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体験レッスン2

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「では、まずは準備体操をしましょう!」


インストラクターが前に立ち、ストレッチを始めた。私達はそれに倣って思い思いに体を伸ばす。私はというと、普段の運動不足がたたり、ものの数分で息切れ。体も固く、翌日は筋肉痛に悩まされるだろうと思う。
軽いストレッチを終え、ラジオ体操のようなことをやらされた。


「では、二人一組になって貰えますか~」


心臓が止まりそうになる。油断していた。そして学生時代、あの気まずかった体育の授業を思い出す。ペアを探し出すことの難しさ、素早く快諾してくれそうな相手を見付け、コンタクトを取ること。受け身でいれば必ずあぶれるー私はあの頃からそうだった。無論、積極的になったところで空回ることも多いのだが、しかし確率的には受け身でいることよりもあぶれる確率が低くなることは、この年まで生きて来た経験値が物語る。
必ずいた、受け身でいても声を掛けられる人。美人でもなく、かといって暗くもない「普通」の偉大さ。その「普通」オーラは案外、派手になることよりも難易度が高いのかもしれない。
もしくは、相思相愛の絶対的な信頼関係を持つ相手がいるという心強さ。同じ比率、温度差で思い思われる人間関係を結ぶことも、私にとっては、これから噴火しそうな富士山に登るくらいのリスクと心構え、それに忍耐を必要とするものなのだ。
心臓をバクバクさせながら、周囲を見渡す。当たり前だが、知り合い同士で参加している人々はすぐにペアが出来る。同じくあぶれていそうな人ーそして、何故すぐに気が付かなかったのだろう、先程話し掛けて来てくれた女性を探す。
しかし、彼女は既にどこかのおばさんと挨拶をし合い、ペアを組んでいた。3人組で来ていた女性のあぶれた一人が声を掛けたのかもしれない。


ー焦る、焦る、焦る。


なかなか相手を見付けられず、キョロキョロ周囲を見渡す自分が、客観的に見て恥ずかしく滑稽だった。


「えー、じゃあ、あなたとあなた、ペア組んで下さい。」


しびれを切らしたインストラクターが、私の前に、少し年上の女性を誘導し、指示を出した。情けなかった。40にもなろう大人が、自分のペアさえ見付けられないなんて。体験レッスンという一期一会の場でさえ、気楽になれない。そして、そういった焦りだったり物欲しさを常にまとっている雰囲気が、人に「イタイ」印象を与えるのだろうか。


「よろしくお願いします。」


「こちらこそ。よろしく。」


私達の他に、もう2組程ペアを組めずにいた人達も、無事インストラクターの指示によって事なきを得た。
初対面な上、無理やり組まされた相手との体操は、心底居心地が悪かった。そして、今更だがバドミントン自体が「ペア」でないと成り立たないスポーツだということに愕然とする。
そもそも、個人で行うスポーツではないのだ。しょっぱなからこんな調子で、この先大丈夫だろうか?毎回、一緒にゲームをする相手を自ら探すことになるかもしれない。柔軟で、ペアの丸い体を押しながら、言いようもない不安に苛まれた。

「では、ラケットをどうぞー。持参して来てる人は、持って来て下さい。」


私は勿論レンタルだ。バドミントンなんて、いつ以来だろう?そういえば、子ともしたことがあっただろうか?過去に何度かあったかもしれないが、記憶にないくらいにラケットを握っていなかった。
インストラクターが、ラケットの握り方から、構え方などを教えてくれた。いつになったら打たせてくれるのだろう?しかし、そんな好奇心よりも先に立つのは、次にまたペアを誰かと組めと言われたらどうしようという幼すぎる不安だった。


「いーち!にー!さーん!」

一斉に、インストラクターに続いてラケットを持ち、基本体制を教わった後は、フットワークというやつだ。フットワークには色々な種類があり、どれも私にとっては初めてのことでもたついた。学生時代、体力テストで反復横飛びをしたことを思い出す。あれも、足がもつれていつでも回数が平均以下だった。リズム感もない私には、地味だがバドミントンでは大切だと言われるこの基本的動作がどうも慣れず、そしてもう帰りたいような気分になっていた。
ラケットを握っても、一向に羽が出て来る気配がないことも、なんだか詰まらなく思えた。スポーツというやつは、どれも基礎が大事なことは分かっているが、それでもこの体験で「楽しさ」を感じられなければ入会する人数だってたかが知れているのではないか?と主催者側に意見をしたいくらいの気持ちになった。
1時間という時間はあっという間だった。結局、あの後再びペアを組まされなかったことだけが救いだった。そして、体を動かす爽快感よりも先に、その安堵感が浮かぶ自分には、この競技は向いていないことを再確認した。
体験は、体験のまま終わった。そしてまた、自由という名の孤独の海に身投げする私がいるのだ。



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