はじめの一歩
この時期ー大人の世界でも子供の世界でも「新生活」に順応する為、必死に自分の居場所を探し求める時期。
真新しいランドセルをしょった近所の小学生や、リクルートスーツに身を包んだ新社会人。
右も左も分からない、ルールがあるかどうかも分からない環境の中で、勇気を出して「はじめの一歩」を踏み出す人間が、最初にチャンスの神様からご褒美をもらえるんだ。
私はその「はじめの一歩」にいつも出遅れるような子供だった。
気がつくと、周囲はもう何年も前から馴染んでいる空気の中にいるようで、取り残される側に身を置くのが常だった。
雨上がりが昔から嫌いなのも、それまでどしゃぶりだった景色が一転ー何事も無かったかのようにまるで生まれ変わったかのようにキラキラ輝き出す事に気持ちがついていかなかったから。
でも、そのキラキラの中に親子で入れたらどんなにいいだろう。
妄想ばかりでは駄目、勇気を出さないと。
昨日の降園後、同じくバスで降園後のサカイさん親子と会った。
お互い挨拶して、そこまでは良い感じだった。
赤ちゃんの名前を聞いたり、幼稚園の事を色々聞かれたり。
十分程度エントランスで立ち話をした。
その間子供達は歳が離れているにも関わらず、楽しそうに階段でグリコのジャンケンをしていた。
少しすると、サカイさんの携帯が鳴った。
「うん、あ、じゃあ今日は家においでよ。片付いてないけど一緒におやつ食べようー。」
携帯の向こう側にママ友がいることを知った。
引っ越してまもなく、そして入園してまもなくの彼女に先を越されてしまったのが正直ショックだった。
電話を切ると、私にすみません、と言ってから子供に声を掛けた。
「△△ちゃん、もう来るから!帰るよー」
「やったー!早く帰るー」
サカイさん親子はバタバタと楽しそうに、そして私達親子に会釈をし早々に自宅に引き上げて行った。
ぽつんと残される私達。
周囲は常に前進しているーぐるぐる同じ所を行ったり来たりしているのは自分だけ。
情けない気持ちと、すぐに友達が出来てしまうサカイさんが羨ましい気持ち、そして少しの嫉妬。
「ママ、うちにYちゃん呼んでもいい?MちゃんもOちゃんもKちゃんもYちゃんち行った事あるんだって。
OOも行きたいけど、OOのうち来たことないから駄目って言われた。」
落ち込む所に、子のストレートな言葉が更に追い討ちを掛けた。
GW明けには親子遠足だし、まだ転入生のママに話し掛ける事も出来ないでいる。
明日こそはー
「OOは、まいこちゃんと仲良く出来てる?」
話題を変えるのと、まいこちゃんと仲良くなってくれたらという気持ちで尋ねてみた。
「まいこちゃんはね、さなちゃんと仲良しだよ。」
さなちゃんー
さなちゃんはクラスのリーダー的存在で、ダンサーの孤高のママの子。
お世話好きだから、きっと一人でいる子の面倒を見てあげるうちに仲良くなったのかな。
「OOも、まいこちゃんと仲良くしたら?そうだ、お手紙書こうよ。」
自宅に戻り、まいこちゃん宛てに子に手紙を書かせた。
お手紙交換ー
幼稚園になると女の子同士可愛いレターセットにデコシールなんかをペタペタ貼って、大好きなお友達宛に手紙を書き合う。
途中入園してしばらくは、ポツリポツリと子にも来ていたお手紙。
必ず返事は出していたし、こちらからも何度も渡していたのにいつの間にか途絶えていたやりとり。
子も、久しぶりのお手紙に興奮し、自分のレターセットとたくさんのシールコレクションが入った箱を取り出し、カラフルなペンでまいこちゃん宛てにお手紙を書き出した。
そこには、つたない文字で「だいすきなまいこちゃんへ」と、そして大きなリボンをつけた女の子が二人手をつないでいる絵が描かれていた。
きっと自分とまいこちゃんなのだろうけど、この絵のように仲良くなってくれたらと切に願う。
嬉々として、書きあがった手紙を封筒に入れてから、お気に入りのプリキュアシールを貼ると自分のバッグに入れた。
そして、今朝はうまく渡せただろうか。
はじめの一歩ー不器用でもいい、小さくてもいい、勇気はチャンスをつかむための手段だ。
一歩があって、初めて人は歩く事が出来るのだ。
真新しいランドセルをしょった近所の小学生や、リクルートスーツに身を包んだ新社会人。
右も左も分からない、ルールがあるかどうかも分からない環境の中で、勇気を出して「はじめの一歩」を踏み出す人間が、最初にチャンスの神様からご褒美をもらえるんだ。
私はその「はじめの一歩」にいつも出遅れるような子供だった。
気がつくと、周囲はもう何年も前から馴染んでいる空気の中にいるようで、取り残される側に身を置くのが常だった。
雨上がりが昔から嫌いなのも、それまでどしゃぶりだった景色が一転ー何事も無かったかのようにまるで生まれ変わったかのようにキラキラ輝き出す事に気持ちがついていかなかったから。
でも、そのキラキラの中に親子で入れたらどんなにいいだろう。
妄想ばかりでは駄目、勇気を出さないと。
昨日の降園後、同じくバスで降園後のサカイさん親子と会った。
お互い挨拶して、そこまでは良い感じだった。
赤ちゃんの名前を聞いたり、幼稚園の事を色々聞かれたり。
十分程度エントランスで立ち話をした。
その間子供達は歳が離れているにも関わらず、楽しそうに階段でグリコのジャンケンをしていた。
少しすると、サカイさんの携帯が鳴った。
「うん、あ、じゃあ今日は家においでよ。片付いてないけど一緒におやつ食べようー。」
携帯の向こう側にママ友がいることを知った。
引っ越してまもなく、そして入園してまもなくの彼女に先を越されてしまったのが正直ショックだった。
電話を切ると、私にすみません、と言ってから子供に声を掛けた。
「△△ちゃん、もう来るから!帰るよー」
「やったー!早く帰るー」
サカイさん親子はバタバタと楽しそうに、そして私達親子に会釈をし早々に自宅に引き上げて行った。
ぽつんと残される私達。
周囲は常に前進しているーぐるぐる同じ所を行ったり来たりしているのは自分だけ。
情けない気持ちと、すぐに友達が出来てしまうサカイさんが羨ましい気持ち、そして少しの嫉妬。
「ママ、うちにYちゃん呼んでもいい?MちゃんもOちゃんもKちゃんもYちゃんち行った事あるんだって。
OOも行きたいけど、OOのうち来たことないから駄目って言われた。」
落ち込む所に、子のストレートな言葉が更に追い討ちを掛けた。
GW明けには親子遠足だし、まだ転入生のママに話し掛ける事も出来ないでいる。
明日こそはー
「OOは、まいこちゃんと仲良く出来てる?」
話題を変えるのと、まいこちゃんと仲良くなってくれたらという気持ちで尋ねてみた。
「まいこちゃんはね、さなちゃんと仲良しだよ。」
さなちゃんー
さなちゃんはクラスのリーダー的存在で、ダンサーの孤高のママの子。
お世話好きだから、きっと一人でいる子の面倒を見てあげるうちに仲良くなったのかな。
「OOも、まいこちゃんと仲良くしたら?そうだ、お手紙書こうよ。」
自宅に戻り、まいこちゃん宛てに子に手紙を書かせた。
お手紙交換ー
幼稚園になると女の子同士可愛いレターセットにデコシールなんかをペタペタ貼って、大好きなお友達宛に手紙を書き合う。
途中入園してしばらくは、ポツリポツリと子にも来ていたお手紙。
必ず返事は出していたし、こちらからも何度も渡していたのにいつの間にか途絶えていたやりとり。
子も、久しぶりのお手紙に興奮し、自分のレターセットとたくさんのシールコレクションが入った箱を取り出し、カラフルなペンでまいこちゃん宛てにお手紙を書き出した。
そこには、つたない文字で「だいすきなまいこちゃんへ」と、そして大きなリボンをつけた女の子が二人手をつないでいる絵が描かれていた。
きっと自分とまいこちゃんなのだろうけど、この絵のように仲良くなってくれたらと切に願う。
嬉々として、書きあがった手紙を封筒に入れてから、お気に入りのプリキュアシールを貼ると自分のバッグに入れた。
そして、今朝はうまく渡せただろうか。
はじめの一歩ー不器用でもいい、小さくてもいい、勇気はチャンスをつかむための手段だ。
一歩があって、初めて人は歩く事が出来るのだ。
- category: 幼稚園
comment:6- trackback:0
- 2013/04/26