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発言出来ないプレッシャー

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順番に、好きなところに一本線を引いた後、自分の名前を書く。
私は二番目だった。動悸が止まらない、じんわり背中に冷たい汗をかく。
どうかどうか当たりませんように・・と願う。私が彼女らの先頭に立つなんて、無理に決まっている。
結果を知るのが怖く、酒井さんが線を鉛筆で辿るのをつい薄目で眺める。そしてー、辿った先が空白だったことに心底安堵した。
班長は、見た目きつそうな人に当たった。そして、去年までの資料をもとに、酒井さんから班長に仕切りが変わる。
どんなおもちゃを売るか、単価いくらにするか?個数は?彼女が私達に問いかける。酒井さんや元PTA会長、それに他の人達もそれにぽんぽん答えて行く。
私の左隣の大人しそうな人が、同じく一言も発言しないことが心強かった。しかし、その彼女は向こう隣りの女性とこそこそ会話をしたり笑ったりしている。


「どうですかー?ヨーヨーとスーパーボール、どっちがいいですかね。」




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私はヨーヨーがいいと思った。しかし、理由が見つからない。皆、意見はそれぞれだけれどきっちり何故それが良いのか正当な理由を付けたうえで発言しているのだ。
私は取り残される。沈黙は余計に重くなりプレッシャーとなる。何か発言しなくては・・ここにいる意味が無い。
時間ばかり過ぎ、周囲は盛り上がっている。それまで私と同様に発言しなかった隣の女性が、向こう隣りの女性と会話をしながら自然に輪に入って行く。
緊張した様子も無く、互いにスーパーボールが良いという理由に共感し合い、二人の意見として班長に発言する。
焦れば焦る程、ヨーヨー推しの理由は見付からない。


一瞬、班長と目が合った。


「では、スーパーボールでいいですかね?」


私個人に聞かれている気がして、つい目を反らしてしまった。その場に居たたまれなくなる。辛い。恥ずかしい、情けない。苦しい。
何も発言しない私のことを、周囲はどう思っているのだろう?今更声を出したところで、今度はその突飛な行動に驚かれるのでは?そのリアクションが怖くてますます沈黙に押さえつけられる。そんなことばかり考えてしまい身動きが取れない。実際、私のことなど誰も気にしていないことは分かっている。
それでも、「何もしゃべらない、ただそこにいるだけの不気味な人」だというレッテルが貼られているのでは無いかと気が気では無い。
2時間弱の打ち合わせ、全く口を開かず終わった。穴が合ったら入りたかった。盛り上がるメンバー。最初は丁寧語だった班長達だったが、いつの間にくだけた口調になっている。
ここでも私は居場所を作れそうも無かった。次回は欠席しようかーとまたネガティブ思考に捉われている。




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夏祭り打ち合わせ

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子ども会の夏祭りの打ち合わせへ行って来た。
夏休みを前に、自治会と連携をしながら進めなくてはならない、年間通しても、割と大き目の行事。
役員は勿論、手伝いは多ければ多い程良いと聞く。去年は事前打ち合わせに出ないことで、店番など大変な仕事が出来なかった分、今年は頑張って参加しないと。
苦手なEちゃんママの存在が私の気を重くさせる。私は彼女に嫌われているに違いない。


ーご自分で考えて動いて下さいーと、去年突き放されたことを思い出す度、動悸がしてくるのだ。


打ち合わせでは、店舗ごとのメンバー決め。
ジュースなどの飲み物、焼きそば、おもちゃやゲームなど。神輿作りはそちらに没頭するので店舗には関わらない。Eちゃんママは神輿作り担当なので、絶対に一緒にならないという事実はいくらか私の気持ちを軽くした。 そして、私は今回おもちゃ班となった。
焼きそばなど大変そうな係にならずに済んで良かった。メンバーは、会話をしたことは無いけれど、確か小学校のPTA副会長だったことのある人だと思う。特徴のある人なので、よく覚えている。 6年生の母親だ。あちらは私のことなど全く認識していないだろうけれど。
酒井さんも同じ係。一応、挨拶くらいは交わす仲なのでほっとするのも束の間。係が決まったことで、メンバーごとに小打ち合わせがあったのだけれど、その元副会長と酒井さんは何やら親密な空気。 他の人達も、それぞれ親しい仲間がいるようで、ここに来てまた孤立する。


「じゃあ、更にこの中から班長を決めましょうか。」


酒井さんが仕切る。また嫌な時間。そして、彼女はサクサクとあみだくじを一枚の用紙に描き出した。




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あなたの20年後、私の20年後

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Mの自慢話の殆どは、いかに自分が夫に愛されているかということ。
まるで、新婚夫婦のような関係が結婚し5年経った今でも続いているということ、お姫様のように扱われているということ。
実際、SNSで見知っている内容をMの口から聞く度、あの幸せ満載な写真も、こうして皆に話していることも、紛れも無い事実なのだと思い知らされる。
しかし、皆が羨望の眼差しを向け、話に耳を傾けている中で私は、気が緩めばつい無機質な表情になりそうなのを抑え、あくまでも表向きは羨ましそうにーしかし内心では別次元の人種を見ているような感覚。
つまり、あまりにも自分の生活と掛け離れている彼女のライフスタイルは、本屋でファッション誌を立ち読みしているような、異空間の出来事なのだった。

2人以上の会話が苦手。なので、この場でもそれは例外なく、いつの間に私は盛り上がる彼女達の輪から抜けていた。
視線は、男性陣のテーブルにいる子供達に向けられていた。無邪気に笑う子達を見ていたら、急に我が子に会いたくなった。愛しい我が子。
普段、顔を突き合わせていると、もどかしかったり苛々したり、また不安に陥ったりと、難しい年齢に差し掛かっている子だけれど、やっぱり私が腹を痛めて生んだ子だから、文句なしに可愛い。
どんなに手が掛かろうと、振り回されようと、それが自分自身ではないところから発生することは、生き甲斐に繋がる。

会はお開きになり、ここでも私は女優になり切れず、当たり障りの無い会話に始終し、二次会へ行く皆と別れ、家路に向かった。
学生時代、教室の中での居心地の悪さが分かった気がする。それは、皆が皆、同じ立ち位置だったから。そこで、比べ合い、今で言うマウンティングのようなカーストのようなランク付けをし合い、そこからあぶれた者は相手にされないー逃げ場も無かったのだ。 あれから20年、将来はプロになると期待されていたサッカーのキャプテンは、はち切れそうな腹を抱えながら会社の愚痴、そして週末に地元の子供達のコーチをしていることが唯一の生きる糧だと笑う。 地味系だった女子は結婚し子育てに奮闘しながらも、子供達の成長に支えられながら今を生きている。ささやかではあるが、自分だけではない、幸福は次のステージへと向かっている。また、華やかだった彼女は何か満たされないものを抱えつつも、日々忙しく派手に生活をし、消費し、それを周囲にアピールすることで自らの存在意義を見つけている。人、それぞれの幸福。


そして、そのバラバラの立場と数時間の一期一会的な空間の中で、私はゆっくりかもしれないけれど、前には進めているのだと自覚することが出来た。また、それは自信にも繋がった。 行って、良かった。別れ際、皆に向ける笑顔に、あの時のような自身の無さは無かった、そう思う。




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同窓会

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店に到着すると、幹事のかおりと男性ー誰か分からないけれど、二人が入口前に立っており、かおりの方が私に気付き笑顔で手を振りながら駆け寄って来た。


「久しぶり!元気だった?」


先に、会費を支払う。隣の男性が誰なのか聞けず、向こうからも聞かれず戸惑う。やはり、私は私のままだった。それに、頼みのかおりが入口で待機となれば、奥の座敷で私はどう振る舞ったら良いのだろう?
心臓がバクバクしだし、しかし、私は今日「女優」になるのだと言い聞かせ、店員に案内された座敷へ向かう。ずらりと並ぶヒールや革靴にまた怖気づく。
しかし、高価そうな靴に交じり、子供の運動靴や量販店で買ったような女性ものの靴もあり、ほっとする。



「こんばんは。」


おずおずと中に入ると、まだ酒も入っていないメンバーは一斉にこちらを見上げた。顔が火照り真っ赤になったが、照明が暗いお陰で恐らく気付かれない。それを励みに、


「旧姓ではOOです。お久しぶりです。」


何十年ぶりの自己紹介は、案外、保護者会の時よりも緊張しなかった。何故だろう?やはり、あれから私も大人になったのか・・


「こっち、こっちー。」


何度もSNSで確認していたM達、女子グループが手招きしてくれたのだ。Mは、相変わらず華やかだった。あの頃と変わってないー彼女の取り巻きが二人、そして違うグループの仲良しメンバーが二人、あとはかおりと私が今回参加の女性メンバーのようだった。
Mも大人になったのだろう、あの頃のように冷たい一瞥だけして後はスルーなんてことはなく、普通に話し掛けてくれたのだ。勿論、その取り巻きや他の子達も。


「今日来るの、前回参加のメンバーだけで、OOさんだけお久しぶりだよ。」


他の女性も、私のことを覚えていてくれたことに安堵した。心のどこかで、「あんた誰?」というような態度を取られるのではと恐れていたから。


「結婚ーしてるんだね。お子さんは?」


目ざとく、私の左薬指を見てMが言う。彼女のSNSを見て、家族構成までー、しかも夫の顔まで知ってしまった私はどうしたら良いか分からず狼狽えた。


「うん、一人。」


「ここ、皆独身。私とかおり、それにYは結婚組。」




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Yは、子供も連れて来たようだ。しかし、その子供は男性陣のテーブルで何かゲームをしているようだ。男の子だからだろう、気の利いた誰かが男の子用のおもちゃを買ってきたようだった。
人見知りもしない子のようで、既に私よりこの場に馴染んでいた。我が子なら、連れてくるのは無理だな・・と改めて思う。かおりも子供3人は置いて来たのだろう。理解のあるご主人が見てくれているのかもしれない。傍からみたら、私の夫もそう思われるのだろうが。


「仕事、営業してるんだってね。かおりから聞いたよ。」


突然そう言われて、何のことだと驚くーと同時に、去年同窓会に誘われた電話でかおりと世間話をした時についた嘘を思い出した。最悪だ。またここで嘘をつかなくてはならなくなった。
あの時と同じく、化粧品のセールスをしていることにしようとしたが、思い直した。


「仕事はね、色々あって辞めて、今は何もしてない。」


「え・・そうなんだ。」


皆、それ以上何も突っ込んでは来なかった。やはり、大人になったのだ。いや、単に興味が無かっただけかもしれなけれど。
かおりが席に戻り、会が始まった。酒と料理が運ばれて来たことで、席は段々盛り上がって来た。かおりが私の隣に座り、私は更に女優になった。勿論、アルコールの力を借りてだが。
しかし、嘘は辞めた。かおりにも、今仕事はしていないと話した。実はー嘘だったんだとあとワインを3杯飲めば吐いてしまいそうになりつつも、何とか踏み止まった。


「ご主人、今日はお休みなの?」


Mに聞かれ、この会の為に代休を取り子の面倒を見てくれていることを素直に伝えた。すると、途端にMは対抗意識を燃やしたのか、聞いてもいないのに自らの夫話を意気揚々と始めたのだ。




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同窓会ドレスアップ

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学生時代の同窓会。
当日まで、本当に気が進まなく、かおりに申し訳ないがドタキャンしようと本気で迷っていたけれど、「人として」行くことにした。
夫の手前ーというところもあったけれど・・

夫に、表向き快く送り出され、もうジタバタ出来ない。意を決して、普段は乗らない時間の電車に乗り込む。帰りのラッシュで反対側の電車は満杯。
ゆらゆら揺られ、最寄駅に到着したのは開始予定時刻のだいぶ前だ。
時間潰しに、ふらりとショップ巡り。全身鏡に映る、自分のみすぼらしさにハッとする。自宅の鏡ではそれなりに見えたものの、外の鏡は嘘を付かない。
白いパンツにトップスはリネン素材のサックスブルーのチュニック。例の、以前大奮発し購入したピンクゴールドのネックレスも勿論付けて来た。しかし、このチュニックがいかにもオバサン臭く、同窓会向けでは無いように思い、急に不安になった。
そんな、私の心を見透かしたかのように、ショップ店員が近付いて来て声を掛けた。


「何か、お探しですか?」


話し掛けられ、頭がぼーっとする。財布の中には念のためのカードも入っている、そんなことを思い出し、


「同窓会があって・・気軽な会なんですけど、少しきちんとした服が欲しくて。」


初対面でこれっきりという人、そしてこちらが客という優位な立場だからこそ、すらっと言葉が出て来た。




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「そうなんですねー。そうですね、あまり畏まり過ぎず、かといってラフ過ぎないものでしたら・・こちらなんて、爽やかでお客様にぴったりですよ。」


その場でさらっと上下の服を選んでくれた。彼女が私の為に持って来てくれたのは、クロップド丈のサックスブルーのワイドパンツ、それに、それを際立たせる為なのだろう、襟元に控えめなレースがあしらわれた黒いトップス。少し丈が短めな気がしたが、聞くところによると今はシャツをパンツにインしたり、またショート丈が流行しているとのこと。
実際、言われるがままに試着してみたところ、足が長くスタイルもスッキリと良く見えた。何よりー、垢抜けて見えた。服ひとつでこうも変わるかーというくらい。
同じサックスブルーでも、さっきまで着ていたチュニックはほっこり系過ぎて、どうにもうにも野暮ったく思えた。


「お似合いです!それに、このエナメル素材のバッグに、このパンプスで完璧だと思いますよ!]


私が試着室で着替えている間、大急ぎで用意したのだろうー、彼女の手には、小ぶりのクラッチバッグとビジューがポイントになっているこれもまたブラックのパンプスが持たれていた。
試着室で服の値札を確認したところ、二つ合わせて9800円程だった。しかし、そのバッグと靴まで購入すれば、2万近くなってしまう。さすがに同窓会といっても、そこまで金を出す気になれなかった。



「あ、バッグと靴は、そちらと似たようなものが自宅にあるので・・大丈夫です。」


内心がっかりしただろう店員は、しかし笑みを崩さずに頷くと、私が試着した服を購入する気になったのか気になり出したようで、畳みかけるように、


「そうですか!なら、お持ちのものと合わせていただいて、そのコーディネートで完璧だと思います!爽やかですし、上品ですし。」


レジで会計を済ませ、すぐにモール内のトイレに駆け込み、買った服に着替えた。それまで着ていたださいチュニックと白パンツをショップ袋に入れ替え、持っているトートバッグがカジュアル過ぎて浮いている気がしたものの、履いて来た黒のバレエシューズとの違和感が無いことで、なんとかおさまった気がした。
しかし、やはりセルフカットの髪型がいまいちな気がした。そして、トップスを黒にしたことで、顔のたるみが強調されている気もした。トップスが明るいと、それが反射板の役割を果たすのか、顔回りも明るくなりしわやシミ、たるみも目立たなかった気がするのだが・・・どこかを綺麗にすると、直しの入れていない他の部分が気になってくる。整形をひとつすると、あちこち直したくなり止まらなくなるーそんなどこかで聞いた話を思い出した。


身なりに自信が付ければ、後は女優になるだけだ。たった数時間のこと。私は、引っ込み思案で地味で目立たない、教室の隅にいるクラスメイトでもなければ、ママ友もおらず夫に言いたいことも言えない、いつもびくびく引きこもり、たまに出しゃばった行動をすれば空回る、そんな母親でも無い。 誰か一人にでもいいー、「変わったね。」と言われることを目標にし、皆が待つ店へと向かった。




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卑しい背中

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激安スーパーが詰め放題をするとチラシで知り、丁度、冷蔵庫が空っぽということもあり勢い良く玄関を飛び出した。
隣町にあるそのスーパーは穴場だ。知人に会うことも殆ど無い。皆、ショッピングモール内の大手スーパーだったり駅前のセレブスーパーを利用しているのだろう。
店に到着。既に、大勢の人々が群がっている店前。皆、何となくだがテイストが同じ。何ていうか、空気感が同じなのだ。言葉を換えれば、素敵ママのような人はここにはいない。

袋を手に取り、じゃがいも人参、それに玉ねぎを入れて行く。袋詰めの達人という人を以前テレビで観たことがあり、それを真似る。
確か、最後に人参を突き刺すように入れるのだ。袋から飛び出ていても、袋に先っぽが少しでも入っていればOKだ。
汗だくになりながら、顔を上げると、なんとアイツがいた。スネ夫ママだった。袋詰めに夢中で私に全く気付いていないようだ。いつからいたのだろう?私も顔を上げるまで気付かなかった。 つば広帽を目深にかぶり、必死の形相で野菜を詰めていた。途中途中で袋を伸ばしながら。


気付かれる前に退散しようー


そう思った時に彼女の方がすべて入れ終えたのか、レジに向かうのが見えた。先を越されたので、今度は入れていた野菜を出して、吟味するふりで別の物に入れ替える。




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「すごいねえ!よくこんなにたくさん入れたもんだ!!今日一番の量だよ!」


レジのおじさんが豪快に笑う。貧乏くさい・・正直、いつも、人を見下し透かした風を装っている彼女。そんなアイツだけれど、こうした店で鼻息荒くお得に飛びついているのだ。


「あーあ、袋破れちゃってるよ、本当はダメだけど、まぁいいや!特別!!」


気前良く、更に大きな袋に野菜を入れ替えるおじさん。アイツの後ろ姿がなんだか卑しく見える。
この姿を、皆に見せてやりたい・・・小さな反抗。アイツが去った後、レジに向かう私の持つ袋は十分余裕を持っていた。


「あれ?いいの?まだまだ入るけど。」


「大丈夫です、そんなに買っても腐らせてしまったら勿体無いので。」


私の心は、優越感で一杯になった。




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消えた気配

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そういえばー、夫から吉田さんの気配を感じなくなったことに気付いた最近。
体調不良で早退し、一日休みを取り、翌日から出勤。家にいても、あれ程うるさく鳴っていたライン音が聞こえない。
ホームパーティーも、恒例行事になるのではと案じていたが、あれからめっきりそういった話も出ない。
ほっとしつつも、しかし何となく落ち着かない。それはそれである種の「動き」を感じてしまう。
一歩踏み込んだー、そして壊れたー、そんなところだろうかとつい妄想してしまう。

そして、夫がそわそわしなくなったと同時に、また干渉が始まると思うと、それはそれで緊張するし嫌なものだ。カード明細のチェックだとか家計簿の抜き打ちチェック。
そして、最近夫がチェックをしていなかったことによりずさんだったレシート計算。久しぶりに電卓を出してみると合計金額が合わないことはざら。
レシートが出ない買い物だとかをその都度メモすることに怠惰になっているからだ。

色々と面倒なことがまた再開しそうだ。




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間の悪さ、運の無さ

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私は、やっぱり間が悪い。
楽しみな予定を入れれば、大抵何かしらのトラブルが起こりキャンセル。
逆に、憂鬱な予定がキャンセルになることは殆ど無い。天気予報は、週間予定でずっと晴れなのに、楽しみな予定の曜日だけ雨マークだったりもちょくちょくある。
とにかく、ついてない。
そして、今回は敬語ママとのランチ。店の下調べもしっかりして、彼女は忙しい人だから、基本、私が日程を合わせる形。それでもなるべくなら夫が代休で家にいる時以外、そして平日となると、案外、候補日は少ないものだった。
そして、ようやく日にちが決定、ランチ当日ー、まさか、自分がドタキャンするはめになるとは思わなかった。
子は熱も無いし、元気に登校。夫は出勤。後は準備ー
大急ぎで掃除洗濯、一応、そこまで遅くはならないけれど夕飯の下ごしらえをしたところで、携帯の着信ー夫からだった。




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「もしもし、今から帰るわ。」


「え!?」


「具合悪い。仕事にならん。」


「熱は!?」


「分からん。とにかく帰る。」


こちらは質問途中なのに、そんなことはお構い無しで電話を切る。普通の妻ならどうするか?夫の体調不良で約束をキャンセルするものなのだろうか?
しかも、私は運転出来ない。私がいても、出来ることは買い出しと看病くらい。しかし、子供じゃないのだー、一人で寝ていても大丈夫だろう?
そう思いつつ、しかし電話だけだとどれ程の体調の悪さなのか分からないのでどうにもならなかった。高熱なのか、病院に寄って帰るのか?もう一度こちらから掛け直すも圏外。
そして、最悪なことに、夫は自宅の鍵を持ち忘れることがある。嫌な予感がして、鍵置き場を見ると、やはり鍵は置かれたままだ。夫の帰宅時間の殆どは深夜ー家族が必ず在宅している時間帯なので、鍵を持つ習慣がそもそも無いのだ。
メールをしても、返信は無い。そして、今の時間は10時20分。夫が病院に寄らずに自宅に直帰したとしても、11時半は容易に回る。
敬語ママとの約束時間が11時半だった。遅刻してでも行くかー、もう潔くキャンセルするかー迷い迷った挙句、遅刻すると言って夫の状態次第ではキャンセルすることになるのなら、今の段階で諦めた方が良いとの直感が働いた。


ー本当にすみません!!!実は、先程実家の親が倒れたとの連絡があり、急遽、病院に連れていかなくてはならなくなりました。残念ですが、今日のランチは行けそうもありません。本当に楽しみにしていたのですが・・・ またの機会にお願いします。本当に本当にごめんなさいー


本当に本当に、ごめんなさいの気持ちは本当だった。しかし、嘘を付いた。夫の体調が悪いからキャンセルーは、何だか言いにくかった。だから、親の名前を使った。その方が、緊急性があるし、当日のドタキャンを受け入れて貰えるかもと思ったのだ。
気分はすっかり暗くなった。
またかーの気持ちと、これが子ならば諦めもつくけれど、大の大人ーしかも男というのが気に入らない。しかし、気持ちを入れ替えて、夫が帰宅したら介抱しなければと思い直す。
私が外に出て働かずに生活出来るのも、すべては夫が大黒柱として一家を支えてくれているのだからと。




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連続ハードル

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問題は、山積み。
次から次へと。
これは、何かの修行なのか?いや、人生ってのはそもそも修行の連続で。

誰だって、楽して楽しく生きていたい。好んで試練なんて乗り越えたくはない。
働きアリよりも、気楽に歌い続けるキリギリスでいたい。それが本音で、そう思うことは悪じゃない。

それでも、ハードルを飛び越える。飛び続けるのが人間。飛んだ先に達成感だとか、乗り越えた感だとかを得たっていう綺麗ごとじゃなく。
泣きながら、擦り傷を作りながら。それはただ生きる為に。
生きて行く為に、飛び続けるしかない。
その先に、何も無くても。
状況は変わらなくても。
悩み、もがき続けることが、回りまわって自分を楽にさせてあげる術なんだ。
それに気付くのが、何十年先であっても。
そうせずにはいられないんだ、それが、人間なんだ。




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出遅れ感と嫌な前兆

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先週のボランティアは欠席。通院している病院から薬を貰う日だったからだ。
それだけで、昨日の参加は緊張した。妙な焦りと共に、周囲から出遅れてしまった感を持ってしまうのだ。

部屋に入ると、平井さんと相良さんが楽し気に会話をしている。そのテーブル目指し、挨拶。勿論、にこやかに、大人の余裕を持って。
相手も丁寧に挨拶をし返してくれる。やはり、常識的な人達であることを再確認し、ほっとする。
二人は既に会話に花を咲かせていたので、何となく入るタイミングを失い、鞄からタオルハンカチを取り出し、かいてもいない汗を拭きとるような真似をした。
ひとしきり話すと、平井さんが私を気遣うように、先週行った作業の説明をしてくれた。それが嬉しく、そして私より彼女の方がだいぶ精神年齢が大人に思えた。


「ゆみちゃん!!こないだのあれ、持ってきたよ。」


突然、相良さんに向かって話し掛けて来た女性は、私と同世代女性グループの一人。それに笑顔で応える相良さん。平井さんも、そちらの方を見てにこにこする。
すると、その女性は平井さんに向かっても、何だかよく分からない内輪話を始めた。マシンガントークの女性は、丁度部屋に入って来た仲間を手招きする。例のー、私が当初仲良くなりたかった彼女だった。 2人は、私達グループのテーブルの傍からなかなか離れない。私は居たたまれなくなる。あまりにも早口でまくし立てる女性に、平井さん達も笑いながら相槌を打つ程度。


ーいつの間にこんなに仲良くなったの!?




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どう考えても、私が休んだ先週としか思えない。だって、前回私が参加した時は、彼女らグループと全く接点が無かった二人。一気に疎外感が湧く。
私がいなかった空白の時間、どのようにして彼女らは距離を縮めたのだろう?なぜ、私がいる時にはそのような機会が訪れなかったのだろう?むしろ、私がいないことで、彼女らは前から接点を持ちたかった二人に近づいたのか? お得意のマイナス思考に支配されそうになる。
幼稚園時代、私よりも後に引っ越してきたまいこちゃんママのことが頭に浮かぶ。嫌な前兆。
スタッフが部屋に入って来たことで、彼女らは自分達のテーブルに戻って行った。平井さんと相良さんは、楽しそうにーそして、もうすっかり何年も前からこのボランティアに参加しているような存在感を持ち始めていた。私のように、周囲をキョロキョロするような挙動不審な動きも見られない。


ーまた、取り残されたー


スタッフの説明は、私の頭上をすり抜けて行った。意識はずっと、目の前に座っている二人と女性グループに向けられたまま、どうしてもそこから離れられずにいた。




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本と孤独

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我が家にピアノの音色。お茶を飲みながらの優雅な時間ー
というのは、理想。まだ習い始めたばかりの子なので、曲という曲になってはいない。
めっきり、放課後メンバーと遊ぶことも無くなった。子に聞けば、ピアノの練習をしたいからということ。
新しいクラスでは、友達が出来たのだろうか?聞きたい気持ちをぐっと抑える。


「学校で本読みたいから、買って。」


先日、買い物に一緒に出た際、子にそう言われてから気になっていた。


「学校って・・いつ読むの?」


「休み時間とか。」


「図書館は?」


「もう、読みたいものが無い。」


「友達とは、遊ばないの?」


「一人が好きだから。」


子の台詞に絶句した。何となく、クラスに仲良しがいない風なのは察していたが、それでも読みたい本がもう無いという程そこに通い詰めていたということか?
つたない音色。不器用な指先。子の性格がそれを表すように、友達関係でもそうなのか?だとしたら、それは私が原因か?
登下校は、相変わらず一人のようだ。ただ、高学年になるにつれて、そういう子も増えてくると聞いたことがある。それぞれ放課後は塾や習い事などに追われていることもあり、友達とうだうだ寄り道をしながら下校する子の方が少ないのだ。
教室で、一人静かに本を読む子を思い浮かべると何とも言えない気持ちになる。しかし、子が選んだ過ごし方に×を付けるのは親として間違っている気もする。
SOSが無い限り、今は見守ること。リラックス出来る場を作ることーそれだけが、今、私のすべきことなのだ。




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ハブられランチ会

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敬語ママとランチの日取りを決める為にメールをしていた際、知りたくない情報が入って来た。
来月、元幼稚園メンバーで久しぶりのランチ会をするとのことだった。飲み会などは定期的に行われているらしいが、子供を交えての同窓会的なものは久しぶり。
メール越しだが、彼女の口ぶりから、私も当然誘われていると思っているようだった。
幹事は恐らくスネ夫ママだろう。そして、私のところにはお誘いメール1本すら来ていない。卒園してから、習い事のプールで嫌な思いをし、やっと離れられたかと思えば今度は学校で同じクラス。 接点は多いはずなのに、私のことを相変わらず透明人間のように扱う彼女。相変わらず、嫌な奴。
敬語ママには、実際誘われていない事実を言えるはずもなく、話を合わせるのに気疲れしてしまった。

卒園すれば、切れる縁ーそう思っていたけれど、彼女の息子と子は、このまま受験などしなければ同中だ。性別が違うだけまだましだが、それでも気が重いのは、こうしていまだにハブられているからだ。
それに引き換え、敬語ママは誰とでもある一線を置いているようで、実はそうでもない。丁寧なだけで、間口が広い。だから、顔も広いしこんな私とさえランチをしようと声を掛けてくれるのだ。
有難いーしかし、同時に自分の対人関係スキルの無さが浮き彫りになるようで辛かった。彼女と付き合わなければ、こうした嫌な情報だって入っては来ないのだ。




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子ども会、くじ引き

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会長は、妊婦といっても4人目を腹に抱えている大ベテラン母だ。しかも、上3人は全て男の子。長男は既に高校生だと小耳に挟んだことがある。貫禄があり、どんとしている。
Dちゃんママや素敵ママらの下見グループは、既にお役御免と高みの見物。係がまだ決まっていない人は、8人。皆、それぞれ出来ない理由を上げる。


「私、下の子の幼稚園の役員もしているので、行事がかぶったりすることもあるかと思うので、ちょっと自信無いです。夜はまだ下の子も小さいし、家を空けるのは厳しいです。」


「えー、大丈夫だよ。私、上の子と下の子の役員しながら子ども会の書記も出来てたよ。」


気の強そうな母親が横やりを入れる。


「でも・・子供も持病のある子なんで、何かあったらその対応もしないとならないし・・・」


持病ーというキーワード。これには誰も突っ込めない。本人の持病であろうが子供の持病であろうが、そこまで親密では無い知り合いママに、突っ込んで聞くことなど出来ない。
ある意味、うまく逃げたのだろう。彼女はその一言でお役御免となった。


「私、正社で土日出勤も割とあるんですよ。なので、土日に行事が多い子ども会の仕事は、引き受けるのは難しいです。」


「そんなの、フルタイムで役員している人なんてたくさんいるよ。それ言ったら、誰も出来ないでしょ。」


Eちゃんママが冷たい視線を送りつつ、軽蔑したように言う。


「じゃあ、くじでいいんじゃないですか。」


他の誰かが時計を見ながら提案する。


「どうせくじをするなら、子ども会役員の経験者は外したら?」


余計なことを言う人物もいる。


「経験者は、大抵殆どの行事の手伝いしてるんだし。ピンポイントの係なら、普段あまりやってない人にして貰うのが筋なんじゃないですか?」


「そうですね。そうしましょう。じゃあ・・未経験の人、挙手して下さい。」


会長に促され、挙手したのは私ともう一人の女性ー、酒井さんだった。酒井さんが下見グループに入っていなかったのが意外で、素敵ママらと何かあったのだろうか?
こんな窮地に立たされながらも、他人の心配をする自分の余裕に、なんだか他人事気分だった。







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「今日、来てない人はどうするんですか?」


素敵ママが突然発言した。


「それこそ、この会に出席したOOさんや酒井さんで決めるのは、フェアじゃないと思うんですけど。普段あまりやってない人っていうのなら、そもそもこういう集まりに参加していない会員もくじの中に入れるべきでは?」


素敵ママが、天使に見えた。そして、やはりすごい人なんだなと思う。周囲から拍手が起こった。
そして、この会の欠席者で役員未経験ーそもそもこの会を欠席する=未経験なのだろうけれど、それを合わせると、くじの人数は10名にもなった。その中から2人。
心臓はドキドキし、脂汗が出る程。酒井さんは、涼しい顔で袋の中のくじを引く。この場にいない人の分は、代わりに会長が引く。そして、私の番。
紙を開いて、赤丸があれば「当たり」。皆の視線が自分に集まっていることを肌で感じ、顔が赤く染まっていく。


祈る思いで紙を開いたー


ー白紙ー


助かった。
良かったー、助かった。
胸を撫で下ろしたところで、酒井さんはどうなったのかと顔を上げると、皆が彼女に向かって拍手をしているところだった。


「では、よろしくお願いしますね。」


会長に笑顔を向けられた酒井さんは、しかし動揺するわけでもない、平然とした表情で、


「はーい、頑張りまーす。」


多少、ふざけた雰囲気で会長の代役を引き受けることを了承したようだった。そして、素敵ママと笑い合っているのを見て、下見は本当に彼女自身の都合が悪かったことでパスしたのだと知った。
負担の重い係に抜擢されなかったことに安堵しつつ、影の薄さが更に強まり、自分の居場所がますます無くなり焦るー、そんな矛盾した感情を抱く自分がうざったかった。





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子ども会、係決め

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子ども会の打ち合わせに出席した。
鼻息荒く意気込んだ割に、あの苦手なEちゃんママが来ていたことで萎縮してしまい、元々無い存在感が更に薄いものになる。
まだ年度始めということで、役員は決定していても、皆それぞれ事情がある中で引き受けてくれたこともあり、そうで無いメンバーも出来ることからお手伝いをしようという雰囲気。
ホワイトボードに書かれた「係決め」は、少々荷が重いものばかり。本来なら役員がやるものであっても、仕事や他の兄弟事情でどうしても無理ーそんな仕事を私達、出来る者からやって行こうという集まりだった。
意義ある集まりなのだが、新参者の私にとって、もしそのどれかに割り当てられたなら全う出来るのか?

〇リクリエーションの下見と餅つきの講習会
〇自治会との連携会議(年のうち、役員が出席出来ない数回で、時間帯は夜)
〇学校PTAとの連携会議(上記同様、しかし時間帯は日中)
〇夏祭りの神輿作りの仕切り(役員はどうしても帰省するので無理)
〇ラジオ体操の仕切り
〇妊婦である会長の出産時期の代役






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後は忘れてしまったが、思い出せるのはこんな感じ。最後の、会長の代役というものは絶対に引き受けたく無いしその器が私には無い。
しかし、存在感の無い私をよそに、ボケボケしていると次々に立候補で決まって行った。残ったのが、やはり最後の代役と自治会との連携会議というもの。
早々と立候補し決まったDちゃんママやAちゃんママ達は、仲良く一緒に下見と餅つき講習会。下見なんて2~3人もいれば十分なのに、他の係になりたくないからなのか?8人も入り込んだ。
仲良しメンバーなので、そこに私が入るわけにもいかない。PTAの会議は、既に学校役員をしている人が、どちらにしても会議に出るのだから兼任という形で引き受けるとのこと。
サクサク決まり、神輿作り。これに立候補しようとしたところ、あの苦手なEちゃんママが挙手したことにより諦めた。
ならば、ラジオ体操の仕切りー、と思ったのだが、説明を聞くと、手本になって皆の前で体操をすると言う。運動音痴な自分にそんな勇気は無く、つい挙げかけた手を引っ込めたのだった。
後から思えば、残りの2つと比較すれば、まだマシだった。しかし、気付いた時には既に定員オーバーだった。


「では・・私の代役とー、自治会との連携会議ですね。どうしましょうか?」


それまでざわついていた母親達は押し黙り、気まずい沈黙が続いた。




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飛ぶ万札

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月に一度の歯科矯正。
先日、30万支払いを要求されたこともあり、当分はもうないだろうと安心していた。
しかし、歯科医が、子のレントゲンを見ながら頭をひねっている。


「うーん、どうしようかな。うーん、やっぱり作った方がいいかな。」


ーえ?作る?この間、新しいブリッジを入れたばかりだけど。


内心、動揺するが表に出さないようにするのに必死だ。


「今、使用しているマウスピースですが、もうこんなに小さいので作り変えた方がいいかもしれません。」


先日のは、固定の矯正器具。それが30万掛かったのだが、今度のは毎晩寝る際装着するマウスピースだ。こちらの上側がサイズオーバーらしい。


「まだ下は大丈夫です。ただ、上がね、もうほら。」


そう言いながら、持参して来たマウスピースの上部分を子の歯にあてがうと、確かに一部がずれて浮いている状態だ。夜のマウスピースの装着は、本人にやらせているので気付かなかった。


「どうします?」




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そう聞かれ、NOと答える親などいるのだろうか?有無を言わせない、けれども社交辞令的なお伺いを立てるのは、私の表情を意識してなのか?明らかに、夫にまた支払いの催促をすることを思うと憂鬱で、それがついつい顔に出てしまったのだ。


「お願いします。」


歯科医は満足そうに頷くと、後は受付で詳細を聞いてくれと言い子に向き直った。
私の頭はクラクラしていた。そして、受付で説明を聞き、サインを書き、その横に並んだ数字を見てまた頭がクラクラした。


ー5万・・・


こんなに掛かるとは思わなかった矯正代。当初、これを自分の内職だけでやろうとしていたのだから、いかに自分が無知だったのかを思い知らされる。しかし、一つだけ良いこともあった。
学校で行われた歯科検診で、子がこう言われたらしい。


「歯並び、良くなってますね。この調子で頑張ってね。」


湯水の如く金が飛ぶ度、夫の言うようにこの歯科医院は大丈夫だろうか?という気持ちがあったのも事実。しかし、このままで良いのだと違うところから太鼓判を押されたことで、不安感は無くなった。
後は、夫の機嫌の良い時に金の催促だ。
今日は、夫お気に入りの銘柄ビールと好物のメニューを作る為の材料の買い出しに行くことに決めた。




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小遣い稼ぎ

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普通の主婦が、旅行のついでに金塊を運んで報酬を得ていたというニュース。
エプロン姿の女性達が連行される姿。恐らく、まだ家族に朝ご飯や弁当を作っていた時間帯に、警察が来たのだろう。その映像はやけに生々しかった。


軽はずみー


彼女等を庇う訳ではないけれど、悪気があったように思えない。主婦の小遣い稼ぎという言葉は好きではないが、このニュースを観た時、この言葉がしっくり来た。


主婦は、小遣いを欲している。
自分の自由になる金。
夫の稼ぎは、ローンだったり教育費だったり、また普段の生活費に充てられる。また、自らが仕事をしていたとしても、表立っている分、自分の為だけに好き勝手使えるはずもない。
家族の為にー、誰かに強要されなくても、それが母として妻として与えられた役割ー、すなわち使命なのだ。





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「小遣い稼ぎ」という言葉。
これは、何となくダークなイメージがある。家族に秘密で稼いだ金。言い換えれば、へそくりのようなもの。
しかし、秘密という甘い蜜は私達の心を豊かにするのだ。実際、それを使わなくても、ただ自分の為だけにあれこれ使える金があるという事実は心の余裕を生むし、ウインドーショッピングをしていても常にそれがリアルと隣り合わせであれば、幸福度も増す。
結果、「買わない」と選択したとしても、「買わない(買えるけれど、今回は見送ろう)」という意味合いにおいては、金が無いから諦める「買えない」とは似ているようで全く違う。

スタバのコーヒーを1杯飲む。主婦にとって、500円以上もするそれを飲むのには覚悟が要る。10分足らずで消える500円。駄目出しされながら、パートを時給980円で行っている主婦にとって、ワンコインの価値は尊い。しかし、「小遣い稼ぎ」で得た金で買うフラペチーノを飲むとすれば、妙な罪悪感などまるで無い。ただただそれを100%愉しむことが出来る。そもそも誰にも知られていない金だから、無料で貰ったーそんな感覚なのだ。夫の労働力の対価でも無い、主婦業を犠牲にして得たパート代の対価でも無い。そもそも初めから無かったー、当てにされない稼ぎというものは、俄然フリーダムなのだ。
夫が莫大な金を稼ぎ、湯水のようにあったらあった分使えるセレブ専業主婦であればそんなみみっちい計算などしないだろうけれど、普通の感覚を持った主婦ならば、もっと自由に使える金が欲しいと思うのは至極当然のことなのだ。

すっぽり空いた落とし穴。彼女等はそれにはまってしまったのだ。もしかしたら、それは私だったのかもしれないと思うと、他人事とは思えなかった。
ネットで仕事を探すと、たまに驚く程報酬が高い案件がある。運び屋ではないけれど、それに近い仕事。ちょっと名前を貸しただけで数万円の仕事。
死ぬ程金に困っていたら、つい手を出してしまうような案件だ。風俗と天秤に掛けたら、「ソッチ」の方が割がいいと思ってしまう。何の取柄も無い金に困っている主婦ならすぐ飛び付いてしまうような、高収入の仕事が巷では出回っている。
情報の取捨選択ー、私達に与えられたこれからの課題。適格に自分に必要なそれを選び取れるかどうかが、真の豊かさに繋がるのだと思う。




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依存症

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夫が朝まで残業ー?飲み会?の夜は、ついつい高が外れてしまう。激安スーパーで購入したサワーやワインで一人、子が寝た後に宴会だ。
一人だから、そう愉快なものでもない。
しかし、テーブルの上には尋常では無い空き缶の数。自分でも引いてしまう。350ml缶が6缶だ。毎日では無いーだから大丈夫。
ネットで調べた依存度は、量は関係無くても、休肝日があるかどうかだと言う。それに至っては大丈夫。
しかし、家族で内緒ーこの項目はバッチリ当てはまるので、やはりまずいのかとも思う。

最近、自分でも頑張っていると思う。引きこもりの癖に、社会に関わろうとあれこれ試行錯誤していたり、実際それを行動に移している。
もうすぐ子供会の会合があるのも、正直気が重い。参加すると言ったものの、やっぱりウジウジと悩む自分がいる。あの、何とも言えない居たたまれない空気。仲良し同士の中で無様に空回り浮いてしまう、不器用な自分。 変わりたい気持ちは、いまだ消えない。
過去を思えば、成功した試しなど無いのに、それでもいつか自分が理想の自分と出会えるのではないかと果てない夢を見てしまうのだ。

フラフラになりながら、これを書いている。パイン味のそれは、常夏気分。音一つ無い、暗い部屋でこうしてPCに向かっているのに、味覚は私を前向きにさせる。
心配事や憂鬱な予定ー、それを、大したことでは無いと変換してくれる。
少し楽しみなことは、何十倍も愉快なアミューズメントにしてくれる。
+に働いているのだから、いいでは無いかー、そう思う自分がいる一方で、「依存」という言葉にブレーキを掛けているところもある。最近、以前のように甘い物を取らなくなった。
依存と言えば、チョコレートホリック気味だったこともある。それが、めっきり摂取していないことに気付き、別のもので満たされているからなのだと悟る。
まずいーと思う気持ちと、まだ大丈夫という気持ち。その狭間で揺れながらも、もう一杯とついつい手を伸ばす意志の弱い私がいるのだ。




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ほっとする時間

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昨日は、子も6時間授業で遅く予定も無いので一人、少し大きな本屋へ行った。
そこで、気付いたら3時間も過ごしていた。

図書館も好きだが、昔から本屋も好き。
じっくり立ち読みするわけでもなく、ただフラフラとあらゆる分野の書籍の背表紙を眺めるのだ。題名は、筆者が特に思い入れのあるもの。だから、面白い。手短だが、核心を付くタイトルもあれば、だらだらと長ったらしいだけの退屈なタイトルもあり、個性豊か。
日本人皆に与えられた、平等な五十音を並び替え、凡人が想像も出来ないような言葉を操る。そして、たまにうっとりする言葉に出会えた時、心すべてが浄化されていくような気がするのだ。
勿論、気になったものがあれば手に取りページを捲る。

最近の本屋は親切だ。私が子供時代には無かった、「座り読み」が出来る椅子があったり、またカフェが併設されていたり。アミューズメント化されている。
子供コーナーは、見本の音の鳴る絵本があちこちにあるだけでなく、磁石のおもちゃやパズル、組み立て式の小さな積み木などもあり、これから暑くなる日中、公園など外遊びがきつい時に小さな子供を連れて来る母親も多いだろう。

雑誌コーナーで、料理や節約本を見るのも好きだ。図書館にも勿論こういった類のものは置いてあるが、しかし人気な為何号も前のバックナンバーしか手に取れない。しかもボロボロ。
読みたいページは、ひとつの雑誌に1~2ページなので、買うまでも無い時にこういった座り読み許可の本屋は大助かりだ。

健康の雑誌、今を時めくファッション誌、ゴシップ雑誌や教育本。涼しい場所での暇つぶしには最適だ。
それでも、読み逃げするのも悪く思い、つい必要の無いものに手を伸ばしてしまうのが私の悪いところ。子が、以前小遣いで買おうかどうか迷って結局買わずにいたコミック本を1冊手に取りレジに向かった。



ー甘いな・・


ピアノや矯正など金が掛かり始めた子。これからもっと教育費は嵩んでいくと思われる。それでも、ついつい子の喜ぶ顔を想像すると財布の紐が緩くなる。


ーテスト、100点取った時にでも渡そう。


せめてもの条件を付けて、少しの罪悪感を取り除く。しかし、すぐに楽しい気分になる。
本屋特有の新しい紙の匂いに包まれて、軽い足取りで店を後にした。





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女の子から女性へ

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「なんか、ここがムズムズする。」


最近、子がしきりに胸を触り始めた。最初は、何か虫にでも刺されたのだろうと思い子の訴えを流し聞いていたが、あまりにも頻繁なので注意して見てみると、なんとなく乳首の先が尖ってるように見えた。
子は、身長体重ともに4年生女子平均値のど真ん中。それでも、早い子はもう初潮を迎えていてもおかしくない時期に来たのだとネットで知った。まだ下の毛は生えていなかったが、それでも近いうちにそれも訪れるのだろうと思うと、なんとも切ないような微妙な気持ちになった。
10歳という年齢。成人までの半分に来てしまった。
思えば、一緒に風呂に入った時に、なんとなく体が丸みを帯びて来たと感じていたのだ。
そろそろ、生理用ナプキンの使い方と、もしも学校など外でそれが起きた時にどう対応したら良いのかをレクチャーしなくてはならない。一緒にスポーツブラと生理用ショーツを買いに行かないと。
複雑だが、女親として娘にきちんと教えなければならないし、それは誰にでもやって来ることで決して怖いことでも恥ずかしいことでもないと伝えなければと思う。




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ほろ酔い深夜の写真

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6月のカレンダー

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ボランティアはまだ数回しか参加していないが、対人恐怖というか不安症の私も少しだけ免疫がついたようだ。
以前、くじけてからというもの欠席続きだった子ども会。その会合に出席することに決めたのだ。素敵ママからメールが来たのが子が寝静まり、夫も飲み会だった夜。
398円の安ワインをグラス2杯程飲んで良い気持ちになっていたこともあり、


「ようやく都合付きそう!出席します^^」


二つ返事で返信をしたのだ。
翌朝、いつもなら早まったことをしたと気分が塞ぐのだが、珍しく前向きだ。なんだろうーこのところ前向きだ。
子が、ようやく熱中出来そうなことを見つけ、とんとん拍子に夫が金を出してくれたことも一つの要因。放課後、だらだらゲームをすることも無くなり、真っ先にピアノの鍵盤に向かうようになるのかと思うと、まだレッスンが始まってもいないのに嬉しさで胸が弾む。 押し付けたくはなかった。だから、じっと待っていた。子が、自分の興味の扉を見つけ、それを開く日をー
大袈裟かもしれないが、私の人生の扉まで開いてくれた、そんな気がしたのだ。
何をやっても不器用で要領も悪い。見た目だって地味で陰気だし、黙っていれば人は通り過ぎて行くだけ。こちらから普通の人の何倍もの人に声を掛けて、ようやく一人話せる人が出来るか出来ないかー私はそんな星の元に生まれたのだ。 それを知ったうえで、諦めるのではない、努力しようと思った。

子ども会は、特殊な世界だ。しかし、素敵ママをはじめ、少数だが「話せる」人はいる。それでいい。その話せる人とすら疎遠になり、そういう場が苦手だからとどんどん引き籠っていたら、その時は楽かもしれないけれど後々後悔するー、少なくとも私はそう感じるのだ。
ほぼ空白のカレンダーだが、ボランティアに子ども会、それに敬語ママとのランチと、私にしては珍しく予定のある6月。
じめじめした時期だけれど、多少無理してでもカラッとした気分で過ごす為に、頑張れるチャンスの場は自ら作る。人生を長いスパンで見たら、子育てなんてあっという間だ。




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所属の数

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人間の幸福度は、所属の数によるところが大きいー何かの調査結果で明らかになったと今朝のラジオで聴いた。
子が一人っ子で専業主婦の私にとって、その言葉は身に染みた。そういえばー、複数子持ちの親は顔が広く、交友関係も広い。与えられた24時間は皆に平等だから、子供の世話をするだけでも精一杯。 専業であっても、洗濯物や学校行事、係活動や習い事の送迎、勉強を見てやったりとすべてが子供の数の倍数なのだ。
時間がぽっかり出来ると、ついつい足りないものを数えてしまう。そして、マイナス思考に陥ることで自己肯定感を喪失し、人との関わりも不得手になる。孤独感にさいなまれるという悪循環だ。

ボランティアを始めて、少しだけ所属欲求が満たされたけれど、また別の悩みも出て来た。この、周囲を気にしてしまう性格をどうにかしたい。
相良さんと平井さんは、若いけれどこういったボランティアに参加するだけあって、感じも良いし常識人だ。しかし、昨日のボランティアでも私は他所のグループばかりに気を取られてしまう。
同世代の女性達のグループだ。聞こえてしまったのが、子供の話。運動会がどうのこうの言っていた。一際目立つ彼女等が視界に入る度に胸がざわざわする。いまだ挨拶すら交わしていないことに焦りを覚える。
相良さんと平井さんは、同じく主婦であることが分かった。しかし、子供はいないらしい。私だけが子持ちだったのだ。
何となく、雑談の中で言葉を選んでしまう。こちらから我が子の話は出さないようにしている。聞かれれば答えるーというスタンス。
結婚して何年目なのかだとか、なぜ子供がいないのかーとか、そこまでは分からない。ただ、もしものことを考えての配慮は必要だ。しかしそういった気遣いは、かえって相手を不快にしてしまうのかもしれないけれど・・・
手作業をしながら、私達のテーブルはすぐに沈黙になってしまう。男女混合の老齢グループはまったりと、しかし、全体的には圧倒的に女性が多い。平日の昼間活動となればそれも当たり前のことだろうが。
平井さんは、転勤族の妻。ご主人が不規則な仕事をしていることもあり、パートをするのも厳しいと言う。なので、こういったボランティア活動をいくつか掛け持ちし、忙しい日々を送っているらしい。相良さんは、週3パートをしており、その合間に習い事をしつつ、それでも時間を持て余しているのでこの活動に参加したとのこと。
彼女らからしたら、子育ては未知の世界で私の生活がどれくらい大変なのか、それともどれくらい暇なのか、想像もつかないようだ。



「お子さんいたら、毎日お忙しいですよね。」


そう聞かれて、


「えぇ、まあ・・・いや、そうでもないですよ。もう大きいですし。」


曖昧な返事をしてしまう。
子育てに、大変さは勿論ある。ただ、その加減は仕事と違って調整出来る。勿論、その子自体の能力によるところが大きいけれど。手を掛ければいくらでも掛けられるし、抜けばいくらでも抜ける。だから、子育ては奥深い。
私からしたら、彼女らの方が忙しそうに見えた。しょっちゅうスマホからはライン音が聞こえるし、ちょっとした雑談の中で、彼女らの背景に数多くの所属する場が見えるからだ。

この場が、私の第二の人生ー、私個人の居場所になるのだろうか?それはまだ分からない。正直、まだピンと来るものが無い。彼女らが私と同世代で、また同じように子持ちであったら違ったのかも・・ いや、そういったくくりで考えることはナンセンスだ。この出会いだって一つの出会い。大事にしていこうー「主婦」というくくりで考えたらいくらだって共通項はある。
彼女らの爽やか過ぎる笑顔を見ていたら、気持ちはいくらか前向きになるのだ。




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ピアノ購入

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中古だが、当初先生より勧められていた機種のピアノを購入することが出来た。予算内におさまり、実際届いたそれは、中古と言われなければ分からない程の美品だったので、得した気分。
子は早速、嬉しそうに鍵盤に触れている。家に音のある生活ーなかなか良いものだ。

先生に、早速電話でレッスンをお願いする旨を伝えた。
最初こそ、固い声だった先生。しかしこちらが、習う意思を伝えた途端、華やいだ声になる。


「良かったです~、〇〇ちゃん、体験でも音感が良くって、何よりやりたい意思がこちらにとても伝わって来ていたので、どんどん才能を伸ばしてあげたいなって思っていたから。」


ー才能ー


先生の言う「才能」が、どの程度のレベルを指すのかは分からない。しかし、そう言われて悪い気になる親などいるものか。
こちらまで上機嫌になりながら、電話越しだが丁寧にお辞儀をしながら受話器を置いた。


「楽しみだな~」


子にも先生のレッスンが決まったことを話すと、音楽の教科書を開き、早速試し弾きを始める。私はそれを耳にしながら、携帯で「お稽古事のマナー」とやらのサイトを眺める。
バレエやピアノは、そろばんなどの習い事と違って敷居が高いものだ。色々後から調べてみれば、月謝などの他にも諸々の費用が掛かるらしい。
先生のお礼ーつまりは、お中元やお歳暮。また発表会の際は出演料や衣装代、それに写真代など。それにプラスして、先生に再度謝礼をするらしい。お金や商品券ーそれに花束や菓子折りだ。 案外掛かる費用に、レッスンが決まったものの腰が引けてしまう。
しかし、子がやりたいと言い出したこと。全力で親として出来る範囲でサポートして行きたい。

まずはー、初回レッスン。
ここで、何か挨拶としての手土産が必要になると思われる。ワンレッスン分の菓子折りで良いのだろうか?それでも2000円程。ネットで調べてみると、そういった挨拶の品は、昔はあったものの今はしない風潮もあると言う。
ただー、迷うならした方が良いのだろうか?
失礼の無いようー、検索し過ぎて疲れてしまったが、充実を伴う疲れだった。




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