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臨時収入

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「これ、リサイクルか何かに出しておいて。」


夫に頼まれた雑誌や書籍の数々。ざっと50冊はあるだろうか?リサイクルで引き取りして貰い、微々たる金額になるそれだって、結局は夫に返却だと思うと正直億劫。
しかし、いつまでもそれをリビングの隅に置いておくのも邪魔なので、気合いを入れて大小揃え、たまに挟まっているフリーペーパーなどは取り除き紙袋に入れて行った。
夫はネットで書籍も買う。積読というヤツで、結局真新しいまま買ったことに満足して未読のままのパターン。勿体ないので私も読もうかと思うのだが、正直私には興味が湧かない。所謂、ビジネス本ばかりなのだ。
ふと、手に取った1冊の本に何かが挟まっているのを見つけ、ページを開いた。それは、銀行の封筒だった。そして驚くことに、中身を空けるとそこには万札が入っている。数えると、14枚。
すぐに夫に伝えなければーという気持ちと、気付かなかったことにして懐に入れてしまおうという気持ちの両方が、私を惑わす。
しかし、子の歯科矯正でまたマウスピースを作り替える為に数万掛かることを思い出し、後者を選択することで頭が一杯になった。




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ーこれは、へそくりなのか?それとも・・・誰かから貰ったもの?義両親から?単に自分でおろしたもの?わざわざ隠すように本に挟んであったのは?


疑問が次から次へと湧いて来たが、しかし、夫はこの存在を忘れているのだろう。覚えていれば、リサイクルに出す前に抜き取っているはずだ。
不安を吹き飛ばすように、頭を振る。銀行の封筒はビリビリに破いて生ごみと一生に捨てた。中身を自分のへそくり置き場にそっとしまった。
子の矯正代は、夫だって負担すべきだ。くだらないおもちゃやゲームよりも、もっと大切にすべき問題がある。夫のずれた価値観に付き合っていては駄目だ。子の将来は、母である私が守らなければー。

しかし多少の罪悪感もあり、その日の夕飯は、いつも以上に夫の健康を気遣うような和食メニューを作った。
今年初物のさんまの塩焼き、肉じゃがに、たことキュウリとわかめの酢の物、豚汁に厚揚げのステーキに出し巻き卵。なんて事はないメニューだが、久しぶりに子の顔ではない夫の顔を思い浮かべて作ったのだった。


「今日、飯いいや。飲んで帰るわ。」


しかし、そんな私の思いを裏切るように、夫からは愛想の無い連絡が入った。次第に、それまであった罪悪感は薄らいで行った。




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遊園地の誘い

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子供の頃、一人で電車に乗ることが出来なかった。乗る機会がなかったといえばそれまでだが、流石に高学年になれば、クラスメイトの殆どは一人で電車に乗れる子が多く、それが出来ない自分にコンプレックスを感じていたものだ。
親は、車専門だったこともあり、外出するならば一に車、二に車、免許の無い母と出掛ける時のみ近場に電車という流れだったのだ。
同級生には、長期休暇に一人で新幹線に乗ったという子も出始め、ますます電車の乗り方が分からないなどとは言えない雰囲気。切符の買い方すら知らないことが、とてつもなく恥ずかしかった。

子も、私に似たところがあり臆病だ。ここら近所なら一人で遊びに出られるようになったが、しかし、駅前のモールですら、いまだ私が買い物中に本屋で待つことすら出来ない。
最近は物騒なので、やたらに一人にさせられない。しかし、私のように一人で行動出来ないひ弱な大人になって貰いたくないという矛盾した気持ちが湧く。
私のそんな行動を読んだのか?子が唐突に、私に向かってお伺いを立てた。


「ねえねえ、今度の日曜、みこちゃん達と遊園地に行ってもいい?」


「え・・遊園地?子供だけで!?」


「うん。皆、子供だけで夏休みに遊園地のプールにも行ったらしいよ。」


私には到底考えられなかった。遊園地ならともかくー、プールは怖い。流れるプールや波のプールなどはいくら監視員がいるからといって我が子ばかりを見てくれるわけでもない。もしも溺れたらー、それに、女の子を狙った犯罪もあると聞く。
そして、子が最近親密に付き合っている子供達の親達は、一体どんな考えなのかと思うと、その温度差を感じずにはいられなかった。


「ちょっと・・ママからはいいよって言えない。パパに相談しないと。」


心の中では、既にNGサイン。しかし、また自分ばかりが悪者になりたくはない。
お金も使う遊園地だからこそ、今回は見送ろうと思っているが・・しかし、毎度毎度それが通るとは限らない。子には子の付き合いがあるのだ。
キッズ携帯を持たせたいー、私にとってもお守りだ。GPS機能も付いているそれなら、今後、子に一人でバスや電車に乗せる機会があった時に少しは不安を緩和させるだろう。
子にとっての不安感もそうだが、私にとってもだ。
海外赴任がちらつくことで、自立心を早く植え付けたい気持ちーそれに反して怖い気持ちが同居するのだった。




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乗れない会話

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子供会で秋の行事があり、その準備のお手伝いに参加して来た。一応、任意なのだがー、しかし私が専業主婦で一人っ子親だということを認知しているだろう彼女らの手前、欠席するのは気が引けたのだ。
重い腰を上げ、集会場へ出向く。
ガラス戸を開けると、奥の部屋からぺちゃくちゃと楽しそうな雑談。それを耳にすれば、そのままUターンして自宅に戻りたくなる。
入り口でノロノロしていると、背後から、


「おはよう!」


素敵ママが声を掛けてくれた。救いの女神のような彼女。つい、ワントーン高くした声で彼女に話し掛けた。


「おはよう!あれ?髪型変えた?すっきりしたね。」


思い切りショートにした彼女。耳元にはダイヤの一粒ピアスがキラキラ輝いていた。


「うん、暑くってバッサリね。髪も乾かすの楽だし、もっと早くにカットすれば良かった~」


楽しく会話をしながら、部屋に入る。彼女と一緒なので心強かった。このまま流れに乗れば、違和感なく周囲に溶け込めるかもしれない・・・
彼女が座った隣にさり気なく腰を下ろす。彼女のとりわけ仲良しないつものメンバーは違う列のテーブルを陣取っていた。仲間がいようがいまいが、彼女は目に付いた席に座るのだ。
他の学年の母親達は、殆ど面識が無く、しかし素敵ママは既に顔見知りなのか親し気に声を掛けられていた。



「こないだのDVD、面白かったよ。今日忘れちゃったんだ。次会う時でもいい?」


「あー、全然いいよ。しばらく見る予定無いし、なんなら年明けでも。」


相変わらずのフランクさで周囲を和ませる彼女。私達の席は6人テーブルで、私と素敵ママを覗く4人のうち一人は、夏の祭りで共に係だった6年の保護者だった。
しかし、全く彼女と目が合わないことで、挨拶しそびれてしまった。勝手に一人、気まずくなる。


「ooちゃんのとこの先生、どんな感じ?」


素敵ママが、私に話し掛けてくれた。嬉しくなってそれに答える。正直、担任の印象は良くも悪くもだが、なんとか自分なりに話を盛ったつもりだ。
お愛想かもしれないが、それに彼女は笑って応えてくれた。
見た目、気の強そうな人が、担任の出す宿題量の話をし出した。素敵ママはその人と知り合いなのかどうなのか微妙な線の敬語とタメ口の混じった言葉で、


「塾行ってる子からしたら、それはストレスですよねー。塾だと宿題も結構出るの?」


すんなり会話に入る。私はまた、一人取り残される。他の人達も、二人の会話に絶妙なタイミングで参加する。いやー、タイミングなど図っていないのかも。
何も考えず、ぽんぽん思い付いたことを口にしているだけなのかもしれない。
そして、タイミングばかり考えている私にとって、開始からたった5分足らずで出来上がったこのテーブルは、既に激流並みの勢いを持った流れに感じられ、もう飛び込む勇気など持てないのだった。

お手伝いは、少しの内職的な手作業だった。皆が和気藹々と楽しく雑談すればする程、私の作業は悲しいくらいにはかどった。
皆が一つ作り上げる頃、私は三つも仕上がっているーそれはそうだ。黙々と手を動かしているのだから・・・

解散の流れがまた難しく、一応役員から終わりの号令が掛かる。しかし、盛り上がった場はそこから動かない。私だけが手荷物をバッグに入れ、腰を浮かす。
せめて挨拶だけでもーと思い、素敵ママを含む同テーブルの人達に一声掛けた。その日、私が初めて彼女らに掛けた第一声だった。


「お先に失礼します。」


「お疲れさまでしたー。」


「お疲れさま~」


素敵ママのにっこりした残像が、目の裏にしびれるように焼き付けられた。






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噓と罪悪感

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学校から、ボランティア募集のプリントが配布された。
課外活動の付き添いとしてのお手伝いで、まだ人数が集まっていないとのこと。


「ママ、仕事してないし、来たら?」


子にそう言われ、正直落ち込む。仕事は勿論のこと、下に兄弟がいるような子の保護者は今回欠席らしく、私のような人手を求めているらしかった。
大体、その日限りのボランティアは、知り合い同士で声を掛け合い行くのだろう。私のように、子がもう3年生ともなると今更新規でその輪に飛び込むのは難しい。


「ごめん、ママ用事あるんだ。」


子に噓を付いてしまった。その日は暇だ。いやー、その日だけではない、その翌日もその翌々日もカレンダーは真っ白だった。
しかし、子は壁掛けのカレンダーを確認することもなく、すんなり私の噓を本当のこととして受け取った。その素直な横顔に、罪悪感を感じる。

もっと、積極的に学校行事に参加しなければならない。頭では分かっていながらも、億劫な気持ちと自分の立ち位置を思うと気持ちが付いて行かない。
最低限の行事でいいじゃないかー、無理して参加しなくても・・それでも、断る理由が無い状況でそれを引き受けられない自分が不甲斐ない。
仕事をしようと思う気持ちも、夫の転勤話ですーっと萎えて行った。もし転勤が決定したら、折角築き上げた関係性を全て捨てなくてはならない。
それを前提に、一から人間関係を構築して行く元気など、ありっこないのだ。

子が遊びに出掛けてから、ボランティア募集のプリントをごみ箱に放った。グシャグシャに丸められなかったのは、やはり、胸の奥でくすぶり続ける罪悪感からだった。




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ハチミツ

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急に寒くなって来たこの頃。冬支度にはまだ早いが、流石にクローゼットの半袖と長袖とを衣替えした。
数日前まで、何となく長袖にチェンジするタイミングを逃し、半袖で過ごしたのがたたったのか、体がだるく重い。風邪の引き始めなのか、心なしか喉も痛い。こんな時は「蜂蜜」をスプーンひとさじ、舐めたくなる。
駅ビルの中にある自然食品の店にふらりと入り、蜂蜜の棚をざっと見るも、なかなかの値がする。
国産のもので、300gも入っていない小さな瓶でも1500円程。というか、どれもこれも千円以上。結局、代わりといったら何だが、ドラッグストアで蜂蜜100%の飴を購入するに至った。

喉に効く、蜂蜜レモンが飲みたくなった。
冷蔵庫にある市販のレモン汁を温かい湯に入れ、蜂蜜を溶かし入れたものが飲みたい。そこに生姜をすり下ろしたものも少し足したら、体中がぽかぽか温まりそうだ。


ーそうだ、この飴で代用出来るかも。




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買ってきた蜂蜜の飴を、沸騰した湯に入れた。レモン水とおろし生姜も入れ、スプーンでくるくるかき混ぜる。しかし、思ったより飴が溶けにくく、溶け切らないうちに味見をしたら中途半端な薄い味で不味かった。
やっぱり本物の蜂蜜じゃないと駄目なのか?
今度は2つ程入れてみた。すると先程よりこっくりと甘い味になり、いよいよ蜂蜜らしくなって来た。ネットでレシピ検索をしてみたら、紅茶で溶かす方がメジャーだった為ティーバッグを更に追加したら美味だった。
蜂蜜を買わずして、100円足らずの飴で、体が元気になりそうな飲み物を作ることが出来たのは、我ながら大きな発見だった。10分の1程の値段で蜂蜜が手に入ったような錯覚までし、何だか嬉しくなった。




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噂話

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ダンス教室のお迎えに行くと、久しぶりにまいこちゃんママに声を掛けられた。勿論、彼女が一人だったから。仲間がいれば、私のことなど眼中にないのはいつものこと。


「この間、お土産ありがとう~。」


その日も仕事帰りだったのだろう、素敵な装いで現れた彼女。アースカラーのレースのプルオーバーにボトムは今流行のワイドパンツ。鼈甲のバングルに、ゴールドチェーンの大振りなネックレス。片手に薄手のジャケットを抱えていた。 溌剌とー、以前の、ジメジメした雰囲気が一掃された彼女だが、しかし更に上から目線を感じてしまうのは、私の勝手な被害妄想からだろうか?


「やっと夏休みが終わって、やっぱり学校様さまだよ。」


上機嫌な彼女。すると、声のトーンを落とし、こそこそするように私に語り掛けた。


「ここだけの話ね。ほら、Dちゃん分かる?うち、バレエで一緒だから色々噂聞いたんだけどね。あの子、要注意よ。」


「何か、あったんですか?」


「あの子、学校で色々と問題になってるみたいでね、すぐに手がでちゃうみたいなの。何か言われて腹が立ったんだか知らないけどね、カーッとなってペンで隣の子の手を突き刺したんだって。怖いわよね~」


「へぇ。そんなことするような子に見えないですけどね。」


「だいたい、いじめをする子なんて、一見普通に見えるパターンが多いのよ。親が子供のことちゃんと見てないのよ。うちのまいこもね、前にバレエでやられたの。」


話し出したら、もうそれは止まらないという風に、彼女はつらつらと続けた。


「Dちゃんがね、教室にDS持ち込んで遊んでたのをうちの子が注意したらしいのよ。それって正しいことでしょう?それなのに逆切れしてね、まいこの髪の毛引っ張ったの。先生がすぐに気付いてくれたから良かったんだけど、後からまいこに聞いてみたらさ、それからやたらと意味もなく突き飛ばしてきたり、きっつい言葉掛けて来たりするからね、バレエの曜日変更してDちゃんと離して貰ったの。」


彼女は、段々と当時の出来事を思い出し腹が立ったのか、顔を歪めて苛ついたように親指と人差し指をこすり合わせた。


「何はともあれ、暴力は駄目でしょう?それをちゃんとしつけてない親はもっと駄目ね。しかもね、その後の対応が最悪。」


話途中で、千葉ママらがやって来た。


「あ、ごめん、また今度続きは話すね~」


途中で切り上げ、それまで私と話していたことを悟られないようにするかのように、さっさと千葉ママらの方へ駆け寄って行ってしまった。
私は、心の奥底ではドキドキしていた。Dちゃん・・・以前、遊びに来た際、私のネックレスが無くなった件を思い出したからだ。彼女に何か問題があるのだとしたら?こうして影でこそこそ噂話をすることで、それは解決するのかといったら否だ。 現在、我が子とDちゃんとは疎遠だが、またクラス替えによっては距離が縮まることもある。そうなった時、目を光らせ我が子の様子を観察しなければ。
学年が上がるにつれ、楽なことは増えて来たが、案ずる事項も増えて来たことを実感した日だった。






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坊ちゃん

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三連休のうちの一日は、敬老の日ということで、義両親とランチをすることになった。夫の休みが急遽取れたこともあり、仕事先から店の予約を頼まれたのだ。
義両親に何を食べたいか聞くのが良いと思い、電話をした。しかし、彼らは子が食べたいものがある店ならどこでも良いという返答だったのだ。
私が彼らだったとしても、同じような返答をするだろうと思う。自分達が食べたいものはいつでも食べられるのだ。可愛い孫が美味しそうに好物を口にする姿を見ながら食事をすることが、一番の御馳走であるに違いない。


「じいじ達とお昼食べに行くけど、何がいい?」


「パスタ!ピザ!!」


即答だったので、適当にー義両親宅からのアクセスが便利なことを第一条件に、窯焼きピザが美味しいと評判のイタリアンを予約したのだ。
当日になり、昼ぎりぎりまで寝ている夫を起こし、支度をするように促した。


「で、店はどの辺にあるの?」


ネットで予め調べていた住所を告げた。
車に乗り込み、ナビに住所を打ち込む。その時点でまだどういった店なのか、夫に知らせてはいなかった。
店付近に到着し、イタリア国旗をモチーフにした看板が目に入り、すぐにそこだと気付いて車を停めるよう夫に告げた。


「え?ここ?」


夫は、あからさまに渋い顔をした。


「まさか、親にそんなの食べさせるの?普通、敬老の日だったら和食だろう?鰻屋とか、寿司屋とか・・ピザなんて、非常識だな。」


「ごめん、パパ。OOが食べたいって言ったから・・」


子が申し訳なさそうに言う。しかし、怒りの矛先は私に向けられたままだ。夫が求めていた食事会は、回らない寿司屋だったりかしこまった料亭風のしゃぶしゃぶ屋だったり、またホテルの中にある中華料理屋だったのだろう。
そして、ネットでの印象と違い、その店はざっくばらんとしていた。普段、家族だけで食べに来るのには十分過ぎるくらいの店だったのだが。

予約をしてしまったし、何より義両親はもうこちらに向かっているはずだ。今更キャンセルなど出来るはずもなく、店内に入るしかなかった。
それから、義両親が到着するまで私達夫婦はほぼ無言だった。子はDSをしているし、夫はスマホだ。ため息を必要以上に吐きながらのそれは、明らかに私に向けてのものだった。
メニューは、一応コースを頼んでいたのだが、子はカルボナーラとピザをどうしても食べたがっていたので、それは単品でオーダーすることにした。




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「あ、じいじ!ばあば!」


店のドアが開くと同時に、子がそれに気が付き声を上げた。義両親は、私達を見付けると、笑顔で手を振ってくれた。夫のような曇った表情が無かっただけ、まだ救われた。
夫も、二人が席に着くと、それまでずっとスマホ画面から視線を外さなかったのが噓かのように、饒舌になった。
私には見せない顔ー、それまでの姿をこっそり盗撮し、彼らに見せたい気持ちになった。
夫の言う通り、店選びは失敗したなーと思ったのは、やはり義両親がどれもこれも食べ残すのを目にしたからだ。
コースだったのだが、前菜の野菜やカルパッチョはまだ食べれたようだが、しかし、メインの魚料理やパスタは少し口に運ぶ程度。ただ子が口一杯にピザを頬張っている姿を嬉しそうに眺めていた。


「今日は、御馳走さま。」


義母は、私にこっそり封筒を差し出した。すぐにそれは「現金」だと気付き、断った。それでも彼女は私にそれを押し付ける。入り口付近で押し問答になり、仕方なく受け取る形になってしまった。 これでは、敬老の日のお祝いにならないではないかー、と思った。
帰りの車の中、


「あ、そういや金、貰っただろう?」


突然思い出したかのように夫が言う。押し問答は、見ていなかったはずなのに・・・
自宅に戻り、中身を確認する前に夫に取られてしまった。あれは、夫の小遣いになるのだろうか?何だか釈然としない。もしかしたらー、それを見込んでの食事会の招待だったのではないかとさえ思ってしまう。
こちらが掛けた費用以上の金が、あの封筒の中に入っている可能性は高かった。そうやって、いつまでも甘えた息子気分でいる夫に嫌気が差すのだ。




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サザエさんとミサエ

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日曜日のサザエさんを観て、やっぱり彼女の主婦スキルは満点だと自らと比較して落ち込んだ。
彼女は、流れでママさんバスケに参加するのだが、そこでまぁまぁの活躍。
そもそも、参加するに至るまでのハードルが高いと思うのは、私だけなのか?誘われるまでのハードル、そしてそれに応えるまでのハードル、そしてそこに馴染むまでのハードル。
活躍など求めてはいない、ただただ馴染む。空気のような存在でもOKなのだ。しかし、サザエさんは、それ以上の期待に応える。それは難なくー力を入れず。


サザエさんにはなれないーなら・・・
まだクレヨンしんちゃんのミサエになら共感も持てる。基本、ぐうだらと自宅で寝っ転がっている、下の子ーひまわりの世話は大変だろうけれど、それでもサザエさん程のアクティブさは無い。
しかし、彼女も凄い人なのだと気付く。マイぺ―スさを保ちながらも、最低限の人付き合い近所付き合いをこなし、日々、不満を持ちながらもそれは深刻さなどないくだらない不満を抱えながらも、自分を殺さず生き生きとしているのだ。
社会性においては、そつなくこなし、気軽に馬鹿高い通販の買い物をしたり、旦那をこき下ろしたり、基本自由奔放な彼女はサザエさんと同じくハードルが高過ぎる。





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ハードルって、何だろう? 自らそれを自分の足かせにしている気もしているし、しかし、それが無くなったら自分は一体どうなるのだろうって危惧もある。
到底クリア出来ない課題を目の前にすること、それは、案外自由に泳がせてくれるプールを与えられていることと=ではないのかとさえ思う。
ゼロから1を作り上げることの大変さ、それを知っている者ならば、ハードルが既に目の前にある有難さを、少しは理解出来るのではないかーそう思うのだ。私も含めて。




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今日の料理

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今日の料理




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敬老の日に向けて

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敬老の日が近づいている。
義両親宛の手紙を子に書かせ、皿に絵が描けるペンで二人の似顔絵を描いたものをレンジで焼き、菓子折りと共に梱包して宅配に出したのが先日のこと。
子が、


「ママのばあばとじいじには?」


と、聞いて来た時、躊躇した。あれから一切連絡を絶っているのだが、大人の都合で子を巻き込むのも違う気がする。なので、こちらの祖父母用のプレゼントも作らせたのだ。しかし、子から預かったその皿と手紙はまだ手元に置いたままだ。 あの勿体ぶった着信後、結局お互い会話を交わすことなく今日まで来た。ここでこちらから折れたら、また同じことの繰り返し。
そう言い聞かせ、しかし心のモヤモヤは晴れないままだ。

こんな時、夢に実母が出て来る。今朝方見た夢も、私は彼女に向かって思いの丈をぶつけていた。


「お母さんみたいのをね、毒親って言うんだよ!!」




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泣きながら叫ぶ私は、しかしどこか胸のつかえが取れて行くーそんな爽快感さえ感じていた。言われた母は、驚きとショックを隠せないーそんな表情だったが、そのリアクションは夢の中の私を満足させるものだった。
だが、夢から覚めて、あぁーやっぱり夢だった・・・結局、現実ではあり得ない妄想に気付き、落胆したのだった。

私が子供の頃、敬老の日に何かしろと親から言われたことなど無かった。そもそも母は、祖母のことを毛嫌いしていたし、また自分の親とも上手く行かなかったことで疎遠だったので、そういった行事ごとに関心は無かった。
しかし、私は物心ついた頃から、内々での行事ごとを何となしに強要されているーそんなプレッシャーを感じる子供時代だった。


「もうすぐ母の日ね~」


「来週は、お母さんの誕生日よ。」


何気なくの台詞だったのかもしれないが、しかし私にとってそれは、「何かしなくてはならない」という圧に他ならなかったのだ。
結婚後も、父の日や母の日、誕生日、それに結婚記念日まで色々お祝いを渡していた。大人になり、金を稼ぐようになってからはそれなりの金額を掛けて来たものだ。
それが、あの一件以来ぱったりだ。
そして、今回の敬老の日をスル―すれば、いよいよそれは本格的になる。逆に、何かすれば、また元の木阿弥になる気もしている。
私は非情な娘だろうか?
ワイドショーで、両親と同じ年頃の芸能人が死去するニュースを目にする度に、果たしてどちらの選択が正しいのだろうかと気持ちが揺らぐ。




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無くした自転車

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自転車が無くなり、被害届を出す前に、もう一度探すことにした。
児童館は勿論のこと、その周辺とスーパー。近くの公園などだ。鍵をきちんと掛けていなかった子にも責任がある。そこのところは口酸っぱく本人に言い聞かせた。
子の自転車と同じ色のそれを見る度に、心臓がドキドキする。どこかの子供が乗っているそれが似た物だと、そのドキドキは大きくなる。
子がダンス教室のレッスン中の待ち時間を使い、もう一度公園周辺を探すことにした。すれ違いざまに見覚えのある自転車。振り返り、よくよく見ると、間違いないー子の自転車と同じ物だった。


「あ・・・」


声を出そうとしたが、口がパクパク金魚のように動くだけで発声出来ない。ただ遠ざかる自転車を見送るだけで、でくの棒のように突っ立っている私がいた。
はっと我に返り、小走りに追い掛ける。ピンクのワンピース。その小さくなった背中は、通りの突き当りを右に曲がって見えなくなった。
私も同じく右に曲がる。そして例のスーパーに出た。ビンゴだった。駐輪場には自転車が停めてある。近くに寄って確認すると、確かに子の名前が書かれていた。
大急ぎで自転車を持ち、その場を去った。そこで待ち伏せしていれば、犯人と鉢合わせする可能性は高かった。しかし、待ち伏せしてその子を叱りつけるだけの度胸もなければ気力も無かった。 ただ、自転車が見つかっただけで十分だった。
ピンクのワンピースにポニーテール。しばらくは、そういったスタイルの女の子を見掛ける度、そわそわ落ち着かず、胸のもやもやが増すだろう。






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買い食いと奢り

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「ママー、自転車が無くなった・・」


珍しく、放課後外遊びをして来た子が、帰宅した途端しょんぼりとした様子で私に告げた。
その日はみこちゃんと二人きりで、児童館で遊んだとのことだった。


「児童館に停めてなかったの?」


「うん・・その後、違うところに行って・・」


よくよく聞くと、その後、児童館の近くにあるスーパーに寄ったそうだ。そこで、みこちゃんがカードゲームをするのを見ていたらしい。
その時知ったのだが、そこでアイスを2本買い、子にくれたらしい。買い食いというやつだ。


「え?みこちゃんに買って貰ったの?駄目!外でそういうことは絶対駄目!!」


子は、きょとんとした顔で私を見上げる。何がどう駄目なのかが全く分かっていない風だった。
そして、私も叱ったは良いが、子にどう言い聞かせたら良いのか頭を悩ませた。みこちゃん家には、ご両親の考えがあるかもしれないし、そこは私の口出しするところではない。
小遣いを与え、自由に使わせることーそれが自立への一歩だと促しているのだとしたら、私には何も言えない。
しかし、我が子となれば話は別だ。しかも、「奢り」だ。


「まさか・・みこちゃんに買わせたりしてないよね?」


子は、少し考えてから首を振った。


「OOはお金がないから買えないって言っただけ。」


「そうなんだ。みこちゃんは、いつもお菓子を買って食べたりしてるの?」


「いつもかどうかは分かんない。でも、お札も持ってたよ。」


小学生の平均的な財布事情は分からないが、しかし、子供だけで札を自由に持たせて使わせること、充分トラブルを呼ぶ危険性があるように感じた。
3年生ともなれば、ある程度の金銭感覚を身に着けさせる為に、親の知る範囲内で金を使わせることはアリだとも思うが、しかし子供間だけでのやりとり=奢りだとかに発展すると、後々怖い。
子も、今回は私が気付いたことで何とかなったが、もしも気付かないまま何度も奢られていたとしたらーそして、それが当たり前の流れになっていたとしたら、取返しの付かないトラブルを呼んでいたかもしれないのだ。
想定外のことで、自転車を無くしたことなどすっかり頭から抜けていた。慌てて日も暮れた頃、子と2人でスーパー周辺も探したが、しかしどこにもそれは見当たらなかった。






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お菓子分の内職

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子に頼まれていた文房具を買いに、ショッピングモールに出向いた。
平日のモールは空いている。しかし、私にはそれが落ち着かない。顔見知りと遭遇した時、気付かないフリが出来ないからだ。
しかし、必ずここに来れば寄る店ー、海外輸入食料品店に足を踏み入れると、そのごちゃごちゃとした店内に心癒される。
入り口付近でお約束のアイスコーヒーを貰う。これも、タイミングがずれると店員が居なかったりで貰いそびれることもある。店員が暇そうにしているところで入店すれば、9割の確率でそれを受け取ることが出来るのだ。

店内は、すっかりハロウィン使用。
子が喜びそうな、かぼちゃのイラストのパッケージに包まれたチョコレートやキャラメル、ゼリーや飴やスナックなどが所狭しと並べられている。
特に、子が好きなゼリー。しかし普通の物に比べたら割高だ。かごに入れ掛けて、また元に戻す。
隣にいた、若い女性が躊躇なく、色とりどりの菓子を入れて行く。母親だろうか?それにしても若い。私が迷ってやめたゼリーも無造作にかごに放り込む。
いまだ、パートも決まっていない私。働こう、働こう、そう思いながらも行動に移せない。へそくりもあのネックレスを衝動買いしてしまったことで底をついて来た。
それに、歯科矯正での毎月定額の支払いも負担が大きい。
しかし、金が無い無いと思えば思う程、どうしようもない衝動が湧いてくる。使いたくなる衝動だ。


ーこれくらい、いいだろう。


そう言い聞かせながら、数百円の菓子をいくつもかごに入れれば千円なんてあっという間だ。なので、結局アイスコーヒーだけ飲み干すと、その場を離れた。
夫にあれこれ聞かれるのも嫌だった。子の菓子でさえ、どこで買ったのか聞いて来るような細かい男なのだ。それなのに、自分が子に買う物についてはどんぶり勘定だ。
要するに、「私が遣う夫の稼いだ金」を、好き勝手に使うのが許せないのだろう。

その日は、黙々とクラウドソーシングでのライティングやポイントサイトで日用品などを買い漁った。子が寝てからも、黙々と数時間案件をこなし続けた。
この文章は、一体どこでどう使われるのだろう?以前、自分が書いたと思われる説明文が、どこかのサイトに掲載されていて驚いたことがある。と、同時に、ほっとしたのだ。
こうして誰かの役に立っているという安堵感。怪しいサイトではない、たまたま見つけたそれは、健全なサイトだった。

最近怠けていたライティング。その日は3000円分働いた。時給にしても、800円以上は行ったのではなかろうか?少しだが、金が無い不安感から逃れられた。
なんとかなるーそう思える為には、ただじっとしているだけでは駄目、手を動かし続けるしかないのだ。






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日本人妻ブログ

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夢を見た。
海外で、私は自由だった。これが自分かと思うくらい、のびのびと見ず知らずの外国人の前でアピールをしていた。
夫の転勤話に影響された夢なのは確実だが、まるで別人の自分が、まさに憧れている「なりたい私」だったのだ。
断片的だが、その国で、私はたくさんの友達に囲まれていた。外国人であるはずの彼らは、何故か私に合わせるかのような日本語を発していたし、逆に東洋人だと思われる黒髪の女性は、簡単なー、私にでもなんとなく分かるような英語を発していた。
肝心の子や夫は夢に出て来ることはなかった。
まるで私は一人、留学をしているかのようだった。



何故か、習い事を奥様方としていた。優雅なテーブルコーディネートされたダイニングで楽しいお喋りをしながら、昼間から手作りのサングリアを飲んでいた。
夢の中で、溢れるように次から次へと淀みなく言葉が出て来て、周囲を笑わせ、和ませ、そして拍手までされていた。


ー心の奥底の願望ー


私は、本来ひっそりとした性格だと思っていたが、実は目立ちたがりなのだろうか?皆の注目を浴びたいのだろうか?
ふと、催眠療法をしてくれるところはないかと検索を掛けてみた。路線沿いにそれはあったが、クリックし掛けて携帯を閉じた。


「バカみたい・・」


現実の私を思い出す。隣で寝ている子の背中を見つめる。静まり返った真っ暗な部屋は、窓から朝焼けが差し込み徐々に明るさを帯びて来た。
頭の中で、また不安が持ち上がる。
単身赴任という選択肢を思い出す。今だって、ろくに家にいないのだ。金さえ入れてくれたらそれで良い、彼はATMだと割り切っていたではないか?
それなのに、夫がいない留守を子と二人でここで過ごすこともまた不安なのだ。一人では何も出来ない、それが私だ。

不安は不安を連れて来る。そして、嫌な予想はどんぴしゃりでそれを現実にすることを、これまでの私は学んで来たはずではなかったか。これも、引き寄せの法則というヤツだろうか?
まだ5時という早い時間、子が起きないように静かに寝がえりを打ち、携帯で海外にいる日本人妻のブログ等を読み漁る。今の私に出来る、これが精一杯の心の準備なのだ。






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グローバル

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「心積もりしといて。」


突然の告知ー
夫が来年辺り、海外支社に異動になるかもしれないという話が持ち上がっているという。
部署が部署なだけに、そういった異動はないと思っていたのだが、その部署自体の異動話が持ち上がり、その結果の海外赴任ということらしい。

夫はそもそも語学堪能だ。最近英会話を使う機会はないものの、しかし、毎朝の通勤では日常会話くらいの英会話をテープで聞いているらしいことは知っていた。
しかし、それこそ趣味の範囲だと思っていたのは私の誤算。まさか、その時の為に腕が落ちないよう、日頃から準備をしていたとは知らなかった。

私も子も、英語など全くもって使えない。
遙か昔、受験生だった頃、なんとなく勉強していた記憶はあるが、しかし日常会話といって咄嗟に思い付く会話といえば、「Hello」だとか、「My Name・・」とかくらいなもの。 それだって、今では「Iam・・」というらしい。


グローバルー


私とは程遠いこの言葉。
このちっぽけな島国の中でさえ、右往左往しているのだ。自分の居場所すら見付けられず、気のおける仲間もいない。そんな私が海外で尚更自分を出すことなど無理な話。 しかし、一番心配なのは子のこと。
日本人学校がない地ーつまり、他国の子供達が集う場に子を放り込むことになる。
共通語が通用するとも分からない、そこに日本語しか使えない子が自分の居場所を作ることが果たして出来るのか?
自分を主張してなんぼの世界ー、そこで、子は自分をアピールすることが出来るのか?
それを思うと胸が痛かった。




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私は海外未経験者だ。
いやー、それ以前に、飛行機すら乗ったことがないのだ。
そんな人間が、いきなり海外ー、しかも住居を構えるだなんてハードルが高すぎる。
数か月後ー、しかし、あやふやな話なのでいまいち現実味が湧かない。
ならば、決定事項としてくれれば、少しは心の準備も出来る。
私も子も、英会話を習いに行くだろう。しかし、夫にそれとなく提案してみても、実際転勤になるかどうかも分からないからとあっさり却下された。

また悩み事がひとつ増えた。
そして、それが大きなものであることから、それまでの悩みが良くも悪くも小さくなった。
実母のこと、ご近所や学校のこと、子のことー
世界に直面したら、それらがなんとちっぽけで詰まらない悩みだったのかと思い知るのだ。
それでもー
私は大きな悩み(海外赴任か否か)を先延ばしにし、目の前にあるちっぽけに振り回される。
それが私の性分ー、情けないが、性質なのだ。




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贅沢食品

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魚が高い。
成長期の子には、バランス良く質の良い物を食べさせたいと思うのが親心。
しかし、今年はさんまも高く、一昔前100円以下だった頃が懐かしい。数百円出すのが惜しく、ならばと、ブラジル産の鳥肉をかごに2パック入れてしまう。
夫から今月預かった生活費は5万。これに、日用雑貨や習い事の月謝も含まれる。光熱費や家賃などは引き落としだが、それでも食べ盛りの子がいる家庭でこの予算は正直厳しい。
しかし、夕飯の殆どは外食である最近の夫に、足りないなどと言えるはずもない。
魚の代わりといっては何だが、おつとめ品のいわしはんぺんやツナ缶、それに安定価格のちくわを買う。冷凍の鮭が広告の品で1匹88円なんて日には、外は豪雨であっても長靴を履き、スーパーに出向く。
私は昔から計画性が無い。だから自分のへそくりも考え無しに使ってしまう。あのネックレスを我慢すれば、子に魚を食べさせてやれたのに・・・
課外活動が来週ある子。弁当のおかずは何がいいかと聞くと、親孝行なことに「唐揚げがあれば十分。」だと答えてくれた。子が魚よりも肉好きなのは幸いだ。


「でもね、デザートにぶどうが欲しいな。」


クラスメイトが以前、凍らせたぶどうをデザートに持って来ていたのを見たことがあり、それが羨ましかったらしい。フルーツも高くてなかなか買えない我が家は、その代わりをプチゼリーで済ますことが多く、しかしそれにも飽きたようだった。
ぶどうは我が家にとって高級品だ。スーパーなどでこの時期おつとめ棚にあるぶどうらしきものをチャックするが、それでも500円はくだらない。見切り品でもその価格。
果物代が家計を逼迫するーなんて声をどこかで聞いたことがある。昔見たテレビだろうか?良くあるファイナンシャルプランナーが、一般家庭の家計簿をチェックするアレだ。
小学生くらいの子供に果物を与えることー、それは「食育」だと主張する母親に、プランナーは反論した。どう反論したかは覚えてないが、恐らく「贅沢品」だとバッサリ切ったような記憶がある。

結局、子にお願いされたところでぶどうを買うことはないだろうと思う。その代わりに、震災用に常備してあるみかんの缶詰がそろそろ賞味期限が切れるので、凍らせて持たせようと思っている。






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付録コレクション

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習い事の送迎に行く度思うが、どの親もめかしこんでいる。だからなのかー、つい、野田さんの服装に目が行ってしまう。
彼女は原色というか、強い色が好きなようで、赤や黄色、オレンジや紫などはっきりとした色や、また大きな花柄などインパクトの強い生地を使った服を身にまとっていることが多く、なので後ろ姿だけでもすぐに彼女だと気付くのだ。



「お疲れ~」


そんな彼女が、私に気が付き駆け寄って来た。いつも思うのだが、彼女は雑誌の付録が好きなようだ。今日も、先日本屋で見掛けた雑誌の付録バッグを身に着けていた。
私も一時それにはまり、到底自分では買えないブランドのトートなどが付録になった雑誌を、読みもしない癖に買いあさっていたことがあるので、彼女の気持ちは良く分かる。
しかし、雑誌を5冊買えばそれなりに金は掛かる。付録バッグを5個ー例えば800円の雑誌を5冊買えば、4000円。店でその金額を出せば、それなりの物は買える。
ワンシーズンの流行だと割り切れば良いのかもしれないが、しかし、野田さんは同じ様なペラペラのポシェットやトートを日替わり感覚で身に着けていた。私の知る限り、つい最近でも茶色や白、ネイビーや赤と色とりどり。
勿体ないな、と思った。何故なら、彼女の方からその話題を出して来たのだ。


「秋物のバッグが欲しくて欲しくて。でもうちにはそんなお金ないでしょう?だからこれ、雑誌の付録で物欲満たしてるんだ~」


「いつも違う物、持ってますよね?全部付録だったんですか?最近の付録のクオリティって凄いですね。毎月、どれくらい買ってるんですか?」


変に受け取られないよう、言葉を選びながら慎重に話すのだが、彼女に不快感を与えてはいないだろうかとやはり気になる。


「毎月?ポーチとか入れたら・・多分、5冊から8冊かな。だからうち、すごい数のバッグがあるよ。使わなくなったら子供にあげれるしね。」


三か月間、その雑誌とやらを我慢したら・・・20冊×800=1万6000円のバッグが買えるではないか。付録を卒業した私は、つい意味のない計算をしてしまう。
人それぞれ、趣味趣向があるのだから、本人にそんなことは口が裂けても言えないが、やはり勿体ないな、と思ってしまう。

一方、秋になり、しま〇らで見掛けるコラボ商品。それと間違われたくないのだろうか?大きな声でそのチェック柄のトートを持っていた小太りママが、誰に聞かれている訳でもないのに言い訳がましく声高々に話しているのが耳に入った。


「衣替えがてら断捨離してたら、もう何年も前に買ったのが出て来てね~。懐かしくて持って来ちゃった。今これ持ってると、し〇らーだと思われるだろうから捨てちゃおうかなって思ったんだけど!」


「確かにね。なんか正規の店で買ったことが損したようなモヤモヤ感、あるよねー」


千葉ママが同調するように答える。
その近くにいた私と野田さんとの間に、何となく気まずい空気が出来た。そこで、タイミング良く子供達のレッスンが終了したことで、さりげなく挨拶をして別れ、その場も離れることが出来たのだ。
断捨離やミニマリストブームのこの頃、物を増やすことに抵抗感を持つ人々が増えている。お気に入りの物を少しだけと、こだわる人々もいれば、気になった物を数多く、楽しく流行を追う為に、プチプラを数多く持つ人々も。
経済を回す為に、消費は必須。しかし、エコの観点から見たら、やたらとあれこれ物を増やし、ゴミだめのようにするのも悪い風潮がある。
要するに、「適度」なさじ加減を自らの軸に持てたら良いのだが、それがまた難しい。






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軽い失望

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学校行事はやはり疲れる。

滞在時間は、ほんの1時間程。それなのに、なぜここまで消耗するのか?
前日から頭の中はそればかり。何度も夜中に目覚め、そして嫌な夢も見る。その時間までを、まるで私は判決を待つ犯罪者のような気持ちで過ごす。

集合時間遅くに行くか、それとも早くに行くか、迷いに迷って結局は遅くに行った。
学校の駐輪場にずらりと並ぶ自転車を見ただけで、動悸がしてしまう私。ここまで来ると、病的だなと自分でも思う。
軽い参観。それは体育館で行われたのだが、教室とは違い開放的な空間だからこそのざわめき。それが私の緊張感を更に高める。

恐る恐る足を踏み入れると、真っ先に素敵ママの姿が目に入った。下の子をおんぶして、どうやら準備のお手伝いをしているようだ。任意のボランティアに参加したのだろう。
彼女のママ友、DちゃんやAちゃんママらも同じくあくせく動いていた。その他にも、なんとなく顔を知っている保護者ー所謂、目立つ保護者らが、談笑しながら動いている。
男性も一人ー、そう、子と同クラスの生徒のPTA会長である例の父親も、ジャージ姿で豪快に周囲の親達や先生を笑わせながら、重い跳び箱などを動かしていた。

一方、私のようにただ突っ立っている保護者らがいたことも事実。こちらは皆、地味な雰囲気。しかし、いずれも2~3人以上の顔見知りと談笑をしていた。
私のように一人っきりで佇む人間はー・・・

伏し目がちに周囲を見回す。体育館の奥の方に一人、いた。それがどんなに救われたことか。その母親は、他のクラスだが、至って普通の人に見えた。
私のようにびくびくするわけでもない、凛とした姿で子供達の様子を眺めていた。


もしかしたらー


私は「ひとりぼっち」が嫌だから、群れる人間が羨ましいから、だからいつでもそればかりに目が行ってしまうのではないか?きちんと周囲を見渡せば、私のように一人の人間もいることに気付かないだけで・・ そして、一人でも毅然と振舞っていれば、何も恐れることはないのだ。

そんな風に、頭を切り替えたその瞬間ー、PTA会長がその母親の方に駆け寄って何か話し掛けているのが見えた。それまで無表情だった彼女は、くしゃっとした柔らかい微笑を返し、それから何かが巻き付いている指を見せた。 怪我?
知り合いだろうか?怪我をしているから準備に参加出来ないだけで、実は準備組みに知り合いがたくさんいたのだろうか?
私はまた、軽い失望感に襲われるのだった。






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学校行事の憂鬱

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今日は、学校行事。一応、任意だが、子の為に頑張って行こうと思っている。
それでも胃が痛い。
昨夜はなかなか寝付けず、夢見も悪かった。誰もいない運転席の車に乗車している夢。車は暴走し・・・途中で夢から覚めた。
自分のメンタルの弱さにほとほと呆れ果てる。

授業参観のようなー、静かな教室で行われるようなものならまだしも、ざわざわした環境の中での行事は居場所を無くす。
皆それぞれ、楽しそうに会話を交わしながら子供達の様子を見守るのだ。私は、子供に集中しているふりで、実際はその周りばかりに気を取られている駄目な母親だ。

今朝、ゴミ出しで素敵ママを見掛けた。下の子を連れて、駐車場へ向かう姿だ。こんな朝早く、どこへ行くのだろう?今日の学校行事にはまだまだ時間がある。 行事は午後からだ。
私は、何か予定ごとがあると、その日はそれ一つに集中してしまい、他のことも気がそぞろになってしまう。今日だって、学校に行くまで一歩も外に出るつもりはない。 元々ないエネルギーが切れてしまわないよう、ただただそれ以外の時間はイメトレと体を休める時間にしたいと思っている。
素敵ママのような人にとってはー、私が普段思い悩み、プレッシャーに感じ、心の準備が必要なことなど取るに足りないことなのだ。
あれこれ忙しく日々充実している彼女にとっては、歯磨きと同じ、気負うことのない自然体でいられることなのだ。
朝からアルコールが置かれている戸棚を開けては閉めてを繰り返している。精神安定剤ーとしてのそれらは、しかし理性が働き、今はまだ踏み留まっている。
気を許したら最後、どつぼに嵌る。これ以上、悩み事を増やすのがオチだ。

そうだー、お守り代わりのネックレスを首に掛けよう。キラキラ輝くそれが、私の危うい心を癒してくれる。






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一人っ子リミット

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夏休みが終わり、何かと楽になった今日この頃。
夫と子を見送ると、どっと疲れが出て布団にもぐる日々。
これではいけないーそう思いながらも、携帯でネットサーフィン。
一応、就職情報サイトを眺めている。しかし、これといった求人がないことを言い訳に、無料漫画を読んだり主婦掲示板を見たり。
1時間~で睡魔が襲い、昼寝ならぬ朝寝をしてしまう。昼の情報番組が始まる頃、もそもそと起き出し、そして午前中にやり残した家事を始める。
残りの洗濯物を干したり、皿を洗ったり掃除機を掛けたり。
子も給食が始まったので、帰宅は3時~4時なのだ。それらを時間を掛けてゆっくりしても、時間は余る。

なんと怠惰な生活なのだろう。

子が帰宅してからは、それなりに忙しい。6時頃までみこちゃん始め、ゲーム仲間が家に入り浸る。これも最近ではストレスだ。しかし、子の楽しそうな表情を見ていると何も言えずにいる。 実は、ぼそっと言われてしまったのだ。


「兄弟がいればね、友達呼ばなくても寂しくないんだけど。いっつもママと二人きりじゃぁね。」


ここまであからさまに言われたのは初めてだったので、正直ショックを受けた。勿論、幼稚園くらいには、周囲に兄弟姉妹がいるお友達を羨ましがるそぶりもあったかもしれないが、それも持っていないおもちゃを欲しがる程度の感覚なのだと深く捉えないよう努めて来たつもりだ。


一人っ子は、寂しい。専業として母親が家で待っているーそれでも寂しいと言うのだ。尚更私が働くことになれば、子はもっと寂しくなるのだ。
最近では、学校の宿題もぐんと難しくなり、一人でこなせなくなって来た。私も大昔にさかのぼり、ネット情報を駆使しながら教えることもある。
こんな時、この子に兄や姉がいたらまた違ったのかなとも思う。

私と夫がいなくなった時、この子はどうするのだろう?結婚し、子供もあれば寂しくはないだろうが、もし一生独身だったのなら?
一人っきりで両親を見送ることになるのか?
それを想像すると、居た堪れなくなる。
まだまだ先の話ーそう思っていたが、来年は成人まで半分の節目だ。時は容赦なく平等に進む。「リミット」という言葉が、私の頭の中でぐるぐる回り心の奥底に沈殿して行く。




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果たせない情報の共有

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夫と結婚してからというもの、私用の買い物はし辛く、したとしても安い物ばかり。
生活費のカードを与えられているが、しかし明細チェックで細かな日用雑貨にまであれこれ駄目出しされることで、ビクビクするようになってしまっていた。
化粧水1本、本当に欲しいメーカーの物は買えない。夫目線での価格帯OK範疇内に収めなければならない。

短期バイトをしたことで、その給料に口出しをされることを覚悟していたのだが、案外何も言われずだった。春先に新しい私にとっては高価なニットを買った時も、正直ビクビクしていたが何も言われない。 それも当たり前だ。夫の前でそれを着ていないのだから。

「新しい物」に敏感な夫は、私が新しい衣類を身に着けていると、どこで買ったのかしつこく聞いて来る。近所の量販店の名を挙げれば満足そうな顔をする。そして、それが入っていた袋のチェックがあるから噓などつけない。
値段を聞かれることは稀だが、それは夫がよく知る価格帯の店だから大方の予想はつくのだろう。新婚時代、なんとか生活費のやりくりをしてネットで靴を買ったことがある。確か、5千円にも満たなかった。しかし、玄関先に真新しいそれを置いていたら、夫に問い詰められたのだ。


「買ったの?いつ?どこで?どの店?いくらした?」


あまりにもの権幕に押され、嘘などつけず正直にそれに答えた。すると、


「その金はどこから出した?今度から何か買う前に、一言俺に言ってからにして。勝手に使われるのは気分が悪い。」


それからは、自分のへそくりで買った夫に内緒の物は、全て夫の目の前に出さなくなった。ライター内職や短期バイトで得た金で買ったものもそうだ。しかし、先日、すっかり油断していたのだ。


「何これ?いつ買ったの?」


それは、私の物ではない、子に買ってやったぬいぐるみだった。咄嗟に、


「スーパーでくじをしたら映画のチケットが当たって。この間それで映画観に行って、映画代も浮いたし私の貯金からちょっと出して買ってあげたの。」


映画にも行って、ぬいぐるみまで買ったなど言ったら、夫は目くじらを立てるかもしれないー、そう思ったのだ。


「あっ、そう。あんま無駄遣いするなよ。」


とてもじゃないが、先日のネックレスは夫の前には絶対に出すことなんて出来ない。




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まだ色々と言われることを覚悟していただけに、拍子抜けだった。
それと同時に、そこまで言われる筋合いが果たしてあるのだろうか?そう思い、これを機に詰め寄ってみた。


「あなたは、一体毎月自分の為にいくら使ってるの?」


「・・・・・」


明らかに、一瞬にして気分を害した表情に変わる夫に恐れつつも、しかしここで逃げては駄目だと思い直す。


「OOの将来のこともあるし・・私達親の介護とか老後とかの問題もあるし・・家にどれくらい貯蓄があるのか知りたいの。」


心の声が叫ぶ。実際は出せなかった言葉。夫の無言に耐えられなかったのだ。


「それ知って、どうするの?俺の稼いだ金だろう?」


鋭い視線が私を突き刺す。もう何も言えなかった。
また、堂々巡りだ。
夫婦なのに、情報の共有が出来ないままこの先も行くのか?




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ひとりごと、ひとつ

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人にどう思われるか?そればかりを考えている。
しかし、人から見て良い人間が、必ずしも出来た人間だとは限らない。それ程、人間なんて不完全な生き物なのだ。

どうありたいか?ではないか。

長く助走を取った方がより、遠くに飛べるって聞いた。
今は、辛くしんどいこの道のりも、絶対絶対糧になるはず。生きる力になると信じている。

ごめんなさい、ただのひとりごとです。






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働くリスク

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夏が終わり、過ごしやすい季節にシフトして行く。
真夏の暑さは苦手だが、皆クーラーの効いた部屋で涼んでいたり、また帰省していたりで外は静かで落ち着いていた。
しかし、学校が始まれば通常営業。団地のエントランスでは未就学児の親子連れがたむろし、楽しそうにしているのを目にするようになって来た。
駅前のスポーツクラブを通りかかると、子育てもひと段落した母親達が楽しそうにラケットを手に歩く姿が目に入ったり、また地元のカフェでモーニングする団体や立ち話をしている群れを目にしては、何となく落ち込んでしまう。
結局Yさんから夏に便りが来ることはなかった。所詮、私の存在なんてそんなもん。分かってはいたけれど少しは期待していたのか虚しさが募る。

求人サイトの閲覧ー、上がっているのはいつも同じ企業。余程離職率が高いのか?
ジュエリーを買ってしまった分、その補てん分だけでも稼がなくては。
短期でもなんでもいいから、とにかく金を早急に作らなければならなかった。
ふと買い物帰りに「急募!!」の貼り紙。金券ショップだった。ボックスの中には女性が一人。しかも私よりだいぶ年上。
仕事内容は金券の販売なのだろう。映画や遊園地のチケットを探すふりでボックス内を覗き見る。女性はスマホをいじっているようだ。
勤務体制が一人きりなのは、その責任も重いということだろう。それでもこうして暇な時間は気楽に自分の好きなことをしていられるのだ。
途端にこの仕事に興味が湧いて来た。自宅に戻り、早速仕事内容をネットで検索して調べてみる。
しかし、「強盗事件」の文字を見付けてすぐに高揚していた気持ちは冷めた。一人きりで密室に近いボックスに入り金券を販売するリスク。干渉されない分、何か事件が起きた時に助けてくれる人はいない。 私に出来ることって何なんだろう?また振り出しに戻った。




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