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小うるさい夫

来週は、憂鬱な役員仕事や行事があり、今から憂鬱過ぎて胃が痛い。
タブレットを開くと、常に役員のグループラインに未読件数が表示されており、既に10も20もあれば、私が入る隙など無い疎外感。
ずらっと並ぶ吹き出しには、スネ夫ママのアイコンがスクロールする度にチラチラ目に入り、うんざりする。
しかし、もう5月は終わる。あと10か月の辛抱。今から、カウントダウンしてしまう。

短期バイトをしていた時もそうだったけれど、家庭以外のやるべきことが出来ると、つい疎かになってしまう家事。夫からまた小言を言われた。


「なんだ、これ。雑だな。」


味噌汁に入っていた葱が、うまく切れていなかったのだ。それに、肉じゃがを作った時のじゃがいもに皮が残っていたことも指摘された。
ついでに、アイロン掛けしたYシャツにもいちゃもんを付けられた。


「あのさ、ちゃんと洗濯のり付けてる?どうしたら、アイロン掛けてこんな皺が出来るわけ!?」


確かに、裾の方がよれていた。しかしそれは、ハンガーに掛けていたら、夫が他の衣類をその横に雑に掛けたのでそれとぶつかり合って出来たー恐らくそのせいだと思う。
ただ言い訳すれば、夫の不機嫌が長引くだけなので、大人しく耳を傾けるに留まった。


「やり直します。」




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夫からシャツを受け取り、アイロン台に置いておいたのだ。そして、翌朝ー、夫と子が出掛けてひと段落ついた頃、テレビでも観ながらアイロンをやり直そうとしたら、嫌なものが目に飛び込んで来た。
昨夜の一枚だけではなく、ハンガーに掛けて置いた他のシャツもすべて、やり直しと言わんばかりに丸めてアイロン台に置かれていたのだ。
むしゃくしゃはピークに高まり、冷蔵庫から子のおやつ用にとストックしたある板チョコをバリバリ食べる。朝っぱらから。
あっという間になくなり、今度は炊飯器に残っている飯に、そのままふりかけを掛け、しゃもじですくって口に入れた。また、ストレスから来る過食期の到来だ。
学校関係のことも、家庭のことも、自分自身のこともー何ひとつ満足行かないけれど、それでも何かを口に入れている時は「無」でいられる。そして、炊飯器が空っぽになると、わずかな達成感の直後に押し寄せる後悔。


「あ!!」


ぼんやりしていたら、夫のシャツから煙が上がっていた。ネガティブの芋ずる式だ。




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  • 2018/05/31

勉強のススメ

5年生になり、勉強の難易度がまたぐっと上がった。算数でも国語でも。
社会は地理も学習することになり、子に突如聞かれ、正確な答えを出せず、情けない思いをした。
都道府県の白地図を埋める宿題では、一般常識では当たり前の県の所在地を間違えたし、だが親としての威厳を保つべく、こそこそ携帯で調べてから教えるという始末。
算数の立体でも、単位を混乱したり、簡単な計算すら間違えた。
こういう時、学歴があればー、それなりに知識があったらと悔やむ。もっと勉強しておけば良かったと。
タブレット学習に全てお任せだったのだが、最近、子が手をつけていないことに気付き、久しぶりに進度を確認する。すると、かなり手付かずだったので、子に説教した。




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「これね、お金払ってるんだよ。やらなければ解約するよ。」


夫が金にうるさい最近、食費や雑費もギリギリの線でやりくりしているのだ。教育費ーというか、子に掛かる矯正や習い事費は、そういった生活費より家計を圧迫しているのが事実。
我が家は、湯水のように金が出てくるのだと思われたらたまらない。
親になり、子供にこんなにも金が掛かるのだと身をもって知らされた。しかも、見えない金だ。まだ矯正は成果が分かりやすいけれど、教育費は掛ければ掛けるだけ成果が出るとも限らない。
全ては、子供次第なのだ。我が子の能力を見極め、更にそれを伸ばすにはどういったサポートが必要なのか、親が子のことをどれだけ知っているかどうかが問われている気がしてならない。




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果てしない出費

子が、歯が痛いというので歯医者へ。
歯科矯正の時期では無かったけれど、ついでに調整も行うよう勧められた。
よって、いつもなら月に一度の調整料7000円程度の支払いが、二度になったのだ。
あと数日、歯痛が怒らなければ、来月の調整日としてカウントされたかもしれなかったのにーなんとも損した気になる。
そして、初期虫歯が見付かった。治療もしなくてはならなくなった。
内心、疑問が残る。
毎月の調整で診てくれているはずなのに、何故?歯磨きだって仕上げだってきちんとしてる。なのに・・・
不信感が募る。




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夫に歯医者代を請求すると、やはり嫌な顔をされた。


「今月の分は、終わりじゃないのか?なんでひと月に二度もするんだよ。そういうのはな、断れよ。」


断って良いものなのか?確かに、


「では、歯を見るついでに今月もう一度調整してみましょうか。」


そんな柔らかな物言いだった。しかし、Noと言えない空気がそこにはあった。むしろ、Noと言えば親失格の烙印が押されてしまう、そんな感じ。
子供の健康の為ならば、金に糸目は付けるべきではないでしょう?歯科医の表情からそんな心の声が聞こえた気がしたのだ。


「今、手元にないから。生活費から出しておいて。」


請求したのに、断られてしまった。なので、また再度夫の顔色を見ながら金の催促をしなくてはならない。虎の子からーさすがに7000円出すのは痛い。
本当に、冠婚葬祭やら病院代やら、突発的な出費は果てしなく続く。




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運動会での胸騒ぎ

この週末、運動会が行われた。
どっと疲れて、翌日は動けなかった。夫は仕事だったのが救い。
子も疲れていたのか、一日中ソファーの上でゴロゴロとゲームをしたりテレビを観たり。

朝は、準備。私の担当は、駐輪場で案内件整備。二人一組で行うのだが、もう一人は会話が出来ない程遠くにいるのでほぼ一人。
スネ夫ママらの群れは、受付テントでワイワイと楽しそうだが、あちら側担当にならずに済んでホッとする。
一人の方が、気楽だ。

前日の準備の方が、用具やテントを出したりで体力勝負だったし、いまだ筋肉痛が治らない。
我が子のプログラムになれば、観に行くことも出来るので安心した。
携帯が鳴る。


「俺だけど、どこ?」


夫が頻繁に電話を寄越す。用件は大したことが無い。
要するに、一人きりで手持無沙汰なのだろう。我が子の競技の時はまだしも、それ以外には全く興味が湧かないのだ。
レジャーシートや予め作っておいた弁当の持参を頼んだことも、気に入らなかったのだろう。

午前中にある子の徒競走。夫がいる場所に駆け寄る。この青空の下、スマホをずっと見ている背中に嫌悪感を抱く。
今更、夫に期待する方が馬鹿げているのだと知りつつも、他の父親が熱心に競技を観たり、また自らPTA競技に参加したりする姿を目にすると、夫の不健康さに腹が立つ。
子が走る番になり、さすがの夫もスマホ片手に身を乗り出す。私もビデオの準備万端だ。ピストルが鳴り、一斉に子供達が走り出す。出だしから子の走りは他の子よりも遅く、その差はどんどん開いて行く。
結果は、ビリだった。隣にいる夫が気になり、さり気無く話し掛けた。


「惜しかったね。」


「俺は、昔から1位か2位しか取ったことないけどな。」


含みのある言い方。私の遺伝子がこの結果を呼んだのだと言わんばかりだ。聞こえない振りをして、また持ち場に戻る。だが、冷酷な夫の横顔を思い出す度、腹が立って仕方が無かった。
昼食の時間。3人で弁当を囲んだ。夫は特に子に話し掛けようとはしないし、子もビリだったので合わす顔が無いのか無口だ。なので、私が努めて明るく振る舞った。


「午後も、まだまだ動かないとならないんだし、とにかく食べて!」




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午後になり、持ち場に戻るとまた夫から電話。


「帰っていい?」


ーはぁ?


あり得ない申し出に、唖然とした。これからまだ子が出る競技が残っているのにだ。


「私、一応役員だから、万が一のことがあればOOの競技観られないかもしれないから、あなたがビデオ撮っておいて欲しいんだけど。」


「そんなの、知り合いに頼めばいいだろう。万が一なんだし。」


夫は、私が気軽に頼める友人がいないことを知ってか知らずか、そんなことを言い出す。閉鎖された門から無理矢理出ようとしている男性を見掛けたので、取り敢えず夫の電話をそのままに対応する。
対応が終わり、再び受話器に耳を当てると、既に電話は切れていた。再度掛け直すが、無機質な「電源切れています」のアナウンス。そして、胸の中に言いようもない不安感が押し寄せる。
子のことを溺愛している夫だが、何かしらの心の変化があったのか?まさかー、徒競走がビリだったから?
子の午後の競技、結局は無事に観ることが出来た。玉送りや表現。しっかりとビデオ録画も出来てほっとする。
だが、根本的な心配は消えて無くならなかった。

片付けになり、パイプ椅子を体育館に運んだりの作業。スネ夫ママは、ママ友らと喋ってばかりで仕事をしない。それを横目に、早く帰宅したい私は彼女の何倍もの椅子を運ぶ。
委員長がお疲れ様の声掛けをしたところで、私達平役員は、帰宅が許された。
夫の態度が心に引っ掛かり、いつもは気になる周囲のことー特に、スネ夫ママのことがそれ程気にならなかった。皮肉なもので、素敵ママやボスママでさえ、この日は一度も目に入らなかった。




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気まずいテーブル席

10人程のテーブルなので、必然的に二つのグループに別れる形となった。
スネ夫ママと私は、対角線上の端と端だったので、関わる必要が無くほっとする。
私の右隣は、綺麗目だが物静かな人。大和美人という感じ。向かいの人は、見た目からしてお喋りな感じ。年齢も、私よりだいぶ若い。
それから、スネ夫ママの群れの二人もその中にいた。
全員がスネ夫ママの群れメンバーではないことで、完全アウェイから逃れられた。

予想通り、スネ夫ママ一味が会話の主導権を握る。伊達メガネママと派手系ママ。彼女らとお喋りママが、私達のテーブルの中心となった。
私と隣の大和ママは、彼女らの話に耳を傾けながら、静かに相槌を打ったり、また微笑んだりしていた。
派手系ママが、大和ママの隣だったので、大人しい彼女にも話を振る。それに答える彼女は、第一印象とは少し違って、滑らかな口調。
私は端っこなので、派手系ママの視界に入り辛く、目も合わなかった。
向かいのお喋りママは、スネ夫ママ一味に向かってしか話さない。というか、まるで彼女らの仲間になりたいのかと思うくらいの必死さだった。 伊達メガネママが、私に向かって、


「お水、お代わりいる?」


唯一、声を掛けてくれた。しかも、ため口で。嬉しくなって、水を受け取りがてら何か話題をーと思うけれど、頭が真っ白になり何も言葉が浮かばなかった。
大和ママが、また口を噤んだ。派手系ママが、隣グループと盛り上がり始め、更に伊達メガネママもそちらへ流れてしまったからだ。
お喋りママも、ついに取り残された。
私達3人、誰も口火を切らない。気まずい沈黙が続く。何かー話題を・・・
あれだけずっと声を張っていたお喋りママも、黙ってグラスの水を啜る。大和ママは、マイペースにどこ吹く風だ。


「あの、どちら方面に住んでるんですか?」


正直、全く興味が無いけれど、それくらいしか話題が浮かばなかった。
お喋りママが、少し驚いた表情をした後で、


「児童館の裏のマンションです。」


そう答えてくれた。そこで会話が終了し、大和ママにも同様の質問をする。


「えっと、駅前の本屋の並びの奥のー・・」


親切に説明してくれたのに、まるで頭に入っては来なかった。そして二人とも、私に同じ質問を返してくれず、聞かれてもないけれど自分の住まいを伝える。
二人共、あぁそうなんだーくらいの反応で、話は全く広がらなかった。
盛り上がる隣テーブルを横目に、この場を白けさせている原因が自分にある気がして、勝手に落ち込む。




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「アッハッハッハ~!!」


派手系ママが、スネ夫ママの一言に大きなリアクション。委員長やその他のママも大笑い。お喋りママは、身を乗り出して話に入ろうとするが、流石に席が遠いので無理そうだった。


「お子さんは、何年生でしたっけ?」


大和ママが、私に話を振ってくれてた。


「5年生です。」


その後の会話がどうしても繋がらない。お喋りママが割り込む。


「うちは、3年生と幼稚園なんです。お子さんは?」


「うちは、一番上が中学で、次が6年、それに今年1年がいます。」


「そうなんですね~!すごい!!行事とか、大変!」


お喋りママが、大和ママを尊敬するような眼差しで見つめる。子沢山ー特に、中高生が上にいるママというだけで、一気に「先輩ママ」としての株が上がるのだ。
佇まいがゆったりしており小奇麗な彼女は、一人っ子親のようにも見えた。偏見かもしれないが・・


「ご兄弟は?」


久しぶりに、この手の質問をされる。この質問が大嫌いだ。答えた時の相手のリアクションが、なんだか見下げられている気がするからだ。


「一人ですが、何か?」


そう答えたい気持ちで一杯。しかし実際は、


「一人っ子なんです。ご兄弟いらっしゃると、大変ですよね。」


へらへら相手を持ち上げる返しをしてしまう。そしてまた、共通点が無いので話も弾まないのだ。
ランチ会は、こんな調子で3時間強。ただただ疲れた。疲労困憊。スネ夫ママらは、解散後もまだ店に残っていた。
自宅に戻り、アイスコーヒーをがぶ飲み2杯してソファーに転がると、やっと一息ついた。こんな調子であと1年、先が思いやられる。




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ランチ単品オーダー

「この後、ランチ行こう!」


役員仕事が昼前に終わり、そそくさと身支度をしていると、スネ夫ママらの群れが声を掛け合っているのが耳に入って来た。
私と同様、顔見知りがいそうもないーしかし堂々とした女性や、群れ以外に向かって、委員長が声を上げる。


「今日はお疲れ様でした!この後、もしご都合つくのなら、親睦を兼ねてのランチに行きませんか?」


ー勘弁して・・


内心、うんざりした。もしかしたら、顔に出てしまったかもしれない。
しかし皆、案外乗り気。二つ返事で了承していく。この流れで、私だけ遠慮する勇気も無く、すごすご彼女らの後についていく羽目になった。
お洒落なイタリアンの店。この日の手伝いに参加した役員は、10名程。長いテーブル席を2つ付けた席に通された。






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一番端っこの席に着席し、スネ夫ママとは対角線上。一番遠い席でほっとする。しかし、いちいち視界に入るので気が休まらない。同じ向きの端に座れば良かったと後悔した。
メニュー表が配られ、財布の中身を思い出す。確か、1000円入っていたかどうかー。こっそりテーブルの下で財布の中身を確認すると、やはり千円札一枚と五円玉に一円玉しか入っていなかった。税込で1000円以内で食べられるもの・・・
ランチメニューも別に配られ、それは、メインにドリンク、それにサラダとスイーツがついて1200円程だった。これは却下だ。
しかし、皆が揃いも揃って、ランチメニューをオーダーする。それはそうだ、この中では全部付いてこの価格ではお得なのだ。


「私、ランチメニューのC!ドリンクはコーヒーで。ミルクだけでいいで~す。」


スネ夫ママの甲高い声に、頭がクラクラする。ランチCは、エビとブロッコリーのオイル系パスタのセットだ。それだけで、エビとブロッコリーをしばらく食べる気が失せる。
私がオーダー出来るメニューは、単品で限られたものだった。サラダ系とドリンクにするか、またはドリンク抜きでメインのみにするか。
考えた挙句、単品で800円程のチキン野菜グリルをオーダーした。
私以外、当たり前のようにランチメニュー。単品でドリンク無しだなんて、ケチ臭いと周囲から思われただろうか?続々と、ランチメニューに付くサラダがすぐに運び込まれ、居たたまれない気持ちになる。
まだ、お互い探り探りの状況の中ー、スネ夫ママらも自分の群れ以外にはそうなのだろうか?テーブルは、わずかな緊張感とざわめき。フォークでサラダをつつく音に敏感に反応してしまう。
口に運ぶ物が何もない中、手持無沙汰で話も振れない私は、おどおどしながら無意味に何度もコップについた水滴をナプキンで拭き取ることに専念した。





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LINEアイコン

ライン登録をした先週末、早速委員長にメールで伝えると、すぐに招待してくれた。まだやりとりに慣れていないけれど、自宅にいる時は何度もタブレットを見てしまう。
子も学習で使っているタブレットなので、子が勉強中に音が鳴ればすぐに中断、ライン確認しなければならない。まだまだ慣れない。
実際、登録するのですら、ネットで調べながら試行錯誤した。

役員なので、運動会準備に追われる今週。何かと荷が重い。
当日は朝も早いし、勿論前日準備もある。重い用具を運んだり、線を引いたり、テントやパイプ椅子の準備や教室解放。やるべきことは山積みのようだ。

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ラインでは、すぐにスネ夫ママのアイコンをチェックしてしまった。てっきり他のママらのように子供達の姿だと思っていたのだが、ハワイ?か何かヤシの木があるゴルフ場でスイングしている自身の姿だった。 彼女の趣味がゴルフということにも驚きだったが、再び、リア充なママライフを見せ付けられている、そんな気分になる。
彼女のことが嫌いだから、こんなアイコン一つにも過剰に反応してしまうのかもしれなかった。

ちなみに、私はまだアイコンを作っていない。子の顔写真には、何となくする気になれず、だからといって思い入れのある景色だったり物だったりの写真が手元に無い。
それに、どうすればお気に入りの写真をアイコンに出来るのかもいまいち分からない。ネットで調べるだけの気力も湧かなかった。
愛想の無い、のっぺらぼうな人型アイコン。それは、周囲に与える私の印象、そのものだろう。




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だるい重い辛い

生理前の症状が年々辛くなって来ている。寒気と熱っぽさ、そしてだるさが抜けないし、頭痛も酷い。
夫と子を見送り、役員関係の仕事もなく、買い物へ行くまでの用事も無い今日のような日はノンストレスデーのはずなのに、相変わらず欝々としている私。
洗濯物を干していると聞き覚えのある声に気付いてしまったからだ。
下を見下ろすと、エントランスに続く団地内の小スペースで、素敵ママとお隣さんが楽しそうに立ち話をしているのが見えた。
幼稚園の送りを終えて、他のママらは帰ったのだろうか。二人きりで親密そう。
何をそんなに話すことがあるのだろう?声は聞こえても、内容までは分からず悶々とする。





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専業主婦である彼女だけれど、ワーキングママと同等、いやそれ以上に、一日を通して多くの人と関わっているのではないかと思う。
私とは真逆な人。それなのに、どうしてこうも目に付くのか考えてみて、義母に対してもそうだけれど、自分の劣等感を刺激されるからなのだと腑に落ちた。

PTAの集まりの日程をカレンダーに書き込み、ため息を付く。それに合わせての学校行事。子供会もある。
子供を持つ親なら当たり前の義務だし、いちいち過剰に反応していては身が持たない。だが、PMS期にはそのすべてから逃げ出したくなる。
この時期だからこそ、摂取を控えるようにと言われているコーヒー、それにチョコレート。まだ昼前なのに、既に3杯以上飲み、板チョコは1枚ぺろりと平らげた。
オフしている真っ黒なテレビ画面にぼんやりと自分が写っている。生気が無く、幽霊のような佇まいだった。




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プライスレス母の日

母の日の出来事を、いまだ引きずっていた。
芸能人ママタレのインスタを目にしてから、尚更。彼女らは、こぞって「私達、家族から愛されていますよー」アピールを世間に向けてしているように思う。
綺麗な花束にメッセージカードと、心を込めて描いた家族の画。

芸能人ではなく、一般のママブログまで、羨ましい気持ちでむさぼりつくように読み漁っていたら、すっかり子が下校する時間になっていて驚いた。
5年生になり、6時間授業が殆どの最近。大体4時前後の帰宅なのだが、既に4時は回っていた。
何となく胸騒ぎがし、部屋の中を意味もなくうろつく。半になっても帰ってくる気配は無い。普段は真っすぐ帰宅し、友達と遊ぶ予定があればランドセルを置いてすぐに家を出る。
寄り道など滅多にしない。ワイドショーで観た、「魔の時間」を思い出す。

バルコニーから、外を見る。子供達の姿は無い。いや、あってもランドセルを既に置き、自転車を乗り回してる男の子が数人いるくらい。
段々と恐ろしい妄想に取り憑かれ、気付くと玄関のサンダルを履き、のろのろと上がるエレベーターをじれったく思いながら待つ。それに乗り込み1Fを押すと、背中が脂汗でぐっしょりと湿っていた。 エレベーターが到着するのと同時に、赤いランドセルと見慣れた顔が目に入り、腰が抜けそうになる。


「あれ?どうしたのママ?」




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ドアが開くと同時に、きょとんとした表情の子に安堵し、よろめいてエレベーターの壁にぶつかった。
子は、委員会が長引いて下校が遅くなったとのことだった。なぜだか泣きそうになる。
子が無事に帰宅したこともそうだけれど、自分の愚かさを突き付けられた気がしたからだ。

あんなに欲しくて欲しくてー、色々な障害はあったけれど手に入れた我が子。元気に笑っている、それで十分じゃないか。
毒親は連鎖するーと何かの本で読んだことがあった。今の私がまさにそう。それに薄々気が付きながらも、軌道修正したりまた戻ったりの繰り返し。 エレベーターを降り、ふと子の手を握った。


「何?やだ!」


子が私の手をふりほどき、内心ショックだったが、それでももう一度強く握る。
今度は拒絶されなかった。
子にはもう、「外の顔」がある。それは分かるし私もそうだった。ただ、今はこの瞬間、肌に触れていたかった。


ーお母さんにしてくれて、ありがとうー


心の中でそうつぶやく。
母の日のプレゼントは、そういうものなのだ。




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LINE参入

運動会の準備等、分担決めの為に役員会へ。
まず初めに、委員長から連絡を円滑にする為にライン交換をしようと申し出があった。皆、当たり前のようにスマホを取り出し、交換の準備を始める。
敬語ママに誘われたボランティアの時もそうだったけれど、ガラケーの私はその空気に戸惑う。スネ夫ママの甲高い笑い声が気になって仕方が無い。
委員長はスネ夫ママの群れの一員なので、ライン交換をするのは、群れ以外でしかも付き合いの無い人とだけらしく、彼女が1人1人に声を掛けてスマホで何やら交信し合っていた。
私を入れて、4人程だろうか。
私の番になり、恐る恐る伝える。


「御免なさい、ライン、してないんです。」




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委員長は、え?というような、信じられないような表情を一瞬した後、


「そうですか。では、メアド教えて下さい。」


言われるがままに、携帯アドレスを画面に表示させたら、彼女はその写真をスマホで撮った。


「お手間取らせてしまって、すみません・・」


「いえいえ~」


出だしから不調。


「じゃあ、OOさんには個別にメールしますね。」


自宅に戻り、ふと、委員長の立場に立って考えてみた。
1度で済む連絡を、個別に送らなくてはならないことー、また、この先グループで何らかのやり取りをしなくてはならない際、私はその話し合いに参加出来ず、浦島太郎状態になってしまうかもしれない。 それはそれで、微妙だと思い直した。
自宅のタブレットでラインをした方がいいかもしれない。Wi-Fi環境下でしか繋がらないデメリットはあるけれど、私は買い物以外、殆ど家にいることが多いのだ。
善は急げー、せめてお荷物にならないよう。出だしが肝心だ。




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過去と嘘の競り合い

実母から電話があった。数日遅れての礼の電話。朝、しかも珍しく予定がある日に限って。
言い訳をするかのように、


「いや、すぐに電話しようと思ってたんだけど、病院とか色々予定があって。」


聞いてもいないのに、忙しいアピール。義母とは違う忙しさ、ただの病院だ。それも、不治の病でもない、急ぎではない暇つぶしの通院。
歯医者で歯垢を取るだとか、手荒れのクリームを貰いに皮膚科だとか。


「いいわよ、いちいち気を遣わなくて。今断捨離してるし、正直、物はもう要らないわ。」


何故、こうも一言多いのか。義母のように素直に受け取ってくれたら良いものを、まるで要らない物を押し付けられて困っているかのような言い方。
しかし、今回はそれを見越しての消え物だ。確かに鉢植えは邪魔かもしれないが、ついこないだはガーデニングにはまりそうだと言っていたのに・・

彼女なりの感謝?を伝えたらすぐに、愚痴が始まる。待ってましたと言わんばかりだ。ここ去年くらいから、様子伺い的な電話をすることが殆ど無くなった。自分を守る為。
頻度が減った電話だからこそ、その一回に注がれる「聞いて欲しい」要求は密度が濃い。話半分に聞いていないと、こちらも心身ぐったりとしてしまう。


「お父さんも、体調良くなったんだから少しは外に出たらいいのに。本当、詰まらない人よ。旅行に行くだとか、遠出するだとか、もっと人生楽しめばいいのに。」




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延々と愚痴は続く。私と同様、運転免許も持っていない母は、どこかへ行くのにも父の運転が必要になる。なので、少し街へ出るとなれば、父次第というところなのだ。
また、義母のように友人が無い実母。厳密に言えば、自ら友人と疎遠になってしまった実母は、人付き合いを長らくしていないことから、ますます偏屈な人間になりつつある。
私が必要以上にオドオドし、相手の顔色を窺い、奇妙な愛想笑いをするお陰で人が寄り付かないのとはまた違い、母の場合は、自己主張が強く、自分が絶対ー、人に合わせられないお陰で人が離れて行ったのだ。
近所のサークルに入るだとか、犬猫を飼うだとか、自分なりに打ち込める何かを見付けるだとか、自発的に行動を起こさない限り、求める幸福はやって来ない。


「あんたも、お父さんに似たのかしらね?前はもっと外に出てたような気がするけど。そういえば、そっちに越してからママ友とかいるの?」


痛いところを突かれる。まるで、何もかも知った上での敢えての質問のようだった。狼狽しつつ、顔の見えない電話で良かったと咄嗟の嘘を付いた。


「ママ友と一緒にランチとか、ヨガも行ってる。ママ友がハンドメイドの先生してるから、習いに行ったりとか。」


「専業主婦なのに優雅ね。私があんたくらいの時だって、子ども会やPTA、自治会の役員やったり、習い事とかパートとか盛りだくさんだったわよ。子供がいるうちはそういう付き合いは多いもんよ。」


過去の自分で嘘の私と張り合おうと必死になるのだ。
痛いものを見ている気分になり、大きなため息が出そうになったのをきっかけに、


「これから学校へ行かないとなんだ、また電話する。」


よりによって、PTA活動がある日に電話を寄越す母は、タイミングが悪過ぎる。バタバタと中途半端だった家事を一通り終わらせ、憂鬱な気分を引きずり更に憂鬱になる場へと向かった。




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身の丈バンザイ

寒さがおさまったかと思えば、今度は夏真っ盛りのような気候。
晴れの日は苦手だけれど、どうしても出ないとならない外出の日などは、雨もしくは夏日のような天気だと安心する。
マスクをしてもおかしくはない花粉の時期が過ぎ去り、外に出るのにも、知人と出くわさないようにと挙動不審に歩いていた日々から束の間の解放。
暑さのお陰で、雨でなくとも紫外線から身を守る体で日傘を差すことが出来るのだ。
日傘は、ふらりと覗いたリサイクルショップで150円程だった。金の無い今、無駄な出費は許されないけれど、この価格なら夫から咎められることもない。
それを玄関に立て掛けておいても、


「買ったのか?いくらした?」




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と、夫にいつ聞かれるかビクつくことも無い。正々堂々とリサイクルショップで買ったこと、150円だったことを言えばいいから精神的にも不安に陥ることは無かった。
そういう時に限って、夫は気が付かないのだけれど・・
郵便局にて用事を済ませると、素敵ママの声が聞こえた気がした。サッと傘で身を隠し、その声が通り過ぎて曲がり角に来たところでさりげなく振り返ると、女性グループ数人とやはり素敵ママ。
幼稚園のママ仲間だろうか?下の子が入園し、自分の時間を謳歌しているのだと思う。綺麗色のワンピースに身を包んでおり、どこかへお出掛けランチだろうか。

私には、身の丈以上の付き合いになるだろう、彼女のライフスタイル。150円の日傘で満足なんて、彼女はしないだろう。
傘をくるくる回しながら、つい鼻歌が出そうになる。何故だか早く自宅に戻り、一人気兼ねなくアイスコーヒーを飲むのも悪くない、そう思ったのだ。




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劣等感

義母から、母の日のお礼の電話があった。
素直に喜んでくれているのが、受話器越しに伝わる。早速、今週木曜にヨガへ行くらしい。ご近所さんと約束をしているのだそうだ。
習い事がまたひとつ増えたと嬉しそう。金もあり、夫にも子供にも恵まれ、ご近所付き合いもうまい義母。話を聞いているうちに、劣等感が湧く。 わずか5分程度の会話の後、


「じゃあ、ちょっとこれから出掛けないとならないから。また皆でいらっしゃいね。」


「はい、また。」




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忙しい義母。お陰でこちらの家庭に干渉してくることも少ない。話し相手は娘や友達で足りるのだろうし、最近になってようやく二人目攻撃も無くなりつつある。
諦めてくれたのだろうか?だとしたら、有難い。
実母からはまだ連絡が来ない。来たら来たで心かき乱され、苛々と憂鬱が押し寄せるのだが、何もなければまた不安になる。
パソコンの電源を入れ、ネットで宅配の追跡番号を入力する。少しして、「配達完了」の文字。やはり、当日にきちんと届いている。
いつ鳴るかも分からない電話に気を取られる。肉親からのー、それもただの礼の電話にこうも過剰反応してしまう自分が恨めしい。




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残念な母の日

昨日は母の日。
夫は仕事で留守。
なので、ヨガマットや鉢植えのカーネーションは、当日配送で済ませた。実母へも然り。悩んだ末、レトルトの高級カレーやスープなど、ちょっとした手抜きが出来るようなものだ。
子と二人きり、母の日の日曜日。
朝からそわそわする私に反して、子はマイペースに自分のことばかりを要求する。


「ご飯、パンがいい。ピザトースト作って。」


「音読するから聞いて。」


「ゲームしてもいい?」


一向に、お手伝いなどする気はないらしい。つけたままのテレビでは、母の日に関したあれこれが流れているというのに、それを目にしながらも他人事だ。
私が彼女くらいの年の頃には、実母へなけなしの小遣いをはたいてプレゼントを買ったものだ。ハンカチやミニブーケ、小さな鏡やポーチ。それに、手作りの飛び出すメッセージカードを付けたり。
それなのに、我が子はまったくそういうことに関して無頓着だ。女の子だし、少しはそういった気遣いは、この先必要になる・・・というのは言い訳で、単に寂しかったのだ。


「今日って、何の日?」


つい、我慢出来ずに問い掛けてしまった。
だんまりの子に対し、


「ママがあなたくらいの時は、ばあばにー」


ついつい余計なことを口走る。子の眉間にしわが寄る。


「分かった分かった!!今からやる!」


自室へ駆け込み、何やらバタバタ出す音ーそして静寂。
半ば、不安と期待が私の中を行ったり来たりする。そして、小さな後悔も。
30分程経ったところで、自室のドアが開き、一枚の用紙を手渡された。


「はい。プレゼント。」




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それを受け取り、正直、がっかりした。
ラッピングも何もされていない、ノートを破った紙一枚に、鉛筆書きした「私」らしき似顔絵のようなイラスト。下手だからーではなく、誰が見てもやっつけ感満載だった。
何を貰っても、子供からのものならば嬉しいーそれが母心だと思う。いや、そんなの綺麗ごとかもしれない。
それを目にした瞬間、正直言って嬉しさなど全く無く、ただただ残念な気持ちになった。心のこもったものでなければ、いくら血の分けた子供から貰ったものであっても喜びの感情は湧き出ない。
このレベルのプレゼントは、2~3歳の子供からならまだ分かるし、素直に嬉しい。しかし、子は5年生。小遣いも十分に与え、母の日がどういうものなのか分かる年頃。
そもそも言われてするものではない、自発的に、母親を喜ばせたい一心でするのが「母の日のプレゼント」なのではないだろうか・・・
ノートを手で破った紙の端は、ところどころ千切れて汚かった。せめて、鋏できちんとカットしてくれてもいいのに。鉛筆書きだけではなく、色も付けてくれたらいいのに。 私は、子にも聞こえるようなため息をついた。


「嬉しい?」


子は、見当違いな質問を私に投げ掛ける。何て返したらいいか困惑した。ぐっと感情を押し殺し、


「うん、ありがと。」


何とか感謝の言葉を返した。
子は、私の反応に満足そうな表情をした後、タブレットでYoutubeを見始めた。
朝から、いつものように家族の洗濯をし、洗い物をし、掃除をし、食事を作りー365日毎日毎日。それなのに、365日のうちのたった一日さえ報われることは許されないのだろうか。
生理前でナーバスに拍車が掛かり、夫が戸棚に入れているワインを1杯拝借した。ゆっくりと舌で転がす。日曜日の誰からも感謝されないー厳密に言えば、自らお願いして感謝された体で過ごす母の日。
やり切れない思いになる私は、母親になり切れていない子供のような大人なのかもしれない。




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生活費、削減

自動車税の通知を夫に差し出す。
勿論、空気を読んだ上でだ。珍しく早帰りの夫に、手料理を振る舞いビールを飲ませ、ほろ酔いの頃を見計らって。
しかし、その効果は無かった。
みるみるうちに、夫の表情が曇る。そして、ため息。


「支払いが多い家だな。先月はカードの支払いが多かったし、矯正費用も馬鹿にならない。」


まるで、私が浪費しているかのように責められている気になる。カードの支払いの多くは、夫の私物だったり出張経費の仮払いだったり、スーツや靴などの代金。
しかし、先月の家計簿チェックで予算オーバーしたこともあり、苛ついているのが見て取れた。




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私が夫から受け取っている「やりくり費」は、予算内におさまっている。いやー、厳密に言えば、ライター内職で得た数万を補てんしていることが殆どだ。
しかし、妻に与えている金が十二分だと思ったらしい夫は、


「生活費、1万減らす。足りなくなればその都度渡す。」


それまでも、明らかに突発的な金が必要になれば、夫に言えば文句をいいながらも渡してくれた。しかし、立て続けに催促すれば、明らかに嫌な顔をしたり大袈裟にため息をついたりするのだ。
それが嫌だから、内職を始めたところもある。
シュークリームひとつ買っただけで、浪費家扱いされるのも我慢ならなかった。
レシートのチェックは月末だけで十分。それに加えて、金の催促を頻繁にしなくてはならないかもしれない憂鬱。
がんじがらめにされている、そんな憂鬱。




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専業一人っ子、余裕なし

仕事もして、子沢山で、PTAや子ども会、それにスポ少関連もこなす母親がいる一方、専業一人っ子、役員一つであたふたしている私がいる。
仕事ではない、たかがPTA。それも、本部ではない平委員。
なのに、時間が出来ればそのことばかりが頭を支配する。

強烈に後味の悪い第一回委員会が終わり、抜け殻と化した。日頃している掃除も出来ていない。よく見れば、部屋の隅に埃がたまっているし、照明もテレビ台も汚れている。
あいにく平日の夫は忙しく、しかもその殆どは酔っぱらって帰宅ーまた朝は二日酔いで朦朧としているので、お咎めが無いのは救いだ。
しかし、これから度々の集まりが控えている。
まずは、運動会。PTA役員=クラス委員でもある私は、学校行事のあれこれに顔を出す前提となっているのだ。

しんどい。 まだ、始まってもいないのに。

一人でもいい、話せる人がいたら違うのに。
スネ夫ママの巨大なネットワークを横目に、私はただただ静かに大人しく、自分のすべき仕事を全うするのみだと言い聞かせた。




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委員長決めー続き

「まず、一番決まりそうもない委員長から決めちゃいましょうか。」


本部役員が、皆を見回しにっこり笑う。本部にいる彼女らからしたら、委員長ごときを決めるのにグダグダな時間を過ごすのは、時間の無駄だ。
後回しにすればする程、そのプレッシャーが大きくなると知っているようだった。
先程とは打って変わって、教室内に静けさが漂う。


「目を合わせないようにしても、ダメですよ。」


本部役員が、張り詰めた空気を少しでも和らげようと、笑いに変える。
コソコソと、スネ夫ママとその取り巻きが相談し合う。取り巻きは、明らかに目立っていたし、どことなく洗練されていた。私のように、地味な雰囲気の人間はその中にいなかった。


「じゃあ、私でよければ・・」


スネ夫ママの取り巻きの一人、いかにもテキパキした雰囲気を持つ女性が挙手し、その場は丸く収まった。周囲から拍手が起こる。その流れで副委員長も決まり、次々と担当が決まる。
私の担当もなんとか希望のものに決まり、ほっとする。




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役割が決まったところで、用紙が回る。それぞれの名前と連絡先、そして決定した担当を書いて隣に回す。左回りだったので、私は記入後、スネ夫ママに渡さなければならない。
心臓の音がバクバクしていた。黙って渡すのも、不自然だ。これを機に、したくもない挨拶をしなくてはと、頭をフル回転させる。
関わりたくない気持ちが、記入を明らかに遅らせる。のろのろと必要事項を埋め、そしていよいよ彼女と対面だ。


「あの・・一緒の委員になりましたね、よろしくお願いします。」


チラッと、彼女の方に顔を向ける。私の引き攣った笑顔に対し、彼女は薄い唇の端っこだけわずかに上げて、


「え?あー、はい。」


完全に、引いたような返し。すぐに、向こう隣りのママ友とぺちゃくちゃお喋りしながら用紙に記入する彼女は、完全に私に背を向けていた。まるで、私の存在など無かったかのように。それは、明らかな「拒絶」だった。


ーあなたどなた?


と、急に初対面の親から挨拶され戸惑う空気を作ったのだ。何も知らない周囲から見れば、彼女の反応はそんなところだろう。
それくらい、そっけなく、冷たかった。
その日は終わり、一日分ー、いや、一週間分程のエネルギーを吸い取られたように、帰宅してしばらくは抜け殻と化していた。
先が、思いやられる。深く大きなため息が、リビング中に充満して行くのを肌で感じた。





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委員長決め

PTA役員の委員長決めに行って来た。
絶対に絶対にやりたくない。そして、スネ夫ママに会わなければならないことも、憂鬱の種だった。
総勢、20名弱の委員だから、そんな大人数をまとめるリーダーになるのは無理な話。そして、私が一番嫌いな人数。
20名という人数は、まばらにグループが出来上がる。女性が多数集まれば、そうなるのが自然の摂理。

学校の視聴覚室へ。ざわざわ話し声が聞こえる。既に、半数は集まっているのだろう。
テーブルは無く、パイプ椅子のみが、ぐるりとドーナツの様に円を描いて並んでいた。まばらに空いている席。取り敢えず、一人ぽつんと席に着いた。
スネ夫ママはまだ、来てないらしい。

知り合い同士でぺちゃくちゃしている母親もいたが、私のように一人で座り、スマホを眺めている母親もいて安心する。
しかし、オドオドしている訳ではない、悠然とした態度だ。




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少しして、廊下からガヤガヤと騒がしい声。すぐにそれの中心がスネ夫ママだと分かる。
嫌いな人間程、どうしてこうも知り尽くしてしまうのだろう。
3人の母親を引き連れてー彼女は教室に入って来た。すぐに、既に室内にいた顔見知りグループにきゃあきゃあ挨拶し合い、パイプ椅子は続々と埋まって行った。
そして、彼女は私の隣に腰を下ろしたのだ。彼女がその場を選んだのか、順番に座っているうちにそうなってしまったのか定かではないが、生きた心地がしなかった。
しかし、彼女は私に背を向けるように、一緒にいるママ友らとぺちゃくちゃ大声で喋る喋る喋る。対面に座る、私と同じく一人で座る母親が、顔をしかめた程だった。

PTA本部が、一声掛けたことで、雑談は終了のきっかけとなったようだった。
委員長決めが始まった。




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ハートの弱さ

昨日は、天気も悪かったことで自分に甘えてしまった。
夫と子を見送り、洗濯も雨という理由で無し。よって、まるで洞穴のような形状を保っている布団に潜り込み、携帯漫画を読んでいるうちにうとうとし、気付けば正午過ぎていた。 生活リズムが狂う。
全く生産的ではない日々の過ごし方に嫌気が差しながらも、仕事をするわけでもなく家事を完璧にすべきでもなく、ただのろのろと怠け者のように動いた一日だった。

打って変わって今日は、嫌な予定がある。PTA関連だ。
そのこともあり、体は鉛のように重く、そして痛い。
リズムが狂ったことだけではない、憂鬱な気持ちが昨夜の眠りを妨げ、明け方5時頃まで寝たり起きたりの繰り返し。




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スネ夫ママと、夢の中で親しく話していたり・・・
私の願望なのか?あんなに大嫌いな奴なのに、潜在意識では、仲良くなりたいのか?

夢の中では、スチーム掃除機の話をしていた。スネ夫ママが10万円程のそれを使い、その良さを私に訴え、私はそれを購入しようとしていた。
買うと伝えた時の、彼女の笑顔が忘れられない。
私は、それまでの嫌な出来事を水に流そうとしていた。
これは、予知夢?実際、そんなことあるわけないけれど。
ダイニングの家族が食べ残した卵焼きやサラダ、それに鍋に残った味噌汁を温め、そのまま冷やご飯をぶっこみ、鍋のまま大きいスプーンですくって口に放り込む。
行儀の悪い食べ方をすることで、気の小さな自分を隅に追いやる。
これまでも、これからもーなるようにしかならないのだ。




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憂鬱な計画

義実家訪問で終えたGW。

ただただ疲れた。反りの合わない義姉達と話を合わせるのにも疲れたし、義両親にも気を遣った。
何より、その場所では私以外皆楽しそうにしており、子でさえも甥っ子や姪っ子とはしゃいだ声を上げ、


「普段、一人だから楽しいんだろうね。従兄弟っていいものよ。」


次女から嫌味めいたことを言われ、ナーバスになる。
酒が入れば、更に場は盛り上がる。私も進められるまま飲んだけれど、2杯目からは誰もついでくれず、それぞれが好きな飲み物を勝手に冷蔵庫へ取りに行くスタイル。
嫁であり、他人である私は、冷蔵庫のドアは他所の家の玄関と一緒。鍵が掛かっていなくても開けることなど出来ない。

1杯足らず飲んだきりの私はまったく酔えず、ほろ酔いの義姉達を遠巻きに見ているしかなかった。
夫や義兄達、義両親、大きな輪で盛り上がる彼らと自分が同じ家系図にいることが信じられず、かといって実家とも疎遠になっている自分の居場所は一体どこなのだろうと思う。





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「じゃあ、北海道で決まりだな!」


「そうだね。部活、休ませるわ。」


彼らが飲み食いしている皿を、居場所が無い私は義母に無理言って洗わせてもらう。少し離れたキッチンー、だがしかし、手持無沙汰にならないのは有難いこと。
滅多にこの場に入れてくれない義母だけれど、この日は包丁で指を切ったとかで包帯を巻いていたこともあり、許してくれた。

私が黙々と皿を洗っている間に、夏の旅行を計画している彼らの話声が聞こえた。ついこの間スキー旅行へ行ったばかりだというのに。
しかも、北海道。何泊するかはまだ未定だが、気が重い。




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戻る場所

連休が終わり、家族はそれぞれの場所へと戻って行った。
戻るーという感覚。おかしいかもしれないが、私にはそう思える。
寂しい気もするし、ほっとする気もする。
そして、私の戻る場所は、この「一人きりの自宅」なのだ。

義実家訪問でくたびれ果てた後半ー、そして憂鬱な事案がまた一つ増えた。
いよいよ始まるPTAの集まりも胃が痛い。
ただ家に引きこもっている専業主婦なのに、心穏やかに過ごせる時間はわずかなのだ。

洗濯を回している間、熱いコーヒーをマグたっぷり淹れていただく時間、至福の時だ。




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リクエストにお応えして・・・

連休といっても、今年は飛び休。なんだか調子が狂う。
後半、義実家訪問をすることになっているので、母の日のプレゼントを買いに行く。
子と一緒に行き、子に選んでもらう方が気楽だったと後悔する。
孫が選んだと言えば、どんなものでも喜ぶだろうし、趣味の合わない嫁が選んだプレゼント程、受け取ったはいいものの、その行き場を失いがちだ。
しかし、夫から義母のリクエストを聞いたことで、プレゼントの的を絞ることが出来た。






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アクティブな義母からのリクエストは、なんとヨガマット。
ご近所に誘われたことと、義姉達が通っておりその成果を見聞きして、一先ずやってみることにしたらしい。
この、一先ずやってみようと思える気持ちが義母の若さの秘訣だと思う。溌剌としており、友人も多い。
頼まれれば、時間の許す限り孫を預かったりと、祖母としての役割もパーフェクトにこなす。
料理上手な義母は、自称ワーママの次女(カフェで自分の小遣い稼ぎ&息抜きバイト)の仕事帰りに、美味しい手料理をたくさんタッパーに入れて持たせたりもする。実母とは対照的な人だ。
ラベンダー色のヨガマットを購入し、それとブリザードフラワー。夫から渡された予算内に済んだ。
頭の片隅に、実母へのプレゼントを考えるが、義母と違って無趣味な母へ何を贈れば良いか、今から頭を悩ませている。




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二千円の使い道

子と、隠れ家カフェへ行って来た。
どこもかしこも混み合うことが予想されるだろうGW、夫が浮足立ってツーリングへと向かった後で、取り残された私達。


「パパだけずるい!」


子の、この一言が効いたのか、夫が二千円もくれたのだ。


「これで、何かうまいもんでも食ってきな。」


夫は、子に甘い。
子も、そのことは良く分かっている。
二千円という金額は、映画やレジャーだと微妙に足りない。交通費が掛からなく、それでいて贅沢をしたと満足出来る使い方は、やはりちょっとした外食だ。
しかも、ランチとなれば、一人千円も出せばそれなりに美味しいものが食べられる。サラダやスープ、それに食後のデザートもついて千円という価格は選択の幅も広い。

のんびりと家事をした後、ネットで口コミ検索を子と一緒にする。ここがいい、あれが食べたい、そんなことを言い合いながらの親子店選びは楽しい。
内職で作った金を使わなくて良くなったことも、また嬉しい。




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そして、隣町にある隠れ家風カフェに行くことに決まった。
ウォーキングコースにもなっている、まるでトトロの道のような散歩道を歩く。森のトンネルだ。初夏の様な気候だったが、木々が陽を遮ってくれたお陰で、ひんやりと心地良い風が吹く。

カフェに到着し、店内に入るとため息をつく。
レトロな雰囲気。所狭しと厳選された本や花が飾られており、ランプの薄暗い照明がまた心を落ち着かせる。
二人して、ランチメニューは別々なものをオーダーし、シェアする。
彩り野菜のパスタランチと、窯焼きピザランチ。
お洒落なアンティーク食器に乗せられて運ばれて来たそれは、見掛け倒しではなく、美味しかった。


「ママ、美味しいねー!」


自宅にいると、DSやテレビが邪魔をし、あまり口を開かなくなった子だが、こういう場ではお喋りになる。
学校や友達のこと、勉強や先生のこと、私が尋ねるより先に色々なことを話してくれた。
楽しい時間をくれた夫に、この日ばかりは感謝した。




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