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百合のような人

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社内HPに掲載されているその子ー、その人ではなく「その子」は、私が想像していた以上に若い女性だった。
一回り以上は年下だ。入社3年目とご丁寧なプロフィール。
黒髪の清楚な雰囲気を醸し出す彼女は、雰囲気美人といったところだろうか。派手では無いのに華やか。こういう子が男受けするのだと思う。
派手で華やかな子よりも、安心感を持てる子。例えば、眼鏡を取ったら美しい女性のような・・花に例えるのなら、百合だろうか。
ビンゴと思ったのは、プロフィールにある所属部署が夫と同じだったからだ。
若い子には勝てない。いや、昔の私でも勝てない。今更だけれど、何故夫が私を結婚相手に選んだのかさえ分からない。
妻の私が言うのもおかしいが、夫はそれなりのハイスペック。高学歴だし誰もが知る企業で働いている。義実家だって、家族構成は少々難ありだが、きちんとしている。

妄想はどんどん膨らむ。いつか、捨てられるのでは無いかという不安。吉田さんの時もそうだった。何故、彼女と夫があれだけ親しくしていたのに疎遠になったのか分からないけれど。追究するのも苦しくて、見てみない振りをし続けたのだ。
いや、水面下ではまだ関係は続いているのかもしれない。
悶々とした気持ちは次第に膨らみ、PC画面の中で可憐な笑顔を向けるその子に、どうしても嫉妬心を抑えることが出来ず、すぐさまキーボードを力任せに叩きシャットダウンした。




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  • 2018/01/31

憐れな才能

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夫が帰宅し、子が年賀状の催促をするとあっさり。
風呂に入り、そそくさと夕飯を食べ、すぐに寝室へ向かってしまった。勿論、手にはスマホだ。
子も、大量の年賀状と当選番号を最初は張り切って照らし合わせていたものの、見たいテレビに負けてすぐに放置。私はその束を何も言わずさり気無く戸棚に仕舞った。
夫に聞かれたら、子が放りっぱなしにしていたから預かっていたと言えばいい。
週が始まり、夫と子がそれぞれ出勤と登校で家を空けるとすぐさま年賀状を取り出し、目を皿のようにして一枚一枚チェックした。


ー恵
ーめぐみ


該当する名前を持つ差出人は2名。そして、そのうちの1名は夫婦連名。もう一人は、明らかに独身だ。
この女だと直感する。裏を返すと、写真などはなくその代わりにスヌーピイーのイラストと一言。その一言でその女はだいぶ若く、そして会社の人間なのだと知る。
敬語だが、馴れ馴れしい言葉遣い。二人の間でしか分からないような隠語が含まれているのではないかとさえ思う。
フルネームが分かったところで、また思い付いてしまった。会社のHPを見るのだ。採用情報などによくある社員紹介コーナー。
もしかしたら・・・こういう勘だけは、昔からよく当たる。私という人間は悲しいことに、何の才能も特技も無いというのに、こういう場で力を発揮してしまうのだ。




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茶渋

胸の中のざわつきを抑えながら過ごした週末。
昨日は夫が休みだったのだけれど、義実家訪問も無く、久しぶりに家族水入らずの日曜日。


「ここ、汚い。ちゃんと洗ってる?」


ぼんやりしていたら、コーヒーの入っているマグカップについて指摘があった。慌てて言われたそれを見てみると、確かに茶渋が付いていた。
定期的に茶渋は専用スポンジで落としていたつもりだが、たまたまそのカップは汚れが落ちきっていなかったのだ。
その他にも、掃除だけではなく料理についてもいちいち文句を言われた。野菜の切り方だとかーこれもたまたま包丁の切れが悪く、味噌汁に入っているネギが少々連なってしまったのだ。


「雑だな。」


そう言い残すと、散歩に行くと言って外に出てi行ってしまった。そのまま昼過ぎから夕方6時過ぎまで夫は帰って来なかった。
あのラインを見てから、年賀状の確認をしたかったのだが、見当を付けていた引き出しなど、気付かれないよう漁ってはみたもののそれらしき束は出て来なかった。
悶々としつつ、閃く。夫の散歩に付いて行かず、家でゴロゴロしている子に目を付けた。


「ねえ。ママの年賀状の当選番号調べて。」


実際、自分で調べて、既にすべてハズレなのは分かっていたのだけれど、あたかも今思い出した風に言う。枚数の無い年賀状だが、それでも子は楽しそうに当選番号とハガキを照らし合わす。 すぐに終わってしまい、子の分も終わり、物足りなくなったのか、


「パパのは?」


と聞いて来た。思惑通りだ。




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megu

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朝。
夫がトイレに立った時、スマホが震えた。食器を片付ける振りをしつつさり気無く覗く。


ー昨日は、ご馳走様でした。


敬語?また、送信者のハンドルネームのようなものはローマ字で「megu」とあり、これで相手は女だと確信する。と、同時に吉田さんでは無いとも。
彼女のハンドルネームは、確か「YOSHI」が付いた。
ご馳走様ということは、夫が金を出したということだ。複数人での会食なのかそれとも一対一なのか定かではない。
会社の付き合いなのかプライベートなのか、それも分からない。分かるのは、「megu」という固有名詞だけ。
そして、女の特定方法を思い付いた。年賀状だ。




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  • 2018/01/27

疑惑

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昨夜は、随分とご機嫌で帰宅した夫。
雪かきの件もあり、小言の一つでもあるだろうと覚悟していたが、空振り。
それは良いのだが、シャワーから聞こえる陽気な歌声に、不信感を覚える。

珍しく、風呂場に置かずにダイニングテーブルに置いたままのスマホ。余程飲んだのだろう。
何度も振動があり、そのたびに液晶画面に光が灯る。見たくない気持ちと見てやりたい気持ちが交錯するが、テーブルを拭くついでにたまたま視界に入ったと言わんばかりにゆっくりとした動作で布巾を動かす。 また振動があり、明らかに女性からのライン。


ー美味しかったね!


たったそれだけ。それに続く言葉はポップアップのメッセージ中には、字数が足りず出て来ない。
次のメッセージを待つ間に、夫が風呂場から出る音が聞こえ、その場を慌てて離れた。

またしばらく、悶々とした日々が続く。また、吉田さん?




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雪かき

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「まったく、気が利かないな。」


昼間に夫から電話があり、呆れ声でそう言い放たれた。
改めて私は、世間とずれており使えない人間であり、対人関係がうまくいかないのだと思う。
雪かきの頭が無かったのだ。雪の翌日、朝から外が騒がしいとは思っていた。しかし、こたつの中でぬくぬくうたた寝しており、夫からの電話で目が覚めたのだ。


「まさかとは思うけど、駐車場の雪かきってどうした?」


「-!」


しまったと心の中でつぶやいている「間」によって、何もしていないことがばれた。そして、電話口でぼろくそに言われた。仕事先で苛つく夫の表情が目に浮かび、思わず身が竦んだ。
言い訳になるが、運転をしない私にとって駐車場の雪かきを怠るとどうなるかなんて想像がつかないのだ。そもそも、エントランスの雪かきすら忘れており、これには流石に非常識だと自分の頭を叩きたくなった。
受話器を置き、急いで身支度をする。ニット帽にマスクとダウンで完全防備。今更、雪かきをしに出て来た「使えない主婦」という看板を下げて行くのだから、誰とも会いたくなかった。
恐る恐るエントランスへ行くと、やはり主婦の群れ。小さな子供達を遊ばせながら、少しの男性ー初老か定年したようなーが混じって、大きなスコップを持ち雪かきをしていた。
素敵ママの下の子がいたが、今日はパパと一緒。ご主人が休みなのか、彼女の姿は無かった。
主婦の群れは、酒井さんやその他子ども会で何度か見掛けたことのあるような女性数人と自治会の顔の利く主婦ら達。その横を会釈しながら通り過ぎた。誰も、私に向かって声を掛けない。
楽しそうに雑談をしながら、スコップを動かしている。

駐車場へ行くと、我が家の車とその周りだけが雪に埋もれていた。数人、雪かきをしているようだったが、もう終盤なのかすっかり車は綺麗。
恥ずかしい思いで、必死になって車の雪を払う。ドサッとバンパーから大量の雪が落ち、自らの体に掛かる。
必死になって、雪を避けていると、突然遠くから怒鳴り声が聞こえた。


「ちょっとちょっと!!うちの車に掛けないでもらえますか!?」


眼鏡を掛けた小太りの女性が、物凄い形相でこちらに向かって歩いて来た。


「折角、朝いちでやったのに!お宅のところの雪、こっちに寄せないで!!」


「ごめんなさい…」


何度も頭を下げ、泣きたい気持ちでいると、女性は満足したのか鼻を鳴らしそのままその場を後にした。
まだ雪かきをしている数人の視線が痛い。きっと、非常識で頭の悪い女だと思われているだろう。いい年なのに、何も出来ない役立たずの主婦だと・・
穴があったら入りたい、そんな思いで雪を掻く。前へ倣えで、駐車場の奥にある雪の山まで掻いた雪を持って行く。
恐らく、皆、そこに雪を集めて山にしたのだろう。しかし、我が家の駐車スペースからは、明らかに遠い。あそこまで、一体何往復すれば良いのだろうか。


山へ行くのに、人がいない隙を狙って運ぶ。あんなに派手に怒鳴られた後で、笑顔で挨拶なんて出来なかったし、挨拶された方も戸惑うと思ったからだ。
おずおずと、タイミングを見計らいながらの雪かきは、想像以上に時間が掛かった。一人、また一人と残っていた人々が帰宅し、私一人になってからようやく本腰を入れて作業し始めた。 なんとか形になる頃には、汗もびっしょり。腰はぎっくりになるのではと思う程に痛かった。

再びエントランスに戻ると、すっかり雪かきを終えて子供達を遊ばせる主婦らの姿が見えた。その中に、素敵ママがいた。重労働は夫に任せ、井戸端会議だけの参加らしい。
私に気が付くと、笑顔で手を振ってくれたのでこちらも振り返し、彼女の取り巻きー、先程まで雪かきをしていた女性達に向かっても会釈をした。しかし、誰一人、笑顔で応えてくれることは無かった。


ー誰アレ?ここの住人!?何も手伝わず、何へらへらしてるの?


そんな声が聞こえてくるかのようだった。
家に戻り、昨日、雪がふぶいていた頃のゆったりとした気持ちはすっかり消え失せていた。現実に引き戻され、雪解けと共にまた憂鬱な日常が始まるのだとため息が出た。




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専業主婦のメリット

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大雪のニュースを、暖かい部屋で眺める。
専業主婦である私にとって、心躍る一日。
大いに家の中に引きこもれるからだ。
週初めから、夫や子のように外に出なくてはならない人々からしたら、最悪な天候。少しだけ後ろめたい気持ちで家族を見送った後は、一人伸び伸びとこたつに寝転ぶ。 怠惰な一日。

昼過ぎまで、ゴロゴロしていた。
勿論、スリップだったり転倒や怪我などのニュースを耳にすれば、家族のこともあるので他人事になれないし不安にもなる。
そわそわしつつ、それでもウキウキした気持ちが勝つのは、自分が安全な場にいるからなのか、それともこんな日に外に出なくてもいい立場であることに優越感を感じているからか? 普段、専業主婦である自分を卑下し、申し訳ないような立場が無いような気でいるというのに、一体本当の自分の気持ちはどこにあるのだろう?

鼻歌交じりに、パウンドケーキを作る。子が寒い中帰宅するのだ。甘い香りで出迎えよう。
いつもは外から聞こえる井戸端会議も、雪の音に掻き消されているのか、そもそも誰も外に出ていないのか、シンと静か。
音の無い世界で、菓子を焼く。古いオーブンのジジジという音が耳に心地よい。
雪支度として、色々と買い込んでおいて良かった。まだ足元が悪いことを言い訳に、もう数日、引き籠る予定だ。




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今日の料理

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今日の料理




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人との距離感

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眉間のしわが消えない。
どうやっても消えない。寝る前にクリームをたっぷり塗り込んで、保湿を心掛けている。
気になりだしたら、止まらない。日に日に溝が深くなっている、そんな気がしている。
40代になると、美人は顔の造作よりも肌のきめ細やかさだったりハリ艶だったり、またスタイルや姿勢にあるようだ。
そして、内面からにじみ出る印象は、メイクや服では誤魔化せない。
年を重ねるごとに、いかに活き活きと楽しく日々を過ごせているかが若さを保つ秘訣だ。
素敵ママは、その代表選手。いつ会っても隙が無く若々しい、そして、楽しそう。
朝、団地の清掃の為エントランスに出向くと、珍しく素敵ママがいた。ご主人が担当で羨ましく思っていたが、珍しい。


「今日はね、休日出勤。」


ほうきと塵取りを持ち、スウェットに上はボーダーカットソーとパーカーという私と似たような恰好なのに、垢抜けている。そして若々しい。
それは、頭のてっぺんに無造作に結っているお団子や、ピアスと華奢なゴールドのネックレス、すっぴんを隠す為の伊達メガネのお陰かもしれない。


「あ。おはようございまーす!」


「あら、今日、OOちゃんは?」


「お兄ちゃんに見て貰ってて。あ、明太子、美味しかった~ありがとうございます。」


近所の顔の利く先輩ママーもうママは卒業しているだろう、確か子供は成人している主婦だ。毎年、この団地の自治会本部の副会長を引き受けている女性。
素敵ママは、横の繋がりだけではない縦の繋がりも広い。私はここに越してもう何年も経つのに、この主婦とはすれ違えば会釈のみーそして、彼女から挨拶など返って来たためしがない。
そもそも、私が見えていないのだろうか?とまで思う。
ぺちゃくちゃと彼女らのお喋りの横で掃除を黙々とする。次第に、他所の奥さんも交じって世間話をしている。子供の世代も違う、それでも何かの話題で盛り上がっている。
私はそこに入れずに、ひたすらほうきを動かす。ふと、最近めっきり会わなくなった団地のお婆さんのことを思い出した。



ーどうしているだろうか?会いたい・・会って話したい。


ただ彼女は違う棟なので、こういう場で会うことは無い。ふらっと買い物帰りの道端で出会うくらいだ。


ー元気だろうか?


もうひと押しー、そのひと押しが私には足りない。
おはぎとアップルパイの交換までした彼女と、いつの間に疎遠になっていた。もっと押し掛けるくらいの情熱が人との関わりには必要なのだろうか?
しかし、私にはそれが出来ない。





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自分へのお年玉

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あの甘い夢を見た影響なのか、久しぶりに下着を買った。
いつもは、スーパーの隅っこにある衣料品売り場で1枚200円程度のものを選ぶが、ショッピングモール内にある下着専門店のもの。
1枚800円程度~ピンキリだが3000円くらいの商品がずらりと並ぶ店内は、初めて彼氏が出来ただろう女子学生らや若いOL、小奇麗な主婦らでごった返していた。
たまたまのタイムセールに通り掛かったのだ。
買うつもりはなかった。しかし、1枚ワンコインの色とりどりのショーツが詰め込まれたワゴンに吸い寄せられるように、いつの間にか私はその小さく繊細なレースの飾りのついた布切れを物色していたのだ。 その日、洗濯した私のショーツには、情けないことに毛玉とほつれた糸が丸まっていた。さすがに穴が空いたら捨てるけれど、それでも何となく生地もくたびれ薄くなっていたのを思い出す。 ほぼ3日に1回履くそれを何か月前に買ったのかさえ、思い出せない。
下着は消耗品。しかし、直接肌に付けるもの。安い下着で肌荒れを起こす程敏感肌でもないけれど、良い物の方が気持ちも上がる。
たった2枚、しかし千円。主婦にとっては贅沢な買い物かもしれないけれど、自分へのお年玉のつもりで選ぶ。
ブラも気になったが、流石にワンコインでは買えそうもない。それは、諦めた。
繊細なレースと小さな花のモチーフが刺繍された白いショーツと、控えめだけれど、光に当たるとキラキララメのような雪の結晶をモチーフにした刺繍の入った水色のショーツを購入。
早速、ネットに入れて明日の洗濯を待つ。
新しい下着は、洗濯さえ待ち遠しい。





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生きる糧

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年末年始、すっかりピアノから遠ざかっていた。
久しぶりに鍵盤に手を置くと、まるで他人行儀な冷たさに、指先がぎこちなく震えた。
熱心に練習をしていた「歓びの歌」は、つっかえつっかえだけれど3回目でようやく一通り弾けるようになった。


次の課題曲ー


パラパラと楽譜を捲る。「スケーターワルツ」はどうだろうか?いきなり難易度が上がるけれど、どうせ練習をするのなら、弾けるようになった時の達成感が欲しい。
それに、この曲は子の発表会の時、低学年の生徒のうちの一人が弾いていた曲だ。発表会用の曲というところもそそられる。

早速、楽譜をコピーしにコンビニへ。コピーした楽譜にゆっくりとだがドレミの音階を記す。譜読みには時間が掛かる。分かりにくい箇所は、ネットで調べる。メモ無しに、音符だけを目で追い鍵盤を叩くことが私には出来ない。 家事の合間に、黙々とそれをする。コーヒーを飲みながら。
家の外に出たのは、ゴミ捨てとコピーの時だけ。相変わらず、引き籠って一人静かに過ごしているが、怠惰に携帯漫画を読んでゴロゴロしていた時よりも、何というか、充実感のようなものを感じる。 誰かに聞かせる訳でもない、自分の為のピアノ。
自己満足と言えばそれまで。それでも、もっと上手く弾けるようになりたい、そう思う。
目標を持つこと。それがどんなに些細なことであっても、自分の中の生きる糧になる。




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会わない友達

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年賀状の当選ハガキは、今年も0枚。そもそも、枚数が少ないのだから、当たる確率なんてあって無いようなものだ。
夫の分は知らない。さっさと自分の分を振り分け、自室にあるデスクの引き出しにでも仕舞い込んでいるのだろう。

数少ない過去の友人や知人とのやり取りは、年末に面倒と思いつつも正月のポストに自分宛てのものを見付ければ、なぜだかほっとする。
子は、過去の担任や最近仲良くしているらしいクラスメイトや従兄弟に年賀状を出すようになった。我が子よりも少ない年賀状に肩身が狭い。そして、夫はやはり断トツの枚数。
外面が良い彼は、社交性が高い。私とは大違いなのだ。

引っ越し前のママ友からの年賀状は、あんなに離婚すると大騒ぎしていたのに、家族揃って赤ちゃんを囲んでの賑やかで幸福そうな写真。
同じく、引っ越し前にそんなに仲良くもなかった知人ママからは、相変わらず子供自慢の年賀状。子供がモデルをしていることで、掲載された雑誌の切り抜きがハガキ全体に散りばめられている。 モデルといっても、聞いたこともないようなフリー誌的なものばかり。彼女自身が達成出来なかった「夢」がそこにあるのだろう。それでも、貰ったこちらは正直迷惑。


ー日々、撮影の送迎が大変!!


なんて一言も、鬱陶しいに他ならない。


そんな中、一枚の湖の写真。未婚の友人からのものだ。もう長らく会っていないし声も聞いていない。そして、これから先も会うこともないだろうし、お互いの身に何かがあったとしても、駆け付けるような関係性でも無い。 それでも、彼女からの年に一度の一枚は、私にとって心の支えのようなものだ。


ー相変わらず苗字はこのままですが、好き勝手やってます!こちらに来る機会があれば寄ってね。(ここのホテルのコンシェルジュもどきしてます)


点々と職を変える彼女、そんな彼女はアーティスト肌で、昔から風変りな存在だった。平凡過ぎる私となぜだか気が合い、同じ職場にいた頃はランチをしたりたまに飲みに行ったりしたものだ。 互いに、種類は違うけれど、社会の中で生き辛さを感じていたーそれが彼女との共通項だった。
周りに左右されない生き方ー彼女は、それが出来る芯の強さを持った女性だと思う。
インスタ映えに振り回される世間。その中で、今も彼女は自分の居場所を探し求めて旅をし続けているのだろう。
そんな彼女が、365日×24時間のうち、たった数分でも私のことを思い出し、こうして手間を惜しまずハガキを送ってくれる。
年に一度のやり取りでも、受け取った側の心に新鮮な風を吹き込むことが出来る、そんな友人は、特殊で貴重だ。




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叶わぬ夢

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夢を見た。 誰かは分からないが、結婚する夢。
夫では無い、誰か。そして、それが間違っていると気付き、必死で婚約破棄にする表向きの理由を考えている。
まだ、引き返せるー
もう、後戻り出来ないー
その二つの思いの狭間に揺れ、焦りだけが募る。目覚めた時、隣で軽く鼾をかく子を目にしてほっとした。

夢占いでは、運気上昇との見込み。実際、そうであればいいのだけれど。




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娘としての初仕事

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実家へ子と行って来た。一応、年始の挨拶。
勿論、夫は仕事だ。夫と親との狭間で右往左往せず済むので、その方が有難い。
狭い部屋だが、また物が増えていた。母には自覚が無いようで、それでも「終活」に精を出しているとのこと。
子にお年玉を貰い、私からもお年玉を渡す。


「あらあら、気を遣わなくてもいいのよ。」


そう言いながらも、叔母が従兄弟から度々小遣いを貰っていること、ハワイに連れて行って貰っていることなど羨まし気に語っているではないか。
親孝行な娘を持ってあの人も幸せねーと。
従兄弟に比べたら、私なんて親孝行の足元にも及ばないのだろうし、実際母は満足などしていないことも分かる。
何十万もするソファーベッドを買って貰っているとまた要らない情報が私の耳に入るのだから。
しかし、出来る範囲で。虎の子も年々少なくなり、内職だけでは追いつかなくなっているし、あれ程情熱的に取り組んでいたライター作業も最近ではぼちぼちといったところ。
それでも、最低1万円は稼ぐように頑張っているので、こういった出費だったり子や自分へのちょっしたスイーツを買ったり、また外食など夫に気兼ねなくすることが出来るので細々と続けて行こうとは思っている。
開口一番、母は夫や義実家のことを根掘り葉掘り聞いてくる。私は母が喜ぶであろう情報を、記憶を絞り出して伝える。


ー義父の体調が悪いので、そろそろ仕事は引退ではないか?


ー義母も、親戚がバタバタと亡くなっていて心細くなっているようで、家で塞ぎこんでいる。


実際は、義父は年末に風邪を引き、義母はその看病で家にいなくてはならなかっただけ。親戚が亡くなったのも一件だが、それは本当の話。 母にとっては、「あちら側」の両親が健やかに、楽しく優雅に老後を送っていることは面白くないだろうし、特に義母が精力的にサークル活動や地域活動に関わり、友達も多く四六時中家にいないことを知れば、自分の今と比較して苛々したり落ち込むに違いなかった。 私の母だから、そうなのだと思う。


「もういい年だからね。そうよ、出歩くよりも家にいた方が長生きするわよ!」


私が盛った話を素直に受け取り、そうやって詰まらない自分の毎日を肯定するのだ。「終活」に精を出していたことなどすっかり忘れて。
それからは、母の愚痴を一通り聞き、私への説教。子育てや妻としてあるべき姿など。


「近くに住んでれば、OOを見てあげたし、あんたも好きなことが出来たでしょうに。」


お決まりの台詞を締め括りとして耳に受け、私の初仕事も幕を閉じた。




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子育てゴールデンタイム

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ネットを徘徊していたら、こんな言葉を見付けた。
「子育てゴールデンタイム」というものだ。
子が生まれてから10年間を、そう呼ぶらしい。多少、子供の個性や親子間の関わり方でその誤差はあるだろうけれど、今年11歳を迎える我が子も、ついにリミットが来たということだ。
子供と共に、同じ楽しさを共有出来る旬の期間ー私や夫はどう過ごしていたのだろうと振り返ると、正直、後悔が残る。
夫は所謂、「働き盛り」だし、また私は出不精で基本行動力も無い。なんとか頑張って旅行の提案をしても、義家族が付いてきたりと、心の底から家族水要らずを楽しめる環境は少なかったように思う。
思い立って、夫に切り出した。もうしばらくすると、夫にとって年間でまとまった休みが取れる時期が来る。暮れ正月盆よりも、そちらの方が世間は通常業務なのでレジャー施設や旅館ホテルなども安くて穴場だ。
例の如く、夫がほろ酔いで機嫌の良い時に切り出すと、案外すんなり私の意思を汲んでくれた。


「ふうん、確かに、OOが中学になると旅行に行く機会も減るな。」


私の必死なプレゼンが夫に響いたようだった。私欲ではなく、家族の為。家族が笑顔になれることを提案しただけ。なのについ夫の前では腰が引けてしまう。


「どうせなら、ハワイでも行くか!?」


あまりにも突飛な台詞が出たことで、夫が本格的に酔っぱらっていることを知り、この約束は明日に続くかどうかも定かではない。
しかし、どうしても行きたい。安い温泉宿でもいい。家族で思い出に残る何かがしたい。
旅行など特別なことをしなくても、普段家の中で楽しく過ごせていればこんな焦りも生まれていなかったのかも・・・
芸能人じゃあるまいし、ハワイなんか行かなくていいー近場でいい。ただただ家族で自宅以外の場所環境で、共に時間を共有したいのだ。そう願うのは贅沢なことだろうか?




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裸の付き合い

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ドラックストアで日用雑貨を購入した際、店員がおまけに入浴剤を一袋くれた。
我が家は、夫が残業で遅いこともあり、また酔っぱらって帰宅することが殆ど。なので、夫が湯船を入れてくれと言った時以外はほぼシャワーだ。
たまに、温まりたい時に湯をためていると、水が勿体無いと言われる。そんな状況が結婚して以来あったのと子も物心ついた頃からほぼシャワー生活なので、それが当たり前。
たまに私の勝手で風呂桶に湯をためても、子はカラスの行水。要するに、湯につかることに慣れていないのですぐのぼせる。
子が数分、夫は残業で入らないーそうなると自分の為だけに水道代がかさむのは主婦として具合が悪い。
しかし、ここ数日の寒さ。流石に冬はシャワーだけだと体も心も温まらない。夫にいちいち許可を取るのが面倒な時は、帰宅前に湯を抜けば良いだけ。 そして、この日はおまけの入浴剤を貰ったこともあり、湯船にゆっくりつかりたくなった。


「私が入れていい?」


物珍しいものを見るかのように、子が入浴剤の入った袋を見つめる。久々の親子入浴タイム。
湯船に子がサラサラした粉末を入れると、それは小さな泡を立てて弾けながら溶けて行った。


「いい匂い、あったまる~」


子も、すっかり入浴剤を気に入ったようで、いつもより長い時間湯船につかっていた。
すっかり少女の体つきになった娘と共に入るバスタブは、狭くてぎゅうぎゅうだったけれど、体を密着させながら、久々に学校であった出来事を聞かずとも話してくれる。
裸の付き合いー昔の人はよく言ったものだ。風呂場は、誰しもが素直になれる空間なのかもしれない。




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コミュ障ママ歴10年

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子ども会の集まり。
年が明けての第一弾行事は、餅つき。これは、子ども会に入会させている殆どの親が手伝いに参加する。それほど忙しく、人手が要るのだ。
素敵ママから、再三送られてくるメールを無視することが出来ず、集まりに参加した。集合時間ギリギリに行き、雑談するグループに交じれない微妙な時間を少しでも減らす。
それでも、私のようにギリギリに来る人はいくらかいて、部屋に入る度に、


「明けましておめでとう~!今年もよろしく!」


そんな、普通の年明け挨拶が飛び交う。私には、そんな普通の挨拶すらする相手がいないのだ。唯一の素敵ママは、この日、下の子が発熱で欠席だったのだ。
同じテーブル席の人とは、勇気を出してこちらから挨拶をしても、


「あぁ、おはようございます。」


それだけのそっけない返事。すぐに、それまで話し込んでいた仲良しと会話の続きを始める。いつものことだ。子供の為とは思っていても、早くこういった場から卒業したい。
会長が簡単に挨拶をして、今度の餅つきの流れなどの説明をする。買い出しなどは予め決められているので、私は当日材料を切ったりパックに餅を詰めたりの作業だそうだ。
夏祭りも辛かったが、和気あいあいと母親同士で手伝いをしなくてはならないなんて・・
普通の母親ならどうってことの無い作業でも、コミュ障の私にとっては精神的に大きく負荷のかかる憂鬱な作業なのだ。
指に出来たささくれを意味も無く触る。手持無沙汰だからだ。
説明が終わり、解散の流れ。一番にさっさとその場を後にした。誰に挨拶をするわけでもなくひっそりと。やはり、私は子供の前で胸を張れる大人では無い。




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インターネットの使い方

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子に、タブレット学習をさせているのだが、インターネットの使い方については、学校でも指導があるらしく、数々のプリントが配布される度に家でも言い聞かせて来た。
それに、アニメや調べごと、読みたい漫画や本などのレビューをチェックしているくらいだろうと油断していたのだ。
何気なく、子が学校に行っている間にタブレット学習の更新アプリを起動するついでに、子の閲覧履歴をチェックしてみた。何でもネットで調べられる時代。分からない問題にぶち当たれば、検索すればすぐに解決。物事を自分の頭で考える機会が圧倒的に少ない。
漢字が書けない、発想力が育たないー、便利なネット生活は、様々な弊害と隣り合わせだ。




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お年玉の使い道

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子は、おねだりは上手だが金の使い方を知らない。
夫にねだれば何でも買って貰えるし、物欲も育たぬままこの年まで来てしまった。
何故、そんな風に思うのかといえば、先日貰ったお年玉をまだ使っていないー、いや、そもそも去年のも一昨年の分のお年玉も手つかずのままだからだ。
小遣いも、毎月学年にふさわしい額を渡しているのに、手を付けない。欲しい本や雑貨や文房具などは全て夫と出掛けた際に買って貰っている。


「お年玉で欲しいものあるの?」


それとなく聞くが、特に無いと言う。子名義で作った通帳には、かなりの額が印字されているのではないだろうか?
私が銀行に行くと、一緒について来て入金をしたいと言うので付き合った。しかし、通帳を見せてと頼んでも頑なに拒否をする。
子が貰った金に手を付けるつもりもないのに、子は私のことを警戒しているのだろうか?何となく残念な気持ちになるが、ゴリ押しすることも出来ずただただ預入をする子の背中を見守った。
帰り道、可愛いファンシーショップに寄った。子が、シャーペンやらボールペン売り場で立ち止まり、リボン柄のキラキラした二色ボールペンを手に取り、


「これ、可愛いよね。」


物欲しげな表情で私を見上げた。夫なら、恐らくホイホイとそれを受け取りレジで支払いを済ませているに違いない。


「可愛いね。それ、お年玉で買ったら?」


そう促すと、明らかに表情を曇らせて、


「じゃあ、要らない。」


私が財布を出すと少なからず期待していたのだろう、そんなリアクションを見せた。お互い気まずい雰囲気で店を出た。
やはり、金の使い方を徐々に教え込む必要がある。金は貯めることも大切だけれど、それ以上にどう使うかが重要なのだ。




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大人のお年玉

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義母から、正月に遊びに行った際、子が忘れものをしてないかと連絡があった。聞き覚えのないDSソフト。
子に聞くと、気まずそうな顔で自分のだと言う。年末、「ママには内緒」ということで夫から買って貰ったのだ。
夫は子に甘い。そして、もうすぐ高学年になる子は、欲しいものがあれば父と母どちらに媚を売れば願いが叶うか習得済だ。
げんなりしつつ、義母と先日の礼ー、私としてはご馳走などの感謝の意を伝えたのだけれども、


「いいいのいいの、OOの為に使おうなんて思わないでね。あなたにあげたものなんだから。少しだけど自分の為に使いなさい。」


一体どういうことなのか?と話を合わせつつ探っていたら、どうやら私と夫にも「お年玉」があったらしい。


「お父さんがね、株でかなり儲けてね。使い道も無いし。仕事でもまだまだ頑張ってるしね。」


義両親の懐は温かい。そして、太っ腹だ。なので、三人娘は良い年なのに際限なく甘えるし、夫は長男兼末っ子として私の知らないところで援助金を度々貰っているのかもしれない。 まだ結婚したての頃、夫にそれとなく聞いてみたら、


「内輪のことだから。あなたには関係のないこと。」


ピシャリと、それ以上聞くのはNGなのだと思い知らされた。
受話器を置き、、もやもやが残る。一体夫は私達夫婦へのお年玉としていくら受け取ったのだろう?私に何の一言もなく、自分のポケットに入れたのか?
そもそも、自分方の親から受け取ったものなのだから、妻に断る必要性など感じていないのだろう。
それでも、義両親からしたら、嫁からは一言も礼が無かったことに「礼を欠いている」と内心憤りを感じているのかもしれなかった。
金が欲しいというわけではなく、情報が欲しい。夫婦での情報共有は、他所の家庭ではしごく当たり前のことではなかろうか?それでもやはり、いくら受け取ったのか気になるのと同時にそれを手に入れたいと思うのは、嫁として妻として、図々しい願いなのだろうか?




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忖度

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この正月、実家に帰っていない。
義実家訪問に疲れ果ててしまい、それどころでは無かった。
七草がゆを食べたと同時に、実母から電話があった。


「いつ来るの?」


これは、催促なのだ。しかし、母はひねくれている。


「別に来なくてもいいのよ、あんた達も忙しいいだろうし、私達だって色々予定があるし。わざわざ無理して来なくたっていいから。」


遠慮なのか、見栄なのか、この人の娘として40年以上生きて来て、その境目に迷うことが多々ある。
それでも情が湧いてしまうのは、この人の「娘」としての性なのだろう。
夫は仕事。それがあちらにとっても夫にとっても都合が良い。夫も私の実家に顔を出すのなんて御免なのだ。だから、三が日は自分の家に宿泊したのだ。


「今度の休みに、OOと遊びに行くね。」


「あら、そう。分かったけど別に無理しなくていいから。OOだって学校で忙しいだろうしね。」


母は、いかにも自分は相手の気持ちを推し量るー流行りの言葉で言えば「忖度」だ。それがある人間なのだと自尊している。だから、面倒臭い。 素直に、


「いつでもいいから、時間が出来たら来なさいよ。私達も暇なのよ、来てくれたら楽しいわ。」


可愛気のあることを言って欲しい。
子と共に、そういったことを抜きにして、ただただ「遊びに行く」こと。実家に帰るというのはそういう安心感の上に成り立ってこそのほっとする時間ー、それこそ、「帰省」なのだ。 それが得られない実家は、気詰まりと義務感だけで成り立つ仮住まい、紙で出来たお城のようなものなのだ。




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贅肉の落とし方

何となく、体が重く感じて体重計に乗ったら酷いことになっていた。
160cmの65キロといったところ。夫も子もいないところでチョコレートやら煎餅やらをかじったり、また炊飯器に残った米を冷凍せずにそのまま口にしていたツケが回って来たのだろう。
体が重いと見栄えだけではない、アラフォーにもなると体の中身、すなわち健康が気になる。
だいぶ前に辞めていたサプリに再び手を伸ばした。



年末年始、ついてしまった贅肉を減らすのに一番最適なのは、体を動かすことだろう。ジムだとかマラソンだとか。私にとってそれらはハードルが高い。まだサプリの方が身近な存在なのだ。







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絡み酒

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義姉からは、私の実家訪問回数の少なさを指摘された。
よかれと思ってしていた、夫と子だけの訪問は嫁としてあり得ないとのことだ。
では、義姉達も夫の実家に行く頻度は高いのか?というと自分達の実家の比にならないくらいの少なさだと思う。彼女らは、自分達のことは棚に上げるのだ。
それから、将来この家をどうするのかも聞かれた。同居するのかどうか。しかし、末の義姉がまだ独身で家にいるのにー、いや、このまま一生いるのかもしれないのに、果たして首を縦に振れるのか。 そもそも、私にその決定権などない。すべては夫次第。しかし、こういった問題に何故いつも夫では無く私に直接問いただして来るのかが疑問なのだ。
全ては夫が決めている、私には分からないーそう答えても、彼女らは納得しない。酒が入り、いつもよりくどくど絡んで来る彼女等が鬱陶しかった。
とにかく、疲れた。腹が鳴り、目の前の煮豆ばかり口にしていたら、口の中は甘ったるくまた乾いた喉が更にカラカラになる。
夫は私の気疲れなど他所に、酒を浴びる程飲んで呑気に笑っており、何故私ばかりがこんな目に合うのかと思うと更に腹立だしさは倍増するのだった。




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お年玉目当て

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ビールグラスが空になり、何か飲みたい。酒じゃなくてもいい、お茶でも何でも喉を潤したい。
しかし、勝手に冷蔵庫を開ける訳にもいかず、我慢する。誰か気付いて声を掛けてくれるでもない、皆、それぞれの話に夢中だ。
ママ社会の中でも義実家でも、私はある意味変わらない。端っこで縮こまっているだけだ。


「あ、そうそうお年玉。」


姪っ子が手持無沙汰にしているのに義母が気付き、奥の部屋から財布を取り出す。それに続いて義姉達もそれぞれのバッグに手を伸ばす。夫も酒で赤い顔をしながら自らのクラッチバッグに手を伸ばす。


「はい、今年もよろしくね。」


「受験、頑張ってね。」


「お守りも、受け取って。」


姪っ子は、その時ばかりはスマホから目を上げて、それなりのお礼を言った。
最後に夫から。相変わらず、その中身を私は知らないままだ。高校生だし、最低でも夫のことだから1万は渡しているだろう。いや、それ以上かも。そして義両親にも・・


「じゃあ、もう帰る。」


お年玉だけ受け取り、姪っ子が席を立った。この割り切りが凄いと思うし、私なら絶対真似出来ない。いかにもお年玉だけ受け取りに来たという態度を窘めない長女は、姪っ子に甘いとも思う。
しかし、数年後の我が子を見ているような気にもなる。子だって、お年玉を貰いどうお礼を言ったのかーその場にいなかった私には分からない。先日の挨拶の一件もあるし、義姉のことを非難する資格も無いかもしれない。
姪っ子が早々に帰宅し、ようやく義姉達が私の存在に改めて気が付いたかのごとく、絡み始めた。




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気まずい宴席

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義実家宅のインターフォンを押す。
しかし、なかなか中から人が出て来ない。恐らく、既に酒を飲んでどんちゃん騒ぎなのだろう。
夫の携帯を鳴らすーが、応答が無い。玄関前で右往左往していると、背後に人の気配。振り向くと、高校生の姪っ子が突っ立っていた。
派手な顔立ちにメイク、今風の女子高生。私が彼女と同じ年で、同じクラスだったとしたら、きっと違う世界の子。妙に堂々としており叔母の私の方が萎縮してしまう。


「あ、こんにちは。」


「明けましておめでとうございます・・」


大人である私の方が、まともに挨拶することが出来ず、彼女の方から新年の挨拶をされて戸惑う。彼女は、インターフォンではなくドアを思い切り叩いて大声を出した。すると、すぐに義姉が出て来た。 まともに義実家さえ訪問出来ない自分が不甲斐なかった。
おずおずと彼女の後ろに続いて部屋に入り、挨拶をする。騒いでいた一同がこちらに視線をうつす。姪っ子は若干かったるそうに席に着く。すぐに、スマホをいじり出した。 私も席につき、仕切り直しで宴会が始まる。


「遅かったわね。」


チクリと義姉にそう言われ、小さくなる。ぎくしゃくとした笑顔で返す。何万もするのであろう、豪華なお節にローストビーフやエビやカニや寿司。
しかし私はなかなかそういったものに手を付けることが出来ず、自分の席の近くにある煮豆やサラダ、つくだ煮などにしか手を伸ばせない。自ら身を乗り出して、寿司桶に手を伸ばすことが、出来ない。


「はい、飲むでしょ。」


末の義姉にビールを注がれ、飲みたくもないそれに口を付ける。ここではいくら酒を飲んでも美味しいとは思えない。そして、酔ってしまえば楽なのだが、後々のことを思えばそんなことは出来ない。
隣でふてぶてしい様で座り、スマホを見ながらいくらやとろまぐろにしか手を付けない姪っ子が大物に見える。居たたまれなくなり、用もないのに子を呼ぶが、久しぶりに会う従兄弟達とDS対戦をしているようでこちらの声に気が付かない。
そもそも、私が来たことさえ気が付いていないようだった。

右に座る末の義姉は、その隣と向かいの次女とその旦那と酒を酌み交わし盛り上がっている。長女は、夫と義父母と長女の旦那と何か内輪の話をしているようだ。
私と女子高生の姪っ子だけがその輪から外れ、本来なら叔母の私が彼女にあれこれ話し掛けるべきなのだろうが、会話の糸口を見つけられずにいた。




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ひとり元旦

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元旦の夜から、夫と子だけ義実家へ泊まり。私の分の布団は無いからという理由で一人、元旦の夜を迎えた。
実際、その方が気楽だけれど、それでも元旦の夜だというのに家族に置いて行かれて自宅にたった一人きりというのは寂しいものだった。
義実家には、嫁に行っていない末娘もいるし、また義姉家族も泊まっている。両親ともに健在なのだから、寂しいこともない。
例えば、義両親のどちらかが先立ってしまい、一人暮らしの寂しい正月だったとしたらまだ話は分かるのだけれど・・・
ただでさえ、義実家へ出向くのは気が重いのに、後から遅れて既に出来上がった輪の中にたった一人で乗り込むのは憂鬱だった。いつまで経っても馴染めない。家族になれないのだ。




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働かざる者食うべからず

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気疲れで疲れた正月。
明日から、夫は仕事。今は、子とショッピングモールへ出掛けている。初売りに行くそうだ。
私は、義実家訪問でぐったりしているので、一緒に行くのを断った。どうせ行ったところで、夫の服や欲しいもの、それに子のものを買うくらい。 私の物欲は満たされないし、何か買ってやろうか?の一言もないのだ。


自分で欲しいものは、自分の稼ぎで買えー


働かざる者食うべからずー


夫の持論だ。
それでも今は、専業主婦という有難い役を与えてやっていると思っているらしい。夫の何かと横柄な振る舞いは、そういった考えが根底にあるからだと思う。




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  • category:

  • 2018/01/03

大盤振る舞い

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正月だからーと大盤振る舞いの夫。
買い物に共に行けば、ちょっといい物を買いたがる。
高くなる前に買いだめしていた野菜や肉、しかし、鮮度が落ちると文句を言う。
果物などー、特に、いちごは馬鹿高い。一パック千円はする。それを子にねだられるままぽいぽいと籠に放り込む。


「パパ、ありがとう!」


支払いは、この時期は夫がカードで持つ。年末の恒例行事と化しているデパ地下でもそうだ。高価なワインやチーズ、パンや菓子など大盤振る舞い。


「ママはいつもこんなの買ってくれないだろう?」


頭に来る。




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