運動会
運動会、 無事に終わりホッとしているところ。
年長にとっては晴れ舞台、様々な競技が目白押しだ。
その中でも、秋の全国ダンスコンクールに向けてのリハーサルのようなものがプログラムに組まれており、子はセンター横で踊ることになっているのもあり楽しみにしていた。
購入したばかりの一眼レフを片手に、家族で賑わうグラウンドへ向かう。
昼は一旦自宅に戻ることにしたので、レジャーシートの場所取りをする必要もなくなり気楽だった。
私しか子の競技を見てやることが出来ないことが不憫で、いつも以上に凝ったキャラ弁を作ってみたら子は朝からテンションが高く喜んでくれた。
子を応援席に送ると、1人きりになったが思ったより寂しくはなかった。
結局皆子の演目に集中したいようで、早々に前列にレジャーシートを敷き、背中を向けている。
スネオママがボスママ達ファミリーと高笑いしているのが見えた。
セレブのような大きなサングラスが顔の殆どを覆っているのにも関わらず、その立ち振る舞いからすぐにスネオママだと分かる。
運動会だというのに何故かヒールのある靴を履き、胸にはコットンパールネックレス。まるで街にお出掛けでもするような格好だった。
また、祖父母と共にしている人々が多いこともあり、気が紛れた。
父親は1人が多いのか、母親が群れている所から少し離れて子の様子を見ていることが多く、それもありいつもよりも孤独感はなかった。
子が一生懸命練習していたダンス、想像以上に感動した。
先生はただ、側でじっと見ているだけ。手出しも声掛けもしない中でアクロバティックな踊りをする。
途中、チアリーダーのようなピラミッドからジャンプをするような危険な箇所があるのだが、それも難なくやり遂げた。
拍手喝采ー
真剣な子の表情は、家でいつも甘えているあの表情とは全く違う、ピリっとした緊張感のあるもの。
子の成長を改めて感じ、胸がいっぱいになった。
さなちゃんがバク転をしたところで歓声が沸く。
フィニッシュも完璧に決まった。
「カメラ、買ったのー?」
ふいに後ろから話し掛けられ驚いて振り向くと、アルバム委員のふわふわママがいた。
以前ランチ会で話して以来あまり会話していなかったので、緊張してどもってしまった。
「あ、ああ、こんにちは。あの、今年は最後だし、お、思い切って買ってしまいました。」
「同じ機種じゃない?使いやすいよね。女子にも軽くてコンパクトだしー。」
「は、はい。で、でも、まだうまく使いこなしぇなくて。」
ぷっとふわふわママが吹き出した。
「こなしぇない・・って。あはは!」
「あ、あ、変ですね。赤ちゃんみたい。」
緊張のあまり、どもりまくってうまく発語も出来ない始末。顔中真っ赤になりながらも彼女の顔を見たら、それは決して馬鹿にしているわけではない本当に面白がっている表情だった。
「OOさん、面白いねー。今日は1人?」
「え、ああ、はい。」
「実は私も1人なんだよね。旦那が仕事で。じいじやばあばも面倒で誘わなかったー。あのさ、良かったらOOさんもアルバム用の写真一緒に撮るの協力してくれない?」
「あ、はい。でもこれ今日おろし立てで、腕も悪いしちゃんと写るかどうか・・頑張ってみますが使えなかったらすみません。」
「そんな真面目にしなくていいって。OOさんって本当に真面目だね。適当でいいからー高田純次ばりでー。」
「分かりました。」
高田純次ばりというのがいまいちどの程度なのか分からなかったが、それを鵜呑みにしたらまともな写真など一枚も撮れないだろう。
それからは、彼女に指示される場所にポイントを置いてはシャッターを切り、丁度彼女が撮るアングルとは対角線になるような形で移動しながら、子供達や先生の様子を撮った。
勿論子の姿も撮り忘れないようにしながら。
昼休みになり、彼女は弁当を持って来ているようで一緒に食べるか聞かれたが、私は元々自宅に戻る予定だったのと気疲れもあり遠慮した。
社交辞令でも一応誘ってくれる彼女の人柄の良さが気持ち良く好感が持てた。
彼女はにっこり笑うと手を振り、また午後の部よろしくーと言いながらいつものふわふわママの群れに帰って行った。
その群れは、いつものメンバーに混じって父親や小学生の兄弟などたくさん混在しているようだったけれど、臆することなく混じることが出来るふわふわ加減が羨ましく、でも自分には決して真似出来る行為ではないなと思った。
私は弁当を食べる子に一声掛けてから、自宅に戻り、ふーっと一息入れた。
弁当の余ったおかずとおにぎりに麦茶、土曜正午過ぎの恒例バラエティ番組を観ながらのんびり休憩。
やはり落ち着くこの空間。
そして午後、またふわふわママの指令通り動き、たくさんの写真を撮った。
目玉プログラムのクラス対抗リレーでは、子が転ばないかとヒヤヒヤしたがうまく乗り切った。ボスママの子、N君が途中バトンを落としたことで1位を逃し、スネオママがボスママを大袈裟に慰める声が聞こえた。
ボスママは、しきりに他の群れのママ達に頭を下げて謝罪しているようだったが、なぜ謝る必要があるのかさっぱり理解出来なかった。子供達は頑張ったのだ。たとえバトンを落としても、全力を尽くしたのだから失敗したとして謝罪するのはなんだか子供が可哀想に思えた。
結局500枚以上の写真が撮れた。
正直、子の演目をじっくり観ることが出来ない部分もあったけれど、それでも嫌な気分ではなかった。
誰かに頼まれることー、必要とされることー
子にとって、自分の為にただ動いてくれるお母さんは嬉しいものかもしれないけれど、誰かの為に動くお母さんはまた違った意味で嬉しいものなのかもしれない。
その証拠に、カメラを持って動いていると、
「OOちゃんママはカメラ係りさんなの?」
とYちゃん達に聞かれ、
「今日だけ頼まれてね。」
そう応えると、子が嬉しそうに、
「ママー、頑張ってね!!OOのママ、カメラ係りさんなんだー、すごいでしょう。」
と言いながら、得意気な顔で周囲の子と一緒に応援席からピースサインで私のカメラに向かって笑顔になった。
側にいた先生もその輪に入り、ピースをするととても素敵な写真が撮れた。
クラス写真はいつでも、写真屋から購入するばかり。
業者が撮るものだからなのか、どこか無理やり整列させられ笑顔を作った子供達を撮ったようなものばかりだったけれど、こうして撮った皆の写真はとても自然体で可愛らしく、味のあるものだった。
シャッターを切り、ファインダーから顔を離すと、その視線の先にいたふわふわママと目が合った。
あれ程緊張してこわばっていた顔がその頃には和らいで、自然と彼女に向かって笑みがこぼれていた。
年長にとっては晴れ舞台、様々な競技が目白押しだ。
その中でも、秋の全国ダンスコンクールに向けてのリハーサルのようなものがプログラムに組まれており、子はセンター横で踊ることになっているのもあり楽しみにしていた。
購入したばかりの一眼レフを片手に、家族で賑わうグラウンドへ向かう。
昼は一旦自宅に戻ることにしたので、レジャーシートの場所取りをする必要もなくなり気楽だった。
私しか子の競技を見てやることが出来ないことが不憫で、いつも以上に凝ったキャラ弁を作ってみたら子は朝からテンションが高く喜んでくれた。
子を応援席に送ると、1人きりになったが思ったより寂しくはなかった。
結局皆子の演目に集中したいようで、早々に前列にレジャーシートを敷き、背中を向けている。
スネオママがボスママ達ファミリーと高笑いしているのが見えた。
セレブのような大きなサングラスが顔の殆どを覆っているのにも関わらず、その立ち振る舞いからすぐにスネオママだと分かる。
運動会だというのに何故かヒールのある靴を履き、胸にはコットンパールネックレス。まるで街にお出掛けでもするような格好だった。
また、祖父母と共にしている人々が多いこともあり、気が紛れた。
父親は1人が多いのか、母親が群れている所から少し離れて子の様子を見ていることが多く、それもありいつもよりも孤独感はなかった。
子が一生懸命練習していたダンス、想像以上に感動した。
先生はただ、側でじっと見ているだけ。手出しも声掛けもしない中でアクロバティックな踊りをする。
途中、チアリーダーのようなピラミッドからジャンプをするような危険な箇所があるのだが、それも難なくやり遂げた。
拍手喝采ー
真剣な子の表情は、家でいつも甘えているあの表情とは全く違う、ピリっとした緊張感のあるもの。
子の成長を改めて感じ、胸がいっぱいになった。
さなちゃんがバク転をしたところで歓声が沸く。
フィニッシュも完璧に決まった。
「カメラ、買ったのー?」
ふいに後ろから話し掛けられ驚いて振り向くと、アルバム委員のふわふわママがいた。
以前ランチ会で話して以来あまり会話していなかったので、緊張してどもってしまった。
「あ、ああ、こんにちは。あの、今年は最後だし、お、思い切って買ってしまいました。」
「同じ機種じゃない?使いやすいよね。女子にも軽くてコンパクトだしー。」
「は、はい。で、でも、まだうまく使いこなしぇなくて。」
ぷっとふわふわママが吹き出した。
「こなしぇない・・って。あはは!」
「あ、あ、変ですね。赤ちゃんみたい。」
緊張のあまり、どもりまくってうまく発語も出来ない始末。顔中真っ赤になりながらも彼女の顔を見たら、それは決して馬鹿にしているわけではない本当に面白がっている表情だった。
「OOさん、面白いねー。今日は1人?」
「え、ああ、はい。」
「実は私も1人なんだよね。旦那が仕事で。じいじやばあばも面倒で誘わなかったー。あのさ、良かったらOOさんもアルバム用の写真一緒に撮るの協力してくれない?」
「あ、はい。でもこれ今日おろし立てで、腕も悪いしちゃんと写るかどうか・・頑張ってみますが使えなかったらすみません。」
「そんな真面目にしなくていいって。OOさんって本当に真面目だね。適当でいいからー高田純次ばりでー。」
「分かりました。」
高田純次ばりというのがいまいちどの程度なのか分からなかったが、それを鵜呑みにしたらまともな写真など一枚も撮れないだろう。
それからは、彼女に指示される場所にポイントを置いてはシャッターを切り、丁度彼女が撮るアングルとは対角線になるような形で移動しながら、子供達や先生の様子を撮った。
勿論子の姿も撮り忘れないようにしながら。
昼休みになり、彼女は弁当を持って来ているようで一緒に食べるか聞かれたが、私は元々自宅に戻る予定だったのと気疲れもあり遠慮した。
社交辞令でも一応誘ってくれる彼女の人柄の良さが気持ち良く好感が持てた。
彼女はにっこり笑うと手を振り、また午後の部よろしくーと言いながらいつものふわふわママの群れに帰って行った。
その群れは、いつものメンバーに混じって父親や小学生の兄弟などたくさん混在しているようだったけれど、臆することなく混じることが出来るふわふわ加減が羨ましく、でも自分には決して真似出来る行為ではないなと思った。
私は弁当を食べる子に一声掛けてから、自宅に戻り、ふーっと一息入れた。
弁当の余ったおかずとおにぎりに麦茶、土曜正午過ぎの恒例バラエティ番組を観ながらのんびり休憩。
やはり落ち着くこの空間。
そして午後、またふわふわママの指令通り動き、たくさんの写真を撮った。
目玉プログラムのクラス対抗リレーでは、子が転ばないかとヒヤヒヤしたがうまく乗り切った。ボスママの子、N君が途中バトンを落としたことで1位を逃し、スネオママがボスママを大袈裟に慰める声が聞こえた。
ボスママは、しきりに他の群れのママ達に頭を下げて謝罪しているようだったが、なぜ謝る必要があるのかさっぱり理解出来なかった。子供達は頑張ったのだ。たとえバトンを落としても、全力を尽くしたのだから失敗したとして謝罪するのはなんだか子供が可哀想に思えた。
結局500枚以上の写真が撮れた。
正直、子の演目をじっくり観ることが出来ない部分もあったけれど、それでも嫌な気分ではなかった。
誰かに頼まれることー、必要とされることー
子にとって、自分の為にただ動いてくれるお母さんは嬉しいものかもしれないけれど、誰かの為に動くお母さんはまた違った意味で嬉しいものなのかもしれない。
その証拠に、カメラを持って動いていると、
「OOちゃんママはカメラ係りさんなの?」
とYちゃん達に聞かれ、
「今日だけ頼まれてね。」
そう応えると、子が嬉しそうに、
「ママー、頑張ってね!!OOのママ、カメラ係りさんなんだー、すごいでしょう。」
と言いながら、得意気な顔で周囲の子と一緒に応援席からピースサインで私のカメラに向かって笑顔になった。
側にいた先生もその輪に入り、ピースをするととても素敵な写真が撮れた。
クラス写真はいつでも、写真屋から購入するばかり。
業者が撮るものだからなのか、どこか無理やり整列させられ笑顔を作った子供達を撮ったようなものばかりだったけれど、こうして撮った皆の写真はとても自然体で可愛らしく、味のあるものだった。
シャッターを切り、ファインダーから顔を離すと、その視線の先にいたふわふわママと目が合った。
あれ程緊張してこわばっていた顔がその頃には和らいで、自然と彼女に向かって笑みがこぼれていた。
- category: 幼稚園
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- 2013/09/30