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高級チョコレート

駅のショッピングモールに、高級チョコレートの店が入った。
一粒100円くらいするそれは、なかなか手が出ない。最近、私同様にチョコ依存に陥っている子が、どうしても食べたがる。
そういうのは夫に言えばいいのにーと思いつつ、私も釣られて食べたくてたまらなくなった。

病院帰り、ふらっと店に寄り、数粒購入すると決めた。5粒買うと決めて、迷いに迷う。
クリスマス時期ということもあり、クリスマス仕様のラッピングに包まれたBOXなども販売されており、プレゼントされたら嬉しいなと思う。

厳選した5粒のチョコレート、子にどれが食べたいか聞くと、全種類食べたい!と言われてしまった。

「半分こずつにしようよ。」

提案すると、あっさりOK。貧乏くさいけれど、二つに分けて二人で楽しむ。束の間の癒し時間。
子も、チョコレートを堪能した後は、勉強のスイッチを入れて頑張っている。


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威圧的な医師

昨日の作業で手首をひねり、これでは仕事にならないので、パート休みだったこともあり整形外科へ行った。
病院に割に混んでおらず、すぐに呼ばれて診察室へ。


「で?どこが痛いの?今日から?」

でっぷりした腹を前に突き出し、気難しそうな禿げ頭の医者。
私の答えを待たず、チャカチャカとキーボードで今日の日付を打ち込む。

「いえ、昨日からです。」

「は?昨日?ったく・・」


舌打ちらしい音が聞こえ、バッグスペースで日付を消して今日に書き換える。


「で、どこが痛いの?」



「え?聞こえないよ。」


「この部分です。」


痛みのある手首を指す。



「ちゃんと口で言ってよ。」


「手首です。」

「どっちの!?」

「右のです。」


苛々した口調。威圧的な態度。怒鳴られる度に、ビクっとなる。後ろで看護師が苦笑い。


「レントゲンはどうするの?」


「え・・」


それは私が決めること?


「お願いします。」


そのまま若い男性技師に代わり、レントゲン撮影。あの嫌な医師とは違い、穏やかで優し気な男性。レントゲン室へ案内してくれた看護師も物腰しが低かった。ますますあの医師が付け上がる原因はここにもあるのかもしれない。

撮影し、診察室に戻る。医師はレントゲンを見ながら、


「特に折れてるとかおかしいところはないね。綺麗な骨だよ。捻挫じゃないの?痛み止めと湿布出しとくけど、一週間してまだ痛かったら来て。」


ぶっきらっぼうにそう言い放つと、カルテに捻挫と書いて診察終了。
一週間後、ここに来ることはないだろう。




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お菓子交換会

出勤して更衣室に入る、その瞬間が苦手。女性特有の空気。誰かの決してポジティブではない噂話。
私は新人なので部外者扱いだけれど、それでもその慣習とやらに従わなくてはならない時が来たようだ。


「お疲れ様。これ、良かったら~」


研修中も横目で見ていたお菓子交換会。私も同期もその輪から外されていたけれど、研修が終わった途端、その洗礼を受けた。
同期とその日同じグループで作業をしていた先輩パートが同期に渡すついでに隣にいた私にもクッキーを差し出したのだ。ファミリーパックの個包装。

「あ、どうもありがとうございます。」

毎日のように、昼休憩とその日の終わりに行われるお菓子交換会。飴やチョコやクッキー、せんべいや饅頭などバラエティ豊富だ。
貰ったら、返さなければー。そう思い、一応、ファミリーパックの菓子を一袋職場に持って行くことにした。
同期が休みの日、休憩室で過ごすのがきついので外に出た。なので交換会が行われていたのかは分からない。
午後になり、大きなミスをしでかしてしまった。その日の男性リーダーは威圧的で声もでかく、皆の前で怒鳴られたのできつかった。何度もすみませんを連呼し、その後は同じミスを起こさないよう精一杯集中して作業に取り組んだ。
疲れ果てたのと落ち込んだのとで、ふらふらと更衣室に入ると、それまでざわついていた室内がしんと静まり返り、なんだか奇妙だった。
誰からも話し掛けられる訳でもなく、なんだか居心地が悪く。それでもお菓子交換が始まればいつでも私もお返しが出来るようスタンバっていたけれど、一向にその気配がない。
すぐに帰宅したかったので、着替えを済ませてファミリーパックは袋に入れて再び持ち帰ることにした。

「お先に失礼します。」

私なりに声を張る。新人らしく、挨拶くらいはちゃんとしないと。静かな更衣室に響く私の声に対して、ぱらぱらと返事がかえってきた。

「お疲れさまでした~」

外に出てドアを閉める。少ししてからドアの向こうで大きな笑い声が聞こえて、それが私に関することなのかとネガティブな感情におそわれた。
同期が来ない一日は、辛い。






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女性経費

また蕁麻疹が出てしまった。しばらく我慢し放置していたのだけれど、どんどん酷くなる一方なので病院へ行くことにした。

「ストレスですね。」

予想通りの診察結果、そして薬のみ処方されて終了。これでも数千円飛んだ。ただでさえ持病の通院費が掛かる。
実は、生理のタイミングも最近おかしい。月に二度も来た。まっさきに思ったのが、ナプキン代が掛かるということ。身体の心配よりも先にそんな不安がよぎるなんて普通じゃない。
我が家は娘なので、二人分のナプキンが要る。毎月のことだから馬鹿にならない金額だ。
婦人科に行こうと思いながら、今月がたまたま調子が悪かっただけ。婦人科に行けばまた金が掛かる。医療費をケチるのもどうかと思うけれど、子の為なら必要経費と割り切れるそれは、自分の為だと節約意識が働いてしまうのだ。



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物価高とおやつ代

夫からのやり繰り費で一か月やっていくのは無理。
子が中学になり、食費もアップ、それ以外に諸々衣類だったりで金が掛かる。

「今月、もう少し貰えない?」

月末までもたず、夫に金の催促をした。何年夫婦をやっていても、この声掛けは勇気が要る。
夫が晩酌をして気分が良くなってきた、そんな時がチャンスなのだ。
私が遊ぶ為に使うわけでもなく、家族が生活する為の金なのにー


「え?もう無いの?」

機嫌よくビールを口に運んでいた夫が顔をしかめた。

「今月、給食ない日も多かったし。」

「冷食とか、使うからじゃない?」

冷食許可が出たかと思えばこれだ。夫らの弁当作りがパートをしているとどうしても大変で、ドラッグストアで安い時などに買いだめしていた。勿論、安い食材を買って大量に自家製冷凍を作る方が安上がりなのかもしれないけれど。それでも専業の時には出来ていたことが今はきつい。

「OOも食べ盛りだし。お菓子とかも欲しがるし。」

今月掛かった菓子代を伝えた。なんと8,000円。私自身もこれにはぶったまげた。

「お菓子?子ども一人でそんなかかるか?」



食費がアップした一因に、お菓子代がある。物価高で単価は上がっているのに内容量は少なくなった。
それに、子が受験のストレスでお菓子やジュースを大量に口にするようになった。私もパートをするようになり、自分も食べる分負担はしていたが、それでも足りない。安いファミリーパックのチョコクッキーなどやスナック菓子など、2日で無くなる。夫だって、晩酌の時にそれを食べる。酔っていて忘れているのだろうか。

「8000円って・・いい肉が買える金額じゃないか。」

「でも、ずっと勉強で疲れてるのよ。唯一の息抜きだって。」

子は、受験勉強の合間にゴロゴロとソファーに座りながらお菓子をツマミ、そしてスマホをするのが癒しとなっているようだ。夫が要る時にはあまり見せない姿。


「分かった。だけど来月は引き締めろよ。」

そう言って、5000円札を渡された。これが安いのか高いのか分からない。三人家族でやり繰り費8万。その内食費が6万でその他は日用品雑費、歯医者だとか病院だとか子に掛かる諸々
。外食はほぼ無し。テイクアウトはたまにするが、それは子と二人の時に私の虎の子から。
今月は5千円オーバー。しかし、夫の相棒の弁当まで作っているのだ。

文句を言いつつ、子の為に買ったポテトチップをバリバリと食べる夫。なんだかな、という思いでその丸くなった背中を眺めた。




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オンライン観戦

夫はオリンピックやワールドカップをバカにしていたはず。正確に言えば、それに心酔しているサポーター達のことを。
それが、どういう訳か今回に限っては熱心に観戦している。
リビングソファーにでんと座り、大型テレビ前を独占。それはいいのだけれど、嫌なのが、ツーリング仲間とオンラインで繋がりながら観戦しているのだ。

スポーツに苦手意識のある私ですら、ワールドカップは楽しみにしている。オリンピックもそうだけれど、普段スポーツに興味のない私でも、日本国民としての意識がどうしても働いてしまう。日本にベスト8入りして欲しいし、先日のドイツ戦は胸が震えた。
ただ、夫が立ち上げているPC上にいる友人らの声が気になって仕方がないのだ。

「あー、違う違う!そうじゃないって!」

「お!そう来たか!いいよいいよ~」

「おーーー!!!!」

ゴールが決まった時の雄叫びはすごいもので、キーンと耳鳴りがしそうだった。
私は風呂上りだったので、画面にうつりこまないよう気を付けながら遠くのダイニングから観戦した。子も然り。
家族団欒の時間を他所様に邪魔されているようで、なんだか具合が悪かった。

夫の酒は進み、ビールが無くなった。

「ちょっとあなた、買って来てくれない?」

ハーフタイムの時に突然頼まれ驚いた。もう夜更け、しかも風呂上りの嫁を外に出す??

「ちょっと、それは奥さん可哀想だよ~」

酔っ払いの声が耳に入り、パシリにならなければ夫の機嫌が悪くなるとしぶしぶ外に出る用意をした。


「じゃあ、あなたも好きなもの買っていいよ。」

皆に見せつけるかのように、声を大にして「良い夫」を演じる。

「うざ・・」


つい声が出て、それを子に聞こえたようだ。

「ママ、断ったら?」

「いや、面倒だから行くわ。」

「え?面倒だから行かないんじゃないの?」


いつか子にも分かる日が来るだろう。面倒だからーで面倒なことを引き受けなくてはならない理由が。
帰宅し、後半戦が始まっていた。高笑いをしている夫に苛つきながらも静かに私も観戦した。
終わり頃に2点目の得点を決めた時、自分のことのように嬉しかった。いつの間にさっきまでの苛つきも静まって、やはりスポーツの力は大きいと実感した。

コスタリカ戦も、夫は仲間と観戦するのだろうけれど。私は私で楽しもうと思う。




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  • 2022/11/26

ダブルワーカー

同期がちょくちょく休んでいた理由が分かった。
彼女、ここの他でも仕事をしているという。ここは掛け持ち。メインは別の職場。
ダブルワーカーだったのだ。
なので、研修が終わり週2程のシフト。私と被らない日もあるので、週に1日会えるかどうか。
辞めた訳ではないとほっとしたけれど、それを知り落胆した。
貴重な昼休憩が、詰まらなくなった。
仕事も大変だしストレスがたまる。でも、話せる仲間がいることで救われる部分が大きいのだ。

今日も、昼は一人。
彼女は出勤日ではなかった。
持って来た冷えたおにぎりを公園で食べた。寂しかった。

そういえば、仕事中も含めて声らしい声を発していない。
出勤時と退社時に挨拶をしたくらい。

他の古株パートらは楽しそうに休憩時間は盛り上がっている。あの輪には到底は入れない。
男性は、ぽつぽつ一人だったりもするけれど。

なんだか、また辞めたくなってきた。




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勤労感謝されない一日

昨日の勤労感謝の日は、まったく感謝されていない一日だった。
疲れが取れない。

塾の冬期講習の費用の振込。夫から札束の入った封筒を受け取った。

「そうそう。確定申告しないとならないし、今年のパート代の見積りどれくらい?」


「多分、50万ちょっとかな。」


「え?それだけ?」

「パート、3社やってそれだけ?」

清掃に惣菜、そして今度の工場。確かに転々と職を変え、夫からしたらもっと稼いでいるように思っていたのだろう。露骨にがっかりした顔をされた。
さぼったり休んだり、辞めている期間も長かったりで。正直、給与は思う程受け取っていないのだ。

「今度のところは時給いくらだっけ?月にいくらくらいパート代入りそう?」

夫は私自身のことなど興味がないが、金周りのことは気になるのだろう。


「ほぼフルタイムだろ?10万以上はいくよな?」


フルタイムといっても、週5で働いているわけではないのだ。

「それは・・病院や学校のことで休んだりもするし。祝日は休みだったり色々あるし。7~8万前後かな。」


「時給は?」


最低時給を伝えると、更にがっかりされた。


妙な沈黙。


「受験が終われば、掛け持ちとかしてもいいかもな。」


まるで取り調べのように色々と聞かれ、そしてまさかの掛け持ちの打診。
勤労感謝の日にこんな話を持ち掛ける夫に、うんざりした。


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  • 2022/11/24

休みの日は休みではなく

働く主婦にとって、休みの日は休みではない。
パートの日に出来なかったたまった家事を片付ける一日。それで終わる。
あんなにぎゅうぎゅうに詰まっていた冷蔵庫がすっからかん状態。調味料や日用品も切れている。作り置きもなくなって、たまった洗濯物やアイロン掛け等・・あれよこれよと時間は過ぎて行くのだ。

「これ。明日までに出すんだけど。」


そして、子の学校面談のプリント。もっと早く配布して欲しい。平日に休みを取るのは前もって職場に知らせなければならないし、迷惑も掛かる。そんなこと、学校側は考慮していないのだ。そうでなくても、自分の通院関係で休みの申請をしたばかりだった。どうせなら、まとめて一気に申請したかったのに。その都度申請するのも上司や総務の事務にお伺いを立てなければならず、気が重い。
こういう時、夫も自営なのだから融通を利かせてくれたらいいのにー

「学校の面談とか、この日なんだけど休めたりしない?」

「は?仕事だよ。あなた、そういう時のパート雇用でしょうよ。」

まるで頭から休む気などなさそうなので、それ以上聞くことを諦めた。
塾の面談もあるし、歯医者やらなにやら忙しい。そういえば実家の冷蔵庫はどうなったのか?弟にラインで尋ねた。
すぐに返信が来て、実家でのトラブルを聞かされた。冷蔵庫どころではなく、また頭を悩ます問題発生。中途半端に首を突っ込むとこういう事態に陥ることはとうに分かっているはずなのに。無駄に長女意識が働いてしまうのだ。

私は自分のキャパを自分自身で越えさせている。










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「当たり」と「はずれ」

朝、緊張と共に更衣室へ入室。ベテランパートらは和気藹々とお喋りしながら作業着に着替えている。
私は隅っこのロッカーに荷物を置き、同期がいないか確認。

ーいた・・

取り敢えずの安堵。良かった、辞めていない。
そこですぐに駆け寄って声を掛けるのが普通の人なのだろうけれど、妙な意地が邪魔をし、気付かない振りで着替えを始める。なんでだかあちらから声を掛けてくれるのを待つ。こういうところが私の駄目なところだと分かってはいるのだけれど。
のろのろと着替えをするが、彼女がこちらに来る気配はない。そのまま始業時間に入ってしまった。

工場長が当日の割り当てを発表する。ホワイトボードにグループアルファベットの持ち場。そして番号が振られていた。ロッカーの番号だ。
名前ではなく、番号。なんだか囚人みたいだなと思いつつ、自分がEグループなのを確認した。
同期はー違うグループのようだ。

Eグループのリーダーは男性。見た目は穏やかそうで安心した。ベテランらに混じり、私の他に新人を探すがいない。新人はうまい具合にばらけていた。

グループで一番下っ端の自分ということを承知しながら作業をするのがきつく、始終緊張しっぱなしだった。何とか作業をミスすることなく終えて昼休憩。
同期が話し掛けて来てくれてほっとした。そのまま流れで一緒にランチを取ることが出来た。互いのグループの雰囲気や作業内容について語り合う時間は楽しくて、あっという間に休憩時間は終了となった。

午後の作業では、一つミスをしたけれど。リーダーが優しかったことで事なきを得た。これがあのお局だったら怒鳴られていたと思う。同グループのベテランさんも、


「大丈夫、私も新人の頃は同じことやったよ。」

そんな声掛けまでしてくれて、気持ちが軽くなった。
終業時間を迎え、バタバタと更衣室で着替える。同期とも途中まで帰宅。そういえば同じ頃入ったあの女性は辞めたらしい。休んでいたはずの彼女がなぜか情報を得ていた。

「でもさ、毎日作業場が変わるのはストレスだよね。」


そうなのだ。当日の朝に知らされる持ち場。今日は「当たり」だったのかもしれない。彼女の方は「はずれ」だったらしい。

「怒鳴られたわよ、何度も。まあそういうの慣れてるけどね。」

豆腐メンタルの私と違い、強い同期。いくつものパートを掛け持ちしたりとこれまで修羅場を潜り抜けて来たらしい。
私も見習わなくてはと思う。









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ファーストフードで晩御飯

疲れたー
夫から、今日は夕飯が要らないと連絡があり。
子も塾だし、こんな時こそ手抜き。マックの夕飯。
ポテトとナゲットのセットにバーガー。朝から夕方までフルで働き、ランチも持参していたおにぎりだったし。
これくらいの贅沢は許して欲しい。
本当なら、ぷはーっと一杯やりたいところだけれど、子の塾迎えもあるのでコーラーで我慢。

もしも一人暮らしだったら、毎日こんな夕飯かもなと思う。








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一人立ち

今日から研修も終わり、いよいよ一人立ち。
あの怖い女指導員と関わることはなくなりそうだけれど、自分がどのポジションにつくのかまだ分からず緊張。
同期は来るのか?それも緊張ポイントのひとつ。
昼休憩、今日は天気も悪いので外で食べられそうもない。なのであの賑わっている休憩室で過ごすことになりそう。
同期さえいれば、楽しい時間。いなければー沈黙の苦しい時間。その一時間は時給が発生しないので尚苦しい。

一週間の始まりが辛い。でも、今週は水曜に祭日があるので休み。それを励みに頑張ろう。


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思い掛けないプレゼント

買い物から帰宅すると、ドアノブに花が掛かっていた。メモが付いており、針金さんからだ。

ーお留守だったので、こちらに掛けておきます。ー

私は花に詳しくないのでネットで調べてみると、トルコ桔梗という花らしい。それが3本程度とカスミソウが英字新聞にくるまっていた。
何ともお洒落。
ふと、いくらくらいするのだろうと価格を調べると500円くらいする。1本の値段。すぐにラインした。

ーこんなに素敵なお花をいただいてしまって。ありがとうございます!

すぐに既読になった。


ーたくさんお友達から貰って、お裾分け。夏の花だから長持ちしますよ。


鼻歌混じりに花瓶に挿した。普段、花にまったく興味が無かったはずなのに。何だろう。妙に癒される。
車を駐車場に置いてから戻った夫も気付いたようで、

「それも、買ってたの?」

ちょっと嫌そうな顔。買い物ついでの無駄遣いだと思われたようなので、


「お隣さんがくれたの。」

すぐに言い訳のように答える。


「ふーん。梅の次は花か。どうせならもっと実になるようなもん欲しいけどな。」

なんだかんだケチをつけたい夫にイラっとした。

一緒にランチだとか家の行き来はないけれど、こうしてお裾分けをくれる針金さんにぬくもりを貰った気がする。
仕事のことで悩んでいる休日に、思い掛けないプレゼント。
お返しを考えるのはちょっと悩ましいけれど、今は素直に彼女の気持ちを喜んで受け取りたい。



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テストの結果・・・

一週間、疲れた。家の中がぐちゃぐちゃで、夫にも流石に注意されてしまった。
その原因は、正直夫と子にあるのに。私だって働いているのに、なんで全部私がしなければならない?
言葉にならない反発がわく。

子のテストの結果は微妙だった。
内申はこれで決定となる。夫はそれでも上を目指させたいのか、

「人生、決まるぞ!?」

追い詰めるのだ。

子は、塾でも目立たず横ばいの成績。転塾したばかりの頃は、少しばかり成績が上がったのでやはり塾を変えた成果が出たのだと喜んだのも束の間。周囲が出来る生徒ばかりーまた、上を目指しているので、無駄に劣等感がわいてしまった。

チック症状も最近また酷くなってきている。マスクがあっても気になる。友達に何か言われてはいないか?陰でへんなあだ名を付けられてはしないか?顔をおかしいくらいにしかめるだけでなく、突然、奇声を上げる。勿論、本人も気にしているのか、声を抑えてはいるのだけれど。

「あっん!!!んあっ!」

これを頻繁に繰り返す。


「大丈夫?」

「え?何が?」

それ以上聞かないでという風に、何事もなかったかのように振舞う。授業中は我慢しているのか?テスト中は?声を上げるのを我慢して集中出来てなかったのでは?だからテストの結果もいまいちなのでは?


夫に相談しようかとも思ったけれど、夫自身もチックが酷い。相変わらず風呂場で奇声を上げるのだから。



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今日も同期は休み。
いったいどうしたのだろう?
休憩室で過ごすのが嫌なので、持って来たおにぎりを持ってふらふらしていたら、小さな公園を見付けた。
隣接されているマンション内にある公園。なので、申し訳程度にしか遊具もない。人気もない。
いい場所を見付けたー、
冷たくなったおにぎり二つ。まだ温かいお茶の入っている水筒と共にいただく。

午前中、珍しく一度も注意を受けずに仕事を終えた。
だが、他の人がガミガミ言われていた。
研修も、今週で終わり。来週からは本番だ。

同期がいないので、朝の更衣室でもこうした昼休憩でも帰りでも、愚痴を言い合える人がいない。
淋しい。
黙々と作業をし、こうして昼もひとりで黙々と冷たくなったおにぎりを口に運び、午後はまたあのストレスに耐えながら労働をする。
ミスをしないよう、細心の注意をはかって。

足が棒のように痛い。いまだに慣れない立ち仕事。惣菜パートのように時短ではないので辛い。
同期が辞めたかどうかだけ知りたい。
もし辞めたのなら、私も辞めたい。



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空っぽになったら私は

重い体を引き摺って、いざ、出勤。
そう思い、玄関の靴箱の上にある家の鍵を取ろうとしたが無い。
慌てて探すが、どこにも無い。
通勤用のトートバッグの中にも無い。
家中、思い当たる場所を探す。ぐるぐる回って嫌な汗をかく。
どうしよう。もうこれ以上探している時間は無い。遅刻してしまう。
私はパニック状態に陥り、なんとそのまま家を出た。鍵をかけずに。
職場に電話をし、事情を話して遅刻か休みの選択もあったのだけれど、どういう訳かそれが出来なかった。

仕事中、家のことが気になって仕方がなくまったく集中出来なかった。家の中が空っぽになったらなんてあり得ない妄想に取りつかれた。そのうち具合まで悪くなり、昼で早退させて貰うことこした。
同期はまた休みだったし、昼休憩をふらふらする時間すら勿体なく思えたのだ。
お局指導者にはあからさまに嫌な顔をされたけれど、私の顔色も相当悪かったのだろう、仮病だとは思われなかったようだ。

急いで自宅に戻る。そーっと玄関ドアを開ける。もしかしたら空き巣が入っていて遭遇、刺されることだってある。息を潜めながら、片手には携帯でいつでも110番出来るようにして。

誰も家の中にいないことを確認し、今度はゆっくりと家の中を見渡す。急いで出て来たが、一応、貴重品は持って出た。貴重品といっても私の虎の子の中身だけ。だが、家の通帳があると思われるスーツケースはさすがに持って出られなかったし、そもそも夫の自室を荒らされていたらアウト。
再びそーっと夫の自室を見渡す。
スーツケースはいつも通りの位置にあることで一安心。一応、大丈夫。

ふと、洗面台横にある棚を見に行くと、

「あった・・」

なんで気付かなかったのか。昨日、帰るなりトイレに直行したのだ。鍵をいつもの場所に置く余裕すらなく。
ほっとしたのと同時に、全身の力が抜けた。

「なんか、疲れたな。」

独り言が、しんと静まり返ったリビングの天井に向かって伸びていく。
家の中が空っぽ―そんな妄想を思い出す。そんな非現実的な状況がもし訪れたら、案外、楽しめるかもしれないなんて頭のどっかでは思うのだ。



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女子の日

今日は、パート休み。ほっとしている。
昨日は最悪だった。同期がまた休み。ただでさえ生理二日目で鬱々としていたのに輪を掛けて気が重い中での仕事。
立ちっぱなしで腹痛と戦いつつ、トイレに行きたいのになかなかタイミングたつかめなかった。
それでも、どうしても昼休憩までには間に合いそうもないので、インカムでトイレに行きたいことをお局指導員に伝えた。イラっとした空気が耳に残る。
私のポジションと彼女はいったん代わり、大急ぎで用を足して戻る。

「すみませんでした!」

平謝り。トイレひとつ行くのにこうした許可を取ること。なんだか人間扱いされていないような気になり落ち込んだ。
惣菜パートの時も、忙し過ぎてトイレに行くタイミングをはかるのは大変だったけれど、ここまでではなかった。ラインを止めてはならないので、誰かに交代を求めなければならないのは、研修が終わっても同じくなのだろう。

外国人の同期がカタコトで質問を彼女にしていたけれど、それに対して聞き取れないくらいに苛ついた早口でまくしたてるように説明していて、日本人である私も何がなんだか頭に入って来なかったので、彼はそれ以上に分からなかったのか、再び質問をしてた。彼女は彼の隣で、遠目でも分かるくらいの苛々モードで教えているようだけれど、首を傾げたまま動かない。しばらくして何やら彼も怒りを露わに何か言い返したかと思うと、突然作業場から出て行った。
それから彼は二度と帰ってこなかった。

昼休憩は、またふらりと一人外に出た。外は生憎の雨模様でどこにも行く場所が無い。割高だけれどファーストフード店に入った。食べたくもないバーガーを口に突っ込み、けれど半分以上残してしまった。美味しくないし胃が痛い。

同期はどうしたのか?
一日中の立ち仕事。それから口を開いたのは午後に再びトイレの申し出。お局指導員に申し出るのは辛かったけれど、しかし我慢すれば作業着を汚してしまう恐れがあるので致し方が無かった。


明日も仕事、行きたくない。研修中に辞めたら傷口も軽いかも・・なんてネットで求人を見てしまう。



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同期がいない昼休憩

あー、辞めたい。
しんどい。

同期が休んだ昨日。丸一日、休憩時間も含めてきつかった。
なぜ休んだのか?ライン交換もしていないし他の誰かに聞くことも出来ないし、悶々とする。
勇気を出して、連絡先を聞けば良かった。いつでも聞けるという妙な安心感があったのだ。

ずっと立ちっぱなしで同じ作業だったことで、足が棒のように麻痺している。
それに、新しいパーツの組み立ての作業は、私のような不器用な人間にとってはきつすぎる。どんなに頑張っても、皆の流れの速さについていけない。
惣菜パートを思い出す。あの時と一緒だ。

一人黙々と作業出来るーそう思ってこのパートを選んだのに、蓋を開けてみれば、チーム戦。皆で手分けして同じスピードで一つの工程を経て物を作り上げていくのだ。

昼、あの休憩所で誰とも喋らずにいるのは辛過ぎるので、持って来ていたおにぎりを持って外に出た。しかし、近くに公園もないし、ベンチもない。どこで食べたらーと探すけれど、無理。
ちょっと歩いたところにイートインがあったので入り、一番安いカップスープを購入。お湯を注いで、こそこそと持参のおにぎりと一緒に食べた。
人目を気にし過ぎて、食べた気もしないまま。よく噛まずにおにぎりをスープで飲み込んだので、喉に詰まって咳き込んだ。
昼飯代をさほど使わずに済んだけれど、まったくリフレッシュ出来ない昼休憩。そのイートイン付のコンビニはまあまあ遠いので、急いで食べて往復だけで休憩時間が終わってしまった。


午後からの作業もしんどかった。
明日は彼女は来るだろうか?そのことばかり考えてしまう。私は既に同期に依存しているようだ。




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休み明けの仕事の憂鬱

休み明けの仕事は、普段の数倍憂鬱だ。
またあのお局指導員にガミガミ言われ、高圧的な態度を取られるのかと思うとしんどい。
同期がいるのが本当に救い。
昼休み、彼女がいなければぽつん決定だ。もう一人の若い同期はいつでも一人でふらりと外に出てしまう。

前回の研修中に何度かラインを止めてしまった。一瞬、組み立てていた箱が無くなり、焦って探しているうちにどんどんと未完成の物が流れてしまい、大きなブザー。
指導員にも怒られてしまった。
今日も、また怒られるのかー。新しい仕事を覚えるのか?同期の彼女は工場パートの経験もあるようで飲み込みが早い。
それでも、たまにミスをする。指導員に怒られてもどこ吹く風だ。彼女いわく、適当に流せばいいとのこと。

「みんなさ、ストレスたまってるのよ。しょうがないよ。」

懐が広い。私のようにビクビクせず、淡々と作業をし、失敗しても謝りはするがさほど気にせず後に引かない。さっぱりとしているのだ。私は一つミスをして叱られると、二度と同じ過ちは許されないのだとおどおどしながら緊張の嵐。そして、注意力散漫になり、別のミスをしでかすという始末なのだ。


バタバタと朝家事をし、立ったままコーヒーを飲んでの出勤。
どんなに朝早く起きても、時間配分が下手なのか、ギリギリに家を出ることになる。
もしかしたら、私は何かしらの障害を持っているのかもーとこんな時にいつも思うのだ。


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彼女の代わりにもなれない

「ちょっとさ、使いもんにならなかったみたいだぜ。」

最初、いったい何のことだか分からず、ただ苦笑いしている夫の顔をぼんやり眺めていた。
夫がため息をつきながら、吉田さんの代わりに作成した請求書の処理等のことを言っているのだと気付いたのはだいぶ経ってから。

「ごめんなさい。でも、急な話だったし、処理の流れとか聞いたことないから見様見真似だったし。」

「少しは出来るかと思ったんだけどな、ま、いいよ。」

もうこれで二度と頼まれないのだな、と心にぽっかり穴が空いた。


「あなたは家のことだけしっかりやってくれたらいいよ。」

私があくせくパートをしていること、それについてはまったく触れない。彼からしたら、仕事のうちに入らないのかもしれない。なんだか腑に落ちない。

「私も色々忙しかったの。新しいパートもあったし、PTAの仕事とか・・」

言い掛けたけれど、それにかぶせるように、

「正社員でもなけりゃあ、PTAだって毎日のことじゃないだろう?」

ぐうの音も出なかった。シングルマザーの吉田さんとまた比較されるー、そう思い、ぐっと堪えた。
私はいったい誰と、何と競い合っているのだろう?
バカバカしくなって、くるりと夫に背を向けて皿を洗い始めた。手元がすべってグラスを割った。
しかし、私達夫婦の関係はこの割れたグラスよりもだいぶ前から壊れているのだ。


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  • 2022/11/13

おうちサロン

自転車で買い物帰り、ふらっと近道をしたのだけれど、素敵ママの自宅を通った。
何やら立てかけ看板のようなものがあり、ふと立ち止まってしまう。どうやら自宅でサロンを開いているらしい。
チョークアートでメニューが描かれていた。価格が分からないのが何ともおうちサロンっぽいけれども。

彼女のことは、学校行事の時に遠目で見掛けるくらいでもうしばらく会ってもいないけれど、数年前までは色々あったなーと遠くも無い過去を思う。
その間、彼女は自宅で開業し、私は工場パート。元々ライフスタイルでも人間関係でも格差はあったけれど、ここにきてもその差は埋まらないのだなと思った。
工場パートが格下だとかではない。その仕事に適任で、自ら遣り甲斐を見出し楽しめて稼げれば万々歳。
昨日、仕事中も思ったけれど、私には向いていない。何とか同期がいるから頑張ろうと思うけれど、正直いつまで続くか分からない。ここは、自分の居場所じゃないーそんな感覚がこれまでの仕事もそうだったけれど今回も続いているのだ。

元々社交的な彼女は、この地で子どもを介して人脈を広げ、こうして仕事に繋げている。孤高の人もそうだ。それは前から計画的に行っていたのか、結果が後から付いて来たのか分からないけれど、それでも私からしたら人生の成功者に見えた。

「いいなぁ。楽しそうで。」

つい、心の中の声が漏れた。
楽しいこと。やりたいこと。好奇心。そういったものを突き詰めていく努力を怠らなかった者だけが手に入れられる幸福。

私はいったい、何がしたいのだろう。










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会話のない夫婦

今日は私はパート休み。夫も本来は休む予定だったのを、仕事がたまっているというので出勤となった。
夫の休みと自分の休みがかぶると休んだ気がしないので、ほっとしている。

ふと、夫と会話らしい会話をした最後はいつだったっけと思い返す。何となく、子の進路のことで揉めてからこれといった会話がない。
そして、私にとってはガラリと変わった環境ー、新しいパートについて、夫から何か聞かれることもない。
私がどういう仕事をしているのか、どんな名前の会社で規模はどれくらいだとか、勤務地だって知らないだろう。
子には伝えているので、私に何かあれば子から夫に会社名くらいは伝えるだろうけれど。

あんなに細かく私の動向についても口うるさかった夫なのに、最近では放置プレイ。自分の会社を立ち上げてから心はそっちへ行きっぱなしなのだ。

昨夜、夫が恐らく吉田さんと会話をしている声を聞いた。吉田さんはコロナに感染しなかったようだ。笑い声が聞こえて来た。
何をそんなに話すことがあるのか?仕事のことなのかもしれないけれど、まるであちらがホームのような空気感を夫は出す。
声が違うのだ。温かみがある。
私に対しての会話なんて、事務的なことばかり。あれが無いとかどこ行った?だとか、表情だって変わらない。テレビが点いていても、それに対しての発言は返しに困るものばかりなので私もスルーしている。だって、こちらに背中を向けているのだから。
私の目を見て話し掛けてくれば、勿論返す。返す言葉だけ集めたら、AIスピーカーよりも語彙力が少ないに違いない。


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  • 2022/11/11

同期の良さ

連日のパート。
そこで気付く。私は人よりも数倍覚えが悪い。
要領が悪いだけだと思っていたけれど、そもそも吸収するまでの時間が掛かる。
一つの作業を教えられ、反復し取り入れようとしているうちに次の新しい作業を教えられ、もうそこからは頭の中がぼーっとしてくる。
記憶が定着する前に、新しい作業と混じり合い、最終的にはどちらの作業も覚えきれていない。なので、教える方からしたら「ゼロ」の手応えなのだろう。

「メモ、ただ取ってるだけじゃ意味ないですから。」

皆に向かっての言葉が私だけに向けられているようにすら感じる。
しかし、工場勤務といっても色々なのかもしれない。作業一つだけピックアップすれば単純なものでも、その作業の種類がいくつもあってまたラインが変わったり、今後はその日の作業グループが毎日代わるというのでとても憂鬱。
グループのリーダーも代わるらしいので、固定されていないということは日によってやりやすい雰囲気の時もあればやりにくい雰囲気もあるということらしい。

それでも、昼休憩は楽しい。
まだ、同期の彼女としか会話らしい会話はしていないけれど、同期というものはいいものだ。年齢は違えども対等に話せる仲間がいることは心強い。



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フルタイム舐めてた

昨夜、世間では人生で一度の天体ショーと騒いでいたらしいけれど、スルー。
子が塾へ行く時に観たと聞き、あぁそういえばニュースで朝騒いでいたなと思い出した。
人は、忙しいと心を亡くす。今のわたしだ。

フルタイム舐めてた。
なんて、週何日かの話なので本当の週5フルタイムの人達に怒られるだろうけれど。
しかし、数年前の短期バイト以来、朝から夕方まで働くのは久々だったけれど、そういえば大変だったなと思い出す。
独身ならまだしも、家事との両立。5時に終わるといっても、通勤時間や買い物とか諸々入れると6時帰宅。子は私と入れ替わるように塾。
パート前は、一緒に自転車送迎していたけれど、今は無理。到底無理なので一人で行ってもらって迎えだけ行く。それだけでもしんどい。夫の帰宅と子の帰宅時間がかぶればいいけれど、そううまくいく日ばかりでもない。

家の中が荒れて行く。食事も手抜きばかり。夫の不満もスルー出来るくらいにしんどい。勝手に言わせとけーと随分図太くなったものだ。しかし、弁当作りはしている。自分の昼も作るついでーと言い聞かせて。

ちょっと前までは優雅な専業だったこと、夫の言動には腹立ってばかりでも、そんな時間を与えてくれたことに感謝の気持ちすら芽生える日々だ。





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問題児おばさんとイケメン

パート二日目。
たったの一日、一日の休みで問題児扱いされる私。


「教えて貰ってないんだもの、当たり前よ。」


昼休憩、同期のKさんが優しい言葉を掛けてくれたのが救いだった。もう一人の若い女性は見当たらない。どうやら外で休憩を取っているようだった。休憩室は、ざわざわと騒がしい。女性は皆それぞれのグループごと、話に花を咲かせている。男性も和気藹々としているグループもあれば、一人黙々と食事をしている人もいて様々。私にはKさんがいて良かったと心底思う。ただでさえ注意のされっぱなしでへこんでいるのに、休憩時間も孤立していたらいよいよ辞めたい気分に陥ってしまう。

持参していたパンが、口内の水分を全部持って行く。カラカラに乾いた喉を麦茶で潤すも足りず、自販機で水を買う。

教わっていないので質問をしただけなのだ。それなのに、お局に切れられた。惣菜パートの時の小林さんとはまた違う怖さだ。
怒鳴るとかではない、顔が怖い。質問が低レベル過ぎるとでも言わんばかりなのだ。


「私が隣にいたら、こっそり教えてあげられたのにね。」


両隣は、男性。分からないことを聞ける雰囲気でもない。教わっていないのだから、見様見真似でやって失敗する。注意される、何度も何度も。なので、質問をする。すんなりと教えてくれない。苛ついた態度を取ってからの小出しの説明。何度か聞き返す。明らかにあちらの説明下手だと思う。Kさんもそう言ってくれる。なのに、私の勘が悪いというか、飲み込みが悪いといった感じになってしまうのだ。


「質問、し辛いですよね。」

「そうなのよ、この間もあの人、あの男性が質問したら苛々した感じでね。私達も知りたい内容だったんだけど良く分からなくて。で、あの男の子。大学生かな?あの子が同じ質問したら、対応が全然違うの。細かく説明してあげててね。あの子が代表してみんなの分からないところ全部質問してくれたらいいんだけどね。大学生だから飲み込み早いのかな?滅多に質問してくれないし、サクサク作業進められちゃうのよ。」


大学生バイトは二人組で、そのうちの一人がイケメンだ。確かに、女性に可愛がられそうなルックス。某ジャニーズにいてもおかしくない。
初日は感じなかった疲れ。立ちっぱなしのルーティン作業。時間が経つのがあっという間なのは有難いけれど、作業を覚えて慣れてしまう頃、時間の流れはどう変わるのだろう?今は、考えたくもなかった。

午後の作業も怒られながらなんとか終了し、Kさんと途中まで一緒に帰った。

「もう、辞めちゃったのかと思ったから来てくれて嬉しかった。」

私が休んだ日、特に説明はなかったらしい。今は研修中だし、お互いの自己紹介などの機会もない。なので辞めたのかと思ったのだと言う。Kさんは、以前にも工場パートを何度か経験しており、一日で辞めてしまう人などザラにいるらしい。それくらい、工場パートは向き不向きがあるということなのだろう。工場といえば、同じ作業をライン上で行うーしかも人と関わらずに。そう思っていたのだけれど、場所によってはチームを組んでということもある。そうなると、やはり人間関係に左右される。勿論、社員であるリーダーの人柄にも。


「お願いだから、辞めないでね。」


彼女にふいに言われて嬉しい反面、なんだか重荷になった。こういう場面、ママ関連でもあったようなーその結末を思うと、なんだか手放しで喜べないのだ。





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女達の更衣室

ハンカチタオル、ティッシュ、マスクに消毒液、それにお昼ご飯と財布、携帯・・
仕事用トートバッグの中身を昨夜から何度もチェック。
着て行く服は、普段着で良いのでそれは楽。

やはり、休み明けの仕事は緊張する。まず、挨拶は謝罪から。休んで迷惑を掛けたのだから。
あの恐ろしいお局指導者に頭を下げる図を浮かべるとどんよりとする。
それに、更衣室。
初日、ドアを開けると「うっ」とくるものがあった。大勢の女達が集まる独特の匂いと空気。どうにも慣れない。
それは、ママ関係の集まりの時からずっと経験して来たものだけれど、職場となるとまた違う。新人の私達を遠巻きに眺め、だが、誰一人こちらに話し掛けることはなく、ひそひそと慣れあいの関係の中で弾む会話。明らかに、こちらの様子を伺っているのは分かる。そう、それは好奇の目。

新人が、私一人だけではない、女性では昼休み一緒に過ごした彼女ともう一人、若い女性。恐らくまだ20代後半~30代前半。大人しそうだけれど綺麗な人だった。結局、彼女とは接触が無かったけれど。
私が休んだ日に、彼女達が仲良くなってくれていたらいいと思う。そうすれば、3人同期グループとなり、仲良く出来そうな気がする。

少しでも前向きになれる材料を探せば、出勤も怖くなくなるはず。
今日も、頑張ろう。




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金の無心と長女の宿命

弟から久しぶりに連絡が来た。
また、金の無心か?と身構える。私や姪の近況なんててんで興味が無いのに、何か頼み事があれば社交辞令のようにお伺いを立てるのは昔からのこと。

「受験、どうなの?うまくいきそう?」

「そうね、なんとも。親としては、大金はたいて塾通いさせることくらいしか出来ないね。」

うちには我が子に使うだけの金しかないのだーと遠回しに伝える。だが、鈍感なのかそういう振りをしているのか、弟はどこ吹く風で世間話のように呟いた。


「冷蔵庫がさ、壊れたんだよ。」

ーで?

「冷凍庫も使えなくてさ。まあ、夏場じゃなくて良かったんだけどね。それでさぁ・・」


勘弁してくれ。それに、私が用立てたとしても弟が出したということになるのだ。

「お母さんに頼まれたの?」

「まさか。母さんが姉さんを頼ることなんてしないよ。カズヒロさんの手前ね。母さんには内緒でさ、俺からってことなら素直に受け取るだろう?」


「いやいや、当たり前でしょ。だってあなたも使う冷蔵庫なんだから。っていうか、食費くらい入れてるよね?」

「うーん、実はちょっと色々あって・・」


本当は聞かない方がいい。聞けば、首を突っ込んだことになる。首を突っ込んだら責任を取らなくてはならない。血の繋がりというものは厄介だ。


「仕事、辞めた。」

「はぁ?」

なんで?と聞く前に、ペラペラと事情を話す弟。自分は悪くない、悪いのは周囲の人間、いや、今の日本が悪い、物価高も悪い、経済が悪い、ロシアが悪いー

しかし、実際のところは人間関係のトラブルで辞めたということ。弟も、私と同様にコミュ障なのだ。だが、私とはタイプが違う。距離感がつかめないタイプの方。相手の気持ちを考えずにグイグイいくところ。
どうやら社員に噛みついたらしい。

「同じ1時間で俺のやり方に変えれば倍量産出来る訳。なのに、昔からのやり方?古いんだよな、考え方が。他のパートのおばちゃんたちの顔色伺ってさ、どう考えたってそっちの方が効率悪いし会社にとっても損失よ?もうさ、馬鹿々々しくて、辞めた。」

自分から辞めたというけれど、古株パートのおば様達に嫌われて辞職に追い込まれたというところだろう。なんでもっと要領良く出来ないのか?同じく要領の悪い姉が思う。



「ごめんだけど、私も今、厳しい状況なのよ。そっちで何とか頑張って。年金だって、あるでしょう?それに、うちよりよほどあなた達の方が贅沢な食生活なんだからさ。」


冷蔵庫の金ーなんていって渡しても、ギャンブルで使われるかもしれない。正直、信用出来ないしそもそも手持ちが無い。夫に頼めるわけもない。長男であり、また同居している弟が考えるべき問題なのだ。
それなのに、世帯が別であっても長女である私の宿命。
こうして胸に引っ掛かりをいくつも抱えて過ごさねばならない。



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後は野となれ山となれ

結論から言うと、子の検査結果は陰性だった。
ほっと胸を撫でおろし、しかし、ならば午後からでも出勤しようかと思ったが、熱で朦朧としている子を一人留守番させる訳にもいかず、腹をくくることにした。皆から遅れを取ってしまったといってもたったの一日。これがコロナで休みになったとしたら取返しが付かない遅れだった。

子に温かいうどんとゼリーを食べさせて、薬を飲ませて寝かせたところで、夫からの頼まれ仕事に取り掛かる。
勿論、マニュアルなどない。吉田さんが作成したという前月までのシートを見よう見真似で入力していく。夫から軽く説明があった時は、簡単そうに思えたそれだけれど、いざ始めると色々と疑問点が湧いてくる。自分なりに調べても果たしてそれでいいのか不安。
迷いに迷って、夫に電話した。


「確認なんだけど、これで合ってる?」

「え?細かいことは俺には分からないけど、取り敢えずやってみて。先生が最終的にはチェックしてくれるから。」

外部に頼んでいる税理士事務所の先生。普段、吉田さんはその先生とやり取りをしながら会社の経理作業をしているらしい。吉田さんも、濃厚接触なら家からリモートしてくれたらいいのに。なんで私に?夫に尋ねると、


「それ以外の複雑な仕事も溜まってるんだよ。息子さんの看病もあるし。あなたに頼んだのは、末端の簡単な作業らしいから。その為に単発バイト頼むのも微妙だからな。」

カチンと来た。「末端の簡単な作業」と吉田さんが夫にそう伝えたのだろうか?それなら奥さんにも出来るんじゃない?と。
どこまでもマウントを取って来る彼女に腹が立った。その末端らしい仕事に翻弄されている自分は、やはり無能な人間なのか?


「あ!」

雑念が入ると、ミスも発生する。エクセルの計算式がおかしくなってしまった。元に戻るボタンを押しても戻らない。保存も出来ない。慌てて計算式をクリアしたら保存出来た。
だが、計算式をクリアにしたらまずいことになるというのはこういった作業に疎い私でも何となく分かる。だが、もう面倒になりパソコンを閉じた。
どうせ完璧になんて出来る訳がない。後は野となれ山となれ。






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  • 2022/11/05

いきなり欠勤

子が発熱した。
こんな時に限って・・というのは子どもあるあるだけれど。
もう中三だし、一人で留守番でもというのはコロナ前。コロナ禍においては家族に発熱者がいれば、検査をなくして出勤なんて非常識でもある。
夫は出勤。なぜなら今日は事務所一人の日だからだという。
実は、昨日の昼頃から様子がおかしかった。やたらとごろごろしており勉強にも身が入っていない様子だったし、目もなんだかウルウルとして食欲もなく、おやつも食べなかった。
そういう子の小さな異変に気付かなかったのは、自分のことでいっぱいいっぱいだったから。新しいパートのこと、それに突如、夫から頼まれた事務仕事。これらに全神経が集中してしまっていた。母親として反省すべきこと。
ふと、吉田さんが濃厚接触ということは、夫も感染しているのではないか?という疑惑。そうだったとしたら、子に感染、私にもということになる。

それでも、いきなりパート二日目で休みを取ることに心が痛んだ。初日をなんとか終えて、話せるパート仲間も出来たことで、二日目からは仕事を覚えることに集中しようと意気込んでいたところ。これでは周囲と差がついてしまう。遅れをとってしまった。子がもしもコロナだったらー、数日休みを取らなければならない。
あの怖い指導担当にボロカス言われる自分の姿が浮かんだ。

取り敢えず、検査。発熱なので電話予約。診療受付時間までまだ時間がある。その前に、職場に欠勤の電話。勤務開始時間の1時間前程に連絡するのがマナーだろうか?
本当に、大事な日に限っていつもこうなのだ。





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自営妻の仕事増

久しぶりに仕事をして、ぐったり。
だが、夫から突然仕事を頼まれた。
吉田さんの息子さんがコロナに罹り、濃厚接触になったことで作業が滞っているのだそうだ。


「こんな感じで、分かるだろ?」


夫からノートパソコンを渡され、その中に入っているファイルとやらに請求書の数字をひたすら入力する。本来、月初に行うべきものが手つかずなのだそうだ。ただ、単純作業で入力すればいいだけではなく、ところどころ複雑な計算式が入っていたりするのでその整合性も確認しなくてはならないそうだ。



「前月のシート見てみて。俺も良く分からないんだよ。で、この紙の請求書と合わせて合算があってれば大丈夫だから。」


ーちょっとこれは、時給出るんでしょうか?

尋ねたいところだが、自営の妻なので無償の作業なのだろう。それでも、簿記の試験が駄目だった辺りから、私のことをバカにしていた夫が頼ってくれているのは嬉しかった。オフィスワークは憧れだけれど、面接で何度も落とされて来ただけに、夫の仕事の手伝いであってもそれが体験出来るのはなんだか誇らしい。
ただ、タイミング。私も新しいパートを始めて間もないのだ。頭の中がそのことで一杯なのに今なんで?

「いつまでにやればいいの?」


「まあゆっくりでいいよ。日曜の夜までで。」


夫は十分に余裕を与えているだろう?といわんばかりに言うけれど、主婦はそれ以外にも仕事がある。しかも土日。夫と子の為に食事も三食、それにパートを始めたので時間の合間を縫っての買い出しなど。
それでも夫の期待に応えたいーというよりも、私だって吉田さんの仕事くらい出来るのだという対抗心。この気持ちが引き受ける決めてとなった。


「分かった、やってみる。」


今日は祝日で、子は勉強。夫は自室で何やら自己啓発の勉強会をしているので、私も夕飯までの空いている時間で作業に取り掛かろう。土日もパートは休みだし、何とかなるだろう。
夕飯はカレーでOKと夫なりに気を利かせてくれたので気楽だ。
ただ、明日のパートの準備までしたら、少しだけ気が重くなった。またあの怖いお局指導者の顔色を見なくてはならない。










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  • 2022/11/03
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