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正しいロールキャベツ

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昼寝の最中、けたたましく鳴る電話。一瞬、実母からかと思いドキドキしながら受話器を取るが、母は母といっても義母からの電話だった。


「もしもし、お忙しいところ御免なさいね。今日はお休み?」


どうやら、私が働き始めたことを夫から聞いていたらしく、しかしまた専業に戻ったことまでは聞かされていないらしい。


「いえ。短期パートだったもので。今はまた専業主婦です・・」


「あら?そうなの?てっきりまだ働いてるのかと思ってたから。じゃあこの間のスキーも誘えば良かったわね。」


本当にそう思ってなのかどうなのか、真意は分からない。しかしもう終わったこと、どうでも良いことだ。内心面白くない気持ちだが、それを微塵にも感じさせないよう愛想よく振舞う。


「OOも本当に楽しかったようで。なかなかスキーに行く機会もありませんから、誘っていただいて有難かったです。私も体調崩していたのでゆっくり出来て助かりました。」


「お正月も寝込んでたでしょう?もしかしたら、もしかして・・なんて思ってるのだけど・・」


ーあぁ、またか。


遠まわしな探り方に、心底げんなりする。しかし、それに気が付かない風を装いこう返した。


「インフルエンザかと思ってたら、ただの胃腸風邪でした。年末年始に食べ過ぎたりお酒を飲んだりで、胃がびっくりしたのもあるのかもしれませんね。」


こちらもストレートに「妊娠」という言葉を使わない。「お酒」というキーワードで、その兆候が全くないことを伝えるのだ。義母は受話器越しからも分かる程にがっかりした様子だ。


「あら?なんか御免なさいね。年を取るとそそっかしくってね。そうそう、スキー、OOとってもうまくなったわよ。」


「なんだか、OOの寝かし付けまでして下さったようで・・」


夫の疑惑を晴らそうかどうかー、ギリギリまで迷う。しかし、もし疑惑が真実ならば、義母も当たり障りのない話ではなく、ここで本題を持ちかけるだろうし、妊娠がどうのこうのの前に一言息子の不貞を詫びるだろう。


「いいのよいいのよ。ほら、今回はお披露目旅行のようなものだからね。」


三女の彼氏が参加したということで、いくらか義母は興奮しているようだった。そして、三女とその彼氏の共通の友人もスキーに来ることになっていたらしく、宿泊ホテルも一緒だったとのこと。夜は、義両親と子供達を抜かした兄弟とその連れ合い、そして三女と彼氏の友人らで朝までカラオケをしていたとのことだった。


ーそうか、そうだったのか。子が言っていた「知らない人」というのはやはり、三女の友達だったのだ。


そして、くだらない妄想に捉われ、何日も無為に過ごしていた自分自身を疎ましく思う。




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電話が終わり、受話器を丁寧に戻す。そしてその日の夕飯の仕込みを始めた。
夜になり、残業でくたびれ果てた夫が玄関を開けた。ダイニングに入り、すぐにその匂いに気付く。


「ん?夕飯何?」


「ロールキャベツ。」


夫の大好物の一つだ。満足そうな表情で、


「白、冷やしといて。」


そう言い残し、風呂場に向かう後ろ姿がなんだか無防備に見えた。私はというと、大きな胸のつかえが取れてスッキリしつつも、しかし先日のスマホ画面に写っていたあの文字が残像に残り、もっともっと疑惑を晴らしたくなる。しかし、今回も夫はスマホを風呂場に持って行ったようだ。


ーまぁいい。その件に関してはまたの機会にするとしよう。


アツアツのロールキャベツを深皿に盛り付ける。新婚時代、初めて夫にこれを作った時は一口食べて残された。味がどうこうではなく、見た目が正しくないということでー。夫が言う「正しいロールキャベツ」は、爪楊枝が刺さっていない、きちっとキャベツの端が中に折り込まれたものだ。勿論、全て均等の大きさでなくてはならない。レストランで出されるような、形の整ったロールキャベツ。

結婚十数年して、ようやく辿り着いたそれは、作るのに今でも気合いがいる。今夜はどうだろう?実は、これを作るが為にキャベツをだいぶ無駄にしているのだ。途中で破れたりぐちゃぐちゃになったり、ロールキャベツはキャベツの外側部分数枚でしか作ることが出来ないので、キャベツ2個用意しても、失敗したらアウトなのだ。

そして風呂から出た夫は、上機嫌でワインを飲みながらおかわりを3度もした。空っぽになった鍋は、まるですべての疑惑を晴らしてくれたような、そんな錯覚さえ覚えるのだ。




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