百合のような人
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社内HPに掲載されているその子ー、その人ではなく「その子」は、私が想像していた以上に若い女性だった。
一回り以上は年下だ。入社3年目とご丁寧なプロフィール。
黒髪の清楚な雰囲気を醸し出す彼女は、雰囲気美人といったところだろうか。派手では無いのに華やか。こういう子が男受けするのだと思う。
派手で華やかな子よりも、安心感を持てる子。例えば、眼鏡を取ったら美しい女性のような・・花に例えるのなら、百合だろうか。
ビンゴと思ったのは、プロフィールにある所属部署が夫と同じだったからだ。
若い子には勝てない。いや、昔の私でも勝てない。今更だけれど、何故夫が私を結婚相手に選んだのかさえ分からない。
妻の私が言うのもおかしいが、夫はそれなりのハイスペック。高学歴だし誰もが知る企業で働いている。義実家だって、家族構成は少々難ありだが、きちんとしている。
妄想はどんどん膨らむ。いつか、捨てられるのでは無いかという不安。吉田さんの時もそうだった。何故、彼女と夫があれだけ親しくしていたのに疎遠になったのか分からないけれど。追究するのも苦しくて、見てみない振りをし続けたのだ。
いや、水面下ではまだ関係は続いているのかもしれない。
悶々とした気持ちは次第に膨らみ、PC画面の中で可憐な笑顔を向けるその子に、どうしても嫉妬心を抑えることが出来ず、すぐさまキーボードを力任せに叩きシャットダウンした。
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- category: 夫
- 2018/01/31