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行事復活

緊急事態宣言が明けたと同時に、子の学校から通知が来た。
保護者説明会や部活の手伝い、それに、懇談会など。ここずっと、そういったことに離れていたので、一気に現実に引き戻された気分だ。
なんだかんだで、この状況が私にとっては心地良かったのだ。日本中が引きこもりを「善」であり「常識」とみなすこの状況が。

週末の面接の準備もあるので、気が急いて仕方がない。ぐるぐるとダイニングテーブルの周りを歩いたり、何度も何度も氷を口に入れてがりがりと嚙み砕いたり。夫が出勤で不在ならば、チューハイに手が伸びる。最近は持病もあるので控えていたのにこの有様だ。

行事の復活ー。子ども達にとっては喜ばしいことなのだけれど、気が重い。



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居場所の喪失

「仕事が決まれば、当分こちらに来られそうもありません。」

義父にそう伝えた時、一瞬、表情が曇るのが分かった。と、同時に、仕事をしなくて済む免罪符ー、反対されたい私もいた。だから義父に訴えたのだ。
私は、ここまで来て往生際が悪い。

「そうか。そっちはそっちの事情もあるしな。でも、母さんもだいぶリハビリで動けるようになったし、わしらで何とかするから気にせんで。」

義父は、ますます痩せた。義母が倒れてから恐らく10キロ近く痩せたのではないだろうか?三女はこの日、出勤だったので顔を合わせずに済んだ。
作り置きとして、おでんとシチュー、それに筑前煮などをタッパーに用意し、義父からはその対価として金を受け取った。だが、もう頻繁に来られなくなること、これが最後になるかもと思うと、最後くらいは善意で終わらせてこれまでのモヤモヤを帳消しにしたい自分がいた。


「やっぱり、これは受け取れません。私の勝手な思いでしていることですし。」


「いや、でもね。受け取ってくれないとこっちの気がすまんのだよ。」


「私も、受け取ることで心苦しく思います。なんだか、家族ではない気がしてしまうんです。お願いですから、私の我儘を聞いて下さい。それとー、」


私は、これまでに受け取った虎の子に仕舞っていた金が入っている封筒を差し出した。


「お返しします。」


仕事が決まりそうなのと、もうこれで自分は引き返せないという状況に追い込む為に、義父から貰って使ってしまった分は家計からの前借を合わせ、返すことにしたのだ。


「そうだったのね。」

振り返ると、さっきまでベッドで寝ていた義母がいつの間に起きたのだろう、パジャマ姿で立ち尽くしていた。そして、自ら立ち上がり歩行することが出来るようになっていたことに驚いた。

「お父さん、それは駄目よ。OOさんに失礼だわよ。」

まだ、たどたどしいが、会話も出来る。恐ろしいくらいに回復していることに安堵したような少しだけ心に影が差すような、複雑な感情が湧いた。
私の出来かけていた「居場所」が、ここにも無くなっていくのだという喪失感から来るものなのかもしれない。


義父は、義母の言葉に静かに頷くと、私の手から封筒を受け取り頭を下げた。そして、小さな声でありがとうと言った。


義実家からの帰り道、すっかり日の暮れた夜のような夕方の中で輝く街頭たちの明かりを浴びながら、この世界中でこの瞬間、私のような寂しさを抱えている人間の数を思い、途端に切なくなった。
私には、帰る家がある。独身者からしたら、なんという贅沢で甘えた感情なのだと笑うだろう。しかし、寂しいのだ。とてつもなく、ただただ寂しいのだ。
こういった感情はずっとずっと子どもの頃から、青春時代から持っていたものだけれど、いつか結婚して子どもを産んだら無くなるものだろうとおもって来たのに。
孤独感を、好き好んで自ら抱えてしまう性質なのだろうか。先を歩くOLらしき若い女性の後ろ姿は足取り軽く、私の過去や今や未来との接点はどこにもないように見えた。




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勢いに任せて

勢いで短期バイトの応募をしてしまった。酒を飲んでいたのだ。ふわふわした頭でぼんやり考えていると、もうどうにでもなれという気分でクリックしていた。どうせ、決まらないだろうという気持ちだった。条件が良かったのだ。
黙々と事務、短期大量募集、簡単なPC操作に問い合わせ対応・・そして、時間帯も、夕飯の準備が出来る夕方までのシフト。
ただ、土曜は出ないとならないのがネックだが、もう子どもは中学生なので昼などは適当にチンして食べて貰うことになる。
まさかの即返答が来て、とんとん拍子で今週末は面接だ。

勢いもあったので、業務内容に不安が残る。夫に伝えたら、それはコールセンターではないかと言われた。ノルマとか大丈夫?とも。問い合わせ対応という箇所には詳細は書かれていない。それは、面接で聞こうと思っているのだが、コールセンターで尚且つクレーム対応ではないかと更に突っ込まれ、どんどんと気が重くなって来た。

「あなた、やれる?クレーマーの電話対応。」


そのクレーマーである夫に尋ねられ、何とも言えなかった。ある意味、クレーマーである夫の対応を24時間しているのだから適正だったりするかもと思うのは、やはりアルコールを摂取した時。
ふわふわとした感覚を取り戻したく、戸棚にあるチューハイに手を掛けるのが再び癖になってきている。





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ペットではない

夫とは、あれから口を利いていない。元々夫婦の会話はない方だけれど、いつも私の方から機嫌の悪い夫に何度もお伺いを立てて持ち直すというパターンだった。
今回は、私の方が夫と口を利く気がなくなり、こんなことは初めてなのだが、シャッターが閉まったという感覚。
何故だろう?もっと酷く辛い思いをしたことはあったのに、なんだかこのコロナ禍という煮詰まった状況にあることもあり、私の中での十何年間の切れないように頑張っていた糸が、プツリと切れてしまったーそんな感覚なのだ。


三行半をつけてきたのは、夫の方。あのセリフが頭をぐるぐると回っている。
自分の老後は自分で考えろーというのは、世間の共働き夫婦にとっては当たり前過ぎることなのだろうけれど、私はあの言葉に夫の私に対する愛情が1ミリも無いのだということを思い知り、そして残酷にも、私はなんだかんだで現状に甘んじさせてくれていた夫を自分都合に信じていて、それで勝手に裏切られた気分になって。なんともお目出たい話だ。


それは、大きな間違いだった。


ペットショップで大きくなり過ぎた犬を見た。ガラス越しに近付くと、鼻をクンクンさせて切なそうな表情で何かを訴える。それは、今の私自身と重なった。
狭い箱の中、存分にえさと水を与えられ、気付けば買われ時を逃し、そうして誰からも見向きもされないままにこの子の生末はどうなるのだろうかと考えたくもない事実を頭に浮かべる。

ひとつ言えることー、私は自分の周りにあるガラスを叩き割って、外に出ることが出来る。人間なのだ。


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どうにでも、なれ

子の矯正代がまた掛かる。マウスピースの作り替えだ。これに、10万強・・
夫に伝えると、仕方がないといいながらも出し渋りが悪い。以前から、その兆候はあったのだが、自身の起業への不安もあるのか財布の紐がなかなか固くなった。
そういえば、最近では新しい服やバッグなどの嗜好品も購入していなそうだ。

「あなた、結局どうするの?」

そうして、再びこの台詞。

「勉強の方は、順調?ちょっとこれ解いてみて。」

ふいに出された、夫いわく簡単な簿記の問題。頭が真っ白になる。


「え?まさか、これ分からない?」


リビングには子もいたので、私達夫婦の会話を傍で聞いており、それは母親のメンツも丸つぶれだ。夫の嫌なところ、わざと私がパニくるような仕掛けで想定通り、無様に落ちるところを見て楽しんでいるのだろうとすら思う。

「え?嘘だろう?」


半笑いで更に追い詰めるのだ。こんな簡単な問題すら分からないーだろうこと、本当は気付いているのだ。これは、単なる嫌がらせだ。


「私、やっぱりあなたの仕事は手伝えない。」


烙印を押される前に、こちらから願い下げる。後先考えない、私のちっぽけなプライドだった。しかし、その言葉に対しての夫の反応は思ったよりも案外薄く、

「ああ、そう。じゃあ、どうするの、これから。OOの教育費とか。あなた、自分の老後費用とかちゃんと考えてる?大丈夫?いっとくけど、俺はあなたのATMじゃないからね。」

とだけ言って、後は興味無さそうに自室へと引き上げていった。


「ママ、働くの?」


見るに見かねた子に尋ねられ、

「うん。もう、病気がどうのこうの言ってられないね。倒れたら、ごめんね。」

わざと夫に聞こえるように大声で答えた。
倒れたら倒れたでもういいや、何でもいいから仕事をすることに決めたのだ。パートでも派遣でも長期でも短期でも単発でも。
座り仕事ではなくても、時間の融通が利かなくても。

家族のせいにするには、やめだ。夫も夫だが、私も私だったのだ。私のがむしゃらをこれまで見せなかったツケが回って来たのだ。


どうにでも、なれ。

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敬老スルー

子の猫ババの件。夫が不在の際、話を切り出した。

「お金、あれはあなたにあげた訳じゃないんだって。」

「え?そうなの?でももう使っちゃったよ。」

「何に使ったの?」

「色々・・」

「だって、1万円も入ってたでしょう?それ、全部簡単に使う?ちょっと何を買ったか見せなさい。」


「うるさ・・」


子は、物凄く渋い表情で、しかし、のらりくらりとする。


「消耗品だよ。もう使ってないよ。」

コスメに1万!?私なんてもうしばらくロクなコスメを使ってない。ドラストの一番安いラインで我慢している。基礎化粧品なんて、数百円のオールインワンゲル一択だ。


「もういいわ。パパは知らないんだよね。」

念押しにもう一度聞くと、子は知らないと言ったのでそこは安心した。私が義父から金銭を受け取っている事実を夫が知ったら、驚くと同時に私を狡猾で浅ましい人間だと思うだろう。夫に嫌われたくない感情よりは、捨てられる恐怖ー、今は丸裸でポイと社会に放り出される不安感が強いのだ。


来週は、義実家へ行く。私は再び金を受け取ることになるだろう。だが、少しでも罪悪感をなくす為に、義父が喜びそうなメニューを考える。おやつでも追加しようか。ホットケーキミックスで作る蒸しパンだとか。
そして、そういえば今年は敬老の日をスルーしてしまった事実に気付く。子も夫も、そして私もすっかり忘れていた。
義両親はあのような状況だし、実両親は、特に実母はヤキモキしているに違いない。だが、もうそれもどうでも良くなってきた。


皆、自分の人生に必死なのだ。









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猫ババ

義父から電話があった。


「ご無沙汰しています。お元気ですか?」


「あぁ、だいぶ良くなったよ。その節はすまなかったね。ただ、まだ万全という訳でもないんだよ。」


「来週、伺いましょうか?何か食べたいもの、ありますか?」


頼られていることが嬉しく、つい声を弾ませてしまう。そして、先日の子がいただいた小遣いの礼を言う。


「あ、先日はOOにお小遣いをいただいたようで・・ありがとうございました。」


すると、義父は驚いた声をあげた。


「え?あれはお母さんに渡しておくれと言っておいたはずだが。」


しばし、気まずい沈黙が流れた。やはり子が嘘を付いたのだ。ただ、義父に余計な心配を掛けるのも良くないと思い、慌てて取り繕った。


「あ、そうだったんですね。私が勘違いしてました。OOが貰ったよって言ってたので、参考書でも買いなさいってそのまま渡してしまって。OOも、あまり話を聞いてなかったんでしょうね。でも、本当にお気遣いなく。私が好きでやってることなので。」


「そういう訳にいかんよ。」


義父は、やはり嫁との間に一線を置きたいのだろうか?そして私も金を何度か受け取るうちに慣れてしまい、最初の違和感や困惑はどこへやら、むしろ自分の小遣いというものが無い今では、それを頼りにしてしまっている部分もあるのが本音なのだ。


それから、義父と来週の約束をして電話を切った。
そして、子とどう向き合うか考える。友達とうまくいっていないストレスから起こした行為なのならば、慎重に対処しなくてはならない。
副反応がなくなりほっとしたのも束の間、頭が痛い問題が次々と発生する。



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ワクチン2回目

明日になったら、笑ってなかった。
ワクチン2回目は、1回目の比ではない副反応に苦しんだ。

接種当日は、ぼんやりとした倦怠感、それに微熱と頭痛程度だったのが、夜中頃から突然の悪寒で目が覚め、ガタガタ震えながら毛布と布団を取り出し、冬用の寝巻に着替えた。
熱はどんどん上がっているのにも関わらず、足先は冷たい。まだまだこれから熱が上がるのだ。
意識を失うように少しの眠りにつき、再び目が覚めた頃は39℃越え。体中が痛くて仕方がない。
特に、腰から背中、それに尻。腕や太ももの筋肉も痛くて寝返りも打てない。それに、布団が肌にこすれる度に、神経がピリっと痛むのだ。
1時間に1回はトイレと水枕の交換。水筒に予め入れておいた水をがぶがぶと飲みつつ、とうとう我慢出来ずに市販の解熱剤を飲んだ。
30分程度で薬の効果が出て来たのか、朝方まで熟睡出来たのだが、目が覚めると再び痛みと頭痛。2回目の解熱剤。

日中、夫も子もいないので一人きり、かえって自分のことに集中出来たのでゆっくり休むことは出来たのだが、トイレへ立つ際、部屋の中のぐちゃぐちゃぶりに泣けてしまった。
子が気を利かせたのか?洗濯を回すところまでやってくれていたのだが、とうとう干すことは出来なかった。

ポカリだけ飲んで日中をやり過ごした。子と夫が帰宅したことすら気付かなかった。夫は独り言のように何かに文句を言う声が聞こえたが、シャットダウンした。それくらいに気分が悪い。それに、大丈夫か?の一言すらないことに失望感をおぼえた。

長い一日が終わり、接種してから36時間が過ぎた頃、ようやく体の痛みが少しずつ消えて行く実感。ただただ横たわっていることしか出来ず、回復後の家事のことを思うとげんなりするけれど、体の中にしっかり抗体が出来たという安心感は何物にも代えがたい。
しかし、3度目の接種については、まだ考えたくないのが本音でもある。







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緊張

何時間寝ただろう。
トータル3時間?
緊張し、あれこれ考えては何度もトイレに往復、そして喉が渇くので水を飲み、また再びトイレに起きる。
まるで、老人のような一晩を過ごした。

行きたくない。でも行かなくてはならない。
いや、選択権は自分にある。よくよく考えて決めたこと。
なのに、時が迫るにつれて心がぶれる。よくあることだ。


明日になったら楽になる。
明日になったら昨日の自分を笑ってる。


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働き方を考える

仕事を探しているが、ちょっといいなと思う仕事はすべて、平日の1~2日は午後20時まで。
夫が在宅だったり、子はもう中学生なので、人によっては何を甘いことを抜かしているのかと思われるかもしれないが、我が家では無理な話なのだ。
今、とても宙ぶらりんな状況で、夫は私にいずれ仕事を手伝えと簿記の資格取得を勧めている。だが、正直自分に務まる気がしない。
そもそも数字に弱く、家計簿だってまともに付けられないから夫が家計管理をしているところもある。雑用くらいならこなせるような気もするけれど、予め決められたルーティンをこなすのではなく一から作ること、しかも夫にチェックされるのは外でも家でもとなると逃げ場がなくしんどい。
なので、夫に尋ねてみた。

「私に仕事を手伝えって言ってたけど・・もし外で働いてたら辞めさせても手伝わせた?」

すると、夫は馬鹿にしたような笑みを浮かべて、


「はぁ?あなた、ずっと仕事決まらないし暇そうだから、だったらそうすればって提案。俺だって嫌だよ。四六時中嫁と一緒なんて。ただ、経費の問題もあるし、どうせ体ひとつ空いているのなら無駄にするなって話。ぶっちゃけ、手伝いたいって奴いるし。」


すぐに浮かんだ顔。吉田さん。まさか彼女に事務経理の仕事を任せる?聞こうと思ったが、声が出なかった。それに、そうなった先、いよいよ私達の将来は危ういものになる。我が子が独立すれば、私は本当の意味で用無しになるのだ。
それは、困る。だが、彼女とは決まった訳ではない。


「ただ、簿記3級すら受からないんじゃあ頼めないよ。最低限の知識だからな。あと、ExcelとかWordとかあなた出来たっけ?PTAやってたし大丈夫か。」


夫は、私のパソコンスキルを知らない。ふわっと何となく出来るだろうと高をくくっている。実際のスキルを知ったら、失望するに違いない。夫の求めるスキルと私の持つスキルの差に愕然とする思いだ。

夫と働くにしても外で働くにしても、どちらにしても自分が使えそうもない事実。手当たり次第に求人を見る。無資格であっても求人数が多いのは、清掃やレジ打ち、調理補助や介護補助・・・体力もなく持病のある自分には立ち仕事は無理だ。
そして、スキルの要らない座り仕事なんて、倍率がとてつもなく高い。








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当たりを外す

PTA活動は、来年にはどうなっているのだろうか?
どの委員も、今年度は去年同様、コロナ禍真っ盛りの中で試行錯誤しつつ行っているようだ。
そんな折、中学のPTAから通知が届いた。成人委員の祭りが中止になったという知らせ。
今年引き受けていた保護者は、内心ラッキーと思っていることだろう。私も引き受ければ良かった。
その他、保護者向けセミナーなどの類もすべて白紙になったらしい。そもそもそのようなものがあるという案内も無かったので、夏前の時点でどうするか思案していたのだろうと思う。


終わりの方に、成人委員としてイベントが無くなったけれど資料作成などをしつつ年度末まで活動はすると記載されてあった。心底、羨ましい。
そして、次年度は今年度活動出来なかった分、盛大に行いたいーというようなことも加えてあった。
来年のハードルがここで更に上がった訳だ。
今年やっておけばよかった・・・









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アンテナ

夫は出勤の日、外は雨模様。

やはり、自宅のリビングが一番落ち着く。なんだかんだで車の中だと自由は効かないのだ。
トイレやちょっとテレビを観たり、また冷蔵庫の中を漁ったり。
主婦の城はキッチンとは聞くけれど、我が家のキッチンはとても古くて汚れも目立つ。昭和の産物といったところだ。
なので、居心地は悪いし気持ちも上がらない。やはり、誰もいないリビングが居心地が良い。

ソファーにでんと寝そべる。暖かいコーヒーに、ファミリーパックのチョコクッキーさえあれば幸せ。
そして、再び我が子のラインをチェックした。昨日は例の子とやり取りはしていないようだ。よくよく遡れば、いつも子の方からラインをしている。
部活再開の知らせはまだ来ていないけれど、いずれそうなった時、子の居場所はあるのか・・・
何気なく、部活はいつから始まるのか聞いてみたところ、子の表情が曇ったように見えた。

「分からない。面倒臭いな。」



面倒臭いという斜に構えた表現で、実は心底憂鬱なのかもしれない。そんな風に思ってしまうのは、私の子だからだ。
休み時間はどうしているのか?登下校は誰と共にしているのか?教室に話せる友達はいるのか?
聞きたいことは山ほどあるのに、子を前にするとそれは禁句のような気がしてしまい、ただただご飯を作ることしか出来ない。
思春期の子にとって、親というものはなんて無力なのだろう。

私自身も、青春時代はとてもしんどい時期があった。勿論、親の前では弱音は吐かず、楽しいふりをしていた。全部全部嘘だったし、その嘘がばれることはイコール、自分を失うことだった。
せめて家庭では、こうありたい自分でいたかったのだ。今となっては分かる、それはとても危険な行為だったのだが。

あまり深入りしない方が良いのかもしれない。いや、もっと深入りした方がいいのかもしれない。
答えを出せないけれど、とにかく異変を見逃さないようにしなくてはならない。









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最後の砦

見なければ良かった、子のライン。
久しぶりにチェックしてしまったのは、子が必死の形相でスマホを操作していたからだ。何か、焦っているような、そんな感じ。
時間の経過に頼り、胸騒ぎを落ち着かせることが出来ず、やはり見てしまった。

子の部活グループライン、その人数がなぜか「2」になっている。6~7人いたはずなのに。

友達との会話は、普通だった。だけれど、ところどころ相手が子に苛々しているというか、マウンティング的な態度を取っているように思う。

ーねえ、もう抜けていい?


ーえ、そんなこと言わないでよ。


ーうそうそww


または、


ーなんか面白い話してよ。


ーえ、そんな急に浮かばない。


ーつまんなーい。じゃ、もうここ抜けていい?


ースタンプ(キャラクターが泣いている



どうやら、部活メンバーでしていたライン、子とその子2人が残されたのかそれとも子が残されそうになっており、お情けでその子は残っているのか。
にしても、嫌な子だなという印象だ。我が子をもてあそんでいる。
こんな子とのラインなんてブロックしてしまえばいいーと思いつつ、他に誰かと親密にやり取りしてるのかと思えば、例の男子とのやり取りはぽつぽつ継続している。ただ、以前のように盛んにやり取りはしていない。このままでいくと自然消滅的な感じでもある。


私と同様、子も人との付き合いにおいて長続きしないのだろうか。とても、悩む。




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いつかの為に・・

テストの結果に落ち込む子。夫は、そんな子に葉っぱを掛けつつも叱咤激励。

「好きなことを仕事にしたいと思った時に、その選択しが広ければ広い程有利なんだぞ。その時は判断が間違っていたとしても、知識や経験や技術があれば何とでもなるし、取り返しがつかない事態に陥ることはない。要は、積み重ねなんだ。さぼったらさぼった分だけツケがたまるんだ。今、目標がなくてもやりたいことが見付かった時にそれに取り掛かる下地が出来ていたら、後はその目標一本に集中して向かえばいいだけなんだ。」


自分が楽に出来る仕事が天職だと、以前テレビで有名予備校講師が言っていたことを思い出した。
ただそのような天職が見付かるか見付からないかも分からない。運よく見付かったとして、それが早いか遅いかも人それぞれ。ただ、それが見付かった時点で余計なことに時間を使わずにいられるかで目標達成度合いも変わるーというようなことを夫は言いたかったのだろう。

でもでもだってが最近の口癖の我が子に、夫は在宅仕事が多くなったぶん、干渉するようになった。子は口うるさい父親にうんざりしているようだが、私が言うよりも説得力があるのか、いちいち反抗するようなことはなかった。

まだ中二だが、中三まであっという間だろう。年を越せば、いよいよ受験する学校もピックアップしなければならない。そういう情報に疎いので、やはり集団であっても塾に通わせることは必須だろう。




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またね、のあとで

昨日と比べたら、車内は快適な温度。曇り空だけれど、熱くも寒くもない丁度良い加減。
10時~1時間程度、車内で好きなことをして過ごし、それから買い物へ行くことにした。駐車場は、エントランスから離れて奥まった場所にある為、車を使う人しか入って来ないし誰からも覗かれないのがお気に入りポイント。そして、前後左右の車は日中、通勤で使わているのだろう、駐車スペースは空いている。
タブレットで好きな動画を視聴していたら、1時間なんてあっという間だ。午後は夫がいる手前、簿記の勉強をしてみたり就活サイトを覗いたり家事をしたりで「見られることを意識した疲れる生活」に舞い戻る。
ストレスを溜めない為には、一人きりの空間と時間は大切だ。

すっかりリフレッシュしてから、近くのスーパーへ自転車で行くところ徒歩で行くことにした。それくらい気分は軽かったのだ。私にしては珍しい。勿論、あの公園をわざわざ通り過ぎることもなく店までの最短コースを歩く。
金木製の香りがマスク越しに伝わる。あぁー、もうこんな季節かと一人四季の変化を楽しむ。

一瞬、足が止まった。こげ茶のサマーカーディガンに黒いパンツスタイルのシルエットに見覚えがあった。ベンチに座り込み、3人の女性達が会話を楽しんでいるようだ。
Mさんだった。Mさんと、会長と、後は知らない誰だろうか・・Mさんは私に気付くと手を振った。つられるように会長がこちらに気付き、マスク越しでも分かる飛び切りの笑顔で、



「わー!ひっさしぶり!元気だった?」


1年振りだろうか、打ち上げ以来の再会だった。その長い時間を感じさせない彼女のコミュニケーションスキルは健在だ。Mさんと会長がまだこうして繋がっているとは驚きだった。二人の会話の時には、会長のかの字もおくびに出さなかったのに。
もう一人の女性は、まったくの初対面だったので軽く会釈をすると向こうも感じ良く返してくれた。


「一緒に話す?」

会長が誘ってくれたが、条件反射的に、

「ちょっと予定があって・・」


嘘を付いてしまった。というか、Mさんが迷惑そうな顔をしているように見えたからだ。実際のところはそうでもないのかもしれないし私の勝手な妄想に近いのだろうけれど、本能でこちらも拒否してしまったのだろう。

「じゃあまた。」

「またね。」

「コロナ落ち着いたら、同窓会しようね!」


またーという便利な社交辞令の言葉は、時に私を慰める。繋がりたいのに繋がれない、人恋しいのに疲れてしまう、あての無い約束はささやかな光でもあるのだ。

















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模索中

早速、子が学校で夫が在宅の日中、車のキーを借りてそこで数時間過ごしてみた。
夫は、家事さえしてくれればあとは好きにと言わんばかりに、モバイルルーターまで貸してくれた。私がママ友とでもオンライン通話すると思っているのだ。
実際は、好きな飲み物と小さな菓子を持って、ネットサーフィンや動画を観るに留まるのだけれど、夫がいつ自室から出て来るか分からないリビングにいるよりも、よっぽど気楽だ。

座席をギリギリまでリクライニングし、タブレットを見やすい位置にセッティング。もっと窮屈かと思えば、この狭い空間が心落ち着く。我が家の車の隣や前方の車は、仕事で出払っている。なので、誰かに覗かれることもない。

一通り、ルーティンのように見て回っているブログなどを閲覧したら、今度は動画。大家族を観て和み、節約動画、それから丁寧な暮らしを送る主婦の動画。しかし、彼女らの動画に共感出来ず、ただただこうして狭い車の中で縮こまっている自分が惨めに思えて来てしまい、まったく違う環境に身を置いている女性の暮らしを覗き見ることにした。年齢も立場も違う女性だからこそ、比較して落ち込むこともない。
その主は、20代の丸の内OLだ。彼女の日常は、慎ましやかだけれど洗練されており、もしも叶うのならこういう一人暮らしをしたかったと思わせる。
エレガントだが、華美ではない。何というか、品がある。
私はその彼女になったつもりで、狭い車の中で妄想する。針金さんとの日々に代わる充実した日々を、こうして模索しているのだ。








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面倒ごと、先延ばし

この週末、実家の保証人の件について夫に切り出そうと何度か試みたが、うまくいかなかった。
ほろ酔いで機嫌が良い時に持ち掛けるつもりだったのに、オンライン飲みで潰れてしまったり、もう一日は子と揉めてしまったことでそれどころではなくなった。
子の学力が振るわず、今通っている塾は辞めて、秋から集団塾を検討することにしたのだ。その決断に到達するまで、本当に揉めた。
夫もよくない。姪や甥を引き合いに出して、子と比べたのだ。血は繋がっていても、人間は違う。それは、兄弟であっても。
違う人間、違う環境で育った彼らと比較されてもどうしようもない。
最後は、珍しく子が号泣ー、夫は狼狽し、結局は子の要望を飲むことになった。やはり、夫はなんだかんだで子に甘い。徹底的に嫌われたくはないのだ。

そういう訳で、夫に話をするタイミングを失った。
そして、私はいつの時でも何かしら心に面倒ごとをぶら下げ暮らしているのだな、と思う。




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早速解禁

二度目の接種を終えた夫だが、早速、友人らと飲む約束を取り付けているようだ。
毎度のようにオンライン飲みを自室でしているのだが、開け放したドアから話が聞こえて来た。
以前は、代休になればいそいそとツーリングへ出掛けていた夫だけれど、コロナ禍になってからはパタリとなくなり、仲間とはオンライン飲みでコミュニケーションを取ることが常となっているようだ。
気晴らしに、原チャリでコンビニや本屋へ行くことはあるけれど、ただそれだけで大型バイクは長らく持ち主に乗車されないままに、さび付く心を持て余しているのかもしれない。

「あなたも2回目済んだらママ友とランチくらい行って来たら?」

「・・・」

少しは罪悪感があるのだろうか、そんなことを言いだした。言われても、この微妙な時期に誘ったり誘われたりするママ友なんていないのだけれど。
ふと、Mさんや針金さんの顔が過ったが、彼女たちは既に私の人生を通り過ぎた過去の人扱いだ。引っ越し前のママ友とかおりと従姉妹、彼女らは遠方に住んでいるので気軽に会うことが出来ない。
従姉妹にいたっては、今は会いたくない。彼女のまろやかな腹を直視する勇気が出ない。

夫は、家の中ではやりたい放題、また性格だってねちねちしていて女々しいのに、なぜか外面がいい。無論、自分の人生においてメリットあるなしを振り分けた付き合いだ。メリットがなければ、即切り捨てる。
可愛がっていた後輩が大きな仕事で失敗した時も、てっきり庇うのかと思えばそのまま疎遠になった。毎日のように飲み連れていたのに。

自宅飲みにシフトチェンジー、要するに社内の上司のご機嫌取りや付き合いの飲みがなくなり、オンラインなので気の合うメンバーと飲むようになってから、あの雄叫びを聞くことはなくなった。今思えば、あれもひとつのチック症状だったのだろう。
子のチックは、私の遺伝かと思っていたけれど夫の遺伝も少なからずあるのかもしれない。


早速解禁、世間的にはまだまだ早いように思えるし、正直賛成しかねるけれど・・一応、私が2度目の接種を終えた後に日程調整をしているようなのが救いだ。





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  • 2021/09/12

私の部屋作り

コロナ禍で、どのカテゴリに属す人がストレスを多く受けているかーのアンケート調査で、その結果は「子持ち主婦」がダントツだったという。続いて「子持ち夫」。特に、子持ち主婦は主婦でも、働く主婦ではなく働いていない主婦かテレワーク主婦の受けるストレスが大きいという。

普段社交的な人でも人と会えない生活が強いられている。
他人と会えないストレス。会話が出来ない、会食出来ない、仕事ついでの雑談がテレワークだと難しいなどなど。

積極的に自分からコンタクトを取らないと着信がないライン。日々がなだらかではない人達にとって、この無機質で平坦な日常は苦痛にほかならないのだろう。

私は、針金さんとなんだかうまくいきそうな時は、自分が案外外に出るのが好きな人間なのだと錯覚した。合う人がいれば、外出は困難ではない。むしろ、楽しい。ただ、合わない人ー例の親子のような・・がいると、途端にその環境は変わる。外に出るのが億劫になる。そうして築き始めた縁も、どんどん薄くなっていく。


ーあぁ、私は元来の引きこもり体質。やっぱり、家で一人は落ち着く。面倒な学校行事も今は無いし、悠々自適ではないかー

と、思い込もうとしたが、在宅仕事が殆どの夫がその代替としている現在、結局、家にいても居心地が悪い。そうして思い付いた一つの案が、車だ。
私は車の運転が出来ないけれど、その車を使わない時は、私の部屋にしたらどうだろうと思い、夫にお願いをしてみた。勇気が要ったが、夫もどことなく私が家にいるのが鬱陶しい空気を最近になって出してくるようになったからだ。

「買い物にでも行って来たら?」

「あなた、ちょっとウォーキングぐらいした方がいいんんじゃない?」


「ランチは無理でも、ちょっと一緒に出掛けるママ友とかいないの?」


猫通いをしていた時は、外出に関して干渉し苦言を呈していた夫だが、こうも宣言が長引き、夫婦二人きり一つ屋根の下の生活が続くと、彼は彼で居心地の悪さを感じていたようだ。
なので、私の提案に、すんなりOKを出した。


「ママ友と出掛けるのは今は控えているけど・・オンラインで電話とかする時に車使ってもいい?仕事中、邪魔したら悪いから。」


「そうだな。そうしてくれるとこっちも助かる。部屋にいても、流石に井戸端会議の内容が筒抜けだと集中出来ないからな。」


ママ友ーというキーワードに関しては寛容な夫。個人的な付き合いに関しては良い顔をしないのだが、「子どもを介した付き合い」については子どもの為にもなっているという認識があるのだろう。だから、PTAなどの役もやれと言わんばかりに口出しをしてくるのだ。



我が家の車は、運の良いことに端っこだ。停めずらいと夫は嘆くが、「私の部屋」のは具合がいい。部屋が出来たことで、最近の鬱々とした気分が晴れるような気がしている。




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楽観主義

夫、2回目の接種が済んだ。
接種3日前から、大騒ぎだ。副反応に余程びびっているのだろう、ネット検索もしまくっていたようだし、何度か義姉に直接電話であれこれ聞いたりもしていた。その度、窘められているようで、まるで子どものよう。
それでも、子どもの前では毅然としてワクチン接種の大切さを説いているのだから、まるで二重人格。
接種日当日の朝まで、ポカリをがぶがぶと大量に飲んでおり、都市伝説とも化しているネタを取り入れるくらい不安でいっぱいのようだった。
夫いわく、自分と同じくらいの年齢層が副反応に苦しんでいるのだと訴える。

寝込む気満々で、冷蔵庫にはいつの間にやらスポドリの他にゼリーやプリンがぎっしりと詰まっており、本当に具合悪ければこんなに大量のゼリーなど食べられないだろうにと思う。


結局、肩透かし。
2回目の副反応はまるで出なかったのだ。むしろ、1回目の方が重かった。食欲もあり、なんとマックを食べたいから買って来てくれとまで言われて買いに走った。
熱も微熱程度、横たわってスマホを見たり好きなものを食べたりと、お気楽な生活を送っているだけ。本当に打って来たのか?と疑う程元気だった。


一応、有給も取っていたらしいが、必要なかっただろう。


家族の副反応を見て、不安が募ったりまた安心したり・・次は私の番。夫とは血の繋がりもないから何の根拠もないのだけれど、私も2回目は楽なのではないかと楽観している。少しだが気が軽くなったのは事実だ。


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保証人問題

久しぶりに会った弟は、不精髭に伸び切った髪をゴムでまとめており、いかにも働いてない風情。
車は、父親のもの。高齢で現在体の調子が悪い父はしばらく乗っていないので、この車は実質弟のものとなっているようだ。


「あんた、まだパチンコしてるの?」

恐る恐る聞いてみる。悪びれた様子もなく、


「今日はやめた。昨日ボロ負けしてさ~」

またあの頃に引きずり込まれそうで、早速要件を尋ねた。

「で、引っ越しの件だよね。一体何?」


日中のコンビニの駐車場には、大型トラックがたくさん停められており、弟と同じくらいの世代の運転手が、労働の合間にコンビニ飯を運転席で搔き込んだり、また束の間の仮眠を取ったりしている。
そんな光景を眺めながら、内心では弟の方に全神経を向けていた。


「まあさ、分かるだろう?保証人の件だよ。俺、今の状況だと無理なわけ。」

ーはじまった・・


嫌な予感程、あたる。


「あと、ちょっとした金も必要でさ。今はこんな状況だしさ。コロナがなかったら仕事もどうにかなったんだけどな。」


「パチンコ行く時間あったら、仕事先探したら?」

怠けづいた弟の態度が許せず、突き放した言い方になってしまう。だが、弟が頼んでいるのは保証人の件と、あくまでも引っ越し費用の一部であって、パチンコ代ではない。

「そもそも今の家賃がヤバいんだって。だから取り敢えず固定費見直しで引っ越して、またある程度たまったら絶対返すから。」


引っ越し話が浮上した時から、保証人のことは引っ掛かっていた。私は働いていないので、実質的には夫が私の親や弟の保証人になるということだ。
また、この手の話は母からではなく弟からというのがモヤモヤする。

「うちに保証人になって欲しいって、お父さんやお母さんから頼まれた?」

「いや、特に頼まれてないけど、普通はそうだろ?」

ー普通?普通って何?そもそもあんた、普通の定義分かってる?そもそも、それが人にものを頼む姿勢?


軽々しく答える弟は、夫とは一切絡んだこともなく、夫の人柄を知らない。それに、実家のごたごたに夫を巻き込むことは、また借りを作ることになる。結婚当初の借りだって、いまだ返せていないのだ。
しかし、突っぱねれば、私は「非常な娘である姉」に成り下がる。

「ひとまず、考えさせて。旦那とも相談しないとだし。それに、引っ越し代だってお母さんならちゃんと貯めてるはずでしょう?そんな無計画なことあり得ない・・」



「姉ちゃんの前では、あの人強がるからな。」


引っ越し代の負担ー、もしも私が一人っ子だったのなら全負担することになるのだろうか。そもそも、弟の「入用」がどの程度なのか、まさか自分のポケットに入れやしないかと不安は募る。
つい、いくら必要なの?と聞きたい気持ちをおさえる。聞いたが最後、出すつもりがあるのだと捉えられてしまうのだ。

「じゃあ、そろそろ行くわ。」

「これ、少ないけど・・何か美味しいものでも買って。」



予め、用意していた5千円札を渡した。これは、ポイ活でコツコツと貯めていた分と虎の子から。頭では良くないことと分かっているが、目の前にいる図々しい弟から一刻も早く離れたく、取り敢えずこのごたごたから距離を置きたい気持ちがそうさせた。
そそくさと受け取った札をズボンのポケットに差し込むと、

「サンキュー」

何事もなかったかのようにハンドルを握る。

「まあ、俺がいるから二人も少しは精神的に安定してるんだと思うよ。」


引き換えの台詞。こうして実家に何も出来ていない姉の罪悪感を植え付けるのだ。経済的にはむしろ親に負担を掛けている癖に、悪びれもなくそんなことを言う弟に嫌気がさした。


「あ、OOは元気?中学生だっけ。」

とって付けたように、弟にとっては姪である我が子の話題を出した。まっとうな叔父ならば、久しく会っていない姪に小遣いくらい渡すだろう。生まれてからこれまで、七五三も入学祝や卒業祝いなども貰ったことはないし、お年玉すらスルーなのだ。

ここにきて、急に存在感を示して来た弟。このままずっと影の薄い存在でいて欲しかったが、年老いた両親を前にそうはいかなくなりつつあるのだ。











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対人運

この夏はずっと引きこもっていたこともあり、体重が3キロ程増えた。体が重くなると、内臓もなんだか重くなった気がして体全体がミシミシとさび付いているような感覚。
デトックスがてら、断食も試みたけれど、半日も経たずギブアップ。頭痛と吐き気が止まらず、より一層体調不良になってしまった。
なので、やはり運動が一番。家の中で動画を観ながらエクササイズもいいけれど、気分が鬱々としているのと夫が在宅なので外の空気を珍しく吸いたく思い、散歩がてらウォーキングをすることにした。

敷地を出る際、少し遠回りして例の公園に立ち寄った。当たり前だけれど、猫もいないし針金さんもいない。
ベンチに座る気にもならず、そのままその場を立ち去る。
すると、どこからか針金さんが出て来た。あの気まずいラインのやり取りが昨日の今日の出来事だったぶん、驚き過ぎて、声も出なかった。

「久しぶり!」

「あ、あぁ、久しぶり。」

どうしてもギクシャクしてしまう私をよそに、彼女は彼女らしい柔らかい笑みを浮かべ、気さくに話し掛けて来るのだ。あのラインでの塩対応も、私の気にし過ぎだったのかと思えてくる。

「あの猫ちゃんのことだけどね・・ちょっと時間ある?」


誘われ、例の公園のベンチに腰を掛けた。久しぶりの会話に胸が弾みつつも、どこかそれを他人事のように見ている自分もいた。

彼女の話では、あの猫は夏の間にすっかり弱ってしまい、動物病院に連れて行ったりもしたそうだけれど、やはり一番は引き取り先を探すことだと考えたらしい。知人や近所、その他猫好きのネットワークを駆使し、それでも引き取り手が見付からずお手上げ状態のところ、あの親子の祖父母がずっと飼っていた猫を亡くしてペットロスに陥っていたということで、ダメ元でお願いしたところ快く受け入れてくれたのだそうだ。
その話を聞いて、あぁ、もう針金さんは私よりもあの人の方に全信頼を置いているのだなと、悔しい気持ち半分諦めの気持ち半分になった。

何となく、互いにベンチから腰を上げて歩く。てくてくと、自分の家の方向へ。私はウォーキングをしていたので反対方向だったのに、彼女と何となく離れることが出来ず同じ方向に体を向けたのだ。
だが、そんな私の心など知らない彼女は、



「じゃあ私は、ちょっと友達の家に寄りますね。では、また。」

そう言って、別棟のエントランスへと消えて行った。

ー友達?まだ、越して来たばかりなのに、もう友達?

動揺が隠せない。この夏の間で、二人の関係がガラリと変わってしまった。互いの身の上話だってしていたというのに。
そして、もしかしたらあの親子の家では?と妄想し、ただただ落ち込む。

なんだか残念な気持ちになり、ふらふらと家路に着く。結局、いつもこうなのだ。私には、対人運が圧倒的に悪い。





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橋、崩壊

針金さんに、それとなくラインをしてみた。
先日の謝罪をしようと思ったのだけれど、よくよく考えて、事態を悪化させる気がしたのでやめた。
何事もなかったかのように、猫の話題を出した。それと、お裾分けがしたいと、会える口実を探った。
お裾分けは、先日子が夫と義実家へ行った際に貰って来た梨だ。冷蔵庫の場所も取るし、なんとかしたいと思っていたところ。
それから、海苔。日持ちはするけれど、これ以上彼女を会わない時間を作ることは得策ではないと考えたのだ。

ーこんにちは。この間はどうも。親戚から梨と海苔を貰ったんだけど、食べきれないから貰ってくれたら助かります!それと、最近猫ちゃんを見てなくて心配してます。どうなったか知ってますか?


半日以上経ってから、返信が来た。

ーこんにちは。猫ちゃんについては色々あって、預け先が見付かりました。お裾分け、ありがとう。ただ、うちにも梨や海苔がたくさんあって、気持ちだけ頂戴しますね。


言葉遣いは丁寧だが、突き放された気がする、そんな内容だ。
色々あって・・とは、彼女があの猫の預け先を探したのだろうか?一緒にあの猫の成長を見守って来たはずなのに、一言の相談もなく行動を起こした彼女に対し、言いようもない感情が湧いた。
そして、あの猫が誰かの飼い猫になったという事実に、想像以上の喪失感を抱いた。正直、あの猫に個人的執着はなかったはずなのに、いざ、もうあの猫に会えないのだと思うと、もう少し可愛がってやれば良かったと悔やむ気持ちも。

そして、涼しくなったらまた公園通いのルーティンが始まるのだと期待に胸を膨らませていたのに、すべて無くなってしまった。
ショックのあまり、彼女のメッセージを読んでから返信する気になれずにそのまま既読スルーだ。

彼女と私を繋ぐ橋は、あっけなく崩れ落ちてしまった。








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本家クレーマー

夫が注文していたパルスオキシメーターが届いた。市場ではなかなか出回らず、病院へ行っても在庫切れ。
だが、ネットでは購入することが出来たらしい。
セッティングを任されたので、梱包を開けてみた。梱包もなんだか雑な感じだし、発送元もきちんと記載されていないことが引っ掛かりつつも、説明書を探す。
ようやく見つけた説明書だが、外国語。何が書かれているのか読めない為、自室にいる夫に尋ねた。夫は語学堪能なのが救いだ。
だが、夫は商品を一目見て、顔色を変えた。


「え?なんだこれ?」


夫が機械を操作しようとするが、電池が入ってない。


「なんだよ?電池入ってねーじゃん!」

苛々しながら家にあった電池を入れて、スイッチを押す。なんだか反応が鈍い。ようやく数値が出たけれどおかしい。


「おいおい、そもそも日本製じゃねーよこれ。詐欺だな。」


クレジットカードで購入したので、決済もされている。夫のクレーマースイッチが入った瞬間だった。
すぐさま電話を取り出し、メーカーに問い合わせる夫は、どこか喜々としているようにも見えた。最近では外食をする機会も減ったので、ストレスの捌け口が無かった夫にとって、明らかな相手のミスーというか故意なのかもしれないけれど、それによって起きた事象なので堂々とクレームをつけることが出来るのだ。


「あ、もしもし。そちらでパルスオキシメーターネット購入したものなんですがね、不良品届いてますよ。」

「そもそもね、注文したらすぐ決済の手続きはされたのに、そこからは音沙汰なしですわ。メールで問い合わせてもレスポンスないしね、10日経ってようやく届いたと思えば不良品ですか?っていうか、日本製って嘘ですか?電池は入ってないし、入れても数値はおかしいんですよ。数値が出なかったり出たりでこれって正しい訳?あのね、分かるでしょ?今これを必要としてるってことはどういう状況なのかってこと。遅延するならそっちから連絡するのが筋でしょう?それに、こんな不良品で事故でも起こったら、おたくら責任取れる訳!?この数値信じて手遅れになったらどうすんの?っていうか、被害者もう出てるんじゃないの?え?どうなの!?は??責任者出せよ!!」

最後は恫喝のような声色になっていたが、夫の表情は怒りというよりは興奮と絶頂を迎えたように見えた。楽しそうなのだ。


「あーキャンセルね。っていうか、こっちはお陰で時間無駄にしたんだけど。また別のメーカーで購入しないとなんないしね。日本製って虚偽の説明、いつまで乗せてんの!?あのね、詐欺ですよこれは。れっきとした犯罪ですよ。訴えましょうか?こんなゴミを押し付けられて迷惑だっつーの!」


最後はガチャ切り。5分も経たないうちに、夫のメアドにキャンセル処理が出来た旨のメールが届いた。
そして驚くことに、ネットの商品説明に記載されていた「日本製」が、「日本製センサー」と修正されていたのだ。それを見て、恐らく夫は満足したに違いない。

「ったく!ふざけんなよ。時間を無駄にしやがって。」


言葉とは裏腹に、すっきりした笑顔の夫。むしろ、上機嫌だ。こういう夫を隣で見ているからこそ、コールセンターなどで働くことは出来そうもない。

















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  • 2021/09/06

後悔・・

久しぶりに針金さんに会った。会ったといっても、約束やお裾分けではなくバッタリエレベーターで会ったのだ。
どこか、お出掛け風情だったので、それとなく尋ねた。

「これからお出掛け?」

ちょっとおめかししているように見えたのだ。その日の針金さんは、小ぶりの淡水パールネックレスにシンプルなネイビーのセットアップパンツ、バッグはスウェード調の茶色でヒールも茶色。いつものお洒落カジュアルというより、フォーマルな装いだった。

「えぇ、ちょっとお友達と。」


「電車?」


「うん。新宿に。」


まだ、緊急事態宣言下なのだ。友達と会う?という彼女の価値観に一瞬、モヤモヤしてしまって言わなくてもいいことをつい口に出してしまった。


「ワクチンって、もう打った?」

すぐに、打ったという返事が来るかと思ったのだが、返事がない。少しの間を置いて、

「ううん、打ってないよ。」


「そうなんだ、私はこの間打って、まだ2回目は打ってないけど。ただ、副反応が私も主人も酷かったから怖くって。針金さんはどこで予約したの?」


「・・・どこも接種する予定はないんだ。」

ーしまったと思った時は既に遅し。針金さんの横顔が固く感じる。エレベータが1Fに到着し、扉が開いた瞬間、


「じゃあ。」

そう言って、さっさと私に背を向けて歩く針金さんが私のことをどう思ったのか反芻するのが怖かった。私は、どうやらやってしまったらしい。こちらが感じた価値観のモヤモヤを彼女に倍返ししてしまったようだ。

このご時世、ワクチンを接種するしないの選択は国民に委ねられていると同時に、打ちたくても打てない人(病気やアレルギー、または思うように予約が取れなかったり)はいるだろうし、また、よくよく考えた上での自発的な接種拒否を選ぶ人もいる。
この話題は、非常にセンシティブなものなのだ。私は、その一線を軽々しく超えてしまった。久しぶりに彼女に会えた喜びに心が弾んだと同時に、一瞬彼女の思考を疑ったことで、このような事態を招く結果となったのだ。


落ち着いたら、謝罪しよう。彼女は大らかな人ーであると信じて。










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横取り

「ママ、髪薄くなったね。」


ドライヤーを掛けている背後に我が子がいた。
風呂上りは確かに髪のボリュームがなくなる。また、白髪染めも最近は出来ていないので、もともと薄かった分け目が更に際立っていた。
合わせ鏡でつむじの辺を見ると、確かに薄い。というよりも、はっきりと薄い。そして、髪のダメージも酷い。アホ毛があちこちでこんにちはと飛び出る始末。

「あと・・まあいいや。」


子は、含むように何かを言い掛けてやめたのだが、とても気になる。

「何?気になるじゃない。何なの?」

いくらか強めに聞くと、観念したように子は続けた。


「おばあちゃんみたいだなと思って。背中も曲がってるし、顔もブルドッグみたいになってるし。」


実際、具体的に指摘されると辛い。そもそも顔はどうしようもない。元々が一重の地味顔で、肌も悪いうえにたるんでいる。

「もういい?ちょっとどいて。」

子は、私を押しのけるよう鏡の前に立つと、念入りに湯上りでピンク色に染まった肌に、たっぷりと化粧水をつけてからクリームを塗った。
見たことのないスキンケア用品。パックまで出て来た。

「いつ買ったの?」


「え?こないだパパと出掛けた時。じいじからお金貰ったから。」


「え?いくら貰ったの?」

「1万円かな。」

ついこの間まで、義実家に手伝いに行ったら貰っていた金を思い出す。そして、あの日も常備菜を夫に持たせたのだ。もしかしたら、子に渡したという金は、私への手間賃なのでは?と思い、

「ちょっと待って。そのお金を貰う時、おじいちゃんは何か言ってなかった?」

「え?うーん、よく覚えてないけど、言ってたかもしれないけどよく聞こえなかった。」


「本当にあなたにって渡したの?」


「しつこいなぁ!もう覚えてないよ。でも、じいじから渡されたってことは本当。もういい?」

「その時、パパはいた?」

「いなかったよ。」

「封筒に入ってた?」

「うん。」

「じゃあその中に手紙は?」


「え?どうだったか分からないよ。なんでそんなにしつこく聞くの!?」


まさか、それは私宛のものだとは言えない。あれは、私と義父二人だけの秘密なのだ。子にばれたらイコール夫にばれるリスクが高まる。それにしても、義父に電話で直接聞くのも気が引ける。本当に孫に小遣いを渡しただけなのだとしたら、まるで私が金を催促しているようで厭らしい。
しかし駄目だー。苛々が止まらない。つい声を荒げてしまう。子が使ったそれは、絶対私へのそれだと確信してしまう。









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二度寝をして、いまさっき起きたところ。
雨降りの金曜、夫と子はそれぞれ仕事と学校。お天気だったら針金さんに会えるかもーと例の公園に行くつもりだったのに、こうしてどんどん疎遠になってしまう気がして寂しい。

二度寝で見た夢はリアルだった。

私はなぜか3人の子どもの母親で、忙しそうにしていた。夫は出て来なかった。
子は、長女として末っ子の面倒を見ていた。私は真ん中の子に離乳食を与えていた。
不思議なのは、頭の中では「真ん中」の子の方が末っ子よりも年上のはずなのに、赤ちゃん扱いをしており、末っ子は長女とゲームをして遊んでいるのだ。普通に会話もしている。

賑やかなリビングの中、腹の中にいる赤ん坊を気遣う。私はどうやら4人目を妊娠しているらしい。
満ち足りた、温かい感触。


起きた時、いつも通りの部屋の景色に感覚が取り戻せず、どちらが現実なのか分からなかった。徐々にこちらの世界に戻り、あぁ夢だったのだと思う。
気付けば涙が流れていた。



こんな夢を見たのには理由がある。
昨夜遅く、従姉妹からラインが来たのだ。それは、お腹の赤ちゃんのエコー写真。彼女の想像力のなさに心底がっかりし、既読スルーした。そして、それから夜中3時過ぎまで寝付けなかった。タブレットで動画を見ていた。主に、赤ちゃん動画だ。ふわふわで愛らしく、一生懸命寝返りをしようとしている小さな生命。
もう、10年以上前に味わったきりの、あの頃はあともう1回は経験出来るだろうと信じて疑わなかった感触を思い出した。

私は、この選択に後悔を抱いているのだろうか?子ども一人いるからいいじゃないと贅沢だと言われるかもしれないけれど、それでも隣の幸福な光景が眩し過ぎて直視出来ずにいる。







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突然の電話

弟から、携帯に電話があった。今年に入って2度目だろうか?
弟は、精神疾患を抱えており、こうして具合が良くなると電話を寄越して来たりするが、子を産んでからはもう何年も音沙汰がなかった。母から弟の近況を聞く程度で、私達がたまに実家に遊びに行っても、だいたいバイトで留守かパチンコをしているかなので顔を合わすことも無かったのだ。

独身時代の嫌な記憶が蘇る。

「もしもし、俺だけど。ちょっと会えない?」

しかも、会いたいと言い出した。


「え?何?」


警戒心露わに、返答してしまう。それは弟にも伝わったようで、まるで安心しろよと言わんばかりの声色で、


「俺ら、引っ越すだろ。その件で色々相談したいことがあるんだよ。今日、暇?」

突然家に来られても困る。夫は在宅なのだ。なので、夫が出勤、尚且つ子も学校にいる時間を狙い、日時を提示した。


「分かった。じゃあその日、行くから。駐車場とか、ある?」

「悪いけど、車の中で話せない?旦那も今在宅で仕事してて家の中にべったりだから。」


家に上げたくないので、嘘を付いた。弟は、そんな私の嘘を疑うでもなく、すんなりと聞き入れる。


「じゃあ、マンション近くのコンビニに停めるから、着いたら来てよ。」


「分かった。」


電話を切り、引っ越しだけが要件ではないことを想像し、気が重くなる。そして、悪い予想は大体において外れない。





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新学期

今日から、新学期。
各家庭の考えのもと、登校するもオンラインにするも自由選択ということで、昨夜はギリギリまで家族会議。
夫は、感染に不安はあるものの、やはり登校させた方が良いという考え。勿論、感染のリスクは上がるけれど、ではいつまで引き籠らせていればよいのか見通しのつかない現状の中で、子の家での過ごし方を見て別の危機感をおぼえたらしいのだ。

「家だと学力も低下するし、スマホばかりになってよくない。誰とラインしてるのか知らないけど、物騒な事件が多いんだ。」

「え?別に友達とだけど。」

「友達って誰だ?名前を言ってみろ。」


「どうせパパの知らない子だよ。何?いきなり。だって私のクラスの担任の名前、じゃあ言える?」

子に言い返され、答えられなかった夫。よほど腹が立ったのか、子の要望をバッサリ切り捨て登校されることになった。
子は、オンラインをしたがったのだ。


感染の不安はある。だが、このままオンラインを続ける別の不安もある。どちらも一長一短。こんな時、母親である私の意見などどうでもよいのか求められないことにもやもやする。話に入ろうとしても、二人は私の方にすら顔を向けないのだ。
家族間であっても、3人という奇数になるとスルーされる存在に成り下がる私。

結局、子は嫌々ながらも重い腰を上げて学校へ向かった。部活がないだけまだましだけれど、給食があるのは気掛かり。ただ、もう中学生なので、本人さえ気を付けていれば感染は防げると信じている。






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ワクチンマウント

ーワクチン、ファイザーとモデルナどっちで打ったの?ー

今、聞かれて一番カチンと来る質問だ。しかしそれは、相手がファイザー2回目を打ち終わった場合に限る。
質問して来た人物は、Mさんだった。久しぶりにラインが来たのだ。そしてやはり、彼女は私にとってプラスに働く人ではないのだと認識する。

ちなみに我が家は、夫はファイザー、私はモデルナ。夫は2度目の接種を来月初め、私は半ばに控えている。
最近の報道では、モデルナワクチンに対してのネガティブな内容が目立つ。例の異物混入騒ぎ。ただでさえ副反応がファイザーよりも重いのに、それに加えて不安を煽るではないか。
現に、私は今から2度目の接種が嫌で嫌で仕方がない。なんなら、スルーしてしまおうかとすら思う。ただ、1回目接種した精神的肉体的労力の対価が無になることも我慢ならない。


ーモデルナです。

ーえー、集団行ったの?今、モデルナ大変なことになってるよね。ちなみに2回目も終わったとか?

ーいや、まだ1回目です。

ーロット番号大丈夫だった?打った後に異物混入とか言われても、取り出せないし怖いよね。


不安を煽るような言葉にモヤモヤした。

ー2回目もあるし、どうにもならないよね。ワクチン変えられればいいけど日本は認められてないし。

ーそうですね。

鈍感そうなMさんだが、さすがにこちらの対応がいつもとは違うことに気付いたのだろう、遠慮がちなメッセージに変わった。

ーまあ、大丈夫だよ。私はファイザーだけどこれだって後々色々ニュースになるかもしれないし。お互い様。

何がお互い様?なにか分からないうちに会話は途切れた。
一体、用件はなんだったのか?ワクチンマウントか?と思ってしまった。







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