信仰と選挙
選挙日前日、見慣れない番号の着信。
「もしもし!元気ー?」
選挙の時だけ連絡をしてくる友人だ。
例のごとく、近況を聞いてきたので素直に答える。仕事がなかなか決まらないこととか子どもの反抗期。
加えて、夫が仕事を辞めるだろうことも伝えると、彼女のテンションはぶち上げだ。
「うちの党は、子ども一人当たり10万円を約束するよ!!」
目先の甘い餌をばらまけば、誰もが口を開けると思っているのだろうか?10万は、確かに大きい。だが、我が子の塾代や矯正代ですぐにぶっとぶ額でもある。
長い目で見たら、その10万円をもっと他のところに使い、国の経済の底上げをした方がいいのではないか?というようなことを伝えた。それに、18歳以下の子供がいる我が家にとっては嬉しい話だけれど、それ以上の世代である子どもや独り身でも大変な思いをしている人はいる。仕事を失い、ホームレス然の人々もいるのだ。そういった層に対しての支援はないのだろうか?どこかのコメンテーターの受け売りでもあるが、私も同感の意見だったので彼女に伝えた。
すると、不穏な空気が受話器越しに流れた。思うことを伝えたのに、いつもはなんだかんだで1票を貰う立場だと思って低姿勢なのか聞く耳を持ってくれるのに、嫌な沈黙だ。
「まあ、そういう見方もあるけどね。バラマキってそういう意見。でも、OOは暮らしに余裕があるからそんなこと言えるんだね。私みたいに独身で、将来の不安を抱えてて、孤独な人間には分からない世界だよ。恵まれていて、しかも10万円貰えるかもしれないのに。私には分からないや。」
彼女の言っている意味が、こちらにも分からない。10万円を貰えるのは子育て世帯。要するに、独身の彼女は対象外だ。それもあって彼女を思って18歳以下限定という部分に賛成出来ないと言ったのに、やはり自分の信じている政党こそが彼女の支えであり、それは暮らし云々以上に大切な人生の柱なのだろう。子どもや夫がいない彼女にとっては、それ同等の存在なのだ。
気まずい沈黙が流れ、ついに根負けした。
「分かった、明日ね。」
「ありがとう!!」
声色は突然弾む。1票、私が本当に入れるかどうかも分からないのになぜそこまで必死になるのだろう。ノルマでもあるのか?ノルマがあったとしてもその達成率は明確ではないし、彼女は何をもって達成感を得るのだろうか・・・
恐らく、今期も与党が政権を握ることになるのだろう。彼女の希望通り。見えている現実だけれど、その一端を担ったという満足感が彼女を幸福に導くのだろう。
私には、分からない世界である。
「もしもし!元気ー?」
選挙の時だけ連絡をしてくる友人だ。
例のごとく、近況を聞いてきたので素直に答える。仕事がなかなか決まらないこととか子どもの反抗期。
加えて、夫が仕事を辞めるだろうことも伝えると、彼女のテンションはぶち上げだ。
「うちの党は、子ども一人当たり10万円を約束するよ!!」
目先の甘い餌をばらまけば、誰もが口を開けると思っているのだろうか?10万は、確かに大きい。だが、我が子の塾代や矯正代ですぐにぶっとぶ額でもある。
長い目で見たら、その10万円をもっと他のところに使い、国の経済の底上げをした方がいいのではないか?というようなことを伝えた。それに、18歳以下の子供がいる我が家にとっては嬉しい話だけれど、それ以上の世代である子どもや独り身でも大変な思いをしている人はいる。仕事を失い、ホームレス然の人々もいるのだ。そういった層に対しての支援はないのだろうか?どこかのコメンテーターの受け売りでもあるが、私も同感の意見だったので彼女に伝えた。
すると、不穏な空気が受話器越しに流れた。思うことを伝えたのに、いつもはなんだかんだで1票を貰う立場だと思って低姿勢なのか聞く耳を持ってくれるのに、嫌な沈黙だ。
「まあ、そういう見方もあるけどね。バラマキってそういう意見。でも、OOは暮らしに余裕があるからそんなこと言えるんだね。私みたいに独身で、将来の不安を抱えてて、孤独な人間には分からない世界だよ。恵まれていて、しかも10万円貰えるかもしれないのに。私には分からないや。」
彼女の言っている意味が、こちらにも分からない。10万円を貰えるのは子育て世帯。要するに、独身の彼女は対象外だ。それもあって彼女を思って18歳以下限定という部分に賛成出来ないと言ったのに、やはり自分の信じている政党こそが彼女の支えであり、それは暮らし云々以上に大切な人生の柱なのだろう。子どもや夫がいない彼女にとっては、それ同等の存在なのだ。
気まずい沈黙が流れ、ついに根負けした。
「分かった、明日ね。」
「ありがとう!!」
声色は突然弾む。1票、私が本当に入れるかどうかも分からないのになぜそこまで必死になるのだろう。ノルマでもあるのか?ノルマがあったとしてもその達成率は明確ではないし、彼女は何をもって達成感を得るのだろうか・・・
恐らく、今期も与党が政権を握ることになるのだろう。彼女の希望通り。見えている現実だけれど、その一端を担ったという満足感が彼女を幸福に導くのだろう。
私には、分からない世界である。
- category: 暮らし
- 2021/10/31