サンドバッグじゃない
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昨夜ー、ベロベロに酔っぱらって帰宅した夫。チャイムが鳴り、続いてドアノブがガチャガチャ回される。
ー機嫌が悪い・・
顔を見なくても分かる夫の言動。子が就寝している時間だというのに、ドアを開けるとバタバタと大きな音を立ててリビングに入り、バッグとコートをソファーに投げ捨てた。
ブツブツ始まる独り言にうんざりしながらも、脱ぎ捨てられた衣類を片っ端から拾い、テーブルには1杯の水を置いた。
「損切り、損切り、畜生!!」
突然の雄叫びに、体がビクッとする。
損切りって、何?嫌な予感がした。
「どうしたの?何があったの?」
心配し、尋ねても返答はない。その代りに、馬鹿にしたような顔で私を見下ろす。
「あんたに言っても分からないから。いちいち首突っ込むな。」
そのまま風呂場へ行ってしまった。相当酔っていたのもあり、シャワーのみですぐに出て来た夫は、歯磨きしながらも、真っ赤に充血したうつろな瞳でスマホを見続けている。目の前の私などいないかのように・・
ー損切り?
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夫が入った後の風呂場を、軽く水洗いする。あちこち泡が飛んでおり、また風呂から出た後も、バスマットできちんと足の裏の水を吸い取らなかったのか、夫が歩いた動線が水浸し。それを雑巾で拭いていると、大きなため息を漏らされた。
「なんかさ、いちいち嫌味なんだよ。人が風呂から出たらすぐに掃除したり、そうやって俺の歩いた後をわざわざ雑巾で拭いたり。ったく!」
「え・・そんなつもりじゃ・・」
その続きの言葉が出て来ず、代りに涙が潤んで視界がぼやけた。そのまま夫は自室へ行ってしまった。
まだ拭き足りない、水浸しの床を見ているうちに、なんだか全てが馬鹿らしくなった。そして、次に怒りが込み上げる。そして、先程洗濯籠に入れたばかりの夫の衣類を取り出し、それで床を拭いた。ついでに埃がたまっている冷蔵庫の下やゴミ箱周りも。そして洗面台も綺麗に拭き上げた。そのまま勢いで、トイレの便器までやってやろうかと思ったが、さすがにそれはやめた。どうせ洗濯をするのだし、またその気力ももう残ってはいなかった。
私は、夫のサンドバッグじゃない。
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- category: 夫
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- 2016/02/10