年収を知るチャンス
微々たるものかもしれないが、医療費控除を毎年受けている。例年、夫がそういった手続きはしてくれていたが、今年は自分の事業が忙しくそんな暇は無かったのか、突然私に丸投げして来た。
「ただ打ち込むだけだから、あなたでも出来るでしょう?」
医療費の明細は私がまとめて持っているので、所定のフォームに打ち込むだけなのだろうけれど、国税庁のHPを眺めながらの四苦八苦。こういった手続きは相変わらず苦手だ。もしも間違えていたら―と思うとドキドキしてその都度調べながらなのでなかなか前に進まないのだ。だが、病院名や金額を打ち込む単純作業は嫌いではない。
以前、ライター内職をしていた時、確定申告が必要ですよと親切な方がコメントで教えてくれたことがあり、しかしその詳細な手続き内容を見てとてもじゃないけど自分には無理かもと思い、申告せずとも済むぎりぎりの金額まで稼いでそれ以上頑張ることを辞めた。
今思えば、諦めずしっかり勉強していれば、道も開けたかもしれない。だがあの時は、それ以上に夫に内職がばれて面倒なことになるかもという危惧もあり、にっちもさっちもいかなくなったのだ。在宅ワークが当たり前になった今となっては、あの頃のような単価の案件を目にすることもなくなり、結局のところ「それ以上」なんて私の夢想に過ぎないのだろうけれど。
合っているのかどうか分からないまま、確定申告の画面に進み、医療費控除について分かりやすい親切なブログなどを参照しながら進んでいく。クリック、クリック、スクロール。ぼんやりした頭で機械的に数字を打ち込む。果たしてこれが正しいのか振り返ることもせず。しかし、源泉徴収を打ち込む欄で手が止まる。夫の源泉徴収が必要だ。
「途中まで入力したんだけど、源泉徴収貰えないかな?」
夫は、面倒臭そうな顔をして私のPC画面を覗き込み、少し考えてから、
「やっぱり俺がやるからいいわ。」
そう言って、私からパソコンを取り上げた。しばらく自室にこもっていたが、10分も経たないうちに外に出て、私に明細の束を向けた。
「これは持っておいて。」
「え?もういいの?」
「ああ。もういい。こっちでやっといたから。」
要するに、源泉徴収を見せたくなかったのだ。つまりは年収。またこのチャンスを逃してしまい悔しい。
「ただ打ち込むだけだから、あなたでも出来るでしょう?」
医療費の明細は私がまとめて持っているので、所定のフォームに打ち込むだけなのだろうけれど、国税庁のHPを眺めながらの四苦八苦。こういった手続きは相変わらず苦手だ。もしも間違えていたら―と思うとドキドキしてその都度調べながらなのでなかなか前に進まないのだ。だが、病院名や金額を打ち込む単純作業は嫌いではない。
以前、ライター内職をしていた時、確定申告が必要ですよと親切な方がコメントで教えてくれたことがあり、しかしその詳細な手続き内容を見てとてもじゃないけど自分には無理かもと思い、申告せずとも済むぎりぎりの金額まで稼いでそれ以上頑張ることを辞めた。
今思えば、諦めずしっかり勉強していれば、道も開けたかもしれない。だがあの時は、それ以上に夫に内職がばれて面倒なことになるかもという危惧もあり、にっちもさっちもいかなくなったのだ。在宅ワークが当たり前になった今となっては、あの頃のような単価の案件を目にすることもなくなり、結局のところ「それ以上」なんて私の夢想に過ぎないのだろうけれど。
合っているのかどうか分からないまま、確定申告の画面に進み、医療費控除について分かりやすい親切なブログなどを参照しながら進んでいく。クリック、クリック、スクロール。ぼんやりした頭で機械的に数字を打ち込む。果たしてこれが正しいのか振り返ることもせず。しかし、源泉徴収を打ち込む欄で手が止まる。夫の源泉徴収が必要だ。
「途中まで入力したんだけど、源泉徴収貰えないかな?」
夫は、面倒臭そうな顔をして私のPC画面を覗き込み、少し考えてから、
「やっぱり俺がやるからいいわ。」
そう言って、私からパソコンを取り上げた。しばらく自室にこもっていたが、10分も経たないうちに外に出て、私に明細の束を向けた。
「これは持っておいて。」
「え?もういいの?」
「ああ。もういい。こっちでやっといたから。」
要するに、源泉徴収を見せたくなかったのだ。つまりは年収。またこのチャンスを逃してしまい悔しい。
- category: 財布事情
- 2022/02/28