臨時収入
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「これ、リサイクルか何かに出しておいて。」
夫に頼まれた雑誌や書籍の数々。ざっと50冊はあるだろうか?リサイクルで引き取りして貰い、微々たる金額になるそれだって、結局は夫に返却だと思うと正直億劫。
しかし、いつまでもそれをリビングの隅に置いておくのも邪魔なので、気合いを入れて大小揃え、たまに挟まっているフリーペーパーなどは取り除き紙袋に入れて行った。
夫はネットで書籍も買う。積読というヤツで、結局真新しいまま買ったことに満足して未読のままのパターン。勿体ないので私も読もうかと思うのだが、正直私には興味が湧かない。所謂、ビジネス本ばかりなのだ。
ふと、手に取った1冊の本に何かが挟まっているのを見つけ、ページを開いた。それは、銀行の封筒だった。そして驚くことに、中身を空けるとそこには万札が入っている。数えると、14枚。
すぐに夫に伝えなければーという気持ちと、気付かなかったことにして懐に入れてしまおうという気持ちの両方が、私を惑わす。
しかし、子の歯科矯正でまたマウスピースを作り替える為に数万掛かることを思い出し、後者を選択することで頭が一杯になった。
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ーこれは、へそくりなのか?それとも・・・誰かから貰ったもの?義両親から?単に自分でおろしたもの?わざわざ隠すように本に挟んであったのは?
疑問が次から次へと湧いて来たが、しかし、夫はこの存在を忘れているのだろう。覚えていれば、リサイクルに出す前に抜き取っているはずだ。
不安を吹き飛ばすように、頭を振る。銀行の封筒はビリビリに破いて生ごみと一生に捨てた。中身を自分のへそくり置き場にそっとしまった。
子の矯正代は、夫だって負担すべきだ。くだらないおもちゃやゲームよりも、もっと大切にすべき問題がある。夫のずれた価値観に付き合っていては駄目だ。子の将来は、母である私が守らなければー。
しかし多少の罪悪感もあり、その日の夕飯は、いつも以上に夫の健康を気遣うような和食メニューを作った。
今年初物のさんまの塩焼き、肉じゃがに、たことキュウリとわかめの酢の物、豚汁に厚揚げのステーキに出し巻き卵。なんて事はないメニューだが、久しぶりに子の顔ではない夫の顔を思い浮かべて作ったのだった。
「今日、飯いいや。飲んで帰るわ。」
しかし、そんな私の思いを裏切るように、夫からは愛想の無い連絡が入った。次第に、それまであった罪悪感は薄らいで行った。
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- category: 財布事情
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- 2016/09/30