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恋するジュエリー

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一人時間ー


何をして過ごそうか、あれこれ考えていたが、実際はいつものようにぶらぶら街をさまようところに落ち着いた。
目覚めたのは昼前。朝、いつも起きる時間に目は覚めたのだが、夫も子もいないことを思い出し、再び二度寝したのだ。前夜の深酒も効いたようだった。
新宿に出た。
太陽の日差しがアスファルトを照り付ける。新宿南口はバスターミナルが出来たこともあり賑やかだった。
むしゃくしゃした気分だった。

家族から疎外されていることー
見えない女の影ー
夫のワンマンさ加減ー
ぱっとしない自分の立ち位置、そして孤独感ー

そしてまた、元彼の奥さんのブログを見てしまったのだ。1枚の写真には、きらきら輝くリングを嵌めた薬指のアップ。丁寧にマニキュアが塗られたその華奢な手は、手の掛かる幼い子供がいる母親のそれとは思えなかった。


「パパからのプレゼント♪記念日なので買って貰っちゃった^^」


有名ジュエリーブランドの名前が入っている小さなボックス箱に赤いリボンが掛けられた写真もアップされていた。ついネットで調べた値段は10万と少し。記念日といっても、スウィートテンとかでもないらしい。 彼と付き合っていた時、バイト代でくれたネックレスは、もうどこかに行ってしまった。

プチプラアクセ。それでも夫に内緒で買ったブレスレットは1000円~高くても3000円。若ければいくら安物であろうとも瑞々しくきめ細かな明るい肌がそれをカバーする。 しかし、くすんでハリの失われた年老いた肌に合わせると、なんだかみすぼらしく感じて電車の中それをそっと外してバッグに入れた。

ふらりと百貨店に入る。化粧品売り場を通り過ぎ、なんとなくジュエリー売り場に向かうが、私には敷居が高かった。
いかにも結婚が決まったカップルがエンゲージを選んでいたり、また金持ちそうなセレブが店の中であれこれ店員と談笑していた。セレブではなくても、垢抜けたメイクの派手なファッショナブルですらりとした足の長い女性達がショーケースの中のジュエリーを眺めていた。

店の前を通り過ぎ、また少し歩いてからUターンして中の様子を伺う。全ての店員が客についているのを確認し、私に目がいかないだろうという確認を得てから、思い切って店内に入った。




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真っ白な明るい店内。
キラキラしたショーケース。入り口付近には、割とリーズナブルなシルバー製品が並んでおり、価格も2~3万円代からと良心的だった。
私と同世代のセレブ風の女性が、店員にあれこれ相談していた。ちらっと目を遣ると、リングが数点。どうやらどのタイプの素材にするか悩んでいるらしい。
私は、目立たないよう、恐る恐るそのショーケースの中のネックレスなどに目を遣る。どれも素敵で、一際目を惹いたのは、小さなダイヤモンドとパールが施されているネックレスだった。


「何か、お探しですか?」


突然背後から話し掛けられ、びくっとした。
モデル並みの身長の高さの美しい女性店員だった。先程まで若いカップルの接客をしていたはずなのだが、いつの間にカップルはいなくなっていた。
ドキドキ心臓が高鳴る。


「ネックレスをお探しですか?」


何か答えなければ・・焦って心にもないことを口走る。


「子供が受験するので、その面接でも大丈夫なフォーマルなネックレスを探してまして。」


一期一会の出会いだとしても、また店員と客というこちらが上の立場という関係性であったとしても、このような時に口から出まかせを言ってしまう自分が心底情けない。 何を緊張しているのだ?ただ見ているだけー、それでいいじゃないか。


「そちらのデザイン、今期の新作なんです。良かったらお試し下さい。」


とびきりの営業スマイルで、ショーケースからそれを出されてしまった。


「こちら、ホワイトゴールドですが、他にプラチナとイエローゴールド、それにピンクゴールドもございます。」


合わせてそれらもショーケースから出される。
心臓は相変わらずドキドキしていた。
言われるがままに、繊細なそれを首に回していた。鎖が切れはしないかと更にドキドキしてしまう。数千円の服とはわけが違うのだ。値札は5万と少しだった。
有名ジュエリーブランドなだけあって、店員は言葉遣いもその所作も、とても優雅で美しかった。自ブランドのジュエリーが、耳や首元、それに腕や指にあったが、そのどれもが彼女のゴージャスな雰囲気に良く似合っていた。
差し出された小さな鏡で自分の首元を見た。首元だけしか写っていないこともあり、シャツから覗く鎖骨さえ美しく見せるーそんな力がそのジュエリーに宿っているようだった。


「あちらに鏡がありますので、全体で見て頂いてもよろしいかと思います。」


大きな鏡の前に立つ。先程首元だけ見た時とはまた違った印象だった。
その日の私の服装は、いたって普通のシンプルなものだった。麻素材の紺のワイドパンツに、丈の短目のストライプのカットソー。しかし、首元にその5万円ジュエリーがあるだけで、なんというか華がある―プチプラアクセサリーでは出せない高級感がそこにあった。


ー欲しい。買ってしまおうか。


後先のことなど考えられなかった。
そこにあるのは、ただそれを手に入れたいという欲求だけだったのだ。




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