会釈で終わるかと思ったが、こちらに近寄って来た。そして、案の定、読書感想文の話をして来るのだった。


「コンクールなんて凄いですね!うちの子、あんまり本読まなくて、夏休みの宿題も困り果ててました。」


すると、予想外の返事が返って来たのだった。


「うーん、実はね、読書感想文、まいこやる気がなくってね。殆ど私がやっちゃったの。本選ぶところから文章も。勿論子供が書いたようにしないと駄目だからね、末尾とかわざと子供っぽい言い回しにしたりしたけどね。そしたら選ばれちゃった!」


悪びれることもなく、飄々と言う彼女に驚く。どうやらその事実は私にしか言っていないようだった。きっと、私にママ友がいないからー、彼女からしたら、私は「王様の耳はロバの耳」の「洞穴」なのだ。そして、小学生対象の募集だというのに、あたかも自分に文才があるかのような、それを自慢したいだけの心がヒシヒシと伝わって来た。


「・・・・・」




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私が心底驚き、言葉を失っているのに気が付き、少々バツの悪い顔をしたものの、今度は弁明が始まる。


「今の時代、業者頼んで宿題して貰ったりってのも当たり前でしょう?まだ親がやる方がマシだよね。コンクールで賞貰ってる子なんかだって、殆どは親が書いてて本人は書いてないよ。じゃなきゃあんな文章書ける訳ないって!出来すぎでしょう?」


別に私は聞いてもいないのに、彼女は次から次へと言い訳をする。つい口が滑ってしまったのだろう、言った後にだいぶ後悔したようだった。


「でも、これがきっかけでまいこも自信付くと思うんだよね。賞貰ったらある意味プレッシャーじゃない?まいこちゃんは本を読む子って回りからレッテル貼られるしね。現に、コンクールに出すって分かった途端、まいこったら図書室で本何冊も借りて来てさ~」


何が可笑しいのか、彼女は一人ケラケラ笑う。私はそれを能面のような顔で眺めていたー勿論それは心の中での話で。実際は、彼女に合わせてにこにこ笑う。


「それがきっかけで本好きになってくれたら、かえって良かったかもしれませんね。」


愛想良く、無難にー内心では黒々とした感情が湧いていた。匿名で電話でもしてやろうかー。母親が書いた読書感想文を提出するのはおかしいだろうとー。実際、それをしてしまったら、匿名ではなくすぐに私が犯人だと判明するだろう。私にしか告白していない、そして私が誰にも言わないとタカをくくっているのだ、彼女は。
その鼻っ柱を折ってやりたい衝動に駆られる。しかし、そんなことをすること自体が無駄な時間にも思える。好きにすればいい、それが本当に子供の為になると思っているのならそれまでで、そんな歪んだ教育方針はすぐにボロが出るだろう。


「まいこちゃん、すごーい!!」


子が信じきった様子で、まいこちゃんのコンクール話に驚いている。まいこちゃんが自分の口から会う友達それぞれに自慢して歩いているようだ。親が親なら子も子だ。自分が書いた訳でもないのに、あそこまで自慢気に振る舞えるのはある意味一つの才能だとも思う。

匿名電話で学校にそれを伝える自分を想像する。やはり、そうと分かれば取り消しになるのだろうか?好奇心が湧く。何もかもが順風満帆な彼女らの鼻を明かしてやりたい。そして、向こう側にいる取り巻き達の何人かがこの事実を知ったらどう思うだろう?私と同じような妄想に取り付かれるに違いない、そう確信するのだった。




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