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アウェー保護者会

子の部活保護者会。
男子テニスと女子テニス合同のもので、全体で50人程。密になるのはまずいので、男女別に各教室で行われた。
2年の親は、出席必須と通知があったことからか、7人全員集まっていた。各学年ごとに固まって座らなければならず、こういう時の奇数は、必ずあぶれる。
前に2名ずつで6名、その後ろに一人ぽつんと着席する。私以外の母親は、旧友という風にぺちゃくちゃとお喋りしていた。
今年、3年になったF田さんー去年のイベントの際、顔見知りになった彼女は欠席だった。

「それでは、1年生の保護者の方々もおられますので、お一人ずつ自己紹介をお願いします。」

この悪習、どうにかならないものだろうか?心臓が早鐘のように打つ。自分以外の保護者が、まるで噺家のようにすらすらと笑いまで取りつつ、流暢に自己紹介をしていく。そして、私の番。

「2年、OOの母親です。あ~、え~・・と、娘は部活が楽しそうです。よろしくお願いいたします。」

考えていたことが緊張で真っ白になり、まるで小学生並みの挨拶になってしまう。耳まで真っ赤で、自分の様子を見ることは出来ないけれど、きっと無様に違いない。

ようやく終わった安ど感で、周囲を見渡すことが出来る。ほっとしたのも束の間、


「では、今年の会長さんと副会長さんを皆さんで決めていただきたいので・・現、会長さん、いいですか?」

3年の保護者ー、PTA総会などでも見掛けたことがあるような現会長が前に出て仕切り始めた。
いかに、会長という仕事が名前だけのものなのか、大したことはない、しかもコロナ禍なので試合も殆どないし、強いてあるとすれば、顧問や保護者を繋ぐ連絡くらいだと。
そんな甘い言葉に騙されるものかと思う。彼女もさっさと後任を決めて、スッキリしたいだけの話だ。

「じゃあ、2年生のお母様方でちょっと話し合いますか?」

そう振られ、私の前方6人がクスクス笑いながら、お互い押し付け合うポーズを作る。そんな余裕があるのなら、とっとと引き受けて欲しいのが本音。
会長も副会長も、仲良し同士で引き受けたらスムーズなのだから。だが、やっぱり面倒ごとは嫌なのだろう。

「M尾さん、やんなよ~」

子の一番の仲良し?の母親が、他の保護者に持ち上げられる。満更でもないM尾さんだが、

「ごめーん!今年、PTAの長引き受けちゃったんだよね。」

「そうか。じゃあダメじゃん!じゃあ・・」


そう言って、次々と持ち上げられる保護者が入れ替わる。だが、

「下の子の役員してて、スポ小の長にもなっちゃって、さすがに3つはきついよ~」

「ごめん!子ども会の方してて。」

「あー、ちょっと日程出ないとなんとも。自治会、コロナでどうなるか分からないから、お祭りさえなければ暇なんだけど。もしやるとなったら、土日の練習試合なんかの応援は無理だし。」

そうして、それぞれ出来ない理由を一巡したところで、一気に皆の視線が私に集まる。

「あ。ごめんなさい!OOさん・・ですよね?OOさん、今年何か委員とかやられてます?」

M尾さんの隣に座っているムードメーカー的な母親が尋ねて来た。何もしていないと返せば、もう私が会長に適任だと皆が一致団結で持ち上げることは目に見えていた。そうなるものかーと腹に力を込める。

「ごめんなさい。ちょっと介護とか仕事とかで時間的に余裕がなくて。」

介護も仕事もしていないけれど、これからすることになるだろうという、あくまでもの仮の予定を口実にする。

場が一気に白ける。彼女達が目配せをしているのが見えた。

「それは・・みんな同じだから、ね?」

会長が、困り顔で私や他の親に向けて言葉を挟んだ。

「私もね、同居の親が調子悪くて、仕事もフルでしていて。それに、去年は下の子の子ども会の会長もしてたし。でも出来る範囲でやれば何とかなるし。会長だからって全部の仕事をする訳じゃなくて、皆で協力してすることだからー」

これは、私だけに向かっての言葉なのか、それとも他の保護者にも向けた言葉なのか、この流れからは判別がつかなかった。


「勿論、3年は引退するけど。何かあればお手伝いするし、フォローしてくから。お願いします!」


シンーと空気が静まり返る。でも、私に務まる訳がない。そりゃあ、気心知れたメンバーの中でならなんとかやっていけるかもしれないけれど、こんなアウェーの空気の中で、長になり保護者を仕切っていくのなんて、無理だ。
会長や2年の親がこちらに視線を向けているのを肌で感じ、細胞ひとつひとつがピリピリと痛みを帯びて私を責めているような気がした。


「じゃあ、やります!」

突然、M尾さんの隣に座っている母親が手を挙げた。


「じゃあ、副の方、やります!」


その後ろに座っていた母親が手を挙げた。緊張感に包まれていた空気に解放され、教室中に拍手が起こる。

「あの、これって本部との会議とかないよね?」

「うん、そういうの無い!基本的に連絡係で、まあ、何か問題があれば本部に掛け合うことはあるけど。基本、ない。部内での打ち合わせも内々でやるから、運営会議みたいなかしこまった感じじゃないよ。」

「良かった~、皆の前で話すのとか、私苦手で。」

「よく言うよ!」

クスクスと笑いが起きる中、私はまったく笑えなかった。私の他に逃れた4人の母親は、笑顔で拍手しているけれど、私は気まずさと羞恥と罪悪感で、どんな顔をしたらよいのか分からず、ただただ俯いていた。

4人の母親も、M尾さんとは仲が良いのだろう。しきりに、手伝うから!何でも言いつけて!と陽気に声を掛け合って士気を高めていた。
自分で蒔いた種とはいえ、再びアウェーの道に外れてしまった。


現実に引き戻される

子の部活保護者会の知らせが来た。
クラス懇談会で、なんとか今年はPTA役員から逃れられほっとしていた矢先の出来事だ。
詳細に、2年生の親の中から役員を決めるので出来るだけ出席して欲しいと記載されていた。
てっきり、現在の3年生が引退後、部長や副部長の親がそういった役を任されるとばかり思っていたので、動揺している。
一気に気が重くなる。
仕事もまだ決まっていない。
最近では、コロナ禍だからまだタイミングではないとか、持病の発作が出そうだとか、連休が明けたら考えようとか、なんだかんだの言い訳をし引き延ばしている。
一応、ネットの応募だけは一日一社を目標にしているのだが、返信が来なかったり不採用だと、内心ほっとしていたりもする。
働かない生活に、すっかり身も心も慣れ切ってしまったのだ。
ここ何日かは、針金さんと出会えたことで、生活に張りが出ていることに満足すらしている。
こんな話、働く親が聞いたら憤るだろうけれど。なので、今回の通知で目が覚めた。一気に、現実に引き戻される。
保護者会・・気が重い。

孤独

役員のクジに当たらなかったことで、どっと緊張が解かれたのも束の間。
お決まりの自己紹介は、やはり苦手だけれども、それでも自宅で何度も練習して来たし空で暗記して来たので、覚悟を決めて挑むつもりだった。トップバッターから始まり、流暢に話す彼女らの台詞なんて何一つ入って来ない。その時間は、自分の番が来た時の為に準備する時間。
だが、想定外のことは起こるものだ。私の目の前に座る彼女が、自己紹介で「息子は剣道部ー」と言い出した時から、頭は空っぽ、予め決めていた台詞はすべてぶっ飛び、ただ茫然と彼女の履いているパンツの柄を眺めていた。その柄からしても、彼女の主張の強さが垣間見えた。
クラス内に、子のライン相手がいるとは覚悟していたけれど、やはり心の準備は万全ではなかったのだ。故に、見られているという緊張感で、頭の上から足のつま先まで真っ赤になっているような、痺れる感覚に倒れそうになる。
それは、相手が私のことを値踏みしていると感じたからだ。

会が終わると、ライン相手の母親は親しいママ友らがいるようで、すぐに群れになり話し出した。その話声の様子から、彼女は相当仲間内でも気が強く、中心人物なのだと分かる。
何となく、その集団がこちらを見ながら噂話をしているように見えてしまい、そそくさと教室を出る。なぜ、逃げなくてはならないのだろう?
廊下には、違うクラスだけれど、見知った母親らがやはり群れを成しており、ボスママやスネ夫ママ、素敵ママや孤高の人らが目に付く。皆、話に花が咲いているようで、コロナ禍なんて無関係というように井戸端会議に夢中だ。

ー寂しい、寂しいー・・

突如、猛烈な孤独感に襲われる。いつも一人で自宅にいる時には感じない、集団の中にいる時により一層感じる孤独感。
それにいったんのまれると、無気力になり消えたくなる。そうなれば、普通の状態に立て直すのに労力が要る。

とぼとぼと自宅に戻り、エントランスを横切ろうとすると、

「こんにちは。」

針金さんが、しゃがんだ格好でこちらに笑顔を向けていた。










けん制

我が子のライン相手の母親ー
気の強そうな、女性。席を立つなり、振り返り、皆を見渡せるよう体の向きを変えた。一通りの挨拶を終えて座るのかと思いきや、突如、私達に向かって質問を投げ掛けた。

「皆さん、お子さんはどれくらいスマホしてます?うちの子、家にいる間ずっとスマホばっかりで依存気味で困ってるんです。」

一瞬、私と視線が合った。なぜだか後ろめたい気持ちになり、すっと目を反らす。

「こそこそと部屋でずっとスマホをしているんです。勉強もせずに!なので、塾へ行かせたりしてなんとか依存から抜けさせようと苦戦してまして。先日なんて、トイレやお風呂場にまで持って行くものだから取り上げたんですよね!皆さん、時間制限とかされてます?」

おしゃべり好きの母親ー、一番初めに自己紹介した彼女が、合いの手を入れた。

「してますしてます!うちは、一日3時間に制限してますよ~」

「うちは女子なので、位置情報も密かにチェックしています。ばれたら嫌がられそうですけど、防犯面で色々と心配なものですから。」

「同じく!うちもです。」

場が一気に茶話会のような雰囲気になる。私の自己紹介を前に、一部の保護者達が盛り上がり始めた。その間も、剣道部男子の母親からの視線を感じる。彼女は息子のスマホをチェックしているのだろうか?だとしたら、子の存在も分かっているのだろうか?
もしかしたら、けん制されている?
頭の中が真っ白どころではなく、その場にいたたまれず逃げ出したくなる。しかし、担任が空気を変えた。

「スマホの件では、今度、学校から生徒に向けて、HRで指導をしようと思っています。また、PTA校外委員の方々からも、そういった困りごとなどの情報交換会を予定していますので・・では、OOさん、一言よろしいですか?」


急な変化球に、座っているのによろめきそうになる。動揺し、真っ白な頭で席を立ち、つっかえつっかえ挨拶した。
正直、思い出すのも眩暈がする程、最悪な時間だった。皆の呆気にとられた表情だけが思い出される。何をどう伝えたのか、とにかくどもりまくり、それを胡麻化そうとすればする程、緊張も手伝って、一体何を喋っているのか分からなくなった。
前方のショートボブの彼女を意識すればする程、顔も真っ赤になり狼狽えてしまったのだった。








クジ引き

子の懇談会。
行く前に一杯やれたらいいのだけれど、夫が在宅の為そのまま自宅を出た。
学校に近付くにつれ、保護者の群れが目に入り、体も顔もこわばる。伏し目がちに門を潜り抜け、子の教室へと向かう。
時間ギリギリに到着することで、手持無沙汰の時間を無くす。既に、殆どの保護者が教室内に入っており、逆に目立ってしまったことを後悔した。
担任から、今年度の教育方針や新学期に入ってからの子ども達の様子、教材などの引き落とし関連、連絡事項などなど。
そして、まだ決定していない役員決め。一気に、教室内が重たい空気に包まれた。
担任に代わり、PTA本部の母親が前に出て仕切る。

「今年度も、コロナの為、行事は削減されています。引き受けるのなら、今年がおすすめですよ~」


甘い言葉。だが、執行役員にボスママやスネ夫ママがいる限り、何が何でも彼女らと関わりたくない私は目を反らす。


「どなたか~、お願い出来ませんかぁ?」


しんーと静まりかえった部屋。誰も手を挙げない。

「いらっしゃらなければ・・出来るだけ避けたかったのですが、クジ引きをさせていただきます~」

やたらと語尾を伸ばす役員ママ。見た目は今風の可愛い人で、だが、その間延びした話し方とは違い、テキパキとクジの入った袋を取り出し、教室内を回り始めた。
ひとり、またひとりとクジを引く。紙を開き、安堵の表情を浮かべる彼女らを見る度、私の心臓は早鐘のように打つ。
名前順での座席。こういう時、私の順番は不利だ。自己紹介などもそうだけれど、なんだかんだ一番に終わらせてしまう方が得策に思える。

そして、私の番ー

手に汗を握り、ガサゴソと袋の中の紙をあさる。これだーと思った紙をつかみ、だが胸騒ぎがして別の紙を探る。

「あの、もういいですか?」

はっと気付けば、役員が私の目前で苦笑いしていた。

「あぁ、ごめんなさい!」

結局、咄嗟に触れた紙を引く。恐る恐る開いた。









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