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歪んだ評価

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習い事始めー
まいこちゃんママに話し掛けられ、気の進まないまま立ち話をすること5分ー、すぐに彼女の取り巻き達がやって来て、さてこういう時どうしたら良いのか悩むところ。さっさとその場を離れるだけのタイミングの上手さもなければ、相手にどう思われたって平気だという気持ちの強さもないし、また鈍感力もマイペースさも持ち合わせていない私。
雑談がここまで苦手になってしまったのは、明らかに結婚して子を産んで、この特殊な「ママ社会」に入ってからだ。常に相手の顔色を窺い、自分の意見はあっても外に出す勇気はなく、心中に仕舞い込んだまま。相手が肯定的に捉えてくれるという確信がない限り、見切り発車は出来ないのだ。
2人以上、複数でのお喋りは私を置物にする。誰かが何か話題提供をし、それに対してレスポンスをする。私が発言出来るのは、絶対的な答えーしかも誰もがその答えに無知な場合に限ってだ。一呼吸置いて、それでも誰からも発言がなければ、恐る恐る口火を切る。
しかし、そんな機会も極めて稀であり、ダンス教室の母親連中の群れの中では1度あったかどうか。皆がまるで取り付かれたように、喋る、喋る、喋るー。動く口々は、時に笑いを誘い、時に深刻さを与え、そして誰もが群れから落ちこぼれないよう必死であるからこそ、どこか緊張感を伴う。
ただ薄く笑みを浮かべて話を聞いている私のことなど、誰も眼中にないのだろう。皆、自分のことで精一杯なのだ。


「ほんと、帰省は年に1回だから我慢出来るけどさ~、まったく主婦に正月休みなんてないわよ。」


「そうそう、姑に気を遣って、小姑にも話合わせて、ただのお手伝い要員だよね、嫁なんて。」


「でも、やっぱり子供の為にも我慢しないとね。本音は旦那と子供達だけで行って貰ってさ、こっちは実家でのんびりしたいけど。そんなことしたら余計義実家ともぎくしゃくするし。」


「実際、そういう人っているのかなー、それって怠けてるよね。」


皆が頷く、そして私も同じく頷いた。実際、今年の正月は義実家に顔を出していないという現実がありながらも。
話題はコロコロ変わる。初詣はどこに行ったか、冬休みは何か特別なことをしたか。初売りに行ったかーどの話題も、それぞれが表では無難な受け答えをし、しかし裏では互いを格付けし合っている。
義実家でコキ使われたご褒美に、お疲れ様として老舗旅館に泊まったことをさりげなく自慢したのは小太りママ。
お節は数万円のお取り寄せ、去年から働き出したのだからそれくらいの贅沢は当然だと言うまいこちゃんママ。
千葉ママは、子供達にせがまれて、再びクリスマスシーズンにミラコスタに泊まり、2日連続インパしたと言う。
その他の取り巻き達も、大掃除が面倒でハウスクリーニングを業者に頼んだだとか、グアムに行っただとかの自慢大会。こうなると、ますます私が発言する出番など皆無なのだ。


「OOさんは?冬休み、何してた?」


隣にいたまいこちゃんママが飛び切りの笑顔で聞いて来た。そして、誰もが喜ぶ回答を、私は期待通りに返したのだ。


「私は年末風邪を引いてしまって・・なので、殆ど寝てました。」


皆が、困惑しながらも私をマウンティングしつつ、それでいて満足そうな表情をしているのが見て取れた。何だかしゃくに触り、


「でも、冬休み直前まで外で働いてたんです。なので、疲れが出てしまったのかも・・」


気が付けば、そう口にしていたのだ。




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すると、まいこちゃんママの表情ががらっと変わって、矢継ぎ早に質問攻めだ。


ー勤務地は?
ー職種は?
ー待遇は?


根掘り葉掘り聞いてくる。普通、そこまで他人の仕事内容に踏み込めないものだと思うけれど、彼女は私を下に見ているので、私の顔色など窺ったりせずにズケズケと聞きたいことを聞けるのだ。


「いえ、普通の事務です。ブランクもあるはずだし受かるだなんて思っていなかったんですけど、とんとん拍子に話が進んで。」


千葉ママらの私に向ける目線が変わった気がした。何の取柄もない、面白みもない無能な主婦という位置付けから卒業出来るかもしれない・・


「営業の仕事も兼任していて。テレアポのようなものなんですけどね、ノルマもあるので大変なんです。」


「OOさん、営業してるの!?」


まいこちゃんママがすっとんきょうな声を出した。無口で何を考えているのか分からない、大人しい私には似つかわしくない仕事だと思ったのだろう。その意外性に心底驚いているようだった。
化粧品セールスをしているまいこちゃんママ、今度は私に対抗心を燃やすかのような鋭い目付きになる。私はもっと彼女をいじめたくなり、まるで何かが乗り移ったかのように口が回り始めた。


「事務って話だったんですけどね、試しに営業電話をって話になって。そしたらいつの間にか営業まがいなこともさせられて・・契約では営業事務なので、向こうは最初からそのつもりだったのかもしれないですけどね。」


「でも、すごいね。だって結構ブランクあったでしょう?事務なんて一番皆がやりたがってるのに。PCスキルとか結構あるの?」


小太りママがのんびりした口調で尋ねて来た。


「いえ、普通です。そんな特別なスキルなんてないです。ただ運が良かっただけですよ。」


そして、どうやら皆の中では、まだ私がその仕事を継続していることになっている。なぜなら、短期パートだとは一切公言しなかったからだ。嘘は付いていない。聞かれなかったから言わなかっただけ。そして、私は彼女らと少しは対等に立ちたかったのだ。身に着けているものでは彼女らには到底かなわないー、家だって団地住まいだ。ママ友もいない、会話に面白みもないし特段誰かに必要とされている訳でもない。だからこそ、何か別のところで認めてほしいー常日頃悶々と抱えていた気持ちが、ついにこの時溢れてしまったのだ。




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