写真販売
幼稚園の頃と違い、小学校に上がると親の出番がぐっと減る。たまにの行事ー、運動会や合唱などの発表会では、だだっ広いグラウンドの中、どこにいるのかさえ分かりにくい我が子を人混みの中探し出し、豆粒程の小さな姿に向かってシャッターを切る。現像した写真の仕上がりは、正直心もとないものが殆どだ。
そこで、業者が撮る写真の出番。節約の為、幼稚園ではなるべく購入しなくても済むように、一眼レフまで使って何百枚も撮って来た。ほぼ、全ての行事は皆勤賞だった子の写真は、正直アルバムの冊数では有り余る程の枚数。厳選に厳選を重ねなければならず、他者が撮った写真までそこに入る隙はなかったのだ。
しかし小学校での行事の殆どは、園の親参加型行事とは違って、全ては学校にお任せだ。なので、子から聞く話でその詳細をイメージするしかなく、後に教師達の撮った写真が掲載される学年通信だとか、または定期的に昇降口の壁に展示される「商品としての写真」でしか映像としての事実を知ることが出来ない。また、プライベートでアルバムに残すようなイベントごとがあまりない我が家にとって、学校行事の写真はかなり貴重ー、なので出来ることならどんな写真であっても、子が写っているものは全て購入出来たらーと思うのだ。
しかし、一番小さなスナップでも、1枚150円ー、相場では高くも安くもない平均的価格なのだろうが、集合写真だと一気に800円~1000円掛かる。そして、子はどうしても集合写真が欲しいと言う。親からしたら、他人の子など興味ないし、子だけが写っていればそれで良いのだが、子はそうでもないらしい。後から振り返り、やはり1年の頃はこんなクラスでこんな担任だったなーと思い出にふけるのに、集合写真という物は十分な材料なのだろう。
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今週は、1学期の主要行事の写真が貼り出さるとの通知があり、学校へ行ってみた。人があまりいないだろう、昼時をねらって。やはり、掲示板にはポツポツとまばらに人がいるだけで、そのどの人もが単独で見に来ているようだった。
運動会や日々の授業ー、また遠足や近隣散策、そして虫取りや演劇鑑賞会などなどー、たくさんあるといっても、幼稚園の頃のような多さはなく、子が実際写っているものもわずかだ。しかし、なんだかんだで10枚ちょっとあった。
そして、毎回子が欲しがる集合写真が3種類ー、全て購入するとなるとそれだけでも2400円だ。なので、その中でも一番子が可愛く写っている物ー、運動会の集合写真を選んで番号を記入した。スナップは1枚150円ということもあり、横顔しか写っていないものだったり微妙な表情をしているものであっても、迷わず購入することにした。集計すると、合計2150円にもなった。これは勿論家計費からだ。普段、納豆1パック20円程安いかどうかによって、片道30分以上も掛けて隣街の激安スーパーまで出向く癖に、我が子の写真だと思うと財布の紐も緩む。
この手の写真販売は、ダンス教室の習い事でもある。レッスン中は親の出入りが禁止なので、練習風景を写真におさめることは出来ない。発表会はまた別だが、やはり業者の撮った写真はアングルだったり写りが違う。やはり、プロはプロなのだ。ただ、学校での販売と違い、ダンス教室のそれは少々やり方が汚く感じる。何故なら、子が単独で写っている葉書2枚分の大きさの写真は、購入しなければ破棄する旨の記載がされているのだ。母親達は、我が子の笑顔が他者によってシュレッダーに掛けられることを恐れている。なので、1枚1200円もするそれを躊躇なく購入するのだ。
実際、先日ダンス教室で貼り出された我が子のショットは、確かに写りも良かったし生き生きとした表情をしていた。しかし、前回販売された時と同じような写真であり、その違いはよく分からなかった。同じようなショットに1200円もの大金をはたくのは、正直勿体無いという気持ちも働いた。せめて大きさをこの半分にして価格も半額にしてくれたらー
しかし、周囲の母親達は次々と写真の申し込みをし、貼り出されている写真はどんどん売られて残りは数枚ーそうなのだ、これにより購入したか否かが他人からも丸見えなのだ。1200円を出して、我が子の写真が他者に切り刻まれるのを防げたかどうかー、また経済的に余裕があるのかどうかさえ顔見知り達から憶測されるに違いない。
最後まで迷い、残り6~7枚の中に残る子の笑顔が、まるでダンボールに入れられた捨て猫のように見えてきた。もう、購入するしか選択肢は残っていないようだった。
子供の写真販売は、デジカメやスマホが普及した現在でも需要があるー、需要を消費者に押し付けることが可能な商売なのかもしれない。
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- category: 財布事情
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- 2015/09/30