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拾う神

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隣の棟の軒下に、猫が捨てられていた。
下校した子が、突然家にある牛乳をコップに入れて、外に出ようとしたところ聞いて知った出来事だった。


「ママ、ねこちゃん目を怪我しててね、よろよろしてて可哀想なの。がりがりに痩せてるし、お腹空いてると思うんだ。」


団地の至る所に、小さいが、しかし目立つ看板が掛けられている。


ー野良猫に餌を与えないで下さいー


それを知っているだけに、子の善意ある行動をたしなめなければならなかった。

子が、以前からペットを飼いたがっていることは百も承知だ。
兄弟ー妹か弟が欲しいと言わなくなった代わりに、何か動物を飼いたいとしつこくせがんでいた時もあったが、それも諦めたのか次第になくなり、最近ではそんなことがあったことすら忘れていたのだ。


「本当は、飼いたいけど。団地だから駄目でしょう?なら、餌をあげるだけならいいでしょう?死んじゃうかもしれないんだよ!」


子が、涙ぐみながら訴える。
それをどうして止められようー優しいその行為が、長い目で見たら善意にはならないということ。悲しいが、ただの自己満足になってしまうということ。
しかし、それを子に分からせるのは至難の業だった。




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小さなペットボトルにミルクを移し替え、おままごとに使っていたプラスティックの小さな小皿を手に、子が言う猫のいる場へと向かった。
既に、ランドセルを背負った子供達が数人ーそれに、清掃員ー以前からカラスに対して怒鳴ったりする、強面の彼がそこにいたことで、私はそこへ行くことを躊躇する。
しかし、そんな私の思いなど知らない子は、走って猫の元へ行ってしまった。子を追う形で私もその場に近づく。


「・・こんにちは・・」


ペットボトルと皿は、小さなエコバックに入れていたので、ただの見物人の振りをして近づいた。
男性は、チラッと私を見て小さく会釈らしいものをすると、カラスの時と同一人物かと思えない声色で、猫に向かって語り掛けていたのだ。


「可哀想にな、腹、減ってんだよな。お前、どうして捨てられたんか?責任のないヤツは、動物なんて飼うもんじゃないよな。」


首の下を撫でながら、ミルクではなかったが、水をあげていたのだ。
その猫は、ボロボロだったが古びた首輪をしており、飼い猫だったようだ。それに、目を怪我しており恐らく、片目しか見えないようだった。


「病院、連れていかないと駄目だよね。」


子供達が男性に向かって言う。驚くことに、男性は子供達ともコミュニケーションを普段から取っている様子の話しぶりだった。
私が勝手に、この男性を「人嫌い」認定していただけで、ただぶっきらぼうで愛想は悪いが、実は良いおっちゃんだったのだと知り、人を見かけで判断した自分を情けなく思った。


「そうだな。掃除終わったら、病院連れてくべ。とにかくこの日陰にいれば安心だ。」


結局、私達親子の出る幕はなかった。
猫は、衰弱しており、また蚤も多く毛並みに艶もない状態。余程のことがなければ拾って貰えないーそんな風貌だったが、それを何の躊躇もなく助けたあの男性に、人の温かさを貰った一日だった。




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