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5分足らずの家庭訪問

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小学校に上がり、もう3度目となる家庭訪問。しかし一向に慣れる気がしないのは、普段から人を家に招き入れる習慣がないからなのだろうと思う。
クールで気難しい印象の男性担任。教師というものが昔から苦手だが、それは生徒という立場だからだと思っていた。しかし、そうではないらしい。大人になり、学校という枠組みから外れても、いまだ教育者を目の前にすると、身構えてしまう。まるで、安全運転をしているというのに、後ろにパトカーがついていると落ち着かないようなー、免許も持っていないのに、例えるとしたらそんな気持ちだ。

先日の懇談会で赤っ恥をかいてから、二度目ましてだ。合わす顔がない。しかし、向こうは私のそんな失態などとうに忘れているに違いない。日々、慌ただしくも充実している人間にとったら、取るに足りないことー
いつもより、念入りに化粧をしたら、妙に顔が白くなり過ぎて違和感。普段つけない口紅も、うっすらだが塗ってみた。夫以外の男性と話す機会がない専業主婦にとっては、いくら我が子の担任であっても、心浮き立つものなのかもしれない。そう思ったのは、実母がそうだったからだ。明らかに、私の担任を「男」として意識していた。鼻歌混じりで鏡台に向かって化粧をしていた後ろ姿をふと思い出す。


ーピンポン


チャイムが鳴る。
時間前から玄関で待機していたのだが、すぐに出るのも待ってましたと言わんばかりで恥ずかしく、数秒間を置いてからドアを開けた。


「こんにちは。」


「こんにちは、今日はよろしくお願いします。」


はっと気が付いた時には遅かった。私としたことが、スリッパを出すのをうっかり忘れていた。担任が、几帳面に脱いだ靴を揃える後ろ姿を見た瞬間にそれに気づいたのだから、もう手遅れだった。
気を取り直し、椅子を勧めてから急いでお茶を淹れた。


ーなんでだろう?緊張感が半端ない・・


重苦しい沈黙。
担任は、一言でいえば、愛想が悪かった。それまでの担任は、多少なりともこちらを気遣うようなー、作り笑顔だったり腰の低さだったりがあったのだが、今度の担任にはそれがなかった。


「えっと、何か聞かれたいこととかありますか?」


いきなりの質問だった。
まずあちらから学校での様子を話して聞かせてくれ、それからこちらが話す順を想定していたので、そのシナリオが崩れただけで頭はパニックになり、予め話そうと準備していたことすらどこかへすっ飛んでしまっていた。


「・・・・・・」


沈黙が流れる。うまく言葉が繋がらない。しばらくして、淡々とした表情で担任から子の学校での様子を聞かされた。至って事務的なー、感情のない話し方に、なんだか自分が見下されているような、母として落第点を押されたような、そんな気がして動悸が止まらなかった。


「で、授業などはよく聞いてくれています。学習面でも問題はないでしょう。ただ、自分の感情を表に出すのが苦手なようですね。あまり、喜怒哀楽が見られないというかー」


「あの、休み時間とかはどうですか?」


「・・・・それは、OOさんばかりを見ているわけではないので分かりませんが、まあそれなりに楽しくやっているのではないですかね。」


ーなんだそれ?それなりって何?




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子が言われたこと、そっくりそのまま彼に返してやりたい気分だった。能面のような、何を考えているのか分からないその表情は、言い換えれば威圧的でもあり脅威すら感じる。子も、同じ様に感じていなければ良いのだが。不安が募る。


「3年生になってから、元気がないんです。2年生の頃は、毎日楽しそうに学校生活を送っていたように思います。でも、最近学校から帰っても笑顔がないんです。」


フッっと、鼻で笑われた気がした。


「まだ、学年が変わってまもないですからね。他の子供達も同じですよ。直に慣れてくると思います。」


まるで、私が必要以上に子供のことを気にする過保護で視野の狭い母親のような、そんなあしらわれ方だ。気の弱い私は、もうこれで何も言えなくなった。

15分は取っていた家庭訪問だが、ものの5分で終わってしまった。これが長いのか短いのか、ママ友がいないので情報もなく分からない。ただ、盛り上がらなかったことは確かだ。


「あの、これ良かったら持って行って下さい!」


どうにか子の印象を良くしたい思いが、突飛な行動を取っていた。担任が手を付けなかった茶菓子を玄関先まで持って行って手渡そうとしたのだ。
彼は、戸惑ったような表情をした後、


「いや、甘いものが苦手なので・・」


きっぱり断られた。
あぁ、要するに、私のような女が嫌いなのだ。ウズウズした、口下手で挙動不審、地味で不細工、神経質で不安症で気が小さいくせに妙なプライドめいたものがあるー
茶菓子は私、そのものだった。


上げ膳食わぬは男の恥だろうがー


そんな言葉を、心の中つぶやくのが、精一杯の自分を保つ術だった。




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