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雪解け

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「OOさん!」


駅前のスーパーで、特売の牛乳を「お一人様2本」の上限分かごに入れているところ、背後から声を掛けられた。振り向くと、Yさんだった。しかし、すぐにYさんと気づくまで数秒掛かったのは、私が知っているYさんではなかったから。
そう、彼女は眼鏡を掛け、マスクをしていたのだ。


「久しぶり!元気だった?」


溌剌としたー、曇りのない笑顔。この間、私を目の前でスル―した同一人物とは到底思えなかった。無理やりぎくしゃくとした笑顔を作る。マスクの下の口角は引きつって震えていた。信じ切っていただけに裏切られた代償は大きく、それをなかったことになど出来ないー、私はそれ程器用な人間ではないのだ。


「ええ、まあ。」


まともにYさんの顔を見ることが出来ず、つい視線を自らの買い物かごに移す。しかし、そんな私の様子に彼女は気が付くでもなく、話を続ける。


「今日も花粉すごいよねー。OOさんも花粉症?」


「えぇ、まあ。」


私の動揺に全く気付かないー、相変わらず愛想の良い笑顔を浮かべたまま喋り続ける彼女に、警戒心を抱く。


ー八方美人ー


彼女を前に、そんな言葉が浮かぶ。人当たりの良さ、誰にでも変わらない態度ー、しかし、それだって裏を返せば・・


「あまりにも花粉がきつくって、何年振りかの眼鏡だよ。でも度数が変わっちゃってね、オーダーしたのがやっと届いたんだけど、なんか違和感半端なくって。」


彼女がコンタクトを着用していたことを初めて知った。瞳が大きく、黙っていてもなんとなく笑顔な、やや垂れた目尻。それだけでも、既に第一印象の良さを手に入れている。そして、やたらと瞳がキラキラしていたのも、実はコンタクトによるものだったのだと納得した。




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「そうなんですね。でも、眼鏡は花粉対策にもなりますから。悪いことばかりじゃないですよ。」


なんだかんだで、彼女と話していると不思議に心が浮き立つ私がいた。まるで、春の陽気の中小さくジャンプしているようなー


「眼鏡が届くまではね、コンタクトもつけられないし、視界もぼんやりだしで、ママ友の腕を借りて買い物したりとかまるでおばあちゃんみたいだったの!自転車にも乗れないし、まいったまいった!!」


そういって、真っ白な歯並びの良い前歯を見せて笑う彼女を見ていたら、あぁそうか、と腑に落ちた。まるで、自分の頭上に見えない電球が光ったかのようだった。そう、あの私をスル―した日、彼女は本当に私だと気が付かなかったのだ。見えてなかったのだ。
凍り付いていた心に、熱い湯を掛けたかのように、次第に胸が温かくなる。泣きそうだった。勿論、それは嬉し泣き。


ーYさん、誤解していました。ごめんなさい、本当にごめんなさい。


それから私達は、他の客には迷惑だったかもしれないが、牛乳コーナーの前で15分程楽しくお喋りを続けた。Yさんの引っ越しまで10日を切ったと聞き、それまでになんとかもう一度会いたく思い、遠慮がちに誘ってみたらすんなりOKが貰えた。
先日入った、美味しいパンケーキの店でモーニングをする約束を取り付けた。
嬉しくて、でももう会えないのかと思うと切なくて、なんとも言えない複雑な、しかし興奮冷めやらない気持ちでモーニングの日を迎えることになりそうだった。




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