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母の遺言

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母の散財は今に始まったことでもないが、年金を貰う年になってからというものの、慎ましやかな暮らしとは大いに掛け離れつつある。私としては、弟の為に少しでも貯金しておいて欲しいのが本音なのだが、


「私とお父さんが死んだら、施設にでも入れてくれればいいから、あんたは気にしなくていい。」


と身勝手な台詞を吐く。気にしなくてーなんて出来っこないし、弟の唯一の血縁は私。何かあれば役所から我が家に電話や手紙が来ることくらい分かっているだろうに、こんなことを言える母の気持ちが心底理解出来なかった。施設に入れるとしても、金は掛かるのだ。



「これ、夏っぽいでしょう?」


この間会った時に、母はまた見慣れないネックレスを付けていた。夏らしいペリドットとダイヤがあしらわれたネックレスだ。そしていつものようにそれが本物で、彼女御用達の百貨店購入だということを得意気に自慢する。



「あんたのそれも本物?」



私が最近購入した、プチプラブレスレットを指して聞く母。少々カチンときていた私は母を試す為に嘘を付いた。


「うん、まあ。」



ゴムにキラキラのビーズが通されたそれは、重ね付けすると華奢だが見栄え良く気に入っている。何より安いので付けたまま洗い物などの家事をしていても気兼ねないし、ゴムなので着脱も楽。ネットで見る度に気になっていたもので、何通りものカラーがあり迷っていたが、その中でも落ち着いたカラーを選んだのはアラフォーだからだ。
お洒落の参考にしているブロガーさんが愛用しているのを知り、間違いないと購入した。実店舗が少ないことも手伝って、ネット購入。プチプラであってもそこら辺に店が出回っていると、なんだか損した気分になるのは私だけだろうか?あちこちで自分が身につけているものとかぶるのが恥ずかしく思えるのだ。なので、足を伸ばさなければ行けないような店の商品は心惹かれる。
嬉しいことに、初回は1000円引きというので子のおもちゃアクセサリーよりヘタすると安く付いたのではないか?












「ターコイズにオパール?いいじゃないの。あんたも優雅ね~これからOOにもお金が掛かるんだし、ちょっとは我慢しなさいよ。」



どの口が言う?
途端に腹ただしい気分になった。本物と偽物の区別も付かないー、見栄だけで生きている母。そしてカマを掛けたものの、心のどこかでそれを見破って欲しかったという矛盾する思いもある。複雑な娘心なのだ。


「あんた、私が色々本物の買ってるんだから、それ以上無駄遣いする必要ないわよ。遺言にしっかり書いておくから。ジュエリーは全部あんたとOOの物にってね。私のものは全て本物なんだから、立派な財産よ。売ればそれなりのお金になるしね。」



最近、エンディングノート兼、簡易的な遺言の下書きを始めたという母は、真新しいネックレスをたるんだ首元にぶら下げて、にやりと笑った。
私はそれを聞きながら、無意識に自分の手首にあるブレスレッドを撫でた。
二連に連なった、プチプラブレスレット。それはまるで私と母との関係のように、上辺の光をキラキラと輝き放っていた。

























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親から子への財産

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子の歯科矯正ー、夫に話を持ちかけても拉致が明かないので、実両親から受けさせるよう金を貰ったという前提でこの夏から治療を始めることにした。
去年の9月から、細々とライター内職で得た矯正貯金はまだ20万と少し。心もとない金額だけれど、まだ低学年の歯茎や口内の骨が柔らかいうちに矯正しておく方が、子の負担も少ないので意を決したのだ。
その他にも、通信学習やもうひとつ習い事を増やしたいので、夫に交渉中。夫が財布を握っているのと、さすがにこの2つについては私の内職では到底手が届かない費用が掛かると踏んでいるので、時間を掛けてでも夫を説得しなくてはならない。

女の子に産んだことで、外見のコンプレックスが後々の人生に影を落とすような思いをさせたくはない。そして、何かこれという特技だったり、将来に向けての展望を与えてやりたいし、更なる可能性の幅を広げる為にも教育費は出来るだけ惜しみなくかけてやりたい親心である。
しかし夫はいつでも、

「女の子だし、いずれは結婚するんだからそこまで金掛ける必要ないだろう。」

と、何とも時代遅れな思考回路。結婚して専業ー私のように肩身の狭い思いをしながら暮らしていく、そんな未来を子に与えたくはないのだが、そもそも私の本音など知るはずもない夫に、そんな思いは通じる訳がない。
子がやりたいと言ったことー、それを全力で応援したい。勿論、どれもこれも開花するとは思ってもいないし、選択の失敗だってあるだろう。しかし、それも経験だ。何もせずにやりたいことを我慢し、大人になってから、あれもやりたかったこれもやりたかったと後悔して欲しくはない。あれもこれもやったけれど、失敗もあったけれど、唯一これだけは続けられたーそんな特技だったり趣味を得ること、自信を持たせることが出来ればと思っている。

話は反れたが、歯科矯正。クチコミで色々と調べてみた結果、隣街に良さそうな歯科医院があったので、早速予約を取りまずは相談。そして、やはり矯正を勧められたので、次回から治療開始だ。
私自身も、コーヒーなどを良く飲むお陰ですっかり黄ばんだ前歯のクリーニングをして欲しいのだが、そもそも歯並びが悪いところを、真っ白で綺麗な歯にしても、コンプレックスが強調されるような気がしてその思いもすぐ萎えてしまう。

子が、歯並びを気にせず豪快に笑ってくれるー、スマイルは少ないよりも多い方がいいに決まっている。笑顔が素敵な人ー、そんな第一印象は、これからの人付き合いにおいても、うまくいく一因になるに違いない。
笑顔の連鎖で人も自分自身も幸せになって欲しいー、受け取った真新しい診察券を見ながら、そんなことを考えていた。














































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リアル鰻

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ふらりと立ち寄ったスーパーで鰻を目にすると、その日の朝、子が広告を眺めながらちらっと言った言葉を思い出した。


「鰻って美味しいの?」


毎年喉から手が出る程食べたい鰻、私の大好物。しかし、スーパーでも1尾1500前後するそれは高嶺の花。食べたいと思いながらも横目で見ては流すだけ。しかし、食育の観点から見て、子供がその味を知らないのはどうかと思い始めた。夫からの生活費では到底買うことが出来ない、しかし、私のへそくりからならなんとか捻出できる金額だ。
それに、


「まいこちゃんちはね、毎年鰻屋さんに行って、うな重っていうの食べるらしいよ。すごく柔らかくって美味しいんだって。」


彼女の家と張り合うつもりは毛頭ないが、しかし、その言葉は私の劣等感を刺激した。子供同士の会話でそれを食べたことがない=貧乏という扱いを子がされるのではないか、それが発展していじめに繋がるのではないかと必要以上に不安が募った。
去年は夫と鰻のことでもめ、夫は外で食べて来て、私と子はちくわで作った偽造うなぎを食べたのだ。もしも子が、家で鰻の代わりにちくわを食べたなんてことを周囲に言い回ったら、私は顔から火を噴くほど恥ずかしい思いだ。


必要な物を買い込み、レジに並んでいたのだが、前方にいる客のかご中にある鰻2パックを見ていたら途端に気が変り、先程の鰻コーナーへ足を運んでいた。
但し、買うのは1パックのみ。1人前だ。これを子と半分こしよう。夫は今夜も飲み会で夕飯は要らない、そしてまた去年同様、昼に鰻を食べに行ったことだろう。

ーこれは、食育だ。

自分にそう言い聞かせ、コーナーの中でも一際小さい980円のものを手に取りかごに入れた。
晩御飯、テーブルに並べられた鰻丼を見て、子が目を輝かせた。1人前を分けたので、丼ではなく普段の茶碗に盛った。あとのメニューは以前激安スーパーで買った冷凍の焼き鳥ー1本あたり15円程のものと、グリーンサラダ、それにわかめとネギの味噌汁という質素なラインナップだ。


「いただきまーす!」


子が一口食べる。私も大事に大事に口に運ぶ。やはり、ちくわの蒲焼とは全く違う。口の中で柔らかな鰻が溶けて消えていく。頬が落ちそうな程に美味しかった。
しかし、子は意外な反応だった。数口は喜んで食べていたのだが、途中から箸が進まない。焼き鳥ばかりに手を伸ばしている。


「食べないの?」


「うん・・もういいや。ママにあげる。」


「美味しくない?」


「ううん、美味しかったけど、焼き鳥の方が美味しい。」


子供の味覚ー、980円の鰻よりも15円の焼き鳥が勝る。複雑な気持ち。普段から節約志向で質素なものばかり与えているから貧乏舌になってしまったのか?子は半分程鰻を残し、しかしタレの付いた御飯は美味しいと一気に平らげた。
私は子の残した鰻を有り難く頂戴し、思う存分鰻を堪能した。


飲み会でどれだけ酒を飲んだのだろう、フラフラになって午前様に帰宅した夫。酔っ払って饒舌になっていた。そして、昼に鰻重を食べたことを自慢して来た。3000円程のものらしく、老舗のものより味は劣るがまあ値段相応だろうとグルメぶった発言をしていた。


「またちくわを食べたのか?」


半ばからかいながら聞いてきた夫に、私はイライラして鰻を食べたことを伝えた。夫の顔色が一瞬だけ変わった気がしたが、しかし、子が食べたことがないと学校で皆に言いふらすのは恥ずかしいことだと最もらしい理由を述べたら納得したのか、そのままシャワー室へ行ってしまった。なんとなく、夫を打ち負かしたような気がして清々した。ビールでも付けておけば良かったと、調子に乗った私は少しだけ後悔した。




























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鳴く風鈴

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夏休み第一弾ー、少し足を伸ばして子と共に風鈴を見に出掛けた。久しぶりの電車に、子はワクワクする気持ちを抑えきれないようで、始終はしゃいでいる様子が可愛かった。
夫は仕事柄、夏は繁忙期に入る。なので、毎度の休日出勤。この分だとお盆も母子で過ごすことになりそうだ。学校の友達もさすがに土日は親や兄弟と過ごすのだろう、それに、父親が盆休みに入れば帰省するのかもしれない。ようやく子を独占出来るのが嬉しく、しかし、数年前は子と二人きり、どうやって持て余した時間を過ごそうかと四苦八苦していたことを思うと、ようやく子も話が分かるまでに成長したのだとしみじみする。

この暑い中、わざわざ風鈴を見に行こうと思ったのは言うまでもない、先日から始めた趣味である写真の腕を上げる為。一人だと億劫な写真撮影も、こうして子と出掛け先で撮るそれは、有意義に思えるし撮り甲斐もある。


そして風鈴市に到着し、思うよりもずっと多くの人々がひしめき合う中で、それと負けじに数々の風鈴が軒を連ねている姿に圧倒された。
風鈴の音も、一つならば風情もあり涼しげなのに、こんなにも多くの数だと、むしろ涼を感じることなど無理な話、単に騒々しく暑苦しいものにほかならない。


「ママ、すごいねー!」


子が迷子にならないように、ぎゅっと手を握る。家族連れやカップルなどが風鈴の前で写真撮影をしたり、また吟味したりしていた。我が家にも一つーそう思い、子も私も気になった風鈴を手に取る。


「ママ、その動物の風鈴可愛いね、買って帰ろうよ。」


しかし、値札を見ると1500円もする。風鈴一つにその値段は高く思い、取り敢えずその風鈴をカメラに収め、しぶしぶ子に他の物も見てみようと提案した。



「うん!じゃあ他のも見てみてなかったらこれ買おう!」


ガラス製のものや陶器で出来たもの、竹細工だったり真鍮だったりと色々な素材で作られた風鈴たちは、その作り手のカラーと融合され、各々個性溢れる作品となっている。
色々見てみると、大体1000円~が売れているようだ。500円程の物もあるが、安いものは百均でもありそうな定番デザインだった。交通費を掛けてここまで来たのだし、思い出に1500円の風鈴を買うことは、大して贅沢でもないように思えて来た。


「やっぱりさっきのがいいね。あれ、買おうか。」


「うん!やっぱりあれがいいよねー!絶対。」



風鈴を購入している人々も、1000円~3000円辺りの価格帯で決めているようだった。私も子も気に入った動物の風鈴。ちょっと変わったデザインなのと、またインスピレーションが二人同じタイミングだったこともあり、先程の出店に戻った。
首からタオルを掛けた、私と同世代の女店主が営むその店に置かれている風鈴たちは、どれもこれもちょっと変わったーしかしセンスのあるデザインの物ばかり。
子と共に、お目当ての風鈴を探す。しかし見当たらない。


「あれー、ないね。どこだろう。」


隈なく探すが、どこにもない。さっき見た時は3つ程同じデザインの物があったというのに。在庫があるかもー、そう思い、店主に尋ねた。



「あの・・ここら辺にあった動物がたくさん付いている風鈴は在庫とかありませんか?」


「あー、あれはここに出ていただけなんですよ。毎年人気ですぐに売れてしまって。ついさっきも売れちゃったんですよね、御免なさい。」



道を1往復している間に3つも売れてしまったというのだ、優柔不断な性格が災いした。子に説明すると、心底残念そうな顔をした。



「じゃあ、あのお花のは?」



同じようなデザインで、もう少し凝った造りの風鈴があり、正直動物の物の方が可愛かったと思いながらも、値札を見ると4000円近い。
流石に風鈴ひとつにそれだけの金を出す気になれなかった。


「うーん、ちょっとこれはあんまり・・」


言葉を濁していると、


「え!?高いの!?」



大きな声で子が尋ねる。普段私が値段ばかり気にしているからだろうか、子も最近何かにつけてあれは安いこれは高いと物を選別するようになってしまった。



「いや、やっぱり本当に気に入った物を買おうよ。」


「えー、あのお花の可愛いよ、あれにしたい!」


子も、本当に欲しいわけでもなく、単に駄目と言われたから意地になっているようでもあった。店先で押し問答をしている横で、子と同世代の女の子が、その花の風鈴を指して、


「パパ!あの風鈴可愛いね。」


「え?どれどれ、あ~、いいね。」



そう言いながら手にとっている。それを目にした子が、あ~あ、と言わんばかりに私を見る。どちらにしても買う気はなかったので、その場を離れようと子の手を引っ張るが、子が動かない。


「これ、下さい。」


結局その男性はあっさりその風鈴を購入し、それを見届けることになった子は地団駄を踏む思いで悔しがり、一気に機嫌が悪くなった。


「ねえねえ、チョコバナナでも買おうか。」


子の機嫌を取ろうと屋台で釣るが、


「いらなーい。もう帰る。」


子はふくれっ面。暑さも手伝い私もイライラして来た。



「そう。じゃあ帰る?ママはまだ風鈴見たいから。一人で帰りなさい。」


聞き分けのない子にうんざりして突き放すと、子が突然人混みに向かって走り出した。「あ!」っと思った時には手遅れで、すぐに姿を見失ってしまった。子の名を呼ぶにも風鈴の音と大勢の人ごみに紛れて届かない。自分の声ですら聞き取れない状況だ。
それからは、ひたすら探して探して探し回った。3往復もし、汗で体中はびっしょり、顔は真っ赤。子は手ぶらだ。飲み物すら持っていない、このままだと熱中症になってしまう!
とにかく迷子コーナーらしきものを探すことにし、入口へと向かう。人ごみをかき分けて、足がもつれそうになりながらも走って走って、その間も子によく似た後ろ姿があればそれを追いかけ確認し、違うと分かれば失望しながら先に進んだ。



「・・マ、マーマ!!!」


遠くから聞きなれた声がした。
振り返ると、そこには見慣れた子の姿があった。ものすごい安堵に包まれたのと同時に言いようのない怒りが湧いてきた。
子の手をつかみ、人のいない場所へ引っ張る。子の手首の血流が止まってしまう程の強さで。


「イタイ!!」


子が叫ぶのもお構いなしに、ぐんぐん引っ張り、ようやく人気のない場に移動すると、私は子の頬をひっぱたいていた。思い出すのは、子が目を丸くし驚いた表情をしたのと、掌がジンジンと熱を持ったような感覚ー


落ち着いたところで、よくよく言い聞かせ、子は泣きながらも私に向かって謝り仲直りした。
猛烈に喉が渇いていたので、ラムネを2本買い、焼きそばとホットドッグで腹を満たす。二人で黙々とそれらを平らげ落ち着いた後に、気を取り直し、再度風鈴の写真を撮るためもう1順することにした。
今度は大人しく、私に手を引かれるままに付いて来た子だったが、ここに来たばかりのはしゃいだ姿はすっかり成りを潜め、トボトボとただ歩いている。私も、さっきまでの楽しい気持ちはすっかり消え失せ、子に手を上げてしまった罪悪感から心底楽しむことも出来ず、そんな気持ちで撮る写真はどれもピンボケだったりでうまくいかない。
結局、互いに萎んだ気持ちのまま、それでもここまで来た証にと、ひとつ風鈴を購入した。800円程の幾何学模様の入った風鈴だ。しかし、後から無理に買わなくても良かったと後悔した。
なぜなら、窓際に吊るしたこの風鈴の音が耳に入る度、掌が熱く痛みを帯びるー、そんな錯覚に陥るからだ。そして子も、この風鈴を目にする度に、叩かれた頬の痛みを思い出すのかと思うと、心の奥が小さく震えるのだ。










































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夏祭り

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夏に入り、子供会では夏祭りの準備が始まる。親もボランティアで参加出来るのだが、なんとなく億劫なのと役員を始めとするママ達の中に入っていけない度胸のなさから手を挙げず仕舞いだった。
子供達は集会所で準備があるので、日中家を空ける。また私は置いてきぼりだ。ならば、一緒に参加すれば良かったものの、実は子供の一言にくじけたのだ。
子が1年の終わりからDちゃんらの中にうまく入れていないことを知っていたので、祭りに無理に参加しなくてもいいと伝えたのだが、本人は行きたいと言う。では、私が付き添いした方が安心するかと思い、


「ママも行こうか?」


「いい、ママは来ないで。ママ達でお喋りするならいいけど。OOもお友達がいるからママと一緒にはいられないよ。」


ストレート過ぎる子の物言いに、酷く衝撃を受け、しばらく動けないでいた。子は何となく発した台詞だったのだろう、すぐにTVを付けるとケラケラ笑いながら録画したアニメを観始めた。私はおやつの食べ終えた皿を流しに運び、しばらく出しっぱなしの水道蛇口に気が付かなかった程ショックを受けたのだ。
子から見た私ー、いつも一人で手持ち無沙汰に突っ立っている母親。それでも、素敵ママやまいこちゃんママと会った時などは、楽しそうに振舞っているのだが、しかし、子から見たらその記憶より先に来るのは、孤独な私の姿なのだ。
恥ずかしく悲しく、そして痛かった。こんなに心が痛くなったのは久しぶり。他人にあれこれ思われるよりも、家族ー、一番愛している家族にこう思われていたことに胸が張り裂けるような思いだった。
素敵ママやAちゃん、Dちゃん、Eちゃんママ達のように、子供の行事には常に顔を出し、そして親同士も友達のように和気あいあいと仲良く盛り上がり、子供の為は勿論だが自分達も楽しむーそんなスタンスが健やかな子供を育てる環境のひとつなのかもしれない。
そして、我が子はそれが叶わなかった。そしてそれを求める前に諦めてしまったのだー不甲斐ない母親の元に生まれた彼女の宿命だと子供ながらも静かに受け入れているのかもしれない。
本来、子の性格は素直で明るい。母親が違えば、もっと彼女の長所を伸ばせたのかもしれない。出窓に飾ってある赤ちゃん時代の子の写真を眺めると、涙が溢れそうになった。


一方、Dちゃん達以外にも話せる子が近所に出来たことには安心した。どうやら1年生の子らしいが、Dちゃんらと群れなくなったことで、登下校は下級生と共に帰るという選択を見出したらしい。子の臨機応変な対応に見習うことも多く、そして頼もしくあるのと同時にどこまでも堂々巡りの自分が情けなく思えた。


引っ込み思案な性格と一生付き合う。頑張って積極的な振りをしてみても、それは偽りの自分であって本来の姿ではない。自然体であろうとすれば受身になり、今度は周囲から空気のように扱われる。
そして厄介なことに、私は人が怖い癖に人と関わりたい思いを抱え続けている。この矛盾な思いから、たまに自分らしくない行動を起こすのだが、そのどれもが上手く行かない。10あったら、1上手く行けば万々歳だ。


お祭り当日、私は何をして時間をつぶそうか。今からそれを考えると憂鬱になる。去年までは子と一緒に露天を回ったりして楽しかった。いつからか、私が子の相手をするのではなく子が私の相手をしてくれていたのだと気付く。母子逆転する日も徐々に近づいて来ていることを知り、無性に悲しくなった。



































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子供の世界

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子がクラスメイトと遊ぶようになり、夏休みに入ってからも日中は家で宿題&勉強、午後は児童館か公園というタイムスケジュールが定番化しつつある。
夕方になり迎えに行くと、私の知らない数人の顔ぶれ。4~5人のグループなのだが、女性特有の「群れ」を感じて、一瞬戸惑う。
輪になり、夢中で話し込んでいる彼女らに声を掛けるのがためらわれ、子がこちらに気が付いてくれるまで、公園の入口で右往左往する。大人の群れは仕方がないにしても、子供の群れにさえ恐怖を感じる自分が病的に思えた。


「あ、ママ・・」


子がこちらに気が付いたところで、手招きをする。子供達はちらっと私の方を見ると、すぐにまた子を抜かしたメンバーであれこれ話し始めたので、挨拶をする機を逃してしまった。


「バイバーイ。」


子が、群れに向かって手を振る。私もそれに習うように、


「さようならー」


彼女らに向かって挨拶をしたが、聞こえたのか聞こえなかったのか反応はなく、子に対してのみ、


「バイバーイ。」


と数人が顔を上げて手を振った。クラスメイトの女の子達は、Dちゃんらに比べると少々ませた感じに見えたので、子が彼女達と話が合うことに驚いた。そして、その群れの中にいる我が子さえ、何故か他人のように見えてしまったのだ。


2年生ともなると、親が介入出来ない子供だけの世界がそこにある。自宅に戻り、何をして遊んだのか根掘り葉掘り聞いてみても、答えはぼやけており、ただ楽しかったという感想のみ。それ以上聞くと、途端に煙ったがられるので、特にトラブルがないことだけ確認するともう介入するのは止めにした。



話は変わって、別の日ー、買物帰りに、団地のエントランスで素敵ママの子R君が、男の子達数人で遊んでいた。彼一人なら、こちらから挨拶をするのだけれど、夢中で友達と遊んでいる彼に話し掛けるのがためらわれ、気が付かない振りをして通り過ぎた。
そして、そんな自分が後ろめたかった。子に、普段から「挨拶」をするよう促しておきながら、さて自分はどうなのだ?全く出来ていないではないか。そそくさと早足でエレベーターに乗り込むと、深い自己嫌悪に襲われる。蒸し暑さで肌着が肌にまとわりつくのが煩わしく、布を摘んで風を通した。


「OOちゃんのママ~!」


子供達に親しげに話し掛けられる、そんな母親になりたかった。大人と上手くいかなかったとしても、純真無垢な子供達に好かれることでそれは帳消しになる気がしたからー
しかし実際は、そんな子供達の瞳に全てを見透かされているようで、ドキリとする。私の全ては、薄っぺらいプライドと異常な執着心、そしてブラックホールのような孤独感。
理想は、理想のままーそれを現実化するのに、私の場合人の何十倍もの労力を要するのだ。それが分かっているから、理想の自分に蓋をして、今日もなんとか一日をやり過ごして行くしかないのだ。
































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浴衣ドレス

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夫は子に対し、変なところで甘い癖にそうでないところもあって、そのポイントが少々ずれているような気がする。
夏休みに入り、近所ではお祭り三昧。それまでは従姉妹のお古を貰って着ていた子なのだが、小学2年生ともなると、色だったりデザインだったり、また単に自分が選んだ可愛い浴衣を欲しがるのが年頃の女の子というものだ。
夫は女姉妹に囲まれて育った末っ子男子の割に、そういった女心に疎いところがある。

この連休、義姉より小包が届いた。中には姪が着ていたお古の浴衣。夫はそれを喜々として子に見せるが、子の表情は曇ったままだった。


「嬉しくないのか?」


「水色の浴衣がいい・・それに、そのスカートみたいなの恥ずかしい。」


姪の浴衣は、今の流行り?なのか、セパレートのような形になっており、フリルの付いたスカートと浴衣がドッキングしたような物。膝小僧が出る程の丈の為、恥ずかしいと言ったのか?子が想像していたデザインとは掛け離れていたらしく、また色も黒を基調としたものだったのが、子にとってはイマイチのようだった。
今年は新しい物を買ってやってもいいかなと思っており、夫に相談しようと思っていた矢先の出来事だった。


「OOは我慢が足りないな。何でも与え過ぎ、甘やかし過ぎだ。もう小学生なんだから少しは我慢を覚えた方がいい。」


夫はそれだけ言うと、浴衣をそのままに外にふらりと出て行ってしまった。
残された子は、私に助けを求めるように声を掛けて来た。



「ママ、OO、長い浴衣がいいよ。」


「うん。でも、この浴衣だって可愛いと思うよ。折角おばさんが送って来てくれたんだし・・ね?」



どうにか子を納得させ、おやつを食べさせ、夫が帰るのを待つ前に2人で買物に行き、そして帰宅するとダイニングテーブルの椅子に大きなクマのぬいぐるみが腰掛けていた。


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感想(14件)





子も私も怪訝な顔でそれを見る。少し経って、夫が部屋から出て来て子を呼んだ。どうやら仲直りのプレゼントらしい。そして、やっぱり子に贅沢はいけない、今あるものを大切にしなくてはならない等、色々と言い聞かせているようだった。
とにかく険悪な空気は無くなり、良かったと胸を撫で下ろしはしたが、後々、そのクマの値段をネットで調べると、ちょっと可愛い浴衣が1枚買える金額だったのだからどうにも腑に落ちない。
こんな邪魔になりそうなクマを買ってくるのなら、もっと気を利かせて子が欲しがっている浴衣を買ってやればいいのにー
しかし、そんな胸の内を夫に打ち明けられる程、私は強い妻でも強い母でもなかった。

ぬいぐるみは既に子の部屋に溢れる程にある。夫がくだらないUFOキャッチャーで手に入れた物だったり、どこかに行った際の土産だったり。女の子にはぬいぐるみさえ与えておけばそれで喜ぶと信じて疑わない、想像力のない夫。子がそれを見て、喜ぶよりも先に戸惑った表情をしたのを夫は知らない。
こうしたズレは、これから子が成長するにつれどんどん大きくなるだろうと思う。しかし、そのズレを黙って見過ごす私は無力で情けない母親だ。
いつか、子がこの家の内情を知る時が来たら、夫よりも私を責めるかもしれない。そうなる前に私は変わらなくてはならないー気ばかり焦り、何も出来ずに今年もまた夏を迎えるのだった。






































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夏休みの学習計画

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夏休みー、規則正しい生活は勿論のこと、学習面でも子を全面的にサポート出来る余裕があるのが専業主婦の特権だ。宿題は勿論のこと、長期休暇だからこそ出来るそれ以外での勉強に力を入れ、子の能力を最大限に伸ばしてやりたいと思っている。
先日の通信教材、夫に再度相談しているのだが、なんとなくしぶる様子。突っ込んで話を聞くと、夫も過去にその手の通信教材を使用していたことがあり、一度さぼると雪だるま式に教材がたまり、収集がつかなくなり嫌になったという経験があるようで、それが子にも当てはまるのではないかと危惧していると言う。
夫の場合は、母親のサポートがなく自発的に勉強するしかなかったのも教材を無駄にした一因だろう。子に関しては、躓かないように私がつきっきりでフォローするつもりでいる。






私はZ会押しなのだが、夫は最近CMで見掛ける「勉強サプリ」が気になっているらしい。私も気になり、色々と調べてみたら、以前ニュースで印象に残ったリクルート社の学習サービスがそれだった。
ニュースでは、近頃話題になっているタブレットを利用した学習法についてリポートしており、ある親子が取材を受けていた。男の子が学校から帰宅すると宿題を終え、その流れでタブレットを取り出し、静かに「授業」を聞いている。ダイニングテーブルで行っているので、母親は料理を作りながら、カウンター越しにタブレット学習をしている子の様子を見ることも出来る。
タブレットの中では、実績のある一流の講師陣が単元別に授業を展開しており、まずはそれを聞き、次のステップでタブレットの中のドリルを解く。勿論、画面を指で操作するのみなので、鉛筆や消しゴムを使わない。「書く」という作業が発生しない分、「考える」時間に充てられるというわけだ。
ドリルが終われば、答え合わせ。ボタンを押すだけで自動的に答えが分かる仕組み。理解があまり出来なかったところは、すぐに授業に戻りもう一度復習することが出来るのだ。
そして、ニュースで観ていて一番印象に残ったのが、「サプモン」というモンスターキャラを育てたり進化させたり出来るという点。ニュースで取材を受けていた男の子も、勉強が終わり、自分の育てた「サプモン」を見せてくれた。DSなどでポケモンゲームをしているような感覚で楽しそうだった。単元が進むごとに、自分のモンスターが強くなる仕組み。問題の正解率もそれに含まれるのか、男の子はタブレット学習が「楽しい」と言っていた。
子供達も、自分のモンスターを強くしたいが為に、勉強を頑張る。全ては薄っぺらいタブレット上で行われることなので、資料やおまけ等、かさばるものは何もない。今夏は、モンスターハンタースピリッツとコラボしているらしく、特に男の子には夢の特典だ。また、断捨離ブームミニマムブームの昨今、時代に合った斬新な教育サービスだと言える。
昨日の新聞にも、学校でのICT化(情報通信技術)により、子供一人一人に合った問題を出題することが出来るタブレット学習を取り入れ実践している都内の小学校が取り上げられていた。
タブレット端末で割り算を教えていた教師だが、生徒の中には掛け算で躓いている子供もおり、プリント学習ではいちいち前のプリントを引っ張り出して学習しなくてはならないところ、指一本の操作で過去の単元の復習が可能になったのがメリットだと語った。
こういったデジタル教材は、私立中高や塾などで約3万人が利用していることからも、これからますます教育現場でのICT化は進むだろうと思う。











タブレットを持っていなければ、1台1万円で購入出来る。家族でPCを共有している場合でも、有害サイトを防止するフィルタリングサービスや、ウイルスから端末を守るセキュリティソフトもしっかり付いており安心だ。
今会員登録をすると、1週間無料。お試しで登録し、合わなかったら辞めることは可能だ。月々980円というのも破格の値段だと思う。

夫も賛成しているし、意気揚々と試しにネット登録しかけたのだが、残念なことに対象は4年生からだった。2年生のサービスもあったなら良かったのに・・
夫にそう伝えると、再度Z会押しを試みる。
夫と子は違う人格だ。自分が挫折したからといって、子もそうなるとは限らない。始める前から駄目だと決め付けたくはない。夫がOKを出すまで、しつこく粘り続けようと思っている。













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自分探し症候群

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先日、朝の情報番組で「自分探し症候群」に陥る主婦の特集が組まれており、それが今の自分にピタリと当てはまるので、TV画面を食い入るように観てしまった。
働き世代の兼業主婦である40代未満と、何の疑いもなく専業主婦を受け入れて来た世代である60代以降との狭間にある50代の主婦層が、今このような事態に陥っているらしい。
子育ても終了し、経済力のある夫の元で血眼になり職を探す必要もなく、ただ暇を持て余す。近所の主婦友達は皆、「生きがい」ともいえる趣味に仕事に打ち込み始めてキラキラして見える。自分だけが取り残されたようなー、そんな寂しさを埋める為に自分を探すのだそうだ。
フラメンコに社交ダンス、テニスに手芸、フラワーアレンジメントにゴルフ、そしてその中で自分の居場所を見つけられたら、話の合う仲間が出来たらという思いを抱えながら模索する。
しかし、この「自分探し症候群」に終わりはなく、あれこれ手を出しどれも中途半端になる恐れもあるという。受講料だけがかさみ、スケジュールはびっしりになるが、それは単に周囲に充実している自分を見せたいが為のアピールとなり、ただただそれに縛られ疲れ果てて、仕舞いには本来の自分を更に見失って行くという落とし穴にハマるのだ。

この番組を観て、まさに今の自分にそれが当てはまりつつあるのでは?と危惧している。
昨日の記事でも書いたが、子がどんどん私の手を離れて行くことの寂しさを埋める為に、実はこの間からカメラを手に、色々な物を撮影しては現像している。
引きこもりの私、景色の綺麗なところに行き、シャッターを切るよりも、家の中でちまちま雑貨などを写していることの方が落ち着くようで、人目を気にせず撮影出来るのが良い。しかし、実際の出来上がりを確認すると、部屋の中の写真はどうも薄暗くイマイチ。なかなかモチベーションが上がらずにいる。雑貨はやめて、花でも撮ろうかと玄関の花瓶を見に行ったら、枯れて茶色に変色しているそれがあり、これが現実なのだと思い知る。
カメラを片手に、部屋をうろつく自分がいっとう寂しい人間に思えるのは、この梅雨空のせいなのだと思いたい。
それでも、カメラ雑誌を何冊か買い込み、それを熟読しているうちは、不安感・寂しさから逃れられているーそんな気がする。
しかし、一方でそれ程のめり込めていない自分に気付く。
ちょっと難しいカメラ用語だったりが出て来ると、途端に面倒臭くなりカメラを放置して、いつの間にか携帯でネットサーフィン。相変わらず進歩がないのが現状なのだ。


今日も雨降り。雨に濡れた自然でも撮ろうかーそう思いながらも雨音を聞きながら午前中は昼寝してしまった。皿も洗ってないし掃除もしていないというのに、こうしてブログを書いている。
主婦の仕事も全うしていないというのに、自分探しをしようとしている私は、まるで第二次中ニ病。しかし、折角家にある一眼レフをそのままにしておくのは宝の持ち腐れだ。なので、細々とでも続けていけたらいいなと思っている。











































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分身の乖離

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「ただいまー!」


元気に玄関を開けて帰って来たかと思うと直ぐさま、


「行って来まーす!」


おやつもそこそこに子が出て行った。最近、クラスに新しく出来たという友達と放課後遊ぶようになった子。Dちゃんらと疎遠になってしまったことで、寂しい思いをしているのではないかと不安になっていたものの、こうしてまた新たな仲間を見つけ、自分の居場所を作る子が逞しくもある。
初日は公園まで送迎していたのだが、その友達が家のすぐ前まで迎えに来るようになったので、私はお役御免となったようだ。
帰宅の時間だけ5時と決めて、遊び場まで迎えに行くことにしている。
子が誘われると、私も誘われた気分になり嬉しい。少なくとも一人は我が子を必要としてくれている子がいるのだと。誰からも相手にされない寂しい幼少時代を我が子に味わって欲しくはない。
しかし、その一方で心にぽっかり穴が空いてしまったような感覚に陥っている事実があることも否めない。楽しそうに、玄関を後にする子ー、私のことを振り向きもせず・・
朝、夫を送り出す背中に似てきたな、と寂しく思う。

腹を痛めて子を産み育てて来たこの8年、がむしゃらだった。育児にあまり協力的ではない夫の分まで、土日は父親代わりになりあちこち外に連れて出掛けた。出ない母乳を紫色になるまでマッサージし与え、突然の高熱が出れば、夜間救急まで真夜中自転車を走らせたこともあった。
一緒にお絵かきをしたりごっこ遊びをしたり、紙粘土で動物を作ったりと、雨の日は子が手持ち無沙汰にならないよう気を配った。ママ友付き合いで躓いた園時代、それでも子の為と毎日の送迎と役員仕事も頑張った。
空回りばかりだけど、不器用ですぐメソメソしてしまう母だけれど、それでも踏ん張ってここまで来れたのは、子は私の分身のような存在だからだ。
私自身が不満を抱えた日常を送っていたとしても、子が充実した日々を送っていればいくらか気持ちを浮上させることが出来た。一心同体ーその考え方が間違っているのは百も承知なのだが、しかし、出産した経験のある母親ならば、そう思ってしまうことが1度や2度あるのではないだろうか。

その分身が、今、徐々にこうして私の手の中から飛び立とうと準備を始めている。少しずつ、少しずつ。
いつまでも私の小さな赤ちゃんーそう思いたいのは母親のエゴであって、子は育ち、自立し、いずれは親元を離れて行く。それが正しい子育ての結末だ。
「離活」という言葉は夫にだけではなく、子に対しても使われるべき言葉なのかもしれない。



「今日も、遊ぶ約束してもいい?」


「今日はいいけど明日は駄目。天気も悪そうだし、少し勉強しないと。」


「分かったよ。」



本心を隠し、明日は家にいるよう約束させた。
私は情けない自分本位の母親だ。いつでも子の幸せを願っているし、子には外の世界で自由に伸び伸び過ごして欲しいと思いながらも、自分もまだ必要として欲しいと願う。
友達≫母親
この公式がそろそろ出来上がる、それを恐れている。まだ=の時間を堪能したい、そう思ってしまうことを許して欲しいと、子の置き去りにされたランドセルを眺めながら祈るような気持ちで思うのだった。
























































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第一印象の縛り

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この地に越して来てから、いや、子が入園してからだろうか?自分を必要以上に飾ることが出来なくなった。昔はもっと、調子良く周りに合わせ、一生懸命話題を探し、話し掛け、特に第一印象を相手に良く見せようと必死だったように思う。
その結果、地味で目立たない自分をいっとき隠すことに成功し、しかし段々と化けの皮が剥がれるように自分の詰まらなさだったり受身な物の考えだったりを相手に知られ、徐々に関係性がフェイドアウトしていくーそれが、私の小さな世界での対人関係だった。

途中入園しても、とっかかりは上手くいくと信じて疑わなかった。元々人懐っこい人間ではないが、大人になりそれなりの処世術を学び、引越し前のママ付き合いにおいても上手く行っていたことで、自分のコミュニケーションスキルを過信していたのだ。
そして、その自信とやらはあっさりと崩壊した。
作り笑いで頑張っても、一生懸命相手との共通点を探して話し掛けてみても、身なりだって母親受けしそうな物を選んでもーそれでも、私にママ友は出来ない幼稚園生活だったのは、運が悪かったからなのか?それとも、それまでの運が良かったからなのか?
進んで役員仕事を引受け、行事に参加し、しかし上手く馴染めなかった2年間がトラウマになり、小学校に上がっても自分をうまくアピール出来ずにいる。
「これは仕事だ」と割り切ろうとしても、割り切れない。疎外感はずっと私を捉えて離さない。凝り固まった苦手意識が、私のマイナス面を助長して取り繕うことすら出来ずにこのまま来てしまったのだ。


素敵ママやYさんに対してー、それに、あの近所のおばあさんに対してはナチュラルな自分を出すことが出来ているような気がする。しかし、彼女らの取り巻きに対しては必要以上に身構えてしまう。チャンスをつかめず、いや、チャンスがむしろマイナスになることもある。
知らないままでいられたら楽だったーそんな知人が多く出来てしまった。中途半端な知人が、かえって付き合いの幅を狭めることもある。


実は、再びボランティアのお願いが担任からあったのだ。今度はプールの付き添いというもので、各学年ボランティアの保護者が学校内で泳ぐ生徒達の様子を見守るーというもの。
屋外なので、暑い中立ちんぼでプールサイドに立つ。正直気が進まなかったのだが、ボランティア参加人数が10人に満たないことと、まだ顔合わせもしていないということで、ならばーと思い引き受けたのだ。
そして、昨日がそのボランティア初日だった。生徒達がプール授業に入る20分前に学校に集合し、軽く顔合わせをした。見知った顔は一人もいないように思ったのだが、運動会の時同じ役をした彼女ー、この間Yさんと会った際、再会した彼女がその中にいたのだ。
途端に、それまでの前向きな気持ちがしゅん・・となりかけた。二度目ましてが、今度は三度目ましてになるのでは?と。そうなって気まずい思いをする前に、こちらから勇気を出して明るく挨拶をしてみようー、そう思い、


「××さんこんにちは、この間はどうも。」


おかしいかもしれないが、彼女の名前を付けて挨拶をしてみた。彼女は他の誰かと会話をしていたのだが、自分の名前が呼ばれたことで一旦会話を止め、私の方を見てからにっこり笑って、


「あ、こんにちはー」


挨拶をし返してくれた。少し、救われた気がした。今度もまた「はじめまして」と言われたらーそう思うと足が竦んだが、勇気を出して良かったと思う。
それから、注意事項や諸々、代表の人からの説明があり、授業に入ったところで見守りが始まった。始まるまでの間に二人一組にならなければならず、代表の人がサクサクとコンビを決めてくれたのは助かった。しかし、私とコンビを組むことになった相手はどう思ったのだろう?仲良しと来ていたようだったので、損した気分にさせてしまったのではないかとまた気を揉んでしまったりもした。
子供達が着替えて準備するまで、プールサイドで待っていたのだが、その間も私を覗く他5名は顔見知りなのか、特段仲良しというわけでもないけれど、それなりに共通の話題があるらしく盛り上がり、また私はひとりポツンとしてしまう。
知らない話題に入って行ける程の度胸もないし、また自ら率先して話題提供出来るほどの性格でもないのだ。初対面の相手にいかに好感を持たれるかー、それを意識して行動するだけのエネルギーがどうにもこうにも湧いて来なくなってしまった。なるようになるーそして結局は現在に至るのだけれど・・

しかし、与えられた仕事はきちんと遂行した。子供達の安全を守り、暑い中じりじり焼け付く太陽を浴びながら監視した。ただ、それだけのことだったが、それだけのことでも面倒だとやらない人間も数多くいるのだ。我が子が学校でお世話になっている以上、出来る範囲で出来ることをー、ママ付き合いはあくまでもオマケーそう思えば、少なからずもやついていた心も、少しは切り替えられた。

子供達がはしゃぎながら水しぶきを飛ばすーどこからか蝉の泣き声も聞こえ、梅雨の真っ只中だというのに夏の足音を聞いた気がした。




















































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成れの果て

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家事を済ませ、特に買い出しに行く用もない退屈な日中、朝刊に目を通すと、「週に他者との交流1日未満」の見出し。どうやら現在痴呆症を患っている人々から得たデータらしく、年齢問わず、この条件に当てはまるとかなりの確率で痴呆症に掛かるとのこと。

胸の奥がチクリとした。
まだ自分にその病気は縁遠いような気がしてるが、しかし子が成長し、このままの生活が続いたところでこの条件にピタリとはまるのではないかと身震いする。
今は、なんだかんだで子関連の付き合いだったり仕事だったりが発生するが、それも子が小学生のうちだろう。段々と親の出る幕は少なくなって来る。現に、子供が小学生に上がると同時にパートなどをし始める親が多いのもそれを裏付ける実情だろう。

他人との関わりの少なさー、実母を思い出す。まさに、この見出し通りの生活を送っている彼女。痴呆症の初期症状に「頑固、怒りっぽい、自己中」が挙げられる。実母は元々そういった性格を持っているので分かり辛いところがあるけれど、その症状が年々酷くなって来た気がする。
この間プレゼントしたココナッツオイル、少しは効いてくれただろうか?










痴呆症防止に効果的なココナッツオイルは、勿論ダイエットにも効果的で有名。先日テレビで特集が組まれており、白米の重さに対して3%分だけ入れて炊き、更に炊き上がったご飯を12時間冷蔵庫で冷やし、食べる時にレンジで温めるとカロリーが半分も抑えられるらしい。
米は本来、吸収しやすいでんぷんとそうでないでんぷんとで出来ており、ココナッツオイルを入れて炊くと体内にカロリーとして吸収されにくいでんぷんに変化するというのだ。
最近雑誌や新聞、多くのメディアに取り上げられている旬の食材として注目されている。


他人と関わらない→外出の機会が減る→体を動かさない。
他人と関わらない→話し相手がいない→表情がなくなる。
体を動かさず、心を動かされることもなく、表情を無くすーそれだけで年齢がどうこうの前に病気になってしまいそうでもある。自分の心配を前に、やはり今深刻な状況に陥っているがそれに気が付いていないだろう実母の成れの果てが不安で今夜も眠れそうにない。




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二人目催促

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義母から夫の言伝と、電話があった。直接携帯に掛けても仕事中なので繋がらないとのこと。独身時代からの定期が満期を迎えているとかで、その案内葉書が実家に届いたのだそうだ。結婚後の資産だって知らされていない、そんな妻が夫の独身時代からの定期がどうなろうと大して興味もわかないのだが。
用件が済むと、社交辞令的な近況報告。先々月の運動会でのモヤモヤを心の奥にそっとしまって愛想よく彼女の話に耳を傾ける。
人付き合いの良い義母は、相変わらず地域の付き合いや習い事、また自分の趣味に忙しそうだ。電話をしながらも、携帯電話が鳴っているようで、


「ちょっとごめんね。」


と、こちらと通話中にかかわらず、携帯の着信に律儀に出る。


「ごめんね、今ちょっと電話中だから、終わったらかけ直しますね。」


受話器の向こうから、愛想の良い義母の声が聞こえたかと思うとすぐに私との電話に戻り、最近の子の様子だったり学校ではうまくやっているかどうかを聞いてきたり。また、私の体の心配までしてくれた。
話しのネタがそろそろなくなりそうだな・・と思いながらも、こちらから話題提供することもなくいると、


ーピンポン


今度はチャイムの音。


「ちょっと、待っててね。」



正直、これを機に受話器を置きたいのが本音だが、待っててと言われた以上、再び相手が戻るのを待つしかない。かすかに笑い声が聞こえる。セールスではなさそうだ。もっと親密なー、仲の良いご近所仲間。
少しして、


「もしもし、ごめんなさいね。」


笑いを含んだ義母の声だ。よほど可笑しいことがあったのか、そのままそちらと話を続けていてくれたら良かったのにーと出来損ないの嫁は思う。


「そういえば、この間言い忘れてたけどね、キャンプでOO、包丁上手に使えてたわ。あなたのしつけが行き届いているのね。」


「いえ・・そんなこと。でも、ありがとうございます。」



「そうそう、OOね、私に妹か弟が欲しいって言ってたのよ。」


グサッと胸をえぐられた気がした。まるで何かのついでのようにさらりと言う義母だったが、おそらくこの一言の為に今日の電話を寄越して来たのだろう。すっかり油断していた。義母はいつでもこちらが心をふっと許したところに深刻な話題を切り込んで来る。そして、それは私がどうこう返答する間もなく畳み掛けるように続く。


「ママにはね、欲しいって言えないって言ってたわよ。子供なりに気を遣ってるのかしらね。近所に赤ちゃんがいて、その子に会うのが楽しみだって言ってたわ。お家に赤ちゃんがいたらいいなって。キャンプもね、従姉妹と一緒で楽しい、やっぱり子供がたくさんいると楽しい、いつもママと2人だからちょっと寂しいし詰まらないって・・パパはお仕事だし、そうでなくてもやっぱり子供が自分だけなのは詰まらないってー・・この間の運動会だって、私達が行かなければあなたたち3人だけだったでしょう?OOもね、口では言わないけれど周りのお友達と比べたら寂しいと思うのよね。」



頭の奥をドンキで叩かれたような衝撃。そして、何故私がいつも言われないとならないのかー、避けているのは夫だし、私の本音は2人目が欲しいのだという気持ち。
いよいよ義母に全てを打ち明けてしまいたい衝動に駆られる。
しかし、一方で慎重になる私もいる。ぶちまけたところで、夫にどう影響するのか?今心ここに在らずの夫を追い詰めることで、悪い方向へと全てが向かってしまうような気もする。



「2人目については、考えています。ただー、色々とタイミングもありますし。仕事が今大変な時みたいで・・」


「大丈夫よ!私がいつでも助けに行くから。お父さんがね、やっぱり男の子が欲しいって言うのよ。」


ーもし二人目を頑張ったとして、女の子だったらどうするのだ?男の子を生む為ー後継を得る為に妊娠しろと?義父母に対して、むくむくと不快感がわく。
外野は勝手なことばかりだ、こちらの気も知らないで。


「男の子が生まれなかったらどうするんですか?私は40過ぎても、体にリスクを抱えても、男の子が生まれるまで子供を産み続けなければならないのですか?夫に頼まれるより先に姑に頼まれて子作りするんですか?順番がおかしくはありませんか?第一ー、私はあなたの息子さんに拒否されてるんです。浮気されてるんですよ、精神的なものかもしれませんが、あなたの息子さんは確実に今心は家庭にありません。まず、母親として自分の息子さんの動向を気にして欲しいのですが、私の言っていること、おかしいですかね?」


ーなんて台詞、彼女に言えたらどれだけすかっとするか。実際、言われるがままに、ヘラヘラ愛想笑いしているしかなかった。勿論、顔が見えていない電話、能面のような顔での愛想笑いだ。

受話器を静かに置き、溜息をつく。


「二人目か・・」


リミットはいつまでなのだろう?芸能人が初産でも41で出産していると聞けば、まだまだ大丈夫だという気持ちにもなる。子との年の差はどんどん離れていくが、世間には10も離れている兄弟は案外あちらこちらにいたりもする。そこまで珍しいものでもない。


定期的にやって来る「二人目催促」ー、これがあるうちは、ある意味まだ傍から見て可能性があるということなのだろう。だからこそ揺れるー揺れるから苦しむ。
リミットは、もうそこまでのような気もするし、まだ先のような気もしている。
















































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踵を返した彼女

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つくづく私ってやつは面倒臭い女だと思う。

醤油が切れたので買い物へ。駅前のスーパーへ出向く。ここのスーパーは顔見知りが多くいるのでなるべく使わないようにしているのだが、醤油1本だし空模様が怪しかったこともあり、御用達の激安スーパーへ行くのはやめた。
意外に店は空いており、なんとなくほっとしながら買物かごに手を掛けたーその時。前方に素敵ママがいるのが見えた。普通なら、彼女の元に駆け寄り挨拶でもするのだろうけれど、あえて彼女からこちらが見える位置で野菜を物色する。
なんとなくー、向こうから声を掛けて欲しかった、そんな気分だった。心のどこかで確認したかったのだ。こんな私でも時間を割いて声を掛けたいー彼女ならばそう思ってくれていると。
彼女の視界に入るよう、ウロウロしつつ、こちらの顔が見えるようにレタスを取る。いつまで経っても彼女がこちらに来る気配がないので、やっぱり私から挨拶をしようと顔を上げたーその時だった。
同じ瞬間、彼女は勢い良く踵を返したのだ。
そして、もう一方の出口から店の外に出て行ってしまった。
人は殆どまばらだったし、こちらに向かって歩いていたのだから野菜を選ぶ私に気が付いていたはず・・しかし、彼女は背を向けて迷うことなくスタスタと歩いて行ってしまった。

ショックだった。

自分のことは差し置いて、彼女が私を避けた事実にうろたえた。いつでもどこでも気安く顔見知りには声を掛けるであろう彼女。その彼女が私との接触を拒んだのだ。
悶々としながら、買うはずもないレタスを元の位置に戻し、醤油を手にレジへ行き代金を払う。レジ担当が、

「袋はお付けしますか?」

と聞いてきたので、

「いえ、大丈夫です。」

と、必要以上の笑顔で返した。この笑顔は素敵ママに向けられるはずだった行き場のない笑顔だ。買物は10分程度で終了したが、自宅に戻り更に考え込んでしまった。

プラス思考ープラス思考。
たまたまあちら側の出口から出る用事があったんだ。もしかしたら、誰かの家に行く予定だったのかも。いやー、自転車をあちら側に停めていただけかも。都合良く解釈しながらも、素敵ママだって人と話すのが「面倒」に思う時だってあるのかもしれないーそう思う。
日々多くの人と接しているからこそ、疲れも私の比じゃないくらい溜まるのかもしれない。それに加えて乳児持ちだ。日々、夜泣きやお世話に明け暮れていれば、ちょっと一人になりたい時だってあるだろう。
彼女の立場に立ち、そんな妄想をしているうちに、ざわざわした心も落ち着いて来た。


「くだらないなー。くだらない。本当に、くだらない。」


鏡の前の自分に向かって話し掛ける。
実にくだらない。
家に引きこもってばかりいるからなのだろう、暇なのだ。暇で寂しくて、そして常日頃頭を使わない生活をしているからか、悩むレベルがどんどん低下して来ている。
もっと将来のこと、子のこと、夫とのことを真剣に考えれば、今自分がすべきことが見えてくるはずなのに。


「あーー!!情けない!!!」


頭を掻きむしりながら叫ぶと、もうそのことをくよくよ考えるのは止めにした。そして、気分はイマイチ乗らなかったが、子が喜びそうなおやつを作ることにした。簡単だが、杏仁豆腐。
混ぜて冷やし固めるだけのそれだけれど、手を動かし何かを作ることで達成感を得られれば、いくらかプラス思考になれそうな気がするのだ。



















































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やり場のない気持ち

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楽しみにしていたYさんとのランチー、結果から言うと、キャンセルすることになった。
子が熱を出し、学校を休んだからだ。
前日の夜、涼しかったので長袖長ズボンを着て寝るように言ったのだが、子が暑がり嫌がった。あの時、それでも無理やり暖かくして寝かせれば良かったのかもしれないが、子もイライラして来てそれをなだめるのが面倒になり、本人の好きなようにさせたのだ。そうしたら、翌朝38℃の発熱ー
しかし、熱がある割に子は元気。だから私も心配より先に子に当たってしまった。


「だから昨日の夜長袖で寝なさいって言ったでしょう!?言うことを聞かないから!」


「ごめんなさ~い・・」


布団を目元までかぶり、申し訳なさそうにしたかと思ったら、



「プリン食べたい。」


食欲もあるようで、ますますイライラした。もっと辛そうにしていたのなら、途端におろおろし、病院にすぐさま連れて行き、Yさんとのランチどころではなかっただろう。
すぐに、Yさんにキャンセルのメールを入れた。
レスポンスはすぐに返って来て、



「了解です!最近寒暖の差が激しいものね。OOさんも看病疲れで倒れないようにね。ランチはまたの機会に☆」


こちらを気遣う、Yさんらしい優しい言葉にほろっとした。
子は、昼過ぎまでぐっすり寝たら微熱になり、夜にはほぼ熱は下がって元気になった。折角のチャンスー、私はいつだってそう。間が悪い。
夏休み前にYさんとランチをして、もっと二人の仲を縮めたかった。そして、こちらからキャンセルをした手前、当分誘う勇気がない。また何らかの事情でキャンセルをしなくてはならなくなった時を思うと、もうこれ以上Yさんを振り回すことなんて出来っこないのだった。



「ママー!今日、学校から帰ったら遊んでもいい?」


「駄目!ちゃんと治ったら。またママの言うこと聞かずにぶり返したらどうするの!?」



今朝、すっかり体調が戻った子に聞かれ、つい怒り口調になる。子供じみているが、このやり場のない気持ちを収めるには、こうして感情的になるしかなかった。


ー今週も、誰とも会話をせずに終わるのかな。


楽しみにしていた予定が潰れることー。元々何の予定もない日々より寂しさは一段と増す。降りしきる雨の音も手伝って、センチメンタルな一週間の始まりを迎えた。

























































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違う世界の彼女達

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どの番組だったか忘れたが、最近観た、女性が憧れるリア充ママを密着したという番組ー
何人か出演していたが、記憶に残ったのが、有名料理ブロガーから料理研究家に転進した女性と、現役モデルという肩書きを持つ女性の二人。そのどちらもまだ子供は幼く、しかも複数。

料理研究家の方は、とにかく一日24時間あっても足りなさそうな程。赤ちゃんを背負いながら家事をするし、育児をするし、仕事をする。私の何倍もの速さで喋る彼女ー、あれくらい早口じゃないと、彼女が伝えたい多くのことはより多くの人々に発信出来ないのだろうと思う。
まるで、女芸人のようなノリでTVに写る女性は、もはや素人ではなく、いっぱしの芸能人さながらで、これが本当のリア充なのだなと思う。そうー、勝ち組ってやつだ。勝ち組って言葉は好きではないのだけれど、そう思ってしまうのは、自分が負け組のカテゴリに入るのだと頭の隅で認識しているからだろう。

豪快な彼女が作る、奇想天外なレシピの数々。どれもこれもよく思いつくなと感心する反面、実際それを作ろうという気にはならなかった。彼女の住む華やかな世界と自分のいる場所が違い過ぎて、同じ料理を作った途端、現実の自分にげんなりし、惨めな思いをするー、そんな気がしたから。TV画面に写る節約料理は、視聴者向けに華やかで大胆でー、そして食欲のそそるものなのだが、恐らく私がそれを模倣したところで、単なる貧相なかさ増し料理になるだけ。彼女には、天性のセンスがあるのだ。それを一般人が真似したところでたかが知れている。
それに、我が家の気難しい夫に、いかにもな節約料理を出すことは、結局無駄になる恐れもある。要するに、全く手を付けられずに廃棄ーこれ以上の無駄はない。
以前、節約料理で、「お肉と間違える柔らか酢豚」を作ったことがある。豚肉の替わりに高野豆腐を使うものだったのだが、TV番組中で、それを試食していた芸能人は、こぞって「肉かと思った!!」と心底驚いた風の表情で感動していた。それに釣られ、早速試してみたのだが、夫は少し口を付けると、


「何?これ?ぼそぼそしてる。肉が入ってないけど精進料理?」


ぶっきらぼうにそう言い放つと箸を置き、近くのコンビニに出掛け、焼肉弁当を買って帰って来たことがあった。それ以来、そういった無理やりの節約料理や奇をてらったものを作ることはやめにしたのだ。
彼女の成功の裏には、理解ある家族のバックアップがあるのだろうと思う。そして、妻の成功を妬まず、心から応援出来る懐の広さを持つ夫の力は何者より代え難い。



一方、モデル業を営む女性の私生活ー、これは更に私の生活とは掛け離れたところにある暮らしだった。お洒落な物に囲まれて、イケメン夫と可愛らしい子供達、プライドの持てる仕事を持つ彼女は、所帯染みていないキラキラのライフスタイルを送っている。
汚い部分は包み隠して綺麗な部分だけにスポットライトを当てているだけなのかもしれない。実際の、家事に追われ髪を振り乱しながら掃除機を掛けたり汚い洗い物をしたり、また食べ物をぐちゃぐちゃにして言うことを聞かない子供達を叱りつけたり、生理前でイライラしたり、空いたペットボトルやプラ容器、三角コーナーの生ゴミや風呂場の排水口に溜まった毛髪などを、想像させることは彼女の中ではタブーなのかもしれない。
趣味のフラワーアレンジメント教室をママ友に教えたりと、近所付き合いも抜かりない。全てが順調、毎日がハッピー。
そう、隙がないのだ、なさ過ぎて現実味がないのだ。

しかし、誰からも憧れられる女性ーというのは彼女らのように二極に分かれるものなのかもしれない。


「もしかしたら手が届きそうなー、自分もなれるかもしれない親近感を持つ成功者」

「絶対自分にはなれないー、非の打ち所がない、輝かしい世界の住人」


視聴者としての私はというと、どちらも自分の性質と掛け離れすぎていて、だからこそ興味本位で見入ってしまった。ただただ、両者共、バイタリティの凄さという点では、私が逆立ちしようが何をしようが、かないっこない人種なのだ。


























































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明日の服装

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Yさんとのランチ。まるでデート前かというくらい気合が入る。先程までクローゼットから何着もの服を引っ張り出し、しかし、代わり映えのしない同じ様なテイストの服達を前に、結局は無難なものを選んでしまう。
決めたのは、薄いベージュのリネンのシャツにジーンズをロールアップさせたもの。独身時代に買ったプラチナのネックレスにシルバーのバングル。バッグはストロー素材のポシェット。
ルンルン気分で、ペディキュアを塗り替える。今流行りの赤。私にしては派手だが、これだけでコーディネートの差し色になって垢抜ける気がする。
しかし、明日の予報は雨。サンダルは履けないので、折角塗ったペディキュアは日の目を見ないまま終わりそうだ。









Yさんは、ここで言うのもなんだが、お洒落に無頓着な人のようだ。実際、先日会った時だって、何年も前に流行したガーゼ素材のチェックチュニックに、裾に花模様の刺繍が入ったくるぶし丈のパンタロンジーンズを合わせていた。
年齢は私よりだいぶ上、人当たりが良くママ友も多い。彼女を見掛ける時、誰かしらと絡んでいることが多いのだが、その世代の幅が広いのは勿論のこと、セレブ風ママやモデル風ママ、かなり若いギャルママからだいぶ年配の役員ママ、そして小奇麗ママ等、ママカーストの上から下まで分け隔てない付き合いをしているようで、ひとつのグループに固執していないというのに、何故かすんなりとそれぞれのグループの主要メンバーかのように馴染めているのだ。
飾り気のなさ、適度な気遣いと気安さ、身構えることなく相手の懐にすっと入って行ける度胸だとかが備わっている、それはもう天性のものー


彼女と仲良くなれば、私も「変人」扱いされないだろうという計算が頭の奥で働いていた。いやー、彼女にすら相手にされなかったら、もう終わりという気持ちの方が大きいのかもしれない。あれ程人の良い人間に見放されるようならば、これまでママ友が出来なかった自分に非があるーそれまでは70%、残りの30%は運が悪いだけだと思っていたのだけれど、一転ー、原因は100%自分にあることを決定付けてしまう。



明日、どれだけ彼女のことを知ることが出来るだろう?そして、私を知って貰うことが出来るだろう?ワクワクする気持ちよりも、やはり不安の方が大きい。
赤く染まった足の爪は、どこか去勢を張っている私の象徴。結局は自分を出せず、消化不良に終わるような気がしてならないのは、この梅雨空のせいだと思いたい。






























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逃げの口実

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昨日、Yさんからメールが来た。今週の金曜なら都合が付くとの内容。嬉しくなり、即返信。勇気を出して良かったールンルン気分でほぼ真っ白なカレンダーの日程をひとつ埋めた。なんとなく、達成感。
その勢いで、例のオープニングスタッフの面接予約を入れようと受話器を取った。心臓は相変わらず喉から出そうな勢いだったが、思いを込めてプッシュした。
すぐに繋がったーと思ったのだが、通話中。出鼻をくじかれてしまった。改めて掛け直そうと、受話器を置く。しかし、Yさんと今週ランチの予定が入ったことにより、就職活動のモヤモヤは取り敢えず心の別部屋へ格納された。今私の心の殆どを占めるのは、Yさんとのランチー
浮かれ気分でカレー屋のHPを開く。一応予約をしておいた方がいいのかも。私から誘っておいて、店が一杯で入れなかったら申し訳ないし、また行列に並ぶのも気が引ける。思い立つとすぐに、電話予約を入れることが出来た。
面接の電話を掛けるのにはあんなにも時間が掛かったのに、店の予約は何も考えず、スムーズに出来た。我ながら現金なものだ。


昼になり、もう一度面接のアポ取り電話に再トライした。やはりドキドキしながら番号をプッシュしたが、すぐに繋がったかと思うと今度は留守電。どうやら昼休みらしい。
午後になり、もう一度電話を掛けた。今度はドキドキしなかった。3度目の正直という気分だったが、どうせまた通話中だろうと思っていたからだ。
そして予想的中ーまた通話中。
そして、4度目は私の中でもう無かった。つまり縁が無かったのだ。これで繋がったとしてー、無理やり作った縁が私を苦しめるのではないかと思う。
場違いだったり、仕事内容が合わなかったり、また人間関係で悩むハメになったりー、あぁ、そういうことなんだ。この会社に採用されたとして、きっと嫌な思いをするに決まってる。
いや、それ以前に、わざわざ出向いて緊張しながら面接をしたところで落とされるに違いない。そう思うといくらか気分は楽になった。阿呆らしい屁理屈だが、なんとなくそう思うことで腑に落ちたのだ。


チラシを畳んで、古雑誌と一緒に廃品回収用の専用袋に入れた。うっかりしていたが、もうすぐ夏休みだ。採用されたとして、子は一体どうするのか?毎日学童に入れるのか?ウジウジ悩むくせに、突発的に行動を起こしてしまうところがある私は、だからいつだって空回りなのだ。
二つ目の口実が出来たところで、就職活動は秋から始めることで落ち着いた。これなら夫に胸を張って「今就活出来ない理由」を堂々と答えることが出来る。夏休みは子と共に過ごしたいし、鍵っ子にさせたり学童に突然入れっぱなしにしてしまうのは、慣れてない環境下で可哀想だーと。
徐々に、放課後の数時間から始めるならともかく、いきなり長期休暇の丸一日預けられる子の立場に立たなければーと。
最もらしい口実が、私を守るようにして社会から遠ざける。’’あと少しの猶予’’が、結局は自らの首を絞めると分かっていながらも、今の楽さに逃げている。どうすれば楽になれるのかなんて誰にも分からない、ただ、吉と出るか凶と出るかのリスクの積み重ねが、人生をうまく渡っていける経験値となるのかもしれないのだけれど。


取り敢えずー、Yさんとのランチだ。
着ていく服をあれこれクローゼットから選ぶも、ピンと来るものがなく、またネットショッピングをしそうになるが、ぐっとこらえて今ある服の中から選ぶことにしよう。計画外の散財は良くない。天気予報が今のところ雨マークだ、しかしYさんの太陽のような笑顔があるから大丈夫。梅雨空さえも明るく照らす彼女の存在に、癒されに行くのだ。

















































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