懇談会一言メモ
最後の懇談会。
PTAの集まりの後だったので、さぼる訳にもいかず、出席することにした。
廊下では、楽しそうにお喋りするグループがあちこち。高学年になるのに、更に役員までして来たのに、いまだにどの輪に入ることも出来ずに一人佇む私。
もう、「一人の人」というレッテルをしっかり貼られているのだろう。誰とも目が合わない。
いやー、厳密に言えば、チラチラこちらを意識しながら、仲良しママ達と歓談している人もいる。私の首のギプスが、より注目を集めているような気さえする。
嫌な感じだ。
お近づきになるチャンスだった、子の仲良しグループのママらとも、挨拶すらしなくなった。
S奈ちゃんが子に意地悪な年賀状の返信をしたり、また先日のバレンタインで友チョコ交換をすっぽかされたり、嫌な思いもあり、こちらからへこへこ頭を下げて媚を売るのが馬鹿らしくなったのだ。
教室が開き、席に着くのも一人。
皆、仲良しママ同志で固まるのだ。隣の空いた席にやっと誰かが座ってくれたかと思えば、父親だ。
担任が、愛想笑いで懇談会を始める。1年の締め括りというやつだ。そして、「最後に保護者からの一言」がある。お決まりのそれだ。
懇談会に出ると決めた時点で、一言はまとめて来た。それなのに、順番が近づくにつれて緊張感は増し、更に笑いを取る母親がいたりするからハードルが上がり、私の隣の父親が、更にそれにかぶせるように笑いを取ったところで頭が真っ白。
「では、OOさんお願いします。」
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担任に促され、予め用意して来たメモを取り出し、読み上げた。
「すみません、緊張しやすいので読みます。」
一気に、教室内に音が無くなった。
後は、早口で手元のメモを読み、
「一年間、ありがとうございました。」
担任に頭を下げた。担任は、微妙な笑みを浮かべていた。
私のように、メモを見ながら一言を述べる保護者は一人もいなかった。だが、メモがないと、頭が真っ白で更におかしなことになる。腹痛も朝からあったし、最悪トイレーというのは避けたかった。
お守り代わりに持っていたメモは、本当は使うつもりなど無かった。言葉は何度も練習して暗記していたし、実際直前までメモはポケットの中だった。
だが、周囲の空気に飲まれてしまったのだ。気の利いた一言ー、笑いを取るような言葉・・・
メモは手汗でぐっしょりと濡れ、しわしわになっていた。いい大人が、こんなことで情けないが、それでもさぼらず出席した自分は、母としての仕事をひとつ終えた達成感もあった。
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- category: 小学校
- 2019/02/28