フレンドリーな違和感
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ダンス教室で、この間会釈を無視してしまった彼女のこと。ずっと心に引っ掛かっていた。後味が悪く、今度会ったらこちらから会釈をしようと心に決めていた。
自分でも、何故あれ程に最低な行動を取ったのだろうと思い悩んでいた。されて嫌なことをするなー、我が子に正面切って言えなくなってしまった。
第一印象は大事だ。しかし、いくら表向き繕っていても、内側から滲み出るものはある。私に友達がいないのも、恐らくこうした腹黒さや暗さが周囲に伝わるからなのだろう。プライドばかりが高く、その癖小心者。時に善人ぶっておきながら平気で冷酷な態度を取る。こんな自分に心底嫌気が差していた。
子をスタジオに送り届け、辺りを見回す。まいこちゃんママらが見えたが、私のことなど眼中にないらしく、千葉ママや小太りママといつものように盛り上がっている。あぁ、そうか。今日は関西ママもいた。一際目立つ群れに気後れしてしまう。
「いつから習ってるんですかぁ~?」
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突然、背後から話し掛けられて体がビクっとした。振り返ると、先日無視してしまった女性だった。今度もまた毛玉がたっぷりついたからし色のセータに、色褪せた黒いパンツ。黒縁眼鏡の下からぎょろっとした目でこちらを見ている。
何だろうーこの嫌悪感は・・しかし、それを相手に伝えないよう細心の注意を払い、質問に答えた。
「もう1年半前くらいからです。本当はバレエをやりたがっていたんですが、年齢的にも厳しくて・・」
「へえ!バレエですか。お金掛かりません?うちはこれが精一杯。どうしてもやりたがって、やっとです。あ、申し遅れました、野田と言います。」
「あ、OOと申します。お子さんは、何歳ですか?」
「今年、1年生です。OOさんのお子さんは?」
「うちは今度の春で3年生です。」
「バレエってことは、女の子さんですよね?」
「はい。」
「うちも!小学校のこと色々教えて下さい~お住まいは?」
矢継ぎ早にあれこれ質問を受けた。そして、それを返すのに必死でどんな質問をされたのか全てを思い出せないでいる。確か年齢も聞かれた。聞かれた途端、彼女は急に私にため口で話すようになった。少しの違和感を感じつつも、フレンドリーな人なのだと気にしないよう努めた。
「そうそう、メールアドレス教えて。私、ガラケーなの。スマホはお金無いし、貧乏人には贅沢品だからね。あ、OOさんもガラケーじゃないの。気が合うね、私達!」
グイグイ来られて、違和感は確かなものになる。見た目は身なりだけでなく、なんとなく直観的にあったのだーこの人は近づいてはならないーと。
しかし、結局言われるがままにアドレス交換をしてしまった。
嫌悪感から罪悪感、そして違和感はやっぱり嫌悪感へと、私の気持ちは目まぐるしく変わって行った。
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- category: 習い事
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- 2016/03/12