発言出来ないプレッシャー
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順番に、好きなところに一本線を引いた後、自分の名前を書く。
私は二番目だった。動悸が止まらない、じんわり背中に冷たい汗をかく。
どうかどうか当たりませんように・・と願う。私が彼女らの先頭に立つなんて、無理に決まっている。
結果を知るのが怖く、酒井さんが線を鉛筆で辿るのをつい薄目で眺める。そしてー、辿った先が空白だったことに心底安堵した。
班長は、見た目きつそうな人に当たった。そして、去年までの資料をもとに、酒井さんから班長に仕切りが変わる。
どんなおもちゃを売るか、単価いくらにするか?個数は?彼女が私達に問いかける。酒井さんや元PTA会長、それに他の人達もそれにぽんぽん答えて行く。
私の左隣の大人しそうな人が、同じく一言も発言しないことが心強かった。しかし、その彼女は向こう隣りの女性とこそこそ会話をしたり笑ったりしている。
「どうですかー?ヨーヨーとスーパーボール、どっちがいいですかね。」
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私はヨーヨーがいいと思った。しかし、理由が見つからない。皆、意見はそれぞれだけれどきっちり何故それが良いのか正当な理由を付けたうえで発言しているのだ。
私は取り残される。沈黙は余計に重くなりプレッシャーとなる。何か発言しなくては・・ここにいる意味が無い。
時間ばかり過ぎ、周囲は盛り上がっている。それまで私と同様に発言しなかった隣の女性が、向こう隣りの女性と会話をしながら自然に輪に入って行く。
緊張した様子も無く、互いにスーパーボールが良いという理由に共感し合い、二人の意見として班長に発言する。
焦れば焦る程、ヨーヨー推しの理由は見付からない。
一瞬、班長と目が合った。
「では、スーパーボールでいいですかね?」
私個人に聞かれている気がして、つい目を反らしてしまった。その場に居たたまれなくなる。辛い。恥ずかしい、情けない。苦しい。
何も発言しない私のことを、周囲はどう思っているのだろう?今更声を出したところで、今度はその突飛な行動に驚かれるのでは?そのリアクションが怖くてますます沈黙に押さえつけられる。そんなことばかり考えてしまい身動きが取れない。実際、私のことなど誰も気にしていないことは分かっている。
それでも、「何もしゃべらない、ただそこにいるだけの不気味な人」だというレッテルが貼られているのでは無いかと気が気では無い。
2時間弱の打ち合わせ、全く口を開かず終わった。穴が合ったら入りたかった。盛り上がるメンバー。最初は丁寧語だった班長達だったが、いつの間にくだけた口調になっている。
ここでも私は居場所を作れそうも無かった。次回は欠席しようかーとまたネガティブ思考に捉われている。
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- category: 近所
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- 2017/06/30